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『鬼滅の刃 柱稽古編』1話ネタバレあり感想。アニメオリジナルの不死川・伊黒のバトルシーンにテンション上がりまくり！ OPはイントロから鳥肌モノ

文：米澤崇史

公開日時：

　2024年5月13日（日）に放送された、『鬼滅の刃 柱稽古編』第1話“鬼舞辻無惨を倒すために”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『鬼滅の刃 柱稽古編』第1話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

不死川・伊黒視点のアニメオリジナルシーンから始まるサプライズで幕開け


　『鬼滅の刃』は、週刊少年ジャンプにて連載されていた吾峠呼世晴先生による日本の漫画を原作としたアニメシリーズ。

　2019年のアニメ1期の放送以降、まさに社会現象と呼ぶに相応しいブームを巻き起こしたのは記憶に新しいところ。アニメシリーズとしては、劇場版が1作、TVシリーズが3作放送されており、今回の『柱稽古編』はTVアニメ第4期に当たります。

　誰もが知っている大人気シリーズであり、世界中が本作の放送を待ちわびていたことでしょう。初回となる1話は1時間スペシャルだったこともあり、ボリューム満点の内容でした。


　ただ、今回映像化される『柱稽古編』は、これまでに映像化されてきたエピソードと比べると戦闘シーンが少なめです。決戦前の準備回的な意味合いもある部分なので、どうやってアニメにするんだろう、と気になっていた原作ファンも多かったはず。例に漏れず筆者もその一人だったので、いきなりアニメオリジナルの風柱・不死川と蛇柱・伊黒のバトルシーンが始まった時は大興奮でした。

　柱の中でも2人は炭治郎への当たりがややキツめですが、危なくなった部下の鬼殺隊員をフォローしつつ先に帰らせたり、人質をしっかりと助けていたりと、柱としてかなり真っ当なことをやっているんですよね。とくに風柱である不死川の殺陣のシーンは、斬撃と同時に風が発生する演出があまりにもカッコよすぎて、作品によっては主人公を張っててもおかしくないと思えたほど。顔は相変わらず怖いですけど、スタイルはまさにヒーローって感じです。


　その後のカナヲとしのぶの会話、怪我の治療中の炭治郎と後藤（最初の柱会議の時に炭治郎を運んで以降、2人は何かと縁があります）の会話で、3期にあたる『刀鍛冶の里編』おさらいも自然に行われていました。

　完全な不老不死を求める無惨は、炭治郎の妹・禰豆子がこれまで自身が探し続けてきた“日光への耐性をもつ鬼”となったことに気づいており、その力を取り込むため行動を始める……というのが、『刀鍛冶の里編』ラストで起こっていた出来事。これから、無惨との本格的な戦いが始まりそう……というところで、3期は終わっていたんですよね。

　そんな無惨との決戦が近づきつつある中、これまでも体調が悪化し続けている様子が描かれてきた“お館様”こと産屋敷が、ついに柱達の前にも姿を現せなくなってしまいます。

　報告を受けた時の岩柱・悲鳴嶼を始めとする柱の面々の反応が印象的で、話を聞いた瞬間こそショックは受けているんですが、その後は産屋敷のことを話題にせず、現実的な対応だけを話し合うんですよね。誰もが産屋敷のために自分がやるべきことは何かを考えながら、強い覚悟の上で鬼殺隊として戦っているかがよく分かるなと。


　無惨との戦いにおいて必要となる痣の発現については、時透だけがその時の自身の状態を正確に把握しており、痣の発現条件もある程度割り出すことに成功します。一方の甘露寺は、炭治郎と同じ感覚派だったようで、まったく理屈では理解しておらず、淡々と分析する時透の言葉に「そうなんだ……」と完全に他人事で聴き入っているのが面白かったです。

　会議が終わった後には、冨岡が一人単独行動を取ろうとするのをほかの柱たちから諌められるというシーンもありましたが、富岡との関係が比較的良好なしのぶにまで「言葉が足りない」と苦言を呈されるのは珍しいなと。富岡はめちゃくちゃ好きなキャラクターなんですが、このシーンの行動はただでさえ周りのことを考えられていない上、言葉のチョイスもあまりにも悪いので、不死川たちが怒るのは本当にもっともだと思います。


　その後は久しぶりに善逸も登場し、相変わらずというか、むしろ以前よりもパワーアップしているんじゃないかと思えるくらいの善逸らしさ全開で安心しました。『刀鍛冶の里編』では、善逸は炭治郎とは別行動だったので、このノリが見られるのも懐かしく感じます。人間に近くなった禰豆子を見た時のガンギマリっぷりは、下野紘さんの熱演も相まってちょっと怖いと思えるくらいの迫力です（笑）。

