コンパイルハートが11月28日に発売予定のPS5/PS4/Nintendo Switch用ソフト『魔導物語 フィアと不思議な学校』。そのプロデューサー兼ディレクターを務める安井光氏へのインタビューを掲載します。
本作は、かつてMSXなどで展開された伝説のRPGである『魔導物語』シリーズの最新作。2013年に発売された『~聖魔導物語~』から数えると、約11年ぶりのシリーズの新作となります。
(2023年にはPC版のシリーズ作品がセットになったパッケージ版『魔導物語 超きゅ~きょく大全 ぷよぷよ入り』が発売されるなど、過去作品も今なお熱い支持を受けています)
そんな人気シリーズの最新作となる『魔導物語 フィアと不思議な学校』は、ぷよやカーバンクル、すけとうだらといったお馴染みのキャラクターたちが登場することでも話題になりました。さらに、『魔導物語』シリーズの生みの親で原作者でもある米光一成氏、シリーズの開発に関わり『魔導物語』の世界観を再構築した小説『真・魔導物語』の著者としても知られる織田健司氏ら、シリーズに関わってきたクリエイター陣も開発に加わっているという、『魔導物語』ファンにとって大注目の作品となっています。
今回は、そんな驚きの座組みを実現させた、プロデューサー兼ディレクターの安井光氏にインタビュー! 気になる開発の経緯から、『魔導物語』の最新作として本作が大事にした部分はどこだったのかなど、様々なお話をお聞きしました。
索引
シリーズの正統な続編であり、フィアを主人公とした新展開的な位置づけ【魔導物語 フィアと不思議な学校】
――まずは開発の経緯を教えてください。なぜ今、『魔導物語』の新作を?
安井
2021年ごろから『魔導物語』を復活させたいという話が社内であがり、弊社の社長である冨長から、「やるんだったら、元コンパイルのクリエイターの方たちと一緒にやるのがいいんじゃないか」と提案があり、数年越しで企画を進めていきました。
そこから元コンパイル所属の方々にお声がけしていったのですが、実は自分が以前に在籍していたスティングもコンパイルとの縁が深い会社でして。本作でメインのキャラクターデザインをお願いした戸部さんとは以前から何度もご一緒させていただいた縁もあって、プロジェクトの座組みが固まっていきました。
そこから元コンパイル所属の方々にお声がけしていったのですが、実は自分が以前に在籍していたスティングもコンパイルとの縁が深い会社でして。本作でメインのキャラクターデザインをお願いした戸部さんとは以前から何度もご一緒させていただいた縁もあって、プロジェクトの座組みが固まっていきました。
――どのような流れで『魔導物語』シリーズの続編制作が実現したのでしょうか?
安井
企画を進めるにあたって、『魔導物語』の権利を持つD4エンタープライズ(以下、D4E)さんに「正統な続編を出したい」というお話をさせていただきました。
その上で、今回は『魔導物語』シリーズの正統な続編ということで、過去作品と世界観を同一にするためにも、シリーズに登場していたキャラクターたちを再登場させたいという想いがあり、セガさんに相談させていただき、ご協力をいただくことができました。
――コンパイルハートさんは2013年に『~聖魔導物語~』もリリースしています。そちらと本作について、コンセプトの違いなどはあったのでしょうか?
その上で、今回は『魔導物語』シリーズの正統な続編ということで、過去作品と世界観を同一にするためにも、シリーズに登場していたキャラクターたちを再登場させたいという想いがあり、セガさんに相談させていただき、ご協力をいただくことができました。
――コンパイルハートさんは2013年に『~聖魔導物語~』もリリースしています。そちらと本作について、コンセプトの違いなどはあったのでしょうか?
