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『メタファー:リファンタジオ』先行レビュー:『ペルソナ』シリーズから継承されたシステムがより遊びやすく進化。バリエーション豊かなアーキタイプの可能性にも迫る。で、実際に遊ぶべき?

文:アツゴロウ

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 アトラスより10月11日発売予定のPS5/PS4/Xbox Series X|S/PC(Windows、Steam)用新作RPG『メタファー:リファンタジオ』の先行レビューをお届けします。

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 言わずと知れた人気RPG『ペルソナ』シリーズを手がけた開発チームが作る完全新作RPGにして、これまでのアトラスがあまり触れてこなかった王道ファンタジー作品ということでも注目を集める『メタファー:リファンタジオ』。その発売が直前に迫った今、電撃オンライン編集部に本作のサンプルROMが到着しました。

 この記事では、サンプルROMをプレイしてわかった内容についてレビューしていきます。なお、レビューでプレイしたのはストーリー中盤くらいまで。プレイ時間は35~40時間くらいです。またシステム関係が中心のレビューで、ストーリーについてのネタバレはありませんので、安心してお読みください。

『ペルソナ5』のシステムをベースにしつつ正統進化。王道ファンタジーの世界観やアーキタイプの可能性も見逃せない【メタファー:リファンタジオ先行レビュー】

ファンタジー世界で選挙!? 幻想と近代思想が入り混じるストーリー


 さて、ネタバレはしないにしても、本作の大まかなあらすじはおさらいしておきましょう。物語の舞台となるのは、さまざまな種族が共生しているユークロニア連合王国。人口の多さや身体的特徴などに起因する種族間の差別や偏見が絶えず、とくに少数民族で、国教である“惺教(せいきょう)”から“穢れた種族”という烙印を押されているエルダ族は、多くの国民から見下される存在に甘んじていました。

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 そんなエルダ族の少年が本作の主人公です。彼はとある理由で、国王暗殺をきっかけに始まった「国民の信託を最も集めし者が次なる王となる資格を得る」という王位争奪の選挙に参戦。相棒の妖精ガリカや志を同じくする仲間たちとともに、王国各地に出没する謎の怪物“ニンゲン”や、王座を狙う敵対勢力によって張りめぐらされた権謀術数に立ち向かい、徐々に人々からの支持を増やしていく、というのが大まかなストーリーになります。

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 弱い立場から成り上がる展開は定番と言えば定番ですが、それだけ王道的で燃えるストーリーということ。それに“選挙魔法”という体を取っているものの、力こそが正義なファンタジー世界に、近代社会のシステムである選挙が採り入れられているのも興味深いですね。選挙の行方はもちろん、選挙の導入により変化する世界情勢や民衆心理などにも注目しておくと、ストーリーをより深く楽しめていい感じかと。

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 仲間であるパーティメンバーたちについても、種族がバラバラなうえ貴族のストロール、元騎士のハイザメ、歌姫のジュナなど個性派ぞろい。個人的には礼儀正しいまっとうな騎士に見えて、どこかズレているヒュルケンベルグが好きです。彼女の独特なクッキング風景などは必見ですよ! もちろん、彼らとの絆を深めていくイベントもあるので、そちらも楽しめます。

ゲーム進行はカレンダー方式。昼夜の行動が主人公たちの運命を左右する


 続いてはシステム全般について。本作のシステムの多くは『ペルソナ5』のものが採用されており、そのなかでも特徴的なものと言えばやはりカレンダーのシステムでしょうか。

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 このシステムでは、ゲーム内時間が1日ずつ進行。細かく言うと、昼と夜でそれぞれ時間が経過する行動を選ぶことで先へ進んでいきます。

 ダンジョン探索など大がかりな行動は1日まるごと消費。ストーリーはメインクエストをこなすことで進行しますが、これには期限が決まっており、期日までに設定された条件をクリアしないとゲームオーバーになってしまいます。

