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『ボーン オブ ブレッド』レビュー:コミカルな見た目だけどやり応え抜群のシステムが魅力的。昔ながらのRPGの達成感を味わえる良作【電撃インディー#752】

文:セスタス原川

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はオーイズミ・アミュージオが9月19日に発売する、PS5/Nintendo Switch用アクションRPG『ボーン オブ ブレッド(Born of Bread)』を紹介します。
[IMAGE]※本記事はオーイズミ・アミュージオの提供でお送りします。
 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

『Born of Bread』トレーラー第2弾

窯から生まれた少年の冒険の物語『ボーン オブ ブレッド』


 『ボーン オブ ブレッド』は、パンでできた少年“ローフ”と、帝国復活のためにがんばる少年“ジェスター”。二人の少年の運命が交差する物語を描いたRPGです。開発元のWildArts Studioは任天堂の『マリオストーリー(欧米版タイトル:ペーパーマリオ)』にインスパイアされたと明言しており“ペラペラにもかかわらず立体感のある”世界を描いています。

 物語は異世界からやってきたワルモノたちが国をかき乱す中、パン屋のおじいさんパパ・ベイカーによって生み出されたローフというパンの少年が脅威に立ち向かうというもの。ローフは、ワルモノたちの行いの濡れ衣を着せられたおじいさんを救うために、仲間を集めて問題を解決しながらワルモノたちの後を追いかけていきます。

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 ファンタジーかつコミカルさが満載の世界観は、難しく考えずにゲームに没入してプレイできる遊びやすさがあります。ストーリーはゆったりと進むうえにシンプルな構成なので、子どもでも遊びやすいと思います。

 ただ、子ども向けだと油断していると、この世界観だからこそギャップが際立つシュールな会話に不意打ちを食らいます。物語を進めていくと少しシリアスな展開も待ち受けており、ゲームのわかりやすさを崩すことなく、細部に大人でも楽しめるポイントがしっかりと用意してあり、世代を選ばずに遊べる作品です。

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 平面的なのはあくまで演出やギミック上のもので、ゲームの作りは奥行きがある3Dフィールドです。アイテムが隠されていたり、道が隠されていたり、ステージは探索し甲斐があります。

 2Dと3Dの中間のようなデザインを活かしたギミックも用意されていました。ペラペラな体で狭い場所を通り抜けるなど、ギミックで突破する箇所がいくつも用意されており、先に進むには頭をひねらなければいけません。

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『ボーン オブ ブレッド』バトルのコツは視聴者を満足させること


 バトルはシンボルエンカウント方式を採用しており、接敵するとターン制バトルが始まります。

 このバトルはターンごとに攻撃やスキル使用を行いますが、その際にQTEが発生。その精度によって攻撃力が変化する仕組みです。ただ行動を選ぶだけでなく操作を求められるところから、アクションバトルとコマンドバトルの中間と言えるかもしれません。

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 コマンドバトルのゲームは行動選択の差異はあっても同じ能力のキャラであれば、誰がプレイしてもほとんど同じ結果になると思います。

 本作はそこにコマンドの精度という変数を加えることで「自分の力で勝てた!」という達成感を与えてくれます。そこまで難しいQTEではありませんが、安定して最大値を出すとなると集中力が必要です。

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 もう1つの特徴として、バトルはゲーム内の全世界に“生配信”されており、バトル中にゲーム内の世界でのリアルタイムコメントが届きます。

 例えば、「〇〇が見たいなぁ」という要望があったら、それに応えるとスキルに必要なポイントが回復するなど、バトルが有利になる効果があります。

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 もちろんコメントを無視して進めることもできますが、バトルの難度はこの機能を活用することが前提なのかな、と思える敵の強さになっています。

 視聴者の要望に応えながらバトルをするというのが、本作ならではの独自性となっていて、どんなふうに戦うか考える楽しさがありました。

 ちなみにコメントの内容は、ネットスラングの挨拶や距離感を間違えた厄介コメントなどもあったり、1つ1つ手が込んだ作りなので流し見せずによく見てほしいポイントです。

 装備するアイテムもただ装備するだけでなく、限られたスペースにはめ込んでいくパズル形式で、組み方に工夫を凝らせば自分だけの組み合わせを発見できます。

 このように、さまざまな要素がうまく組み合わさっていて、本作のおもしろさと満足感を大きく高めてくれています。

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 体力が減った状態では、ローフの顔がアザだらけのボコボコになる細かい演出もあります。そのままの状態で進めると、イベントシーンもこの顔で挑むことに。こういう遊び心も忘れないのが本作のいいところ。

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 また、ローフはいわゆる“しゃべらない主人公”ですが、彼の心情は豊富な表情変化で伝わってきます。しかも、彼はやや性格に癖があるようで、真面目な話をしている最中でも不服に思うと顔をしかめることも多く、会話に集中したいのにローフの顔に目がいって話が入ってこない場面も。

 かわいらしいのにちょっと憎らしいこの顔は、思わずクスッと笑ってしまいますね。

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『ボーン オブ ブレッド』はシビアなシステムがゆえのやり応えもあり


 本作はオートセーブもありますが、オートセーブされるポイントがだいぶ少なくなっています。なので、こまめにエリアの各所にいる記録担当の仲間の元に足を運んでセーブする必要があります。最近のゲームはオートセーブが主流となっていたので、この仲間のところへ行ってセーブをする感覚は久しぶりです。

 そのため、ずっとセーブしないで敗北すると前回のセーブ地点から……という、最近のゲームではあまり体験できない苦労も。

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 よく考えれば、オートセーブのポイントをもっと細かく用意することはできたはずでしょう。そこでこの形を採用したのは、コマンドバトルのアクション要素や手動セーブなどから察するに、これはゲームを“プレイ”してほしいというメッセージに感じます。

 レベルアップも自分で上げるステータスを指定するので、プレイする人によってはゲームを進めやすくなったり、逆にハードモードになることもあるでしょう。

 苦労するポイントをどうやって効率よく進めていくか。ただレールの上を走るだけでない、自分の手で道を切り開くある意味での“本当のRPGらしさ”が体験できるRPGだなと感じました。

 確かに苦労する場面はありましたが、プレイ後の筆者の心中にはしっかりと『ボーン オブ ブレッド』というタイトルが刻み込まれました。これがサクサクと手間をかけずに遊べるゲームだったら、ここまで印象的にはならなかったでしょう。

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 コミカルな見た目で手に取りやすいのに、プレイして見ると斬新なシステムやコンセプトに驚かされる『ボーン オブ ブレッド』。

 さまざまな世代の方が遊べる作品ですが、筆者としては昔のRPGを遊んできた大人のゲーマーにこそ、新鮮さの中にある自分の手でなんとかしていくゲーム部分に触れて、少し懐かしい感覚になってもらいたいと思います。昔ながらのRPGの達成感に、少し感動してしまうかもしれませんよ。


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