安井
『魔導物語 フィアと不思議な学校』は『魔導物語』の続編として生まれたものなので、実は『~聖魔導物語~』を意識したことはほとんどありません。
ただ、『~聖魔導物語~』は“新しい『魔導物語』を作る”という方向だったと聞いており、だからモンスターや魔法名も一新され、過去シリーズとは異なっても問題がないという前提で作られていました。
一方、今回の『魔導物語 フィアと不思議な学校』は“『魔導物語』の世界観と地続きとなる正統な続編”がコンセプトとなるため、“シリーズでおなじみの要素を盛り込む”ことも大事となります。だからこそ、オリジナルスタッフに監修していただいたり、従来と同じ魔法が使われていたり、シリーズでおなじみのモンスターが登場していたりするわけです。
――なるほど。“正統な続編”がコンセプトだからこそ、最初は『4』という仮称だったんですね。
ただ、『~聖魔導物語~』は“新しい『魔導物語』を作る”という方向だったと聞いており、だからモンスターや魔法名も一新され、過去シリーズとは異なっても問題がないという前提で作られていました。
一方、今回の『魔導物語 フィアと不思議な学校』は“『魔導物語』の世界観と地続きとなる正統な続編”がコンセプトとなるため、“シリーズでおなじみの要素を盛り込む”ことも大事となります。だからこそ、オリジナルスタッフに監修していただいたり、従来と同じ魔法が使われていたり、シリーズでおなじみのモンスターが登場していたりするわけです。
――なるほど。“正統な続編”がコンセプトだからこそ、最初は『4』という仮称だったんですね。
安井
そうですね。ゲームを進めていくと実感していただけると思いますが、中身的には『4』と感じてもらえるものを目指しましたし、そう感じてもらえると思います。
そのうえでタイトルを『フィアと不思議な学校』に変えたのは、新しい主人公と舞台を強調したかったからです。『魔導物語』シリーズの続編ではあるのですが、フィアを主人公にした新しい物語としてアピールしたい部分もあり、今のタイトル名となりました。
そのうえでタイトルを『フィアと不思議な学校』に変えたのは、新しい主人公と舞台を強調したかったからです。『魔導物語』シリーズの続編ではあるのですが、フィアを主人公にした新しい物語としてアピールしたい部分もあり、今のタイトル名となりました。
――過去作品から登場するキャラクターについてはどのような基準で選んだのでしょうか?
安井
カーバンクルは主人公のおとも、ぷよは敵を象徴する、それぞれ『魔導物語』のアイコン的な存在です。なので、この2体は絶対に登場させたいと最初から思っていて、優先順位を高めにして使用許可のご相談をしました。
従来の『魔導物語』シリーズからは、その2体を含めた8体のキャラクター(ももも、スケルトンT、すけとうだら、アウルベア、トリオ・ザ・バンシー、ぞう大魔王)が登場するのですが、その選出は『魔導物語』シリーズの原作者でもある米光一成さんとも相談しながら決めた形です。セガさんにも監修いただきつつ、従来のシリーズのキャラクター性から逸脱しないように意識しています。
従来の『魔導物語』シリーズからは、その2体を含めた8体のキャラクター(ももも、スケルトンT、すけとうだら、アウルベア、トリオ・ザ・バンシー、ぞう大魔王)が登場するのですが、その選出は『魔導物語』シリーズの原作者でもある米光一成さんとも相談しながら決めた形です。セガさんにも監修いただきつつ、従来のシリーズのキャラクター性から逸脱しないように意識しています。
――魔法の名称等も従来のシリーズと同じですよね。
安井
そこもキャラクターと同じで、世界観が同じである以上は用語、魔法の名称も同じじゃないとダメだろうと。
