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先行レビュー:虚淵玄新作『ラスティ・ラビット』神ゲー説。沼ゲー的なドリル採掘にハマると同時に、おっさんウサギ・スタンプの深夜ラジオ的なトークに魅了される怪作【Rusty Rabbit】

文:電撃オンライン

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 9月24日にPS5/ PC(Steam)で発売される『Rusty Rabbit(ラスティ・ラビット)』。NetEase Gamesとニトロプラスが共同制作、虚淵玄さんが企画原案を務める本作のメディア向け先行体験会が開催。そこでプレイできた試遊版のレビューをお届けします。

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 かわいい外見ながらもハードボイルドでダンディなウサギであるスタンプの存在感が目立ちがちな『ラスティ・ラビット』ですが、実際に遊んだプレイフィールはかなり良好。神ゲーだと感じたポイントを紹介していきます。

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まるで深夜ラジオや往年の美少女ゲーム? クセ強なおっさんウサギ・スタンプのぼやきがクセになりすぎる…!【Rusty Rabbit(ラスティ・ラビット)神ゲー説】


 本作は、人間がいなくなった世界で、ウサギの主人公・スタンプが愛機のポンコツに乗り込み、遺跡を探索する2.5Dサイドスクロールアクションゲームです。ウサギがスチームパンクの世界にいるというアンバランスさがまずは目に入ります。いい意味でギャップが強く、強烈に印象に残る神ゲーポイントですね。

 プレイできたのは、ゲーム序盤部分。スタンプによる自分語りのようなナレーションのような語り口でのストーリーが展開されます。虚淵玄さんによるシナリオを楽しめるようにメインストーリーはボイス付き。

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▲スタンプ役は黒田崇矢さん。かわいい見た目と声のギャップがすさまじいですね。てか、当たり前ですが、ダンディボイスがよすぎて耳が幸せになりまくる……。

 序盤ということで、キャラクターや世界観の紹介も兼ねているのですが、とにかく言葉選びがおもしろい! アクションゲーム系で操作中などにストーリーや会話が挟まれるとどうしてもテンポが悪く感じてしまいがちですが、本作はそんな違和感がゼロ。
(会話が挿入されると言ってもゲームがとまってボタンを押すというより、遊んでいる後ろで自動的に会話が進む感覚)

 ステージを進む中で、いい意味で垂れ流されまくるスタンプの語り……ぶっちゃけ9割近くはおっさんのぼやきなんですが、深夜ラジオの感覚というか、人生経験豊富なおっさんの軽妙なトークと言いますか、聞いていて飽きないんですよね。

 伝わりにくい例えかもしれませんが、ベテランゲーマーの方なら、かつての美少女ゲームで物語と関係ない背景とかを調べたときに返ってくる、主人公のどうでもいい(けど絶妙に面白い)ツッコミ的なリアクションのような部分もありました。

 先に結論だけ書くと、ドリル採掘が楽しいアクションゲームにハマってステージを進めていくうちに、なぜか(そう、本当にいつの間にか)スタンプというおっさんウサギのパーソナリティの大ファンになってしまうという不思議なゲームに仕上がっているんです。


 たぶん、このゲームを遊んだ人の大半が、スタンプの口癖でもある「マグレガー!」という悪態を大好きになると思います。
※『ラスティ・ラビット』の世界では『ピーターラビット』が宗教的な聖典として敬われており、ピーターのお父さんをパイにしてしまったことでも有名な人間のマグレガーおじさん&おばさんの名前は忌避され、人前(ウサギ前?)では口にしちゃいけない悪態とされています。スタンプはよく使いますけど。ピンチの時や強敵に出会った時とかに。



掘るだけで楽しく、カスタマイズ要素も楽しい沼ゲー。スピード感のある多彩なアクションで遺跡を探索【Rusty Rabbit(ラスティ・ラビット)神ゲー説】



 さて、『ラスティ・ラビット』は、もともと虚淵玄さんが個人で製作されていたものをNetEase Gamesがブラッシュアップしたものだとか。

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 ストーリーと同じように重要になるサイドスクロールの部分ですが、ポンコツというメカに装着したドリルや鉈などの武器を使って、マップを切り開いていき、ガラクタを集めるものになっています。

 基本はドリルでブロックを掘りながら、マップを進めていきますが、ボタンを押すだけでがしがし掘れるので、かなり簡単で爽快。エネルギーがある限り、連続で掘れるので煩わしさもありません。

 この気持ちよさ、自分としては神ゲーとしてプッシュできるほど大きなポイントです。“動かすだけで楽しい・気持ちいい”って、良ゲーの基本ですもんね?