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 時間が経過する行動としては、メインクエストの進行、ダンジョン探索、パーティメンバーを含む“フォロワー”と呼ばれる支援者たちとの交流、“王の資質”と呼ばれる主人公独自のパラメータの強化など、じつにさまざま。メインクエストの期限までにどう行動するか、スケジュール管理が重要になってきます。

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 『ペルソナ5』との違いは、曜日が火の曜日、水の曜日、緑の曜日、鉄の曜日、休息日の5日で1サイクルというところですね。休息日には全土のお店の商品が値引きされるといったメリットもあります。

 また、主人公は王座を目指す候補者の1人ではあるものの、基本的には王国内を旅する旅人という身分。学生のように授業に縛られるようなことはなく、ストーリー上のイベントがあるとき以外はけっこう自由に行動できます。

 そのため、ダンジョン探索に何日も日数をかけたりしなければ、“フォロワー”たちとの交流や“王の資質”の強化はかなりスムーズに進められる手ごたえでした。これらは主人公たちの戦闘能力の関わるアーキタイプの履修&強化にも影響するので、スケジュールに余裕を持って進行できるのはうれしいところです。

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 そうそう、“フォロワー”との交流では選択肢が出ることもありますが、これは交流後に得られる“MAG”というポイントの獲得量に影響。『ペルソナ5』では相手の好感度に影響し、よりよい選択肢を選ばないと好感度が低いせいで次のイベントを発生させにくいことが多かったのですが、本作ではそういったケースはないようです。

 “MAG”についてもアーキタイプの強化や換金に使えるポイントで、獲得量が多いに越したことはありませんが、最悪バトルで稼ぐこともできます。“MAG”回収にそれほどこだわりがなければ、交流のたびに最良の選択肢を模索して、何度もデータのセーブ&ロードを繰り返すような手間はかけなくてもいいかも?

 なお“MAG”の獲得量に影響するのはあくまで“フォロワー”との交流のみ。“王の資質”についての選択肢は、このパラメータの上がり幅に影響します。“王の資質”を効率よく上げたいなら、選択肢の見極めは重要なのでご注意ください。

酒場に魔法屋、占い師。ファンタジー世界の街には何がある?

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 ここまで時間経過する行動について語りましたが、もちろん時間が経過しない行動もあります。人々に話しかけて情報収集するもよし、ショップでの買い物も楽しむもよし。夜にしか開店していない魔法屋のようなショップにも足を運べます。

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 ショップは一般的に、ダンジョン探索の準備を行う施設ですが、個人的にはダンジョンから帰ってからの利用のほうが楽しみでしたね。ダンジョンで手に入れた換金アイテムをお金に換えて豪遊できますし、アイテムのなかにはショップで“鑑定”、教会で“浄化”を行うことで有用な装備品に変化するものもあり、一気に戦力アップが図れましたから。

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 街は最初に立ち寄る王都をはじめいくつかあり、どこもそれなりに広いのですが、主人公は太刀乗りで高速移動ができるので見て回るのにそれほど苦労は感じませんでした。それに、一度行ったエリアやショップなどにはショートカット移動が可能。ゲームの途中からは、街から街へ一瞬で移動できるようになる転送魔法が使えるようになるので非常に快適でした(もちろん時間経過はなし!)。

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 街を歩く際は、ガリカのサポートも優秀でしたね。これはボタン1つで呼び出せるメニューなのですが、そのとき交流できる“フォロワー”の確認&居場所への移動、受注しているクエストの進行状況、街の情報などさまざまな内容にアクセスできます。こういったところは相棒役の面目躍如。彼女のおかげでゲームをサクサク進められました。

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 ほかに街で注目したいものとしては、風聞屋と占い師がいます。見聞屋からはこれから攻略するダンジョンや敵の情報、その地方の食材など、さまざまな情報を購入可能です。

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 占い師は2日後までの周辺地域の天気を少額で占ってくれるいうもの。本作では悪天候になった地域でのバトルは非常に不利です。具体的には敵の弱点属性で攻撃しても、プレスターンアイコンが増えなくなってしまうんですよ。ダンジョン探索の際には大きなデメリットになるので、占い師の予報に助けられることは多かったですね。

