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『真・三國無双 ORIGINS』開発者インタビュー。開発経緯や登場武将の数、マルチエンドの有無は? TGS試遊版の攻略ポイントも必見

文:Ak

公開日時:

 2025年にPlayStation5/Xbox Series X|S/PC(Steam)で発売予定の『真・三國無双 ORIGINS』の開発者インタビューをお届けします。

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庄 知彦氏ω-Forceブランド長。初代『三國無双』からシリーズに携わる開発のキーマン。シリーズでの代表作は『真・三國無双2』~『真・三國無双5』。『ドラゴンクエストヒーローズ』シリーズや『Fate/Samurai Remnan』などコラボ作品にも関わる。本作では企画の立ち上げや総括的な立場で作品を見守る。

大場 正倫氏『真・三國無双3 猛将伝』よりプログラマーとしてシリーズに参加。『真・三國無双 MULTI RAID』や『無双OROCHI』など、主に派生作品に関わる。また別シリーズでは『ブレイドストーム 百年戦争』に関わり、『討鬼伝』シリーズのリードプランナー、『ONE PIECE 海賊無双4』のディレクターも務めるなど、活躍は多岐にわたる。本作には立ち上げ段階から関わり、開発プロデューサーとして予算やスケジュール管理含め開発全般を担う。

『三国志』初心者にも楽しめるように主観視点が持てるオリジナル主人公を作った【真・三國無双 ORIGINSインタビュー】


――まずは本作の開発経緯について教えてください。

大場
開発自体は2019年の年末くらいから動き始めていましたが、それと同時進行で『真・三國無双8 Empires』も開発を進めていました。ただ『真・三國無双8 Empires』が目標にしていた“オープンワールドを生かしたシミュレーションゲーム”というコンセプトを実現するのが難しく、開発が難航していたんです。

そこですでに“新しい無双”の開発に携わっていた大場にも『真・三國無双8 Empires』に参加してもらって、いったんはω-Forceブランドとして集中して開発を進めました。

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――初期段階から『ORIGINS』の名称は決まっていたのですか?

いえ、初期は名称も決まっていませんでした。コンセプトに関しても『真・三國無双8 Empires』発売後に改めて方向性を話しあった結果、もともとあったプランを一回忘れて、いい機会なのでここで『無双』シリーズの作り方についてもう一度しっかり考え直すことにしました。ちなみに、自分が参加したのもこのタイミングです。

――そこで決まったコンセプトとは?

“原点回帰”です。ハードの進化によって表現の幅が大きく増えたこともあって、今だからこそできる『無双』を作ろうという方向性に決まりました。

――ナンバリングをとるという決断はその段階でされたのですか?

その段階では決まってなかったです。大部分ができあがった段階で、社内でもナンバリングを付けるか付けないかでかなり議論になりました。個人的には『ORIGINS』もなしで『真・三國無双』というタイトルにするのも“原点回帰”らしくていいかなと思っていたくらいです。

 今までのブランドイメージもあるので難しい判断でしたが、最終的には今までの『無双』シリーズとかなり文法やお約束みたいなものが異なるので、やはりナンバリングはとったほうがいいだろうという結論になりました。

――では『ORIGINS』というタイトルもそのタイミングで?

タイトルが決まったのはじつはけっこう最近で、今年に入ってからです。『ORIGINS』というタイトルには、シリーズの起源に立ち返ろうという意味や『三国志』の起源からていねいに描くという意味など、複数の意味が込められています。

――オリジナル主人公を作った狙いはなんでしょうか?

欧米ではアジア圏と異なり、『三国志』を知らない方や詳しくない方が多いと思っています。そこで『三国志』という物語の魅力をイチから体感してもらうためにどうすれば良いか考えた結果、主観的な視点で群像劇を見てもらうためにオリジナル主人公を配置しました。主人公を記憶喪失にしたのも、よりプレイヤー目線のキャラクターにしようという狙いからです。

――ちなみに、主人公にモチーフはあるのですか?

大場
フラットな視点で物語を楽しめるよう、とくにモデルにした人物はいないです。ただ主人公の設定自体はしっかり作ってあって、それは物語を進めるうちに明らかになると思います。『三国志』をよく知る方は、あれかな?というモチーフを感じられるかもしれません。

――“黄巾の乱”の前年にあたる183年からストーリーが開始する理由はなんでしょうか?