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▲中には、一個壊せば隣り合っているものまで一気に壊してくれるブロックも。一気に壊せて便利。

 というか、ブロックを掘り進めないと、進めるところがかなり限られています。さらにマップも広く、初めて訪れたときにはどこにあるか何もわからないので探索し甲斐があります。

 ちなみにマップの各所にワープできる装置があるので、毎回スタート位置からやり直さなくていいのも楽チンでグッド。

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 ブロックも適当に掘るのではなく、一部を残して高いところへ向かうための足場として活用したり、“すべて掘る=正解”にはなっていません。だからといって、ブロックを足場にできないから先に進めないなんてこともなく。

 壁や床に張り付くワイヤーを使えば、立体的な移動も可能。三角跳びの要領で壁を登れますし、スタンプが乗り込むポンコツはロボットなので、ブースターの噴射で高くまでジャンプもできます。

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 アクションが豊富だからこそ、先へ進むためにいろいろなアプローチができるのも神ゲーポイント。さらにサイドスクロールというジャンルですが、すべての敵を倒さないとまったく先に進めないなんてこともありません。探索という点に重きが置かれていました。

 それでも、いたるところに敵がいますし、ボスも用意されています。戦闘では、近距離攻撃の鉈と遠距離攻撃のショットガンの2種類を使用。鉈は連続で振れる回数に制限がありますが、壊れることはなく。ショットガンには弾数がありますが、時間で回復するので弾がなくなったから使用できないなんてこともありません。

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 敵と戦うことを選んでも、今後のことを気にせずに武器を使用できます。探索に重きを置いたゲームだと、どこまで進めればクリアになるかわからないので、資源の節約も考えないといけませんが、そこを気にしないでいいのはありがたいです。

 武器種こそ少ないですがカスタム要素もあり、探索で入手したガラクタを使用すれば個性的な武器を作り出せます。

 わかりやすいところでは、鉈の連続攻撃回数が増えるといった効果など。さらにおもしろい効果のある武器もあるとか。

 カスタム時にはランダムでスキルもつくようなので個性が出せますね。てか、強スキルの発動を目指して何度もガチャに挑んでしまうようなハクスラ的な沼ゲー要素となっています。大好物!

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▲装備は、ボタンひとつで変更できます。

 武器と同じようにキャラクターもカスタムでき、レベルアップ時に入手できるポイントを使ってスキルを習得できます。スキルには、ドリルを連続で使用できる時間が延びたり、エネルギーが増えたりするなどさまざまなものが。

 たくさんあってどれを習得するか迷いますが、最終的にはすべて習得できるそうなので好きなように習得するのがよさそうです。

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 ちなみに試遊会の最後には、ボス戦も体験できました。“錆キリン”という名前の通り、長いアームが特徴的な見た目ですね。

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 初見ということもあって、かなり強かったです。長いアームを活かして掴んできたと思ったら、アームを振り回して突撃してくる。さらに岩を落としてきたり、とにかく攻撃方法が多彩。ボスにふさわしい強さを誇っていました。



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 さらにポンコツが故障しているのも向かい風。ポンコツにはさまざまな機能があり、最初のチュートリアル的なステージでは無双できるのですが、物語の流れで故障してしまい、本編開始時にはかなり弱体化しちゃってるんですよね。スタンプがガラクタを集めている理由のひとつが、ここにつながるというわけです。

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 ワンミスで全てが終わる死にゲー……というほどシビアで絶望感があるかというと違いますが、ゴリ押しプレイは効率が悪いという良バランス。敵の攻撃パターン(の予備動作)を覚えて、ちゃんと回避することが大事になるアクションゲームとしてしっかりしたクオリティになっている部分は好印象でした!

 そんなわけで、短い時間のプレイながらも随所に“神ゲー”らしさを感じられた『ラスティ・ラビット』。虚淵玄さんが生み出した神がかった主人公と、神がかったゲームシステム……ほんとに濃い魅力が詰まった良ゲーだと感じました。

 なお、この記事では書ききれませんでしたが、スタンプ以外のキャラクターや“人間が星を去り、ウサギが進化した”ユニークな世界観から紡ぎだされるメインストーリーの面白さも当然ながらバツグンです!

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 冒頭を遊んだ感覚ではミュージカル的と言いますか、敵組織の動きも含めてコミカルな展開が多いのですが、今は1人暮らしをしているスタンプの家族関係もちらりと示唆されており、先の展開が気になる物語となっています。

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 そもそも人類が宇宙船で星を去ったという世界観ですからね。スケールがでかそう! 『魔法少女まどか☆マギカ』や『PSYCHO-PASS サイコパス』で知られる虚淵玄さんの新作ですし、早く本編を遊んでストーリーも堪能したいですね!



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