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『この世界は不完全すぎる』3話感想。ハガがデバッグモードを使わない理由やニコラが生き返った理由が判明した重要回。ハガに課せられた使命がなかなかの無理ゲー(ネタバレあり)

文:米澤崇史

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 TVアニメ『この世界は不完全すぎる』第3話"テスラ”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『この世界は不完全すぎる』第3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

ハガを尊敬しつつも、話は半分聞き流してそうなニコラのスタンスが面白い


 第2話で、同業者のデバッガーをなんとか追い返すことには成功したハガ。同僚の隅田がやられたのを見て危険を察した酒井はすぐに逃げていったので、ハガはまだ狙われていると考えて警戒している様子でした。

 その考え自体は間違っていないと思いますが、モンスターやNPCはともかく、明らかに不自然な草むらが人間に対してのカモフラージュになるかはかなり怪しいところ。それよりも早く先に進んで離れた方がいいような気がするんですが、ハガもニコラもちょっとズレているというか、天然ボケっぽい部分があるので、ツッコミ役不在のまま突き進んでいる感があります。

 その酒井はというと、2話で話の中にも名前だけ出てきていた、デバッガーたちを取りまとめる“社長”の元に報告に戻っていました。

 社長は酒井と同じく、一見気の良さそうなオジサンらしき雰囲気を漂わせつつもNPCでダーツを始めるかなりの危険人物。的に対してNPCが大きすぎて明らかにダーツになっておらず、完全にNPCの命をもてあそぶのが主目的になっています。

 オープンワールドゲームで、NPCを理不尽に殺してみたり……みたいなプレイは確かに自分もやったことがあるのでゲーマーとしては理解できなくはないんですけど、これまで視聴者としてニコラという人間のようなNPCを見てきている分、かなり邪悪な印象を受けます。データをデータとして扱えるのは、デバッガーとしてはハガより正しいのかもしれませんが。


 少し意外だったのは、「もう現実なんてどうでもいい」みたいな態度だった酒井が未だ社長に従っていることなんですよね。

 本当に現実世界のことがどうでもいいなら、社長の部下としてヘコヘコしながら生きるより、一人で自由にやった方が楽しいと思うのですが、なんだかんだ言いつつもログアウトできた時のことを踏まえての立ち回りなのかなと。社長に逆らって好き勝手やってると、現実に戻った時もう会社にはいられないでしょうし。

 一方ハガたちは、ハガの仲間がいるという降臨の祭壇へと到着。さらっと「追加DLC」なんて単語をニコラの前で口にしてたりしてましたが、普段のハガとの会話でも現実世界のゲーム用語が出てきていて、ニコラには"よく分からない単語は話半分で聞き流す”習慣がついているのではないかと思うくらいのキレイなスルーっぷりでした。


 コインボーイズの罠に掛かった時にニコラが思い浮かべたハガの姿が、大分フィルターが掛かっていて、声も普段より心なしかイケボ度が上がっているのは笑いました(ハガの声は石川界人さんなので、もちろん普段からイケボではあるんですが)。

 しかし1話のホイモイドラゴンといい、今回のコインボーイズといいこのゲームのモンスターデザイン、めちゃくちゃ独特ですね……。一応、今回のダンジョン内には普通のモンスターっぽいのも出てましたが、顔がやたらと怖いモンスター比率が高いです。

ついに明らかになった、ハガたちに起こった悲劇とニコラ復活の真相


 コインボーイズに生贄にされかかったところから、間一髪助けられたニコラ。偶然椅子代わりにしていたオブジェクトの正体は、なんと1話でもチラっと登場していたハガの同僚・クロちゃんでした。


 ハガがデバッグモードを使わないのは、正確なデバッグのためという理由ももちろんあると思いますが、3人の仲間たちのようにバグが起こるのを避けるためだったんですね。ハガはとにかく慎重を期す性格ですし、仲間たちがデバッグモードが原因でほぼ死んだも同然の状態に陥ったのを目の前で見て来たのなら、かたくなにデバッグモードを使わないのもうなずけます。

 3人が遭遇したバグの中でも、とくに怖そうだなと思ったのが波子さんがおちいっていた“死亡と蘇生の無限ループ”。

 前回の隅田もそうですが、こうなった時にプレイヤーの意識はどうなっているのかが一番気になるところで、波子さんも意識がある状態で死亡と蘇生を無限に繰り返している可能性があると考えると、後にログアウトできたとしても廃人同然になってしまっているのではと心配になります。もし死ぬ瞬間に痛みなどがある場合、それが無限に繰り返されるんですから……。

 地面に埋まっているクロちゃんはクロちゃんで、半ケツらしき姿のまま晒され続けるという、別の意味で精神に来そうな状態ではあるのですが。

 そして明らかにニコラではない、メタAIの“テスラ”の人格が登場。死んだはずだったニコラを生き返らせたのはテスラだったようで、ハガとしてはバグではないことが分かって一安心といったところでしょうか。メタAIなのに無表情でバクバクご飯を食べる光景にちょっと癒やされつつ、デバッグストーンまで食べる絵面はなかなかにシュール。

 ハガに対して「もう少し(ニコラを)丁寧に扱え」とアドバイスしていましたが、一番無茶な身体の使い方をしているのはテスラの方なのではという気もしてきます。


 そのテスラからハガに課せられたのが、危険なデバッガーからデバッグストーンを回収するという使命。デバッグモードを使わないことを決めているハガからすれば、デバッグという一種のチートが使える相手にチート抜きで立ち向かえと言われているようなものですから、そりゃ乗り気にはならないよなと。ハードモードどころではない無理ゲーを強いられています。

 個人的にツボだったのが、明らかにバグっていることが分かりやすいラストのTスタンス(Tポーズ)のNPC。

 3Dモデルのデフォルトポーズとして、どこかで見たことがある方も多いでしょうし、実際にキャラクターがこのポーズになるバグに遭遇したことがあるという人もいるのでは(自分もあります)? ゲーマー視点だと「今回はこのバグで来たか~」みたいな目線でも楽しめるのが、『このふか』の魅力の一つだと改めて感じましたね。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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