三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、PSPで登場した『グローランサー』について紹介します。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、PSPで登場した『グローランサー』について紹介します。
蹴られるために何度もリセット【グローランサーの思い出】
大陸を股にかけた壮大な物語が描かれる長編RPG『グローランサー』。本作は、そのシリーズ第1作で、ノンストップドラマチックRPGというジャンル通り、つぎつぎにシナリオやイベントが発生し、最初から最後まで途切れないことが特徴です。1999年にPSで発売後、2009年に新規キャラクターやルートを追加したPSP版が発売されました。筆者がプレイしたのはPSP版。
シナリオがおもしろいのはもちろん。そんなシナリオをさらに盛り上げてくれるのがうるし原智志氏が描く魅力的なキャラクターたちです。プレイヤーの分身である主人公を始め、強力な魔法を操る作中で重要な存在の義妹、両目と右腕を奪われた旅の傭兵などなど。
その中でも特に印象に残っているのがティピ。主人公のお目付け役として旅に同行する妖精のような羽をもつ身長16.4cmのホムンクルスです。だいたい人間の1/10くらいのサイズ感ですね。
主人公がプレイヤーの分身として設定されている場合、雰囲気を重視する意味もあってか無口なことが多く、本作もその例にもれず、主人公が喋ることはありません。かわりに選択肢で意思表示をするのですが、選択肢によってほかのキャラクターの反応が違うだけではなく、ストーリーにも影響を及ぼします。
その中でのティピの役割がいわゆるツッコミ。選択肢によって反応が違うのはほかのキャラクターと同じなのですが、あきらかにおかしい選択肢やツッコミどころしかない選択肢を選んだ場合、「ティピちゃんキック」と言いながら飛び蹴りをかましてきます。そのときの反応やセリフがどれもおもしろいんですよね。
それを見たいがためにわざとあり得ない選択肢を選んでいた記憶が。最初のうちは、「この選択肢ではティピちゃんキックなしか~」くらいにしか思っていなかったのが、いつの間にか「ティピちゃんキックがなかったからリセット」という気持ちに変わっていました。“ティピちゃんキック”のときは専用のカットインが入るので、ただの1シーン以上に力が入っていたのではないでしょうか。
選択する場面で表示された選択肢のどれにも“ティピちゃんキック”がない場面も多く、そのときはちょっとがっかりしたことも。ただ、今になって思うのが“ティピちゃんキック”を見るためにリセットを繰り返して選択肢を選んだことで、隅々までストーリーを楽しめたように思えるんですよね。……体がティピちゃんキックを求めすぎて、マゾに目覚めそうになったとかならないとか(苦笑)。
さらに、おもしろいのが“ティピちゃんキック”がゲームのエンディングにも関わってくること。本作ではエンディングが複数用意されていて、ストーリー完結後の主人公と特定のキャラクターを描いたいわゆる後日談のようなもの。
クリアまでに特定の条件を満たすことでいずれかのエンディングを迎えるというわけなのですが、なんと“ティピちゃんキック”の回数がティピのエンディング条件のひとつになっています。
それまでの選択肢ではどんな反応が見られるかを楽しんでいただけでしたが、エンディングの条件となると話は別。ティピとのエンディングを見るためにできるだけ“ティピちゃんキック”の回数が多くなるように選択肢を選んでプレイしていました。
なので、ルート分岐や複数のエンディングがあるので周回もしましたが、いちばん楽しかったのは“ティピちゃんキック”を追って、エンディングを迎えたときかもしれません。