くわえて、小道具やセリフなどのなかにも、いわゆる“シリーズのお約束”的な要素を用意することも意識しました。
具体的なところだと「ばたんきゅ~」とかですかね。やっぱり象徴的なセリフなので、フィアが倒された時には「ばたんきゅ~」と口にするようにしています。
くわえて、小道具やセリフなどのなかにも、いわゆる“シリーズのお約束”的な要素を用意することも意識しました。
具体的なところだと「ばたんきゅ~」とかですかね。やっぱり象徴的なセリフなので、フィアが倒された時には「ばたんきゅ~」と口にするようにしています。
――企画の段階でも少しお話がありましたが、元コンパイルのクリエイターの方々が多数参加されているのも特徴的な点です。
安井
やっぱり大きいのは、先程も名前を挙げさせていただいた米光一成さんと織田健司さんのお2人ですね。
“米光魔導”、“織田魔導”と名前を冠して呼ばれるほど、お2人の描く『魔導物語』って違いがあるんですね。米光さんの方はゲーム性とかも結構ストイックで、織田さんの方はエンターテイメント性が高いみたいな。
まず米光さんの参加が決まって、いろいろと相談をしている時に「織田さんの意見も取り入れた方がいいんじゃないか」という意見を米光さんご自身からいただきまして。織田さんは弊社の冨長ともお付き合いがあったのもあって、主に世界観やシナリオの監修としてご参加いただける形になりました。
――イラストレーターさんも非常に豪華な面々ですが、こちらはどのような流れで参加されることになったのでしょうか。
“米光魔導”、“織田魔導”と名前を冠して呼ばれるほど、お2人の描く『魔導物語』って違いがあるんですね。米光さんの方はゲーム性とかも結構ストイックで、織田さんの方はエンターテイメント性が高いみたいな。
まず米光さんの参加が決まって、いろいろと相談をしている時に「織田さんの意見も取り入れた方がいいんじゃないか」という意見を米光さんご自身からいただきまして。織田さんは弊社の冨長ともお付き合いがあったのもあって、主に世界観やシナリオの監修としてご参加いただける形になりました。
――イラストレーターさんも非常に豪華な面々ですが、こちらはどのような流れで参加されることになったのでしょうか。
安井
先ほども申し上げたように、戸部さんは私の方で元々付き合いがあったので、先にお声がけさせていただきました。ただ、キャラ数が多く、戸部さんはメインキャラクターたちを担当していただき他の方はサブキャラクターを種族ごとに担当していただくことは、早い段階で複数の方を起用することにしたんです。
で、どなたにお願いしようかとお考える中で、コンパイルさんに所属していた方々がいいなと思いまして。コンパイル出身の著名なイラストレーターは多いのですが、中でも大塚真一郎さんとエナミカツミさんは戸部さんの絵とも親和性がありそうだったので、お声がけさせていただきました。
壱さんに関しては、元々の『魔導物語』のキャラクターデザインをご担当していただいた方でもあるので、『魔導物語』らしさの印象付けをお願いしています。
で、どなたにお願いしようかとお考える中で、コンパイルさんに所属していた方々がいいなと思いまして。コンパイル出身の著名なイラストレーターは多いのですが、中でも大塚真一郎さんとエナミカツミさんは戸部さんの絵とも親和性がありそうだったので、お声がけさせていただきました。
壱さんに関しては、元々の『魔導物語』のキャラクターデザインをご担当していただいた方でもあるので、『魔導物語』らしさの印象付けをお願いしています。
――安井さんご自身は、『魔導物語』との思い出みたいなものはありますか?