移動拠点にして秘密基地。ロマンあふれる鎧戦車

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 本作ならではの要素としては、主人公たちの移動手段である鎧戦車についても語っておきましょう。主人公たちは選挙活動で王国内の各地をめぐるのですが、鎧戦車はその際の足として使われるほか、街から離れた場所にあるダンジョンや村落への移動にも利用できます。

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 移動は日帰りできる場合もありますが、大半はそれ以上の日数がかかり、鎧戦車の中で街と同じように昼夜の行動を選ぶことに。鎧戦車に同行している仲間との交流に加えて、読書や料理、植物の育成、掃除、洗濯、樽風呂、海辺での釣りなど、鎧戦車でしかできないことに挑めます。

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 行動の結果としては“王の資質”を含む主人公のステータス強化やアイテムの入手などが行えますが、注目したいのはどの行動でも“旅をしている感”が存分に味わえること。たとえば料理なら、一緒に作る相手の食へのこだわりが知れたりしますし、読書でまったり時間をつぶすのも旅の過ごし方としては定番。のんびり釣りを楽しむのも、旅の醍醐味と言えます。

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 鎧戦車の移動ルートによっては、美しい風景が見られる場合もあって、ちょっとした観光旅行をしている気分に浸れるのもいい感じ。移動中に敵が襲ってきたり、ほかの王の候補者が乗る鎧戦車とニアミスしてケンカを吹っ掛けられたりもしますけどね(笑)。まあ旅にトラブルはつきものですし、これはこれでありかと思います。

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 あと根本的な話ですが、鎧戦車って主人公たちの秘密基地なんですよね。衣食住がそろう生活空間として使えますし、円卓に集まって作戦会議とかもできますから。そういうふうにいろいろできるうえ、移動手段としても使える秘密基地というのは、この上ないロマンを感じます。日数の許す限り、鎧戦車であちこちを旅したくなりますよ!

アクションバトルとプレスターンバトルが融合した“ファスト&スクワッド”のテンポは良好


 本作では、新要素が追加されたバトルも見どころの1つ。アトラス作品伝統の、敵の弱点を突くことで味方の行動回数を増やせるプレスターンバトルは健在で、そこにフィールド上の敵と直接戦うアクションバトルの要素が追加されています。

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 自分のパーティより格下の相手ならアクションバトルのみでサクっと倒せますし、強敵相手ならフィールドアクションで敵を気絶→プレスターンバトルに持ち込み、有利な状況からじっくり戦えばOK。プレスターンバトルについても、スキルや2人以上の仲間で協力して放つ“ジンテーゼ”などの多彩なコマンドを使用でき、戦術性に富んだ戦いが楽しめました。

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 注目したいのは、ボタン1つで戦闘を最初からやり直せるリトライ機能が搭載されている点。行動選択でミスったときや、敵の猛攻でピンチになったときなど使い、戦況をリセットできるわけです。

 ちょっとしたミスで不利な状況に陥ることも多々ある本作のバトルにおいて、非常に有用な選択肢と言えるでしょう。初見の敵の弱点属性を調べるために使うこともできて重宝しました。

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 あとはオート戦闘や移動中のオートリカバリーなど、昨今のRPGでは定番のシステムも当然のごとく搭載。全体的にテンポよくバトルをこなせるようになっています。ストーリーやキャラクターがいいうえに、これだけの完成度のバトルが楽しめるのは、いちRPGファンとして大満足ですね。

英雄像の力・アーキタイプの特性について

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 バトルに関係の深い要素としてはずせないのがアーキタイプは、いわゆるジョブのようなもの。パーティメンバーは“MAG”を支払うことで好きなアーキタイプを履修でき、以降は装備品のように自由に付け替えられるようになります。

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 アーキタイプには斬属性スキルが得意なファイターや、多彩な属性魔法が使えるマジシャンなど、さまざまな種類が存在。セットしているアーキタイプによって、装備可能な武器や防具、スキルにパラメータ、属性耐性などが変動します。使用スキルについては、アーキタイプのランクアップによって新たなものが習得可能。

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 いろいろ種類があってどれをセットすればいいか迷ってしまいそうですが、パーティメンバーについては初期設定のアーキタイプをメインに使っていけばいい感じでしたね。パラメータの傾向が合致しているため、アーキタイプの長所を伸ばせますから。

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 それに、アーキタイプには同じ系統でより有用な上位アーキタイプも存在。そちらを履修するための条件が、下位のアーキタイプのレベルを一定以上まで上げることになっていることが多いんです。このことを考慮すると、ますます初期のアーキタイプの系統を伸ばす感じでいいかな、となりますね。

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 とはいえアーキタイプのスキルは一度習得すれば、ほかのアーキタイプに継承することも可能。ヒーラーをランク3まで上げて全体回復スキル“メディ”を覚え、メインのアーキタイプでも使えるようにする、といった手も有用です。キャラクターのパラメータ傾向と合わないアーキタイプも育てて編成の幅を広げておくと、どこかで役立ってくれるかも!

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 特殊なものでは、ジュナの初期アーキタイプのマスクドダンサーがなかなか特徴的でした。このアーキタイプは、ほかのアーキタイプの力がこもった仮面を装備できるんですよ。そうすることで、対応するアーキタイプのスキルをより多く使用可能に。言わば仮面をかぶることでそのアーキタイプになりきることができるわけです。

 使用可能なスキルのなかにはランクをかなり上げないと習得できないものもあり、育成の手間が省けるのも〇。ジュナこそマスクドダンサーのまま育てていくのがセオリーかつ最良の道と言えるかもしれません。

 と、ここまではパーティメンバーのお話で、主人公については状況が変わってきます。というのは、主人公のアーキタイプはフィールドでのアクションにも影響が出てくるからです。

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 具体的には、アクション自体が全然違ってくるんですよ。シーカーだったら前方に斬撃を繰り出すタイプで、攻撃範囲が広いのが特徴。モンクならパンチを繰り出すんですが、出は速いものの攻撃範囲がかなり狭くなります。

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 さらに、フィールドアクションを当てたときの効果にも違いが出てきます。ディーラーなら敵を気絶させるとお金を獲得。マジシャンなら味方全体のMPが回復する、といったふうに。こういった効果を最大限生かすことまで考慮すると、主人公のアーキタイプ選びは悩みどころになるかと思います。

 まあ逆に考えれば、それだけ悩めるのは考える幅が広く、楽しめる余地があるということでもありますよね。主人公だけはレベルアップ時にどのパラメータを伸ばすか選べるという特徴を持っていますし、ゴリゴリの物理アタッカーに育てるのも、物理も魔法もいける万能型に育てるのもユーザーの自由。自分のプレイスタイルに合わせて育成していきたいですね。

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 ちなみにプレイした範囲内では、ビルガ島の巫女であるユーファまで仲間にできました。彼女が覚醒して得たアーキタイプ・サマナーの性能はまだちゃんと把握できていませんが、いわゆる召喚士と言えばRPGでも強力なジョブというイメージ。どんな実力を秘めているのか、早く試したいです!

まとめ


 といった感じでいろいろ語ってきましたが、ざっとまとめると、カレンダーのシステムが採用されているものの、スケジュール管理はそれほど厳しくない印象。移動関係もスムーズで、鎧戦車での旅の楽しみも味わえます。ストーリーも気になりますが、この壮大な世界観をじっくりと堪能できるのは何よりも魅力的に感じました。

 バトルについては、進化したプレスターンバトルにアクションバトルが加わることで爽快感もアップ。アーキタイプの運用で戦術&戦略性にもさらなる幅が出てきて、バトルの楽しみ方も広がったように思えます。

 しかし、システム中心に語っただけでもかなりのボリュームになりましたね。ホントに要素が多いこと多いこと。まさしく大作RPG、という感じで期待感がさらに高まってきました! RPG好き、とくに『ペルソナ』シリーズファンなら違和感なくプレイを進められるはずですし、本作を遊ばないという選択肢はないかと思います!!

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