日本ファルコムの人気ストーリーRPG『軌跡』シリーズの最新作として、9月26日に発売された『英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-(以下、『界の軌跡』)』。そのストーリーの秘密に迫る、ネタバレありの特別インタビューをお届けします。
今回の記事ではインタビューの後半を掲載。登場キャラクターについてのあれこれや、電撃オンライン読者から寄せられた近藤社長への質問、さらには『軌跡』シリーズの今後についても語られています。
メインヒロインレースは未決着に。キンケイドの動向やあのアイテムがカギになる?
──アニエスとエレインのヒロインレースについては、アニエスの告白などさまざまな動きがありましたが、決着はまだついていないという認識でよろしいでしょうか。
まだ終わっていないですよね。アニエスがヴァンに告白する場面こそありましたが、ラストの展開があったうえでこのあとどうなるか……見守っていただければと思います。
エレインとヴァンの仲もコネクトイベントで少し触れられたものの、やっぱり2人の関係性は共通の幼なじみであるキンケイドを交えて語られるものです。彼は彼でグレンデルになってしまったわけですが……そちらも含めて、ご注目いただければ。
キンケイドは僕らのなかでは決して小さくない存在なので、彼がなぜグレンデル化してハミルトン博士に協力しているのかといったところを含めて、ドラマはきちんと用意しています。そこと合わせて、ヴァンとエレインの今後について考えてみてください。
──常に冷静でスキのない人物だと思っていたグラムハート大統領ですが、キンケイドに裏切られてしまった際、今まで見せたことのない様子を見ることができました。
本作では終始、彼のすごく人間味のあるところが描かれていました。同じ父親で国のトップを務めた人物としては帝国のオズボーンがいましたが、彼ともだいぶ違いますね。
率直に言ってしまうと「だいぶ人間だな」という人物像を実感してもらえたのではないかと思います。
──普段とは違う表情から受ける印象としては、“家族への愛”というものが大きいように思えました。
彼の中では、それが一番だったはずです。家族への想いが伝わってくるセリフがたくさんあったと思いますが、それは言葉通りに受け取ってもらえれば。
──グラムハート家関連ですと、アニエスの名前のモチーフになった小説《日溜まりのアニエス》にまつわるサブクエストがあり、《魔女のメダイユ》というキーアイテムらしきものも出てきました。
これはまだ話が終わってませんので、次へと続くものの1つです。《魔女のメダイユ》も受け取ったのはいいものの、アニエスに渡せていませんし……。
──サブクエストということで、そこまで重要なエピソードではないのでしょうか?
重要じゃない、とは言えない要素です。アニエスのアイデンティティに大きく関わっているところなので、先ほどお答えした通り、続いていくものとしてご期待いただければと思います。
それにサブクエストを含めて、『軌跡』シリーズでも作品をまたいでエピソードを描くということは珍しくありません。前作で立てたフラグに応じて次作での展開が変化したりすることもあります。
本作で言えば、ヴァンたちが以前に戦ったマフィア《アルマータ》のヴィオーラとアレクサンドルが再登場していますが、『黎の軌跡』のときに彼らを殺すか生かすかの選択肢がありましたよね。『黎の軌跡』のセーブデータがあれば、そのとき選択した内容が本作に反映され、セリフが微妙に違ってきます。
細かいところですが、そういった部分まで楽しんでいただけたら幸いです。
解決事務所メンバーが向き合うべき壁。シズナの恋愛感情はありかなしか?
──フェリは謎の女戦士、アーロンは《大君》、カトルならハミルトン博士というふうに、解決事務所メンバーにはそれぞれ向き合うべき相手が定まったように思えます。次回作ではそれぞれの相手との対立についても深く描かれていくのでしょうか?
そこはご期待いただければと思います。
──解決事務所メンバーですとベルガルドもいますが、彼にそういった相手が出てくるのかも気になります。
《残滓》のメンバーで相対するものが出てくるかはわかりませんが、ベルガルドについては七耀教会関係のものがありますし、ヴァンを含めあちこちに弟子がいますからね。
それぞれの道を進む弟子たちを見守りつつ支えていくというスタンスは、引き続き描かれていきます。
──シズナの剣聖としての名が“滅びの剣聖”であることが明かされましたが、これは《斑鳩》の使命にも関係してくるのでしょうか?