安井
いちユーザーとして遊んだこともありますが、すごく独特なシステムや世界観を構築していた作品だという印象があります。
自分は開発には関わったことはないんですけど、実は自分がスティングに在籍していた新人時代の取締役が米光さんで、入社時の面接でもお会いしていたんです。もう20年以上前の話ですね。
入社した時から、米光さんが『魔導物語』の原作者であることはもちろん知っており、スティングには元コンパイルのスタッフもいたので、今思い返すと、『魔導物語』のイズム的なものは知らず知らずのうちに教わっていたような気もしますね。
『魔導物語』って、RPGなのに原則的に数字的なパラメーターが表示されず、例えば主人公の残りHPは表情で判断する……みたいな部分があるんですが、そういう“数字以外の要素で表現する面白さ”とか“プレイヤーが経験則からプレイスキルを上げていくことで、ゲームがうまくなっていく楽しさ”みたいなところは、自分が手掛けてきた作品にも反映されている部分がある気がします。
自分は開発には関わったことはないんですけど、実は自分がスティングに在籍していた新人時代の取締役が米光さんで、入社時の面接でもお会いしていたんです。もう20年以上前の話ですね。
入社した時から、米光さんが『魔導物語』の原作者であることはもちろん知っており、スティングには元コンパイルのスタッフもいたので、今思い返すと、『魔導物語』のイズム的なものは知らず知らずのうちに教わっていたような気もしますね。
『魔導物語』って、RPGなのに原則的に数字的なパラメーターが表示されず、例えば主人公の残りHPは表情で判断する……みたいな部分があるんですが、そういう“数字以外の要素で表現する面白さ”とか“プレイヤーが経験則からプレイスキルを上げていくことで、ゲームがうまくなっていく楽しさ”みたいなところは、自分が手掛けてきた作品にも反映されている部分がある気がします。
米光氏と織田氏の『魔導物語』観を融和させた世界【魔導物語 フィアと不思議な学校】
――本作のストーリーは、どのように決まったのでしょうか?
安井
ストーリーの大枠やキャラクター設定は私の方で作っています。フィアのキャラクター設定というのも、ほぼ企画の初期段階から固まっていました。
主人公は話を引っ張るキャラクターにしたいと思っていたので、元気で活発な女の子っていうところを踏まえて、戸部さんには早めの段階でデザインも進めてもらっていました。
あとは問題児クラスという設定も決まっていたので、ハチャメチャなクラスメイトとのドタバタ劇みたいなのも意識しつつ、ストーリー担当のシナリオライターさんと内容を調整していって、その段階で米光さんと織田さんからもご意見をいただいて、プロットが固まっていったという流れでした。
主人公は話を引っ張るキャラクターにしたいと思っていたので、元気で活発な女の子っていうところを踏まえて、戸部さんには早めの段階でデザインも進めてもらっていました。
あとは問題児クラスという設定も決まっていたので、ハチャメチャなクラスメイトとのドタバタ劇みたいなのも意識しつつ、ストーリー担当のシナリオライターさんと内容を調整していって、その段階で米光さんと織田さんからもご意見をいただいて、プロットが固まっていったという流れでした。
――米光さんと織田さんからは、具体的にはどのようなアドバイスがあったんでしょうか?
安井
お二人とも、細かなストーリーというよりは世界観についての監修が中心でした。中でもカーバンクルの扱いであるとか、『魔導物語』シリーズはこういったところを意識して作っていた、みたいな部分をご教授いただいた形です。
――この表現が適切かはわかりませんが、『魔導物語』シリーズの“秘伝のタレ”みたいな……?
安井
先ほども少し触れた通り、米光さんと織田さんにはそれぞれの『魔導物語』観みたいなところに違いがあるので、結果的にお2人の『魔導物語』観を融和させたような部分はあったかもしれません。
あと米光さんからは、ゲーム的な目的のバリエーションだったり、“実はこういうキャラクターだった”みたいな見せ方は多用するとマンネリ化するから変えた方がいいとか、ファンタジー世界におけるキャラクターの作り方のアドバイスもいただきましたね。
――インタビューの参考用に少し実機プレイを体験させていただきましたが、学園要素も強く感じました。これも『魔導物語』らしさを意識してのものでしょうか。
あと米光さんからは、ゲーム的な目的のバリエーションだったり、“実はこういうキャラクターだった”みたいな見せ方は多用するとマンネリ化するから変えた方がいいとか、ファンタジー世界におけるキャラクターの作り方のアドバイスもいただきましたね。
――インタビューの参考用に少し実機プレイを体験させていただきましたが、学園要素も強く感じました。これも『魔導物語』らしさを意識してのものでしょうか。
安井
そうですね。学園要素は『魔導物語』らしさをかなり意識して入れた部分になります。
――そういった『魔導物語』らしさを盛り込むにあたって、過去作のシナリオを読み返されたりもしたと思うのですが、現在との時代的なギャップみたいなのを感じた部分はありましたか?
