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ネタバレあり感想:『終末トレインどこへいく?』5話の予想外な伏線回収に感心…したけど玲美の暴走シーンがインパクト大すぎて全部持っていかれた

文:米澤崇史

公開日時:

 2024年4月29日(月)に放送されたTVアニメ『終末トレインどこへいく?』5話“骨にされてしまいます”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『終末トレインどこへいく?』5話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。 [IMAGE]

幼児退行で明らかになった、晶の玲美への激重感情【終末トレインどこへいく? 5話】


 晶を医者に診てもらうため立ち寄った稲荷山公園駅で捕まってしまった静留と玲美。やはり稲荷山公園駅の人々は7G事件の影響で街ごと小さくなってしまっているようですが、「吾野の人間も変わっていないのか?」という台詞は、改めて見直すと“変わっていない人間がここにもいる”という伏線にもなっていましたね。

 駆け引きをしようとした静留の意図を玲美が理解できず、二人で喧嘩を始めたシーンは笑いましたが、速攻でローターを回して強硬手段に出るあたりおっさん呼ばわりされた隊長もなかなか沸点が低い。

 静留たちの骨が飾られる予定だった狭山市立博物館は実在する場所で、巨大なアケボノゾウの骨格も実際に展示されているようです。


 一方、静留たちが清掃担当のお姉さんを“漏らす”で脅迫するシーンは大分ぶっとんでいましたね……。静留たちが捕まっているのは屋外なので、地面に流れた分は放っておいてもすぐ乾く気はするんですけど、問題は固定されているヘリの方でしょう。かなり念入りに洗わないと錆びて使い物にならなくなりそうな気がします。

 お姉さんの話によると、当初街のリーダーだったドクターは、後からやってきた“ボス”という人物によって幽閉されており、市民達は上級・下級といったランクで分けて管理されている様子。短期間でディストピアじみた社会構造を作り上げているあたり、“ボス”はなかなかのやり手なのかもしれません。

 ただ、ドクターの居場所を聞き出すため、静留が物陰に隠れながら見張りを排除していましたが、建物よりも大きいサイズの人間があの距離にいて気づかないのは、さすがに見張りのやる気がなさすぎるんじゃないかとツッコミたくなりました。足音とか地響きで気づきそうなものですが、玲美は待機したまま静留だけで制圧していたようなので、吾野柔術には足音や気配を消せる技もあるのかもしれません。

 電車内に残った撫子と晶のシーンでは、ポチさんと晶のWのかわいさに癒やされつつ(晶の子守をやっているポチさん賢すぎる)、「困った時は玲美ちゃんが来てくれる」という晶の中に隠されていた本音がぽろりと漏れたのがエモすぎました。前から晶が玲美にキツくあたっているのは、一種の甘えみたいなものと解釈してもいたので、いろいろと腑に落ちたところがあります。

 回想内での子どもたちの「西吾野が秩父線だから馬鹿にしているんだろ」というイチャモンにはちょっと笑ってしまいましたが、やっぱり池袋に繋がっている西武池袋線にはブランド力があるんでしょうね。

実はダントツの身体能力最強キャラだった玲美【終末トレインどこへいく? 5話】


 西武池袋線の沿線に住んでいなかったため、7Gの影響を免れていた“ボス”。中身は基地に憧れた結構普通の青年のようでした。他の土地では人間のままだと意思疎通ができなくなっていることも珍しくなかったので、稲荷山公園駅は街と人が小さくなっただけだったのはメチャクチャ幸運だったように思います。

 そんな“ボス”は何かギャルにトラウマでもあるのか、玲美を異常に敵視する一方、静留に対しては完全に恋する少年と化していました。静留が拒否らずに同情的になっていたのはかなり意外だったんですが、「自分には無理だとバカにされた」という過去が、静留と葉香の喧嘩の原因と通じる部分があることも分かってきました。


 静留が言った側なのか、言われた側なのかまでは不明ですが、結構メンタル強そうな静留が思わず涙ぐんでいることを考えると、葉香を傷つける何かを口にしてしまい、それをずっと後悔している……という精神状態が近いんじゃないかと予想。

 玲美たちが助けたドクターが、実は医者ではなく科学者で、しかも善治郎と旧知の仲であったことも判明。うにゃうにゃ手術を施される前の善治郎も登場していましたが、やはり本来はお爺ちゃんではなかったようです。

 水島監督によると、この時は麻酔すらしていなかったらしく(全身麻酔で眠らせていた方がずっと手術はしやすい気がするんですが)、話が進むにつれうにゃうにゃ手術のヤバさが浮き彫りになってきている気がします。


 そしてなんといっても、5話最大の見所となったのが、晶にもらったブレスレットを壊され、完全にブチ切れた玲美が大暴れするアクションシーン。もうここのインパクトが凄すぎて、ここまでにあった出来事がいろいろ霞んでしまった感が若干あります。

 にわか戦闘機ファンとしては、最初に玲美に攻撃を仕掛けた時、すでに退役しているF-4が出てきたのは密かに盛り上がったポイント。小さくなったとはいえ戦闘機は元が大きいので、ぶつかった時の衝撃やミサイルはなかなか洒落にならない威力が出ていましたが、その辺の電柱を引き抜いて、管制塔に登ってミサイルを打ち返したり、ジャンプで航空機を落とす玲美があまりにも規格外すぎました。

 玲美がキレたあたりから、脳内でエヴァ初号機が暴走する時のBGMが流れっぱなしだったのは絶対に自分だけではないはず。


 戦闘機だけではなく、明らかに「ここまでやる必要はないだろ」と思えるくらいバリエーション豊かな種類の兵器が出ていて、ミリタリーファンとしてはたまらないエピソードだったのではないでしょうか。

 最終的に晶を正気に戻した方法は、4話での玲美と晶の思い出が伏線だったというオチは完全に予想外でした。当時の晶も、まさか本当に……と思っていたようで、結果玲美が騙されてお腹を壊したことを考えると、ある意味自業自得と言えるのかも。

 また、せっかくモールス信号でやりとりをしても、ここ最近はまったく役に立つ情報をくれなかった善治郎ですが、ドクターが吾野に向かったということは、やはり最終的には彼の動きが7G事件を解決する鍵になってきそうな予感がします。ドクターがいれば元に戻れる可能性も十分にありそう。

 池袋までは残り21駅。静留たちは、無事池袋に着くことができるのでしょうか。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース


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