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ネタバレあり感想:『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』4話。本音をぶつけ合えるリョータとマイの幼なじみコンビがエモかった……! ほぼオーバーキルのドリルもカッコいい

文:米澤崇史

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 2024年4月28日(日)に放送された、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』第4話“リョータの本音”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。[IMAGE]

実は誰よりも負けず嫌いだったリョータの本質


 10年前のアンノウン出現時、シンカリオンに助けられたことで運転士を目指すようになったリョータ。

 冒頭の回想では、新人の頃と思われるカドミチが登場したりもしていましたが、気になったのはリョータを助けたシンカリオンの姿がシルエットで隠されていたこと。10年前のシンカリオンについては、運転士から機体まで不自然なくらい情報が隠されており、依然として謎が多いんですよね。ただリョータの記憶が薄れているという演出かもしれませんが、今後また物語に関わってくるんじゃないかと予想しています。


 一方、アンノウンの再出現を警戒して敦賀に残ったタイセイが、前回から行きたがっていた鉄道資料館を満喫していたのは微笑ましい。命を張って戦っているんだから、これくらいの役得はあってもいいかなと。

 乗務員が起きるための“おこし太郎”とか、欧亜国際連絡列車の行き先が巴里になっていることとか、今回の鉄道ネタはなかなかディープでした。

 さり気なく描かれていましたが、タイセイが喜ぶだろうとおこし太郎を持ってきてあげたり、鉄道資料館の展示をタイセイ相手に解説していたり、実はカドミチも鉄オタなのではないか説が自分の中で湧いています。職務上鉄道について勉強する必要はあったのでしょうけれど、二人はまだ付き合いも短いですし、おこし太郎で喜ぶという感覚は、鉄オタ同士じゃないと理解できない気がするんですよね。

 リョータが回想した祖父との思い出のシーンは、間違いなく逆上がりができず、笑ってごまかした3話の回想シーンのその後ですよね。シンカリオンについてもそうですが、一人で見られないようにこっそりと練習しているあたり、ひょうひょうとした雰囲気に反して、リョータが超のつく負けず嫌いであることが分かります。


 そんなリョータを誰よりも理解しているのが幼馴染のマイ。逆上がり中に「怖い」という本音を漏らしたリョータをみて「やっぱり」と口にしているあたり、マイだけはリョータの本音にもっと前から気づいていたんでしょう。

 タイセイやリョータも中学2年生とは思えないレベルでは大人っぽいんですけど、マイはもうひと回りくらい精神的には上の位置にいるような印象です。リョータは同い年のはずですけど、基本的にはマイがお姉さん的な立場でリードする関係性だったんだろうな…となんとなく想像がつきます。

互いに本音をぶつけ合える幼なじみ同士の特別な関係性がたまらない


 敦賀に再出現したアンノウンを相手に、苦戦を強いられるタイセイ。そんな様子を見て、いても立ってもいられなくなったリョータの「あいつに乗れて、なんで俺に乗れねぇんだ!」という心の叫びは、リョータ役の土屋さんの熱演も相まって、かなり心に響きました。

 確かに今までの描写から、悔しさを堪えているのは間違いないと予想してはいましたが、タイセイに対して明確な嫉妬心を抱いていて、しかもそれを口にするとは思っていなかったのが正直なところ。こういう人間の負の部分に踏み込んだ生々しい人間ドラマは、従来の『シンカリオン』シリーズにはあまりなかった要素でもあるので、かなり新鮮でした。


 またすごいのは、このリョータの本音を聞いた直後、マイは顔色一つ変えずに「自分の気持ちを誤魔化したいだけでしょ」とバッサリ斬り捨てているんですよね。確かにその指摘は正しいんですけど、ようやく本音を口にできたんだし、もうちょっとこう手心を加えてあげてもいいんじゃないか……と思えるくらいには容赦なかったです。

 けれども、そんなマイのサポートもあって、ついにシンカリオン操縦に必要な適性値に達したリョータは、E7かがやきに乗って出撃。3話でカドミチが言っていた、“心・技・体”の内の“心”が整っていなかったということなんでしょうね。


 今回の敵は両手にドリルというなかなかインパクトのある武器をもっていましたが、エルダドリルと合体したE7かがやきのドリルフォームも両手ドリルで負けていません。

 エルダドリルとの合体は、エルダトレーラーとは完全に構造が違っていて、元の両手が折りたたまれてジョイントパーツのようになり、腕が丸ごと取っ替えられるというかなり変わった合体ギミックになっていて驚きました。体勢を崩してしまったところを、背中側の足場をせり上げて復帰させる“おこし太郎”戦法で逆転させたのも、まさか前半のタイセイたちのやりとりが伏線になっているとは想像してなかったので面白かったです。

 最後は必殺技でしっかりと決めててくれましたが、巨大なドリルを構えるシーンで『天元突破グレンラガン』のギガドリルブレイクを思い出したのはおそらく自分だけではないはず。

 もう上下のドリルで挟まれた段階で敵は結構致命傷な気がするんですが、そこにさらに本命の攻撃を仕掛けるというなかなかのオーバーキル技でした(動きを止めたところに追撃するのもギガドリルブレイクっぽい)。何もない空間から突然ドリルが出現したのは、足場と同じようにキャプチャーウォールに干渉できるから可能性な戦法なのかもしれないですね。


 今回面白かったのが、リョータが本音を漏らしたシーンがタイセイのいないところで行われていること。視聴者はリョータの本質を理解しましたが、タイセイにとってのリョータは底抜けに明るいムードメーカーで、いい人というイメージのままなんですよね。

 リョータはタイセイがどんな想いで戦ってきたかを知っているはずなので、もしタイセイがあの場にいたら、マイになんと言われようとタイセイを傷付けないように本音を隠したと思います。

 あの場にマイしかいなかったからこそ本当の自分をさらけ出すことができ、それを受けてマイも容赦ない返しをするというのは、それぞれに「こいつならここまで言っても大丈夫」と思えるくらいの信頼関係があったからこそで、やっぱりこの二人の関係性ってめちゃくちゃエモいなと。

 今回はリョータのお話でしたが、今後もしマイが壁にぶち当たる時がきたら、その時はリョータがマイを奮起させて欲しいな……と早くも想像してしまったり、とくに好きなコンビになりました。。


 次回は、残るシンカリオンの運転士候補であるアカネのエピソードに突入しそうな予感。アカネはまだエルダに入ってすらいないし、タイセイとの確執も残ったままなので、どのように物語に絡んでくるのが楽しみです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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