安井
『魔導物語』ってかわいくてほのぼのした側面もあるのですが、一方で、世界観的に結構ダークなところもあるんですよね。(ブレイン)ダムドの魔法で相手の脳みそを溶かしちゃったり、人型のモンスターが溶ける描写があったりとか、今だと表現が難しいシーンもあるんですよね。
ただ、今回については、レーティングの問題もありますが、フィアの成長を描くという部分を主題としていることもあり、“本当は怖い『魔導物語』”的なダークさは意図的に抑えています。
その一方、カーバンクルやぷよなど、元々『魔導物語』にいたキャラクターについては、従来のイメージをそのまま反映させたつもりです。ただ、細かい言葉遣いとかは、今だと使えない単語などもあるので、現代の基準にあわせた部分もあります。実際そのあたりは、米光さんからも直した方がいいとご指摘があった部分でしたね。
――主人公であるフィアのキャラクター性についても教えてください。現在の形に落ち着くまでの変遷はあったんでしょうか?
ただ、今回については、レーティングの問題もありますが、フィアの成長を描くという部分を主題としていることもあり、“本当は怖い『魔導物語』”的なダークさは意図的に抑えています。
その一方、カーバンクルやぷよなど、元々『魔導物語』にいたキャラクターについては、従来のイメージをそのまま反映させたつもりです。ただ、細かい言葉遣いとかは、今だと使えない単語などもあるので、現代の基準にあわせた部分もあります。実際そのあたりは、米光さんからも直した方がいいとご指摘があった部分でしたね。
――主人公であるフィアのキャラクター性についても教えてください。現在の形に落ち着くまでの変遷はあったんでしょうか?
安井
先ほどもいった通り、フィアは最初から“物語を引っ張る元気な女の子”というキャラクター性は固まっていて、そこから大きくは変わっていません。
シナリオを進めていく中で、問題児のクラスメイトたちにもスポットを当てないといけないので、その成長を描くためにたまにツッコミ役に回ったり、天然気味な発言をしたりっていう調整は入っていたかなと思います。ただ、基本的には元気な女の子という軸はまったくブレないまま、最後まで行けたキャラクターでしたね。
米光さんからも“推し”とコメントしていただけたのは、公式に認めていただいたみたいにも感じられて嬉しかったです(笑)。
シナリオを進めていく中で、問題児のクラスメイトたちにもスポットを当てないといけないので、その成長を描くためにたまにツッコミ役に回ったり、天然気味な発言をしたりっていう調整は入っていたかなと思います。ただ、基本的には元気な女の子という軸はまったくブレないまま、最後まで行けたキャラクターでしたね。
米光さんからも“推し”とコメントしていただけたのは、公式に認めていただいたみたいにも感じられて嬉しかったです(笑)。
――最初の段階で固まっていた、というのはどういうことだったのでしょうか。
安井
キャラクター設定については、元コンパイルのクリエイターさんたちと一緒に『魔導物語』の新作を作るという企画が立ち上がった後に、並行して私の方で進めていました。
1人でやってた時間はそれなりに長かったので、サブキャラクターとかストーリーの大枠についてもまず私の方でベースを作って、それをシナリオライターさんと調整していった形です。
――新キャラクターの中にも、人間からドラゴン化するエスカなど、どことなく過去作の要素を彷彿とさせるキャラクターもいますが?
1人でやってた時間はそれなりに長かったので、サブキャラクターとかストーリーの大枠についてもまず私の方でベースを作って、それをシナリオライターさんと調整していった形です。
――新キャラクターの中にも、人間からドラゴン化するエスカなど、どことなく過去作の要素を彷彿とさせるキャラクターもいますが?
安井
エスカについては偶然ですね。カーバンクルたちは別なんですが、本作から登場する新キャラクターについては、過去作の要素をモチーフにしているということはなく、純粋にストーリーを作る上で、「こういうキャラクターがいたら面白いんじゃないか」という点を重視しています。
ちなみに、今話があがったエスカに関しては、出会った時にいきなりドラゴン化するシーンがあるんですけど、初期案ではドラゴンになることを伏せたままストーリーが進む方向で考えていたんです。けど、最初からドラゴン化していきなり火を噴き始める方が、ドタバタ劇を作る上では面白いよねと、流れを変えていきました。
ちなみに、今話があがったエスカに関しては、出会った時にいきなりドラゴン化するシーンがあるんですけど、初期案ではドラゴンになることを伏せたままストーリーが進む方向で考えていたんです。けど、最初からドラゴン化していきなり火を噴き始める方が、ドタバタ劇を作る上では面白いよねと、流れを変えていきました。
――“ももも”も、過去作から引き続き登場しています。
安井
“ももも”については、RPGを作る上で商人が必要なので、ストーリー的な役割というよりはゲーム的に欠かせない存在だったというのが大きいかもしれませんね。
――個人的に、アウルベアはちょっと意外性のあるチョイスでした。
――個人的に、アウルベアはちょっと意外性のあるチョイスでした。
安井
一応、『魔導物語』の中で印象的な存在だったからという理由では採用していますが、今まで声がついたことがなかったキャラクターでもあるので、確かに意外なところもあるかもしれません。
本作では初めて声がついていますが、かなり存在感のあるキャラクターとして仕上がったと思います。
本作では初めて声がついていますが、かなり存在感のあるキャラクターとして仕上がったと思います。
プレイ後に「『魔導物語』の続編だったな」と感じていただけるような作品に。人物相関図にも注目!?【魔導物語 フィアと不思議な学校】
――ゲームシステム部分については、どのような発想で決まっていったのでしょうか。
安井
『魔導物語』って最初の頃はキャラクターの数字パラメータの概念がなかったりしたのも特徴だったと思うんですけど、それって最初はシステムを理解できなくても、バトルとかを経験して、プレイヤー自身が学ぶことによってキャラクターも成長していく、という部分をモットーにしていたからだと思うんです。
ちょっと現代的にしてはいるんですけど、そのあたりのモットーみたいな部分は崩さず、プレイヤーがゲームについて学習すればするほど新しい技が使えて、スムーズに攻略できるようになる作りは意識しています。
分かりやすいのがエレメンタルオーブですね。本作のバトル中には、各属性のエレメンタルオーブがフィールド上に出てくるのですが、各オーブの組み合わせで役のようなものを作り、“大魔導”という大技が発動できるシステムになっています。各属性のオーブをどういう風に組み合わせれば役が作れるのかという部分は、プレイを重ねて覚えていくことで効率的に戦えますし、そういったプレイスキルの上達が楽しいゲーム性にもなっていると思います。
――ダンジョンがランダム生成されるのもそうですし、そのあたりはちょっとローグライク的なエッセンスがありますね。
安井
ローグライクとまではいかないにしても、パラメータよりもプレイヤーの成長曲線をイメージしているという意味では、通じる要素は入っているのかなと思います。
――過去作からシステムを一新する中で、どういうバランスを意識して『魔導物語』らしさを盛り込まれたのでしょうか。
安井
例えばカレーとか、『魔導物語』の世界観のモチーフ的なところはなるべく踏襲しつつ、本作の舞台・枠組みならどういう表現ができるのか、というところは考えながらやっていました。
先ほどもお話した「ばたんきゅ~」とかのセリフや、学校の中で釣りや料理ができたりという遊びの要素とか、お悩み相談ポストで受けるクエストも『魔導物語』ならではの内容になっていて、シリーズファンの方に「ニヤリ」としていただけそうな要素をいろいろ盛り込んでいます。
