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『劇場版「オーバーロード」聖王国編』の公開迫る。今こそTVシリーズを復習してナザリックが威を示すとき!【サブスクアニメ道】

文:電撃オンライン

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 さまざまなサブスクリプション動画サービスにより、最新のアニメから往年のアニメまで多くの作品が定額制で見放題になっている昨今。なかにはあまりに数が多すぎて「どれを見たらいいのかわからんッ!」とお嘆きの方もいるのでは? そんな方に“サブスクで視聴できるオススメアニメ”をレコメンドしていくのが本コラムの趣旨となります。

 今回は劇場版である『聖王国編』の公開が迫り、TVアニメシリーズがNETFLIXやU-NEXTで見放題となっている『オーバーロード』の魅力を語ります。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは『オーバーロード』の物語に関する記述が多々あります。本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。
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▲『劇場版「オーバーロード」聖王国編』のキービジュアル。

最高に気持ちいい「俺TUEEEEEE!」が味わえる異世界ファンタジー『オーバーロード』の魅力とは

 今回のコラム執筆にあたって一番お伝えしたいのは“俺たちの大好きな『オーバーロード』の最新作が劇場公開されるぜ!”という事実。待ちに待った日が近づいてきているわけで、せっかくの劇場版をしっかりじっくり楽しむためにも、今のうちからTVアニメ版を復習しておくのはいかがでしょうというご提案ですね。

 コンセプト的に『オーバーロード』ファンに向けての記事ではあるのですが、なかには本作をまだご存じない方もおられるかと思うので。まずは簡単に作品の概要から説明いたしましょう。

 ということで、今回のテーマとなる『オーバーロード』は、作家の丸山くがね氏が手掛ける小説シリーズを原作とするアニメ作品です。小説、アニメのみならず、コミックやゲームなどさまざまなメディアで展開しており、世界中で人気を集める覇権作。ゲームキャラの能力を所持したまま異世界への転移をはたした主人公が、ともに転移したゲームのNPCたちと異世界を圧倒的な力で蹂躙していく姿が描かれていきます。

 “ゲームで獲得した能力や戦力をすべて所持したまま異世界に転移する”という、ゲーム好きにとってはたまらない設定がお見事。あのキャラのあんな技を使って「俺TUEEEEE!」できたら気持ちいいよな……って妄想したこと、誰しもあると思うのですが(笑)。本作では、そんな夢のようなシチュエーションを実現させた主人公のモモンガ(ここからは彼の意思を汲んでアインズと呼びます)の、いわゆる“つよくてニューゲーム”な異世界生活が楽しめるわけです。

 現在、TVアニメシリーズは第4期まで制作されており、いずれもNETFLIXやU-NEXTで視聴可能。9月20日からは『劇場版「オーバーロード」聖王国編』が全国の劇場で公開予定(※9月13日よりIMAX先行上映もあり)となっており、期待に胸を高鳴らせているファンも多いことでしょう。

 かくいう自分もその1人ということで……ここからは第1期~第4期それぞれで僕が最も気に入っているエピソードをご紹介しつつ、この『オーバーロード』の魅力を振り返っていきたいと思います。ここからはネタバレ成分多めとなりますのでご注意ください。
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▲『劇場版「オーバーロード」聖王国編』のIMAX上映告知。

第1期のお気に入りエピソード:第9話“漆黒の戦士”

 アインズがかりそめの姿たる冒険者・モモンとして人間たちに深く干渉していくなか、秘密結社“ズーラーノーン”の十二高弟の1人であるクレマンティーヌと敵対し、ガチバトルする回です。

 自らを“人外”と称し、実際に英雄の域にまで足を踏み入れているクレマンティーヌ。わかりやすく言えば“超強い女戦士”なのですが……それはあくまで人間の物差しで測った時のこと。バケモノを通り越して神とさえいえるほどの力を有するアインズ(モモン)にとっては、恐れるに足るものではありませんでした。力に溺れ、人を殺すことに快感を覚える殺人狂のクレマンティーヌに対し、圧倒的な実力差を見せつけながら屠っていく描写は、今観てなお、不思議な快感を覚えます(苦笑)。

 暴力行為を肯定したいわけではないんですよ。ただ、なまじクレマンティーヌが個性的というか、腹のなかまで真っ黒な悪人で性格がねじ曲がっていることもあり。アインズ様の圧倒的な蹂躙が正当化されちゃう側面もあるわけで、ついつい気持ちよくなっちゃうんですよね……。なんとも甘美で背徳的な感情。クレマンティーヌを演じる声優の悠木碧さんの怪演も光るエピソードで、僕が『オーバーロード』に深く深く傾倒するきっかけになった回だと思っています。
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▲『オーバーロード』アニメ公式Xより。

第2期のお気に入りエピソード:第10話“王都動乱序章”

 こちらもアインズがモモンとして活動しているさなかのエピソード。よりにもよって同じナザリックのメンバーであり、自らの配下でデミウルゴスと相まみえる回です。

 この時、デミウルゴスはある計画のもとに王都侵攻の作戦を遂行中で、仮面をかぶった悪魔“ヤルダバオト”を名乗っています。モモンとヤルダバオト、お互いにかりそめの名前のままバトルすることになるわけですが……このときのアインズの狼狽ぶりが面白くて面白くて。

