ロゴジャック
電撃オンライン

アニメ【推しの子】12話感想。2.5次元舞台編のスタートは、芝居の迫力をペンキを飛ばす形で表現するなどアニメならではの演出が光る!(ネタバレあり)

文:カワチ

公開日時:

最終更新:

 TVアニメ【推しの子】の第12話“東京ブレイド”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、【推しの子】第12話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

アニメならではの構成や演出で原作ファンも新鮮に楽しめた!【推しの子】


 原作が赤坂アカさん、作画が横槍メンゴさんの人気コミック【推しの子】のアニメ版。第2期は原作コミック第5巻の“2.5次元舞台編”が描かれることになります。


 【推しの子】の概要と第1期のストーリーをおさらいすると、推しのアイドル・星野アイの子に転生した双子のアクアとルビーを中心にしたストーリーが展開。妊娠と出産を隠して芸能活動をしていたアイは20歳の誕生日当日に、逆恨みをしていたファンに殺害されてしまいます。時は経ち、ルビーはアイのような輝くアイドルになるため、アクアはアイの復讐のために芸能界に飛び込むことになります。

 今回の“2.5次元舞台編”の前に描かれた“ファーストステージ編”では、ルビーが新生B小町メンバーの有馬かな、MEMちょとともに初めてのステージに。センターに抜擢された有馬かなが子役時代の過去を引きずって自分に自信が持てないなか、客席からエールを贈るアクアに励まされて無事に乗り越えるという展開でした。

 第3章の“恋愛リアリティショー編”では黒川あかねがアクアに救われて彼に恋心を抱いていましたが、有馬かなも“ファーストステージ編”でアクアの“推しの子”になると心のなかで宣言。アクアが真犯人を探るストーリーやルビーが芸能界を駆け上がるストーリーに合わせて、恋愛モノとしても盛り上がってきましたね。

 なお、今回の第12話は第2期の1話という位置付けですが、ストーリーは完全に第1期からの地続き。これから【推しの子】を追ってみようと思っている人は、まず第1期の全11話を視聴するか、原作コミックの第4巻までを読みましょう。

 さて、今回のストーリーですが、原作からカットされているシーンがあったものの、それ以上にアニメならではのシーンが光る展開で、原作ファンもアニメから入ったファンも大満足できる内容でしたね。個人的には第2章に登場したメルトが再登場して、過去の自分を反省して頑張っているシーンも大好きなのでカットは残念でしたが、逆に考えれば原作コミックとアニメで2倍作品が楽しめるというもの。

 今回のラストに登場した『今日は甘口で』の作者である吉祥寺頼子と『東京ブレイド』の作者である鮫島アビコがアニメ化やドラマ化というメディア化について語るシーンも原作にはあるのでこちらもチェックしてみてください。

 今回のアニメ版については“2.5次元舞台”という部分を強調した作りになっており、それはそれでとても引き込まれるものになっていました。最初に流れた2.5次元舞台の映像はアクアや有馬かなが演じることになる『東京ブレイド』の映像になっていて、視聴者に2.5次元舞台がどういうものであるのか教えてくれるものになっていましたね。映像のあるアニメならではの表現でした。また、『東京ブレイド』の映像が終わったあとに本作のオープニングが流れましたが、こちらも2.5次元舞台をモチーフにしたものになっていて、そう繋ぐのかと感心させられました。


 アニメならではの表現としては、劇団ララライの看板役者である姫川大輝と有馬かなの芝居シーンの演出が光ってました。ペンキを掛け合うような演出は原作には無かったものですが、ほかの役者が芝居に圧倒されて飲まれていく姿が視覚的に分かりやすく表現されていてよかったですね。俳優と役者の境界が曖昧になっていく姿は原作にもあったものですが、アニメ版は、その境界線がより曖昧で、いつしか舞台に没入していく感じがして、視聴者としても引き込まれました。メルトや頼子のシーンがカットされたのは残念と書きましたが、『東京ブレイド』に集中させるという意味では大成功だったのではないかと思います。


 また、このシーンは姫川を相手に有馬かなが覚醒するところにも注目。役にどっぷり入り込む没入型ではなく、周囲の演技を奇麗に受ける適応型になっていた有馬かながララライの看板役者を相手にしたことで本領を発揮したシーンですが、ここは“ファーストステージ編”での心境の変化もあったからなのかなと思うのですが、どうでしょうかね?

 そして、続いて注目して欲しいのが黒川あかねのシーン。アクアに「このままじゃ負けるぞ」と言われた彼女が頬を膨らますところはめちゃくちゃ可愛かったですね~。演じている石見舞菜香さんの芝居も合わさってあかねの可愛さが倍増していました!


 なお、原作ではその後に自分が演じる“鞘姫”が原作からかけ離れたキャラクターになっていることに彼女が戸惑う姿がコミカルな演出を交えて描かれましたが、アニメ版は演技指導を受けるシーンがカットされていることもあり、彼女が孤独に悩む姿が印象的でした。観ているほうとしては黒川あかねに同調して身を引き締められるような気持ちになりましたね。

 終盤は作者である鮫島アビコが登場して、衝撃の言葉を伝えるシーンが。コミックでは事前に彼女の想いを知ることができましたが、アニメ版は舞台側のメンバーと同じ目線でその言葉を知ることに。詳しくはアニメを観て欲しいですが、この話題については昨今もシビアな問題になっています。アニメで追っている人はどのような展開になるのか必見ですね。また、今回の第12話でアニメ版はアニメならではの演出で楽しませてくれることが分かったので、原作ファンも表現の違いに注目できそうですね!

カワチRPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。

    本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります