アトラスより2024年10月11日に発売されたPS5/PS4/Xbox Series X|S/PC(Windows、Steam)用新作RPG『メタファー:リファンタジオ』のレビューをお届けします。
電撃オンラインでは、この冬に遊びたい発売済みの名作や発売前の新作を対象とした特別企画“電撃冬のレビュー祭”を展開中です。
この企画でピックアップされたタイトルの1つが『メタファー:リファンタジオ』。世界中に多くのファンを持つ『ペルソナ』シリーズを手がけた開発チームによる完全新作のファンタジーRPGです。
本作については発売前に先行レビューも掲載しているので、ゲームの概要についてはそちらでご確認ください。“電撃冬のレビュー祭り”では、発売からある程度経過した今だからこそ言える、本作の魅力について語っていきたいと思います。
なお、PS4/PS5版が2025年1月6日まで、Steam版が2025年1月2日まで、25%オフの7,408円で購入できます。この年末年始にプレイするなら、このセールをお見逃しなく!
索引
ファンタジー世界を冒険していく楽しみ。旅のすべてが主人公の力になる【メタファー:リファンタジオ レビュー】
本作をプレイしていて最も強く感じるのは、やはりファンタジー世界を旅しているという冒険感。幻想的なグラフィックで表現された未知なる世界を一歩一歩踏みしめながら進んでいくというのは、じつに興味深いものがあります。
荘厳な建造物が立ち並ぶユークロニア連合王国の首都グラン・トラド。交易で栄える海洋都市ブライハーヴェン。謎多き未開の島であるビルガ島など、どこもめぐっていて冒険心を掻き立てられる土地ばかりです!
多くの種族が共存しているというところも「これぞファンタジー世界!」という雰囲気でいい感じ。長命のローグ族や獣のような耳と尾を持つパリパス族、コウモリがモチーフのユージフ族など、いろいろいます。主人公は他種族からひどく虐げられているエルダ族出身なため、差別的な扱いをされることがほとんどなのですが。
それでも、妖精のガリカをはじめ主人公を信頼してくれる仲間はいますし、本編ストーリーでつづられる選挙戦で知名度を上げていくことで、彼を支持する人々も少しずつ増えていきます。逆境からスタートして下克上をしていく展開は、定番ですがカタルシスがあっていいