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ドラマ『ウイングマン』7話感想。時にウイングマンを助け、時に妨害する謎のヒーローの真意が見えない。アオイの婚約者・ナァスの登場で、健太とアオイの関係性にも大きな変化が

文:米澤崇史

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 テレビ東京系にて放送中のドラマ『ウイングマン』7話の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ウイングマン』7話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

ファイナルビームの反省を活かした新たな必殺技・デルタエンド


 6話では、ドリムノートがザシーバに奪われ、ウイングマンに関する記述がすべて消されてしまうという、絶体絶命の窮地に陥った健太たち。

 健太たちを救ったのはキータクラーに似たイケボの謎のヒーロー、そしてアオイの父であるラーク博士でした。ラーク博士はリメルたちに捕まっており、身動きが取れない状態だったので、こうして健太に接触するのは難しいはずですが、謎のヒーローに助けられた可能性がありそうです。

 この時ラーク博士は、「上書きされなければ、ウイングマンのことはまだ書ける」といっていましたが、逆にいえば上書き出来る状態にあったにも関わらず、ザシーバはそれをしなかったということに。ノートもあっさり美紅に渡してしまっていましたし、リメルたちの思惑が気にになるところ。


 その後、ザシーバと謎のヒーローとの戦いに、ラーク博士からディメンションパワーをもらった美紅も加勢します。元々ポドムリス人であるアオイや、ウイングマンに変身する健太はともかく、ディメンションパワーをもらったとは言え、ほとんど生身のままためらいなく戦いに参戦できる美紅の度胸が半端ないです。

 途中、出そうとした力が使えなかったような描写があったのは気になったところ。あれは美紅がまだ力を制御しきれていないということなのか、もしくはラーク博士からもらったエネルギーを使い切ってしまったのか、どちらなのでしょうね。

 再びウイングマンに変身できるようになった健太も駆けつけたものの、今度は布沢に変身の瞬間という致命的な場面を撮影されてしまうことに。学校の時は一度トイレに入っていたのでまだ言い逃れができたのですが、今回のは健太がウイングマンであることが誰の目にも明白な映像になっています。

 一方、ウイングマンの新しい必殺技である“デルタエンド”もお披露目。異空間であるポドリアルスペースならともかく、今回のような地球での戦いになったときは、どうしても周囲に被害が出るファイナルビームのような技は使いにくかったんですよね。建物だけならアオイのディメンションパワーで修復できていましたが、人間にまで被害が及んでしまった場合はそうはいかないでしょう。

 今回のデルタエンドは爆発の寸前にバリアのようなもので対象を覆って周囲に被害が出ないようになっていて、これまでの経験からの反省が生かされています。


 最後に残されたアオイのディメンションパワーでアクション演劇部の記憶は消去したものの、それまで味方っぽいそぶりを見せていた謎のヒーローが、布沢の記憶を復活させるというまさかの展開。6話でウイングマンを助けたかと思えば、今度は逆にウイングマンを不利にするような行動もとると、敵なのか味方なのか、その真意が気になるところです。

人が良さそうな爽やかイケメンなのに、どこか胡散臭さが漂うナァス


 戦いが終わったあと、アオイの父であるラーク博士と会話したことを伝える健太。アオイに抱きしめられた時、健太がアオイに対してドギマギするような珍しい描写もあり、健太の方もアオイに対する意識が変化していることが分かります。

 ただ、その後美紅に見せる戦隊の候補に『鳥人戦隊ジェットマン』を挙げていたのは、『スーパー戦隊』シリーズとしては大分異色作なだけに、そこから入っていいのか少し心配になりました。

 そしてこの物語が終盤に差し掛かろうというタイミングで、新キャラクター・斎藤達夫も登場。アオイに対してやたらと思わせぶりな態度を取っていた斎藤ですが、それもそのはず、正体は以前に存在が語られていたアオイの婚約者・ナァスでした。

 ナァスはアオイに2人でドリムノートの力でポドムリスを救うことを提案します。正直視聴者の視点からすると、この手のことを言ってくるキャラクターはだいたい「胡散臭いな~」と感じるんですが、ナァスの言うポドムリス人の問題に地球人を巻き込むべきではないという主張は、間違いなく正論ではあるんですよね。

 健太とナァスとの間でアオイが揺れるなか、アオイは健太との関係性を改めて確認しますが、ここでのやりとりは非常に印象的でした。ウイングマンの相棒としてアオイを必要とする健太の答えに対して、アオイは納得しつつもちょっと寂しそうな様子を見せていて、本当は違う答えを聞きたがっていたんだろうなぁと。

 先程のシーンで、健太のアオイに対する感情の変化が見え始めていたのは確かでしたが、まだ健太自身も自覚できてない範疇だと思うので、アオイが本当に欲しかった答えを健太が返すには、少し時間が足りなかったんじゃないかという気もします。


 その後の謎のヒーローとのやりとりで、ナァスの本性が垣間見えて「やっぱり~」となった人は多かったでしょう。

 同時に、2人が旧知の中であることも判明しますが、そういえば『ウイングマン』には“一見爽やかなイケメンで、女子にモテモテだけど、何をやらせてもどこか胡散臭い”というキャラクターが既に一人いたような気が……。もし二人が先輩後輩だったとしたら、これ以上ないくらい納得感がありそうです。

 視聴者の視点からすると、「ナァスはやっぱり信用してはいけない」と判明した直後に、ナァスに言われるままドリムノートをアオイが持っていくシーンをラストにもっていく構成は秀逸でした。

 健太のことが好きだからこそ、「戦いと関係ないところで平和に暮らして欲しい」というアオイの考えがしっかり理解できる物語の構成になっていたので、この手の展開にありがちな「なんで急にそんな行動に!?」みたいな戸惑いが一切なかったのが良かったです。


 ただ、これで3週連続で健太の手からドリムノートが離れる展開になり、ノートのセキュリティガバガバすぎる問題はまた継続することに。まぁ今回ばかりは、管理者で持ち主とも言えるアオイが犯人なのでどうしようもなくはあるんですが、3週連続で変身アイテム的な位置づけの道具をなくすヒーローって、ほとんどいない気がします。

 ナァスとアオイの問題だけではなく、記憶を取り戻した布沢がウイングマンの記事を書き進めていたり、クライマックスに向けていろんな事態が同時に動き始めた感があります。まずは健太とアオイの関係はどう変わっていくのか、8話にも注目したいです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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