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ネタバレあり感想:『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』3話。輸送機の発進シークエンスが最高だった。ただの“いい奴”に終わらないリョータのキャラクター性の深さも面白い

文:米澤崇史

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 2024年4月21日(日)に放送された、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』第3話“足りない適性値”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

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肉親が関わったロボットに主人公が乗る伝統は本作にも健在


 2話では初出撃ながらアンノウンを撃破し、シンカリオンの運転士としてエルダの一員になったタイセイ。

 現状の動かせるシンカリオンはタイセイのE5はやぶさだけですが、エルダの地下整備上には運転士さえいればすでに動かせる状態でE6こまちとE7かがやきがあるようです。

 シンカリオンにはいろんな車両が出てきますが、やっぱりメインとなるのはこの3車両というのはシリーズを通じて共通している要素なので、ファンとしてはやはりテンションが上がります。今回もやはりこの3機のシンカリオンでチームを組むことになるのでしょう。


 施設を案内してもらう途中、現在は行方不明になっているタイセイの姉・イナについての話題も。イナがエンジニアとしてシンカリオンに関わっていることは2話でも判明していましたが、アガノの話しぶりからするに、システムとしてはかなり需要な部分を担当していたようです。

 イナが生きていれば24歳、さらに行方不明になったのが2年前と考えると、下手をすると10代の頃からシンカリオンの開発に関わっていた可能性が大。なぜイナがエルダに入ったのかという経緯も気になるところです。

 またシンカリオンの場合、“肉親が開発に関わったロボットに乗る”というのは、鉄人28号やマジンガーZ、ガンダムと歴代のロボットアニメで受け継がれてきた要素ではあるのですが、だいたいはその肉親が父親なんですよね。本作の場合、それが姉になっているのが本作ならではのポイントだなと。


 シンカリオンを動かすのに必要な"適性値”についての話題もあり、10代の子どもの方が高い数値が出るという設定は従来のシリーズの"適合率”と同じでした。

 カドミチの推測によると、心・技・体が高いレベルでバランスが取れていることが条件のような話もありましたが、タイセイの場合は心と技はともかく体も揃っていたかは微妙なところだと思うので、ここはまだ何か秘密が隠されてそうな気がします。従来のシンカリオンでは個人が持つ"鉄分”(栄養素ではない)が重要な役割を果たしていましたが、本作でも同じなのかどうか。

 ただ、アンノウンの存在が秘匿されているのもあり、公に動くのが難しいのは分かるのですが、これだけ大掛かりな施設があるのに、肝心のシンカリオンの運転士が一人もいなかったというのは相当にヤバい状態ですよね。もしリョータがタイセイを鉄道部に呼んでいなかったら詰んでましたし、シンカリオンのパワーアップも大事だけど運転士探しにも力を入れていた方が……とちょっとツッコミたくなりました。

 ただ、結局アンノウンは10年出ていなかった訳ですから、「運転士がいようがいまいが、どうせ戦う相手もいないだろう」という、危機感の薄れのようなものがエルダの中にあったのかもしれませんね。

唯一リョータの欠点に気づいている幼馴染同士の関係性がエモい


 鉄道部の活動シーンでは、リョータの笑ってごまかそうとする癖をマイが注意する一幕も。

 個人的なリョータへの印象は、いつでも周囲に気を使えるいい奴……という認識だったんですけど、タイセイへの嫉妬とか今回のアカネへの対応とか、これまでのリョータの描写を思い返すと、確かに自分の本心を押し隠しているシーンがめちゃくちゃ多いんですよね。

 自分はそれを“大人の対応”と好意的に捉えていたんですけど、幼馴染のマイがそれを問題視しているあたり、リョータって周りに気を使いすぎるあまり、自分の言いたいことを言えなくなってしまったんだろうなと。空気が悪くなるのを嫌って、場にそぐわない冗談を言うって結構リアルにあると思いますし、なかなか面白いキャラクター性になっていると思います。

 少し気を使う方向性は違いますが、1話のタイセイも、周りの目を気にしすぎて動けなくなるタイプだったので、一見正反対に見えて、実は二人は似たもの同士なのかもしれないですね。


 その後には再びアンノウンが出現しましたが、今回もアンノウンの出現直前に黒い新幹線が現れていました。アンノウンを世界に招いているようにも見えますが、黒い新幹線自体は何も敵対行動は取っていないので、実はアンノウンの出現をエルダに知らせている……という可能性も多少ありそう。

 敵側のシンカリオンとしては、過去のシリーズでも『Z』のダークシンカリオンという前例もあるだけに、本作における黒い新幹線の位置づけは気になるところです。

 そして今回初お披露目となった、大宮総合車両センターの地下からエルダビークルの輸送機が発進するシーンはかなり心踊りました!

 『マジンガーZ』のプールとか、見た目は普通の施設だけど実は中に巨大ロボットが隠されていて、緊急時には出撃口に変形する流れって、子どもの頃は「実はこの下にもロボットが隠されてるかも」みたいな想像ができてめちゃくちゃワクワクしたんですよね。学校が巨大ロボットの基地になる『エルドラン』シリーズの発進シークエンスも大好きだったなぁと思い出します。

 ただこの輸送機、どうやら複数のエルダビークルを搭載して輸送できる設計になっているのもあってか、サイズが尋常ではなくデカいです。それを本職は研究者なのに、一人で操縦できているアガノさんのハイスペックっぷりにも驚きましたが、JRの敷地内からあんなでかい輸送機が緊急発進したら、シンカリオンの存在を知らない人々の間で騒ぎになるんじゃないかとやや心配になりました。

 今回のアンノウンの戦いは、戦いに不慣れなタイセイが押されるも、エルダトレーラーとの合体によって形勢逆転かと思いきや、そう簡単にはいかず、ドリルで剣を弾かれてタイセイは窮地に陥ってしまいます。瞬間、せり上がった地面に救われて事なきを得ましたが、本作のキャプチャーウォールはエルダ側からある程度干渉ができるみたいですね。

 どのくらいまでのレベルのことができるかはまだ分かりませんが、シンカリオンだけではなく、司令部からのバックアップも今後の戦いの鍵になってきそうな予感がします。


 無事アンノウンの撃破には成功したものの、やはりシンカリオンに乗れないリョータのモヤモヤは残ったまま。マイだけはリョータの本音に気付いてるようですが、この二人の関係性は個人的なイチオシポイントでした。お互い恋愛感情はなさそうですが、幼馴染として互いのことを深く理解しあっていそうな関係性は、熟年夫婦みたいな雰囲気もあってエモさを感じます。

 4話では、そんなリョータのエピソードがさらに掘り下げられそう。引き続き次回の放送が楽しみです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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