　こっそり禰豆子に自分の名前を覚えさせようとする伊之助もかわいい。伊之助と禰豆子って直接的な絡みが多いわけではないんですけど、何度も一緒に死線をくぐり抜けてきた仲間同士なので、やっぱり他の鬼殺隊メンバー以上の絆で結ばれているんでしょうね。

炭治郎たちと激闘を繰り広げた、あの“柱”の登場でさらに盛り上がる


　『刀鍛冶の里編』で大活躍だった鋼鐵さんも再登場。炭治郎たちを守って命を落とした炎柱・煉獄杏寿郎の鍔が、弟の千寿郎や子鉄の手を経て、ついに炭治郎の日輪刀の一部となるのは熱かったですね。煉獄は『鬼滅』の中でも結構早期に退場してしまったキャラクターではあるのですが、死後もずっとその影響を感じられるのが、彼の存在感の大きさなんだろうなと。

　鋼鐵さんは前回の里の戦いでのダメージがかなり残っているようで、口は相変わらずの悪さでしたがいつもなら間違いなく手が出ていたと思うので、炭治郎の言う通り、身体を動かすのもなかなか辛い状態なのでしょう。

　ただ、その状態でも炭治郎の元に来たのは、一刻も早く新しい刀を渡す必要があると思ったからでしょうし、他人に託さず刀を自分で持ってきたのも、炭治郎がどうなっているか心配だったのもあるんじゃないかなと（自分の刀を他人に渡すのが嫌だっただけの可能性もありますが）。「死ぬまで俺にみたらし団子をもってこい」という台詞も、見方によっては簡単に死ぬんじゃないと言っているようにも聞こえないこともないですし、なんだかんだこの人って、炭治郎のこと気に入っているよなと改めて思います。


　いよいよ開始される柱稽古に対して、ワクワクしている炭治郎と死んでも行きたくなさそうな善逸はめちゃくちゃ対照的です。自分も学生だった頃、部活で朝から晩まで練習させられる日とか最悪の気分だったので気持ちは分かりますが、一応今後の自分の生死にも関わることなのに「考えた奴死んでくれ」とまで言い切るのは笑いました。ですが、炭治郎から雷の呼吸のコツのお礼を少し伝えられただけで、秒で機嫌が治るのはあまりにもチョロい。けどたぶんこのすぐ後、地獄のような訓練が始まって元の表情に戻ったんでしょうね……。

　さらに『遊郭編』で炭治郎たちと共に激闘を繰り広げ、隻腕となって柱を引退していた天元も久しぶりに再登場。『遊郭編』って、それまでは柱に守られる側の存在だった炭治郎たちが、上弦の鬼と戦えるほど大きく成長したエピソードで、個人的な思い入れもすごくあったので天元の再登場は嬉しかったです。柱はかなり人格的にクセが強いメンバーが多いので、兄貴分気質もあって飴と鞭もある程度使い分けられそうな天元は、一番コーチ役に向いてそうな気がします。


　そして病に伏しつつも、産屋敷の働きっぷりが凄まじい。富岡が柱稽古に参加しないのを見越して炭治郎に手紙を送りつつ、鬼を人間に戻すための薬の研究を進めている珠世の居場所を割り出して屋敷に招くなど、着々と無惨と戦うための準備を進めているのが分かります。

　ラストには『柱稽古編』のオープニングも流れましたが、イントロでちょっと鳥肌が立ちました。『柱稽古編』は、産屋敷に大きく焦点が当たるエピソードでもあり、最初に妻であるあまね、娘たち、産屋敷一家のあとに、柱を中心とした鬼殺隊が次々と集まっていくあの数カットに『柱稽古編』のすべてが詰まっていると過言じゃないと思えるくらいにジンと来ました。


　ネタバレが入ってしまうので、どの部分かまでは言えないのですが、もう歌詞も完全に産屋敷をイメージしたものになっているんですよね。この曲がここぞという場面で流れたら、間違いなく泣く自信があります。

　期待以上のスタートを飾ってくれた『柱稽古編』。これからまた『鬼滅』を毎週楽しめると思うとワクワクが止まりません。


米澤崇史：ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

    ©吾峠呼世晴／集英社・アニプレックス・ufotable

    『鬼滅の刃 柱稽古編』公式サイトはこちら
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