大場
今までは黄巾党を世を乱す“悪党”に近い描写にしていましたが、そんな単純なものではないんです。度重なる飢饉や官僚の腐敗など、乱が起こった理由を前年からしっかり描くことによって、そこからつながる『三国志』の物語をより深く理解してもらえると思いました。

――“赤壁の戦い”までが描かれるということですが、全体的なボリューム感はいかがでしょう?

大場
プレイ時間としては20時間ていどでしょうか。とはいえマルチエンドとなっているので、周回プレイを含めるともっと遊べます。1つ1つの戦いをじっくりと濃い密度で描いているので、全体的な満足感は高くなっているかと思います。

――マルチエンドということですが、分岐の条件はどうなっているのでしょうか?

大場
おおまかな分岐条件はわかりやすくなっているので、各ストーリーは見やすくなっています。基本的には『三国志演義』に沿ったストーリーになっているので、各勢力と交流を深めながら、彼らの信念や考え方を知っていったうえで、どの道を選ぶか悩んでほしいですね。

 ちなみに、分岐が発生するのは中盤あたりです。そこまでの選択によって途中で敵対してしまった勢力は選べなくなります。基本的には曹操、孫呉、劉備各陣営の選択がエンディングに影響します。自分が望まない分岐にはならないようになっているので、そこはご安心ください。

――“黄巾の乱”や“赤壁の戦い”など有名な戦いが描かれるようですが、その間にあったような小規模な戦いは描かれるのでしょうか?

それぞれの戦いを深堀りするなかで、小規模な戦いもしっかり描いています。『三国志』の武将たちを単純な悪者にはしない多層的なストーリーが描いているので、そこもご期待いただければ! 今までは主要な戦い以外はナレーションで済ませていたことも多かったですが、今回はそこを深堀りしています。例えば、太史慈が仲間になる流れだったり細かい描写もしっかり描いているので、『三国志』好きの人にも納得いただけるかと思います。

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――主人公がオリジナル武将であるぶん、無双武将たちの描写も異なってきそうです。

今までは武将同士の関係性で限定的な描き方しかできなかったのが、客観的に無双武将を描写できるようになっています。自分ごしの『三国志』そのものが見られるので、『三国志』をまったく知らない人でも入り込みやすくなっているのも特徴です。

――無双武将たちは時代が進むと見た目もかなり変わってくるようですね。

そこも本作の特徴となっています。時代が変わって立場が変化することで服装なども変わってきます。

――随行武将は全9名とのことですが、随行できない無双武将は何人いるのでしょうか?

全部で38人です。“黄巾の乱”から“赤壁の戦い”までの範囲で、物語の進行に合わせて登場します。とはいえ、『三国志』をしっかり描くというコンセプトを優先して、登場武将は厳選していますね。

従来の『無双』らしさは残しつつタクティカル面が大幅進化【『真・三國無双 ORIGINS』インタビュー】


――アクションの操作難度に関しては、従来シリーズと比べていかがでしょうか?

アクションとしても、従来シリーズ以上にしっかり楽しめるものを作ろうというのはあります。なおかつ、シリーズユーザーの方が困惑しないようなものを作ろうと。□ボタンが通常の攻撃で△ボタンが強い攻撃というような、シリーズのお約束は踏襲しつつ、操作性やアクション性をより高める形にしています。

 あとは、タクティカル性の強化ですね。軍勢同士の戦いを演出するため、主人公以外の武将や兵士もしっかり動くようになっています。ただのやられ役ではない動きをするからこそ、倒した時の達成感もしっかり味わえるかと。

――となると、敵兵士は従来シリーズより手強くなっているのでしょうか?

動きは変わっていますが、とはいえいわゆる“死にゲー”のようなバランスにはなっていません。アクションゲームが苦手でも問題なく楽しめるようになっているので、そこはご安心ください。

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――体験版を触ってみた感じ、回避アクションがかなり気持ちよくなっている印象でした。

アクションの気持ちよさに関しても、根底から考えて作っています。ただ敵が強くなったというわけではなく、それを気持ちよく乗り越えられるような調整にしています。ジャスト回避やジャストガードの判定を意識的に緩くしているのも、その狙いからですね。

――本作には大陸地図もありますが、それを利用したシミュレーション要素みたいなものはあるのでしょうか?

大場
純粋に主人公が旅をする『三国志』世界を再現したもので、シミュレーション要素はないです。大陸地図は地形などもしっかり再現しているので、大陸を旅している感じが味わえるかと思います。『三国志』を知らない人や、知っていても位置関係などはよくわからない、という人でも理解しやすいように作っているので、そこも注目してみてください。

 また地図上では、突発的なフリーバトルが発生することもあって、それを解決することで地域の治安が回復したり、収集物を集めたりといった要素もあります。

――大陸地図上では無双武将との出会いもありますか?

そこで初めて出会える無双武将も存在します。また謎の老人がいたりすることも……。大陸地図は、歩き回って楽しい感じのものになっていると思います。

――大陸地図の広さはどれくらいでしょう?

『三国志』の世界をしっかり理解してもらうために十分な広さにしています。そこまで広くなりすぎない、凝縮された地図になっています。

――試遊版では“一騎討ち”も発生しましたが、発生条件は?

大場
ここぞという重要な場面で発生するようになっています。ただし受けるか受けないかはプレイヤーの判断に委ねられますので、無視することも可能です。とはいえ本作の一騎討ちは負けてもそれほどデメリットはなく、勝つと戦況が有利になるので、なるべく受けたほうがお得だと思います。

――従来シリーズのようなデメリットはないと?

大場
『真・三國無双3』で一騎討ちを実装したときは、新要素として楽しめるという好意的な意見や、デメリットに対する言及など賛否両論ありましたが、そのときのご意見を生かした形です。負けても戦死するわけではなく、瀕死の状態になるだけなので気楽に挑んでも大丈夫になっています。

――現状公開されている5種類以外にも、武器種は存在するのでしょうか?

全種類については別の機会に説明させていただくとして……、個性豊かな5種類以上の武器種が登場します。体験版で選べた剣、朴刀、偃月刀の3種類だけでも、かなり使用感は異なっています。例えば偃月刀なんかは、△ボタン連打で強攻撃をずっと続けられて、さらに連続攻撃を繰り出すほどパワーアップしていくなどの特徴があります。

 とはいえ武器ごとの基本的なボタンとしての操作方法は変えていないので、『無双』らしく簡単操作で爽快感を味わえるようになっています。

――これからTGS試遊版を遊ぶユーザーに向けて、アドバイスをいただければ!

大場
まずは画面上のメッセージをしっかり見ていただければ、刻一刻と変わりゆく戦場の状況や本作からの新要素などが理解できると思います。それと15分間の範囲であれば敗北しても複数のチェックポイントから1つ選んで再戦できますので、お試しください!

やはり15分間という制限時間があるので、馬を使うのも重要です。あとは、公式Xの情報も役立つものを掲載しているので、そちらもチェックしてみてください。それとTGS会場では参考プレイの映像を流す予定なので、そちらも参考になると思います。


 それと……実は今回の体験版では最後に呂布が出現します。倒せれば最後の画面が特別なものになるので、ぜひ挑戦してみてください! ただもちろん呂布はかなり手強いので、あるていど時間に余裕をもって最後の本拠地に向かうのがいいと思います。

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――最後にメッセージをお願いします。

大場
本作は『無双』シリーズの原点に立ち返るということで、シリーズの初期から携わった庄とともに『無双』とはなんなのかというところを話しながら突き詰めて作った作品になります。シリーズファンはもちろん、新規のユーザーの方やゲーム初期に遊んだけど最近遊んでない方も含めて、すべての方にお楽しみいただけるようになっておりますので、ぜひTGSに遊びに来ていただくとともに、発売を楽しみにしていただければと思います。

本作は原点回帰ではありますが、シリーズの集大成とも私は思っていて、すべてのシリーズファンに満足いただけるような作品を作ることができていると思っています。いろいろと今までと違う部分はありますが、根底にあった面白さはシリーズ随一になっているので、シリーズファンはもちろん、シリーズに触れたことがない方にも遊んでいただければ嬉しいです。

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