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取材レポ:金子一馬氏はじめコロプラのクリエイターによる濃い話だらけ。AIに対するスタンス、神話・都市伝説解釈、苦祖スピリッツ、新作『project MASK』など【COLOPL NightTalk ~金子一馬のゲームづくりの神髄~】

文:電撃オンライン

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 2024年8月9日にコロプラ本社にて、ゲームクリエイターの金子一馬氏、取締役兼エンターテインメント本部 本部長の坂本 佑氏、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』、『白猫プロジェクト』などを手掛けたリードクリエイター 角田亮二氏が登壇する採用イベント「COLOPL NightTalk ~金子一馬のゲームづくりの神髄~」が開催されました。

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 本イベントでは、事前応募で集まったゲーム業界に興味がある参加者向けに、ゲーム作りやユーザーに“新しい体験”を届けるにはどうするかなど、トップゲームクリエイター陣の貴重なお話をトークセッション形式で聞くことができました。SNS公開不可となるクローズドなトークセッションだからこそ語られた深い部分も含めて、イベントの様子をレポートしていきます。

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▲左から金子一馬氏、角田亮二氏、坂本 佑氏。
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過去の挑戦からクリエイター哲学まで、貴重なお話満載のトークセッション【COLOPL NightTalk ~金子一馬のゲームづくりの神髄~】


 本イベントはゲーム業界、コロプラに興味がある方向けのもので、まず会社の理念やこれまでの活動についての説明が行われました。

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 コロプラは、最新技術を取り入れながら、“新しい体験”の創出を目指しているとのこと。のちに行われたトークセッションでも、各クリエイターから“新しい体験”創出への想いや、そのための環境などについて聞くことができました。

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 坂本 佑氏が進行を担当し、金子一馬氏、角田亮二氏に質問する形でトークセッションは進んでいきました。

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世界観やキャラクターなど、ゼロからイチを創出する際に大切にしていることは?


 トークの導入は、金子氏たちがクリエイターとしてどのようなことを考えて、ものづくりをされているかについてです。

 「世界観やキャラクターなど、ゼロからイチを創出する際に大切にしていることは何ですか」という質問に、金子氏は「他と被っていないこと」を考えると答えていました。

 イラストレーターとして特に大きな注目を集める金子氏ですが、ゲームのコンセプトから携わっていることが多いそうです。会社に所属してゲームを作る以上売れることが必要ですが、売り上げに関しては時の運もあるので、「他と被っていないこと(=オリジナリティ)」が1番だと感じたそうです。金子氏は他の人と違う好みを持っていたこともあり、それを強みにコンセプトを考えているそうです。


 角田氏はもともとはテレビ番組の3Dの映像を制作しており、3Dグラフィッカーとして入社したとのこと。ゲームのコアとなる遊びの部分、さわり心地の良さなどを実現させることを考えるのが得意で、それを引き立たせる世界観を構築していっているそうです。

 金子氏とはいい意味で正反対で、自分の個性にあったスタイルを見つけることが、ゲームづくりでも大事なんだなと感じました。

 それぞれ違うからこそ、生まれるコラボレーションもあるのではないかという坂本氏。そこから、現在金子氏が携わる新規プロジェクト『project MASK』のお話に!

 この作品は先に仕組みがあり、金子氏と話すなかで世界観が作られていったそうです。角田氏は金子氏の描いたコンセプトアートを見た瞬間、UIデザイン、演出のイメージなどが湧く、強烈な体験をしたと言います。

 金子氏からは『project MASK』以外にも何か手掛けていることをにおわせる発言もあり、今後発表される情報に期待が高まりました。



アイデアが出ない時や、思考が行き詰まったときは?


 クリエイティブなお仕事では、どうしてもアイデアが出ない時や、思考が行き詰まる瞬間も生まれてしまいます。

 そんな時にどうするかという質問では、金子氏は「考え続けることが大事」と話しました。考えていると滅多に行かない場所でひらめきがあるなど、何かの導き的なものがあるそうです。ゲーム以外のことも考え、それが混ざった瞬間何かが降ってくるそうで、考えることがとにかく大事だそうです。

 角田氏も、方向性は同じだそうです。どのタイトルも企画段階では「面白そう」と期待が高いのですが、開発を続けるなかで、絶対に「何が面白いのだろう」という絶望期が100%やってくるのだと言います。そのときに諦めず、試行錯誤し、見つけた面白い部分を広げていくと上手くいくといいます。

 「ゲーム作りでの挑戦的な出来事」に関するトークでは、かつて所属していた会社にまつわる都市伝説やインド神話の某煩悩の化身など、金子氏が関わった作品の面白い裏話をたくさん聞くことができました(ちなみに金子氏は都市伝説がお好きで、動画サイトや本で見ているそうです)。

 今ほど表現規制が厳しくない、黎明期からゲーム作りに携わってきたクリエイターの金子氏だからこそのエピソード。当時と比べると今は開発現場の状況は大きく変わり、現在所属しているコロプラは働きやすい環境が整っているそうです。

生成系AIとクリエイターの関わり方は?



 コロプラの最先端の技術で“新しい体験”を生み出すというフィロソフィにちなんで、注目の生成系AIとクリエイターの関わり方についてのトークも展開されました。

 金子氏が、「新しい画材」と絵を描く方ならではの表現をしていたのが印象的です。自身も、テストを含めて触っていると話していました。

 金子氏はYouTubeで生成系AIの機能を紹介する動画などを見て、すごいなと感じているそう。特に生成系AIが描いたイラストを使用して天使や悪魔、宇宙を解説している動画を見ると、そのなかにはAIでしか思いつかないようなデザインがあり、「こういう風に考えるのか」と勉強になると言います。

 また同じ単語でも人によって出力時に差があるなど、個性が出るところも面白いと感じたそうです。

 生成AIが1つのサービスとして提供されている点にも触れ、黎明期で何ができるかはわからないが、何かしたいと意欲を見せていました。

 角田氏は業務効率化にはすでに利用され始めていると言い、そこからAIならではの面白さをどうエンターテインメントに昇華していくかを考えると語りました。

 これまでゲームは人間が作り、その成果が返ってくる形でしたが、AIは何が返ってくるかわからない未知数さなどがあります。人間が持つ曖昧さを取り込んで行けたら、面白いものができるのではないかと話していました。

 角田氏から生成AIの発展によって、ゲーム制作のハードルはかなり下がると興味深いお話も。ゲームエンジンにAIが実装され、日本語で入力すればゲームができていく仕組みができ始めているそうです。

 たくさんのゲームが作られやすくなる時代に、どのようにお客様に選んでもらうかが大事になるというのは、登壇者3人一致の見解でした。

 一方で、短時間で多数のイラスト、シナリオを生み出す技術だけに、怖さを感じている人もいるだろうという金子氏。そこをどう乗り越えていくか、課題もあると言います。


金子氏と角田氏のクリエイター哲学とは?



 最後に、金子氏と角田氏のクリエイター哲学についてのお話も。

 金子氏は難しいことは考えておらず、自分の疑問点をゲーム、ものづくりで昇華していると話します。

 角田氏はゲームが右脳と左脳を利用するコンテンツであることに触れ、両方を活用して、心を動かす体験になることを大切にしているそうです。

 ゲーム業界を目指す人はもちろん、1人のゲーム好きとしても、面白く、そして勉強になる最高のトークセッションでした。



質疑応答:どのようなマインドセット(心持ち)を持った人と一緒に働きたいか


 イベントの終盤には、質疑応答の時間も設けられていました。

 数ある中でも皆さんに紹介したいのが、採用イベントらしい「どのようなマインドセット(心持ち)を持った人と一緒に働きたいか」という質問です。今回のイベントに参加していなくても、将来的に金子氏と一緒に働きたいと言う方も多いのではないでしょうか。

 金子氏は「それぞれの役割を理解し、集団であることを意識する」ことの大事さを話していました。いろいろなことを、経験としてとらえられるといいそうです。

 また角田氏いわく、創造・創出の苦しみも多いですが、それをポジティブに考え、前向きにとらえられる方はウエルカムとのこと。コロプラにおいては“苦しくても祖となるものをつくる”という苦祖(くそ)というスピリッツが重視されているとのことで、楽をして他と同じようなものをつくるのではなく、たとえ苦しんだり失敗したりしてでも新しいもの、祖・オリジナルとなるものをつくりたいと熱く語っていました。

質疑応答:ゲーム作りをしていて楽しい瞬間は?


 「ゲーム作りをしていて楽しい瞬間」という質問について、金子氏は完成した作品の反応を聞けるのが聞けるのが嬉しく、日々の大変さも忘れられるそうです。参加者の皆さんにも、一緒にその体験をしてほしいと優しく語りかけていました。

 角田氏からは、『白猫プロジェクト』開発時の具体的なエピソードが飛び出しました。開発当初は、当時はポチポチするゲームが主流だったので、それに比べると指が疲れるなど、社内評価は高くなかったそうです。しかし角田氏は行けるはずだと信じて貫き、リリース後にファンに受け入れられたのを見て、「ヨッシャー! ほらー、ほらー」となったそうです(笑)。そうならないことも多いそうですが、特別な瞬間を味わえるのもゲームクリエイターの醍醐味ですね。

 イベント参加者には金子氏のファンも多く、熱く濃い質問も多数ありました。

質疑応答:『project MASK』のコンセプトアートについて


 「『project MASK』のコンセプトアートが、いい意味で変わっていないことに感動しました。意識的に変えた点、変えなかった点があれば、おうかがいしたいです」という質問には、構図を大事にしていると金子氏は答えていました。また服の構造もちゃんと理解し、そこにこだわっているとのこと。

 ポスターやサインで描くときに大変にならないように、意図的に線を減らしているという面白い裏話も教えてくださいました。装飾をつけなくても映えるように、印象的なシルエットになることを意識されているそうです。

質疑応答:デザインの際、あえて異なる文化や解釈を盛り込む際のバランス感



 「天使や悪魔のイラストのなかに、意図的に違う文化が入れられているものがあります。そのバランス感は、どのように考えていますか?」という金子氏イラストの魅力に迫る質問も!

 金子氏はたくさんのキャラクターが出るものは、最初に神話体系ごとにある程度属性を分けて考えるとのころ。天使を機械化した表現は、エノクの書を参考に「元が人間だったものを改造したのでは……」と知識と想像力で、アイデアをふくらませていったそうです。

 王道のファンタジーも魅力があるが、金子氏はそれをそのまま描くのでは物足りないと感じ、意図的に変えているそうです。都市伝説や好きな音楽など、いろいろなこととアイデアを繋げるのが大事だと話していました。ゲームを作るためには、いろいろなことに興味を持つことも重要なんですね。

 最後に金子氏、坂本氏、角田氏から、未来の同僚候補である参加者への温かなメッセージが語られ、イベントは幕を閉じました。

 
コロプラの採用情報ページでは、デザイナーやエンジェニアなど、さまざまな職種募集が行われています。ゲーム業界に興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。


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