 補足しておくと。デミウルゴスはナザリックのため、ひいてはアインズの世界征服のために活動しており、ヤルダバオトに扮しての王都侵攻もその一環なのですが。肝心のアインズ本人がその作戦の内容を把握しておらず、冒険者モモンとしてしゃしゃり出てきてしまったがゆえに、部下と戦うことになるわけです。

 部下の本意がわからず、その邪魔をしたいわけではないものの、自分の立場的に戦わざるをえない。しかも、部下に“この戦いにはアインズなりの企みがある”と思わせる必要もあったりして、そこらへんの葛藤が楽しいエピソード。

 アインズはナザリックにおいて絶対的な主でありながら、その実、優秀な部下たちに振り回されっぱなし。そしてそんな悩みを誰にも打ち明けられずに苦悩しているあたりが、ちょっと“中間管理職のサラリーマンっぽい”んですよね。等身大というか、人間くさいとでもいいますか。その悩み、わかるぞってつい感情移入が進んでしまいます。さすがは主人公、作中屈指のお気に入りキャラ!

 さておきこのヤルダバオト事件は、劇場版の『聖王国編』にも連なる内容となっています。これから劇場版をご覧になる方は、最低限、ここらへんのエピソードは見直しておいたほうがより楽しめるのではないかと!
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▲『オーバーロード』アニメ公式Xより。

第3期のお気に入りエピソード:第8話“一握りの希望”

 こちらは、ナザリックの本拠地である地下大墳墓に、冒険者のワーカーチーム“フォーサイト”が忍び込んでくる……というエピソード。じつは、このフォーサイトの侵入自体がデミウルゴスの進言による罠だったのですが、それはさておき、狼藉を働いた人間たちに対するアインズたちの無慈悲な鉄槌が背徳的で最高でした。

 要注目なのは、アインズがかつてないほど激昂するフォーサイトとの対峙シーン。アインズは自動発動する“感情抑制”の効果により、怒りなどの人間らしい感情は勝手に制御が働くわけですが、このエピソードではそれすら超えた怒りをあらわにして、見ていてこちらまでゾッとしてしまいました。

 怒りの理由はシンプルで、フォーサイトのリーダーであるヘッケランが口にした嘘によるもの。ヘッケランからすれば、圧倒的な敵を前にしてなんとか生き残るために口にしたその場しのぎだったのですが、その内容はアインズが求めてやまない“ナザリックのギルドメンバー”の存在を匂わせる内容だったがゆえ、嘘を看破したときの怒りは恐ろしいほどの激流でした。アインズ役である声優の日野聡さんの演技も素晴らしかったです。

 ちなみにこの一連のエピソード、フォーサイト視点で描写されているのもポイント。ちょっと彼らへの感情移入も進んでいたこともあって、情緒がかき乱される感覚があったというか、あらためてアインズたちナザリックの恐ろしさが強調されています。この侵攻をきっかけに、フォーサイトが所属していたバハルス帝国への侵攻が始まるわけですから、物語としても大きな転機といえますね。
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▲『オーバーロード』アニメ公式Xより。

第4期のお気に入りエピソード:第13話“滅国の魔女”

 最新シリーズである第4期からは、ラストエピソードである第13話を推しておきたいところです。ナザリックの侵攻によってリ・エスティーゼ王国の滅亡が描かれるこのエピソード。王国滅亡の首謀者は、じつは王女・ラナーの画策によるものだったことがお披露目されます。

 王国内で聖女のように崇められていたラナーが、じつは己の欲望のために王国滅亡へ向けて暗躍していただなんて……。しかも、その理由はめちゃくちゃ独善的なものだったりする点も、救いがないというか、なんというか。

 終盤、悪魔へと身を堕として自らの欲望を満たしたラナーが口にした“初めての交換”という言葉。そして感極まって歌い踊り出す描写には、愛深きゆえのおぞましさがあってゾクゾクしたものです。彼女自身、己の行動になんの疑問も後悔も抱いていないところが恐ろしすぎました。これもひとつの愛の形か……と考えさせられる内容。愛って感情はつきつめると、狂気に至るものなのかもしれません。
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▲『オーバーロード』アニメ公式Xより。
 ……駆け足ではありますが、自分のお気に入りエピソードのご紹介でした。もちろん、ここに挙げていないエピソードも見ごたえはバツグンなのですが、すべてをテキストで拾っても味気ないですから。せっかくなので、劇場版が始まる前にぜひ今一度TVアニメ版を見直してみることをオススメしたいと思います。

 なお、大切なことなのでもう1度書きますが。『劇場版「オーバーロード」聖王国編』は、9月20日から公開スタートです。13日からはIMAXの先行上映も行われるほか、先着入場者特典として丸山くがね氏書き下ろしの小説が配布されるなど、ファンにとっては見逃せないキャンペーンも目白押しとなる模様。僕も何度か劇場に足を運んで、聖王国の行く末を見守るつもりです。今から楽しみで仕方ないッ!
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▲第1週目、2週目の入場者特典は丸山くがね氏書き下ろし小説となっている。
 それでは、今回はこのへんで!

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