《斑鳩》もそうですし、どちらかというと《黒神一刀流》としての使命ですかね。
「この世を殷(こわ)させないよう、そのために老師は私に黒神を教えた」というセリフがリィンと戦っているときにあったと思いますが、そこが糸口と言えるのではないかと。
──ちなみにシズナは、ヴァンへの恋愛感情はあるのでしょうか?
シズナの場合は恋愛というより好奇心とか、個人的な興味とか、そういったもののほうが強いです。
物語の終盤でリィンとの対決でなく解決事務所のメンバーとして戦うことを選んだのも、それだけヴァンに何かあると本能的に感じ、強い興味を抱いているものだと思います。恋愛感情がどこまであるのかは不明です。あるのでしょうか……。
──シズナやリィンの師であるユン・カーファイも、満を持しての登場となりました。
声優の千葉繁さんも印象深いですね。誰にするかいろいろ考えたのですが、千葉さん以外浮かばなくて。
ちなみに千葉さんには『イースX』で名もなき老人役として出演していただきましたが、ユンの収録の際に「この前の役と同じ演技でいい?」と冗談を飛ばされていました(笑)。
──ユンについてはゲーム中で何かと“最後”を匂わせるセリフが気になりました。
これはユンがいう“回天”、すなわち世界のリセットのことです。ユン自身の生死にかかわるようなことではありません。
健康診断の結果は悪かったみたいですが、まだまだ死ぬような人には思えませんよね(笑)。
──《八葉一刀流》は“天理を超えるための剣”とのことですが、“天理を超える”とは具体的にどのような事象を差すのでしょうか?
“天理を超える”については、至宝とか世界の巻き戻しとか、人の理解を超える事象を差しています。
それを剣術を持って超えるというのは、“剣術を通して至る境地”という部分に繋がってきます。武道でも武術でも、そこに行きつくのが最終目的だ、みたいなことはよく描かれると思うので。
今回起こったことは間違いなく“天理を超える事象”ですし、そこに剣を持ってどう立ち向かうかが、リィンやシズナに求められています。
──《斑鳩》関連ですと、クロガネの素顔が思いのほかイケメンでビックリしました(笑)。ユンとの血縁関係も公開されましたよね。
クロガネの素性も明らかになってきましたし、シズナのお目付け役のカエデも登場しました。スキがあれば、シズナを交えた3人の掘り下げもちゃんとしていきたいと思います。
──以前はシズナに太刀を折られてしまったリィンでしたが、現在の剣の腕前としてはどれくらい差が縮まっているのでしょうか?
「誰が一番強いのか?」という質問は海外メディアの方からもよくされるのですが、なかなか答えにくいところですね。ただ、現状でシズナが上だとしても、以前にリィンの太刀を折ったときは、彼がクロガネの猛攻をしのいだあとに不意討ちされての結果でした。
正々堂々と立ち合えば太刀を折られるようなことにはならなかったでしょうし、伸びしろと成長速度という点ではリィンのほうに分があるため、差は確実に縮まっているかと。
シズナにしても、まだ自分自身を追求しているようなところがあり、ヴァンたちとの出会いを経て成長している部分もあります。リィンとシズナの双方が成長しつつ差は縮まりつつある、というイメージですね。
意外なメンバーが活躍したトールズ組。騎甲兵よりもミントに注目すべき!?
──リィンたちトールズ組は、もちろん次回作でも出番はあると思いますが、彼らが運用している機甲兵にも出番はあるのでしょうか。
今回起きていることはゼムリア大陸の未来を左右する事件ですし、ここまで関わってきて何もせずに帝国に帰る……ということはないでしょうから、リィンたちの出番は用意されています。騎甲兵も含めて。
ただ、何が起きてもおかしくない事態になっているとはいえ、『創の軌跡』のラストのように騎神が復活するような状況になるかまではわからないですね。
──トールズ組ですと、高名な天文学者だったトワの祖父について少し語られました。彼はハミルトン博士とも交流があったようですが、どのくらい深く関わっていたのでしょうか?
天文学者として交流はしていましたが、ハミルトン博士の暗躍にどこまで関わっていたのかまでは不明です。とはいえハミルトン博士の性格上、あまり無関係の人物を巻き込まないようにはしたのではないかと。
逆にトワの祖父のほうが、ハミルトン博士について何か気づいていた可能性も否定できないですね。なにせあれだけ有能なトワの祖父ですから。
──技術者としてミントが活躍(?)するのは予想外でした。
『閃の軌跡』シリーズのときより、明らかにセリフ量が多いですからね(笑)。これは僕らとしても予想外でした。
実際に登場させてみると、状況にもよるのですがすごく動き回るキャラクターになっていて。シナリオライターのほうでもうれしい誤算と言っていました。
それと、リィンにくっついてきたはずなのに、目を離したら別行動していたりと、少し意味深な描き方をされていましたよね。あれはどうも、技術者関係のメンバーで何か動きがある、ということへの伏線になっているようです。
技術者関係では《西ゼムリア技術連盟》の動向はとくに描かれていませんし、リベール王国のリラなども出ているので、今後どんな動きがあるのか注視してみてください。
守護騎士たちの動向と胸中。マイペースなピクニック隊にも変化が
──七耀教会関係では、ケビンが再び《外法狩り》として活動を始めたのが印象的でした。しかし、よくパートナーのリースの目をごまかして行動できていますよね。
さて、ごまかしきれているんでしょうかね(笑)。リースならケビンのことは誰よりも理解しているでしょうし。とはいえ、リースが今後登場するかについては内緒とさせてください。
──ほかの守護騎士では、セリスとリオンがハミルトン博士を保護する側に回りましたが、博士の罪についてはどの程度まで許容しているのでしょうか?
2人とも聖痕を持つ守護騎士ですし、ハミルトン博士のやっていることが許されないことなのはわかっています。
「守護騎士としての行動ではない」ことを承知したうえで、自身の考えと判断に従い、ハミルトン博士を守っているわけですね。そこに、彼らなりの考えや思いがあることには違いありません。
──ケビンがピクニック隊のメンバーと行動をともにする、というのもなかなかのサプライズでした。
ルーファスはなんだか、いい意味で開き直りましたよね(笑)。険が取れたというか、落ち着いたといいますか……。立場としては重大な犯罪者であることに変わりはないですが。
それでも、お金はないし車もレンタルだとか、とにかく面白く描かれていたなと。
──ラピスについても、新ボディで見た目が変わったのもそうですが、クレイユ村の跡地で人間と自分との差異に考えをめぐらせるなど、精神的な成長の余地があるように感じました。
もともと好奇心の強い子ですし、やはり「自分は人ではない」ということが、ラピスが向き合っていく部分です。
そういう意味では、まだまだこれから描いていくものが多いキャラクターではありますね。
そんな彼女に救われたルーファスがいて、彼も以前から大きく変わったキャラクターでもあります。ですからピクニック隊は、『軌跡』シリーズのなかでも特異な存在になりましたね。重犯罪者にローゼンベルク人形、元暗殺者の少年少女と、組み合わせからして普通じゃないですし。
それでも、なぜか見守っていきたくなるような雰囲気があり……プレイしていただいた方々にはわかっていただけると思います。
──ラピスの名前の点数付けも定番のネタになってきました。
点数付けは、ラピスの独自の感性によるノリで行ってますよね(笑)。《エリュシオン》の元・管理人格としての機能からはじき出しているものではないので。
今回はアニエスが102点と満点越えを成しとげましたが、けっこうアバウトなので、今後最高点が更新されたりするかもしれません。
──ピクニック隊といえば、スウィンとナーディアがケビンに覚悟を問われていました。元《庭園》としては、復活したメルキオルとの絡みもあるのでしょうか?
いろいろと試練続きの2人ですが、メルキオルについては元《庭園》といっても管轄が違っていて、直接的な関わりはほぼ皆無です。
もちろん、スウィンとナーディアがあの狂人と相対すれば思うこともあるとは思いますが、そこで何かしら因縁が深まるということはないかと。
それこそ、直接の上司だった《皇帝》が復活でもすれば、2人とも気が気でないでしょうけど……。
──ケビンルートはもちろん、ほかのルートでも《黒月》とエルザイム王家の人々の動向が描かれていました。今回の異変に際して、彼らがどんな思惑で動いているのかについても教えてください。
《黒月》については、複数の家による合議制ですから、それぞれの家が独自の考えで動いていてもおかしくありません。
そのなかで、アシェンが特殊な動きをしていますよね。エルザイム側についたり、ときにはミントと一緒にいたりしますし。アシェンにも彼女なりの考えがあって動いており、そのあたりは今後に向けての動きと推測できます。
──《黒月》関係では、ガウランがリーシャに言い寄ったりしていましたね。
いきなりのプロポーズでした(笑)。リーシャについては攻略王――もといクロスベル編の主人公であるロイドがどこを向いているのかわからないので、どうなるんでしょうね?
──ロイドといえば、本作ではアンカーヴィルで役人をしている叔父が出てきましたし、エリィの父親も外交官として活躍していました。
もともと共和国に血縁がいるというのは語られていましたし、エリィも父親だけでなく、留学していたときの知人が登場しています。
こういった、複数の国をまたぐつながりまで描かれるのは『軌跡』シリーズならではの醍醐味です。
ただ、関係者が出たからといって、次回作にロイドたちが出るかどうかまでは不明です。彼らもクロスベル市警としての仕事があるので、リィンたちと比べると立場に縛られている状況ですので。
多数のエージェントが登場した結社《身喰らう蛇》。新キャラの今後にも注目
──結社といえばトップである《盟主》と、メインビジュアルで対のように描かれていた《終わりの聖女》も重要な人物です。両者の力というのは同じ性質のものなのでしょうか?
カンパネルラが《終わりの聖女》の力を「《主》に匹敵する」と評していますが、その性質はまったく違うものです。同程度のすさまじい力を扱える、という解釈が適切ですね。
《盟主》も《終わりの聖女》もそれぞれ役目を担っており、それを果たせるだけの力を備えているのではないかと思われます。
──執行者では、ヨルダがヴァンの仲間として行動するなど大いにスポットを当てられました。次回作でもこの関係性は続くのでしょうか?
イクスとの決着はまだついていませんし、ヨルダについてちゃんと描く場は用意してあげないといけないかな、とは思っています。
それと『軌跡』シリーズのなかでは、今風のキャラクターですよね。ちょっとヒネていて、現実にも「こういう女の子いるよね」という印象があります。
それゆえなのかは分かりませんが、ユーザーからの人気も今作で伸びています。
──いろいろと悪事は働いてきたものの、ふとしたときに性根の良さというか、善性が感じられますよね。そこがイクスとケンカ別れしてしまう要因になったのは悲しいですが……。
あの兄妹ゲンカの仕方も、妙に生々しいなと思いました。それでも、最終的にはちゃんと仲直りしてほしいところです。
客観的に見て、ちょっとイクス側に大いに問題があるようですし(笑)。
──新たに登場した執行者では、No.VIIのシメオンがかなり大物感がありました。
かなり独特で、ただものではない雰囲気を漂わせていますね。そういうところは意図的にデザインしています。
あとはルクレツィアが言っていた、自分よりも古参なのにナンバーが後になっている、というところもカギとなります。
執行者のナンバーは基本的に加入した順番で割り振られていくのですが、シメオンがこのナンバーで呼ばれていることにも、何か理由があるはずです。
──新登場の執行者ではウルリカがいますが、彼女はNo.XVIIIで、かなり最近になっての加入なんですね。
最近といっても、XVIIが猟兵団《赤い星座》出身のシャーリィで、すぐ後ろのXIXが帝国の皇太子だったセドリックですから、その間ということになります。
彼女がやっている動画配信という概念が広まったのは、クロスベルの導力ネットワークが確立されたあとなので、そのあたりからも加入時期を推測していただければ。
──《言霊使い》の能力と動画配信者という職業は、相性もバッチリですね。
ウルリカの動画配信は単なる趣味らしいです(笑)。《言霊使い》としての能力は、上司のノバルティス博士に使っていたのがちょっと面白かったですね。
──ほかの執行者ですと、まさかヴァルターの里帰りが見られるとは思いもよりませんでした(笑)。彼についてここまで掘り下げる予定は当初からあったのでしょうか?