メインストーリーだけじゃなく、サブクエストを進めていただくことで、世界観が広がっていくような作りにもなっています。公式サイトの人物相関図1つとっても、シリーズファンの方なら「これはああいうことかな」と感づいてもらえるんじゃないかなと。
先ほどもお話した「ばたんきゅ~」とかのセリフや、学校の中で釣りや料理ができたりという遊びの要素とか、お悩み相談ポストで受けるクエストも『魔導物語』ならではの内容になっていて、シリーズファンの方に「ニヤリ」としていただけそうな要素をいろいろ盛り込んでいます。
メインストーリーだけじゃなく、サブクエストを進めていただくことで、世界観が広がっていくような作りにもなっています。公式サイトの人物相関図1つとっても、シリーズファンの方なら「これはああいうことかな」と感づいてもらえるんじゃないかなと。
――改めての質問となりますが、本作は『魔導物語』のシリーズの年表の中に正式に組み込まれた作品だと考えてよろしいでしょうか。
安井
具体的に「何年の出来事」とは明言していませんが、そう考えていただいて問題ありません。その上で世界観をしっかりと共有するには、ぷよやカーバンクルといったお馴染みのキャラクターたちの存在が必要だと思った次第です。
――あの世界観の正統続編と捉えていいということですね。
安井
正統な続編という定義は人によって異なりますので、過去作と同じようなゲーム性の継承・ストーリーの延長という意味では少しずれる部分はあるかもしれません。世界観的には同じであるものの、新たな主人公による新たな物語であり、ゲーム性も過去作の3DダンジョンRPGではないわけですから。
ただ、世界観設定はもちろん、随所に『魔導物語』らしさは盛り込んでいますし、実際に遊んだ後には「やっぱり『魔導物語』の続編だったな」と感じていただけるような作品にはできたと自負しています。
――ありがとうございます。最後に、発売を楽しみにしている皆様に向けてのメッセージをお願いいたします。
ただ、世界観設定はもちろん、随所に『魔導物語』らしさは盛り込んでいますし、実際に遊んだ後には「やっぱり『魔導物語』の続編だったな」と感じていただけるような作品にはできたと自負しています。
――ありがとうございます。最後に、発売を楽しみにしている皆様に向けてのメッセージをお願いいたします。
安井
D4Eさんとセガさんのご協力、元コンパイルのクリエイターの方々にご参加いただいたおかげで、『魔導物語』の世界観を再現して、数十年ぶりに復活させることができたという感慨深さを、今とても強く感じています。
本作は、新たな主人公であるフィアが中心の物語となっておりますので、フィアが『魔導物語』の世界の中で、どのような活躍をして成長を遂げていくのかという部分にも注目してプレイを楽しんでいただければと思っています。
開発は順調で、現在は最後の仕上げにまで入っておりますので、あと少しで完成という段階です。スタッフ一同頑張っておりますので、ぜひ発売まで楽しみにお待ちください。
『魔導物語 フィアと不思議な学校』がTGS2024に試遊出展。会場でフィアのカードがもらえる!
『魔導物語 フィアと不思議な学校』が、9月26日(木)~9月29日(日)に幕張メッセにて開催される“東京ゲームショウ2024”に出展されます。
期間中は会場内の“ハピネットゲームフェス!in TGS2024”メインブース(Hall6)に、本作を試遊できる専用ブースが設置されます。
さらに、現地で本作を試遊したり、Xで指定の内容をポストしたりすることで、“プロモーションカード「フィア」(ホロPP仕様)”がもらえます。
※カードの内容は、本作の豪華版特典“『魔導物語 フィアと不思議な学校』オリジナルカードゲーム”に収録されているカード「フィア」のイラスト違いです。
詳細については、“ハピネットゲームフェス!in TGS2024”特設サイトをご確認ください。