『軌跡』シリーズをずっと追っている人ほど感慨深いですよね。
ヴァルターにジン、キリカの《泰斗流》伝承者たちについてはリベール王国編からずっと続いてきたものですし、共和国編を始めると決めたときに、なんらかの形で結実させなければとは思っていました。
キリカなどは『空の軌跡FC』から、遊撃士ギルドの受付で共和国出身という設定で登場させていますし、ジンとヴァルターの因縁についても『空の軌跡SC』から描いてきたものです。ヴァルターなんかは、深堀りするにつれてだいぶ丸くなってきたイメージですね。
この3人以外ではキリカから技を習ったアンゼリカやクロスベルの遊撃士リンがいますけど、3人それぞれの道を歩んでいくというところはちゃんと描いていきたいと思っています。たとえば、ジンならS級遊撃士への昇格が控えていますので。
──ハーウッドとルクレツィアがかつて所属していた《月光木馬團》の過去についても少し語られました。今は亡きこの暗殺組織がクローズアップされることもあるのでしょうか?
今のところは未定です。もしかしたら本作のように、《黑の庭城》の追憶の台座のエピソードで深堀りしていくかもしれません。
──追憶の台座のエピソードでは、ハーウッドが組織のトップではなく、上役を毒殺したうえで結社入りしたというのが意外でした。
ハーウッドの非道さ、悪辣さを強調するようなエピソードでしたね。しかも《月光木馬團》の優秀さをアピールしたうえで結社に吸収されるとか、現実の会社の吸収合併劇を見ているようでした(笑)。
──《ベルナール兄弟》や《金獅子ルアゴ》、《影狩り(シャドウハント)》など、組織の所属メンバーの二つ名も公開されました。すでに死亡していると思われますが、ループ世界という設定なら次回作に出てくる可能性もあるのでしょうか?
その可能性はありますが、本編を進めつつそういった要素をどこまで掘り下げられるかは、僕らもいつも悩むところでして。基本的に優先順位を決めて、やれるところまではやるという形で制作を進めており、入らなければ次の機会に、ということになると思います。
話はズレますが、エレインのヴァンとの関係を掘り下げるコネクトイベントも、本来なら本編でやらなければならない部分ですよね。ヴァンがなぜ甘いもの好きなのかがわかるエピソードですし……それですらコネクトに回さざるを得ない状態でした。
今は結末に向けて本編で語るべき要素が本当にたくさんあって、なかなか悩ましいところです。
それもあって、本作では《黑の庭城》でポイントを使うことで、1周目のプレイからすべてを見られるようにしています。
最近はいろいろな娯楽があふれているなか、周回プレイをしてもらえるとは限りませんし、僕らとしても一生懸命作ったものを見てもらえないのは損でしかないので、こういった形にさせていただきました。
──ほかにも執行者No.VとNo.XIIの存在がほのめかされました。この2人は次回作での登場を期待してもよろしいでしょうか?
次回作かどうかはわかりませんが、どこかで登場すると思います。大陸の東側で活動しているので、物語のクライマックスのどこかで出てくるのではないかと。
電撃オンライン読者からの質問コーナーへ。意外な事実が明らかに!?
──ここからは、電撃オンラインに寄せられた読者のみなさんからの質問に移ります。
●《黒の庭城》などの大型アップデートの予定はありますか? (しんまるりさん)
本作では最初から最後まで全部入れよう、という形でやっていますので、現時点では未定です。《黒の庭城》はエンドコンテンツ的なものでもありますし、できれば何か作って次回作までのつなぎにしたくはあるのですが、現状では厳しいかなと。
●今出ていない、残りの魔王は出る予定ありますか?(なんちゃって剣聖さん)
全部出てくるかはわかりませんが、状況的に何体かはでてきてもおかしくはないのでは、とだけ言っておきます。
●『黎の軌跡II』および『界の軌跡』においてレンの誕生日や年齢について言及がありますが、具体的な日付はいつなのでしょうか?(ぽんたさん)
レンの誕生日はまだ明確に決めてはいないのですが「そろそろ決めないとね」と、スタッフの間でも話が出ています。
『軌跡』シリーズではキャラクターの誕生日をちゃんと決めていないことが多いんですよね。『空の軌跡FC』では占いマシーンというものを出したため、これ用にエステルなどの主要メンバーの誕生日は決めたのですが……。
それ以降のクロスベル編はまったく決めておらず、エレボニア帝国編では電撃さんの特典ファイル用に、トールズの分校生の誕生日を決めたくらいでしょうか。何かしら機会があればちゃんと決めて、ユーザーのみなさんにお伝えしたいと思います。
●『黎の軌跡』からキャラクターが食事に関して言及する、いわゆる食レポのような場面が多く見受けられますが、開発スタッフの中にグルメな方がいらっしゃったりするのでしょうか?(そーえんさん)
グルメ好き、サウナ好きのシナリオライターが約1名おり、食レポやサウナ関係は基本的にそのライターが書いていると思っていただければ。会社の近くに新しくお店ができたらすぐに足を運んでいるみたいで、昼休みにはいつも美味しい店に通っているイメージです。
サウナについては、新型コロナウイルスの感染対策で通えなかった時期は、アウトドア専門ショップでテント型サウナを買ってきて、自宅で使っていたという話も聞きました。ヴァンのサウナ好きという設定を初めて知らされたときは、誰が書いたか丸わかりでしたよ(笑)。
●盟主様の美しい声を担当されている声優さんは誰なのか知りたいです!(盟主様に忠誠を誓い隊さん)
《盟主》の声優については、正体不明の存在なので毎回違う方にお願いしつつ公表も避けてきました。本作ではもう教えてしまいますが、アルティナ役の水瀬いのりさんに兼ね役でやってもらっています。『創の軌跡』でも水瀬さんでしたね。
かといって、《盟主》の正体がアルティナというわけではないことも明言しておきます。
●『界の軌跡』で明かされた怪盗グリムキャッツの誕生経緯ですが、あの衣装は誰がデザインしたものなのでしょうか? エプスタイン博士の趣味ですか?(ねこかわさん)
衣装のデザインは、エプスタイン博士ではありませんね。基本的には、《幻夜のコンパクト》の利用者が持っている怪盗のイメージがそれぞれ具現化されているという設定です。
ですからドミニクとクロエ、ジュディスでそれぞれデザインも違ってくるのではないかと。
●ヨルダとリーシャとセリスのバニー衣装のDLC販売予定はありますか?(デーモンKKさん)
けっこう要望は来ているようなので考えておきます(笑)。
今後の『軌跡』シリーズの展望について。次回作の発売はいつになる?
──ヴァンの最終エピソードと位置づけられた次回作は、いつごろの発売になるのでしょうか? また、次回作の次に来るであろう『軌跡』の最終シリーズについても、何かしら話せることがありましたらお願いします。
あまりお待たせするわけにはいかない、と考えています。ただ、その前に『空の軌跡 the 1st(仮)』を挟むため、『界の軌跡』の続編をすぐに、というのも難しい状況でして。
とはいえストーリー上で何がどうなるとか、プロット自体は当然もう決まっています。
今からやることといったら、『空の軌跡 the 1st』と制作と同時に、そろそろ『軌跡』シリーズの完結編をどうするかについても考えていかなければいけません。そうして完結編でやると決めたことから現状のプロットのほうにもフィードバックをしつつ、最終的な共和国編の結末を固め直します。そこから本格的なスタートを切っていくことになりますね。
この工程は今年中に終わらせる予定で、これができたところで、発売の具体的な時期がもう少し明確になるかと思います。制作はできうる限り頑張りますので、どうかお待ちいただけますと幸いです。
──『空の軌跡 the 1st』にも期待していますが、こちらの見どころについてもお聞かせください。
やっぱり『空の軌跡』ならではの安定感というものがあるんですよね。すでに発表した映像を見てもらえればわかると思うのですが、「グラフィックがファルコムっぽくなくていい」というお言葉をたくさんもらいました。僕らにとっていいことなのか悪いことなのかよくわかりませんが(笑)。
初代の発売から20年経過して、ユーザーのみなさんのなかに『空の軌跡』のイメージみたいなものがあると認識しています。それは主人公のエステルの元気の良さであったり、旅する世界が輝いていて、新鮮なものであるとか、いわゆる王道の冒険ものという色合いですね。
制作に際して、今回はいつものディレクションを外して、デザインの担当者それぞれに「エステルの元気さやリベール王国の風光明媚なところが、画面を通してダイレクトに伝わるような形でやってほしい」という要望だけを伝えて作ってもらいました。そうしたら、作っているところを後ろから眺めていて、遠くからでも画面の色鮮やかなイメージがすごく映えていました。それの成果があのPVの映像になります。
スタッフも勢いよく制作を進めてくれており、リメイク作品でありますが、既存プレイヤーの方にも新鮮なものをお届けできるのではないかと思っています。
あと『軌跡』シリーズに興味を持ってくれても、十何作もあると聞いて足踏みしてしまったユーザーの方も多いと思うんですよ。そういった方々にも「これから始めればいいですよ」と薦められるものにしたいですし、ちょっと欲張りなことを言えば、RPGをやったことのない人にもおすすめできる、1本目のRPGになれないかな、というところも目指しています。
こういった部分を重視して、いつもの『軌跡』とはまた違った雰囲気のものにしていきたいと思っていますので、どうぞご期待ください。
──『界の軌跡』のシステムや世界設定などが『空の軌跡』に何かしらフィードバックされる可能性はあるのでしょうか?
『界の軌跡』のループ設定を持ち込むことはないと思いますが、世界観にしろシステムにしろ、『軌跡』シリーズが20年で積み重ねてきたものがありますし、「これ入れなくていいの?」というものはやっぱり出てくると思います。そういった要素は採り入れていきたいですが、検討中です。
──『空の軌跡』は現在のところNintendo Switchでの発売が発表されていますが、ほかに対応ハードが増えたりはしないのでしょうか? また、『界の軌跡』の次回作の対応ハードについても教えてください。
現状では未定ですね。ただ、『界の軌跡』の次回作については、PSフォーマットでの発売を予定しています。対応ハードを増やすかは、今後いろいろ考えていくことになるかと。
──最後に、読者並びに『軌跡』シリーズに注目しているユーザーのみなさまに向けてひとことお願いします。
『界の軌跡』でご覧いただいたとおり、いよいよクライマックスです。具体的にはクライマックスが始まりました、という表現になってしまいますが。クリアされたユーザーのみなさんは、完結に向けて動き始めたということを実感していただけたのではないでしょうか。
本作では映像面でもスタッフが頑張ってくれて、今までの『軌跡』ではちょっとあり得なかったような宇宙空間であるとか、いろいろな表現に取り組みました。この勢いのまま共和国の完結、そして『軌跡』シリーズの完結へ向けて動き始めていきます。以前お伝えしたとおり、次回作でシリーズ全体の90%が終わるというのは変わっていません。
また、僕らも20年間続けてきたものなので、変な形で終わりにはしたくないですし、みなさんに満足してもらい、自分たちも納得のできる形でシリーズを結末に導きたいと思っているので、引き続き応援よろしくお願いいたします。
――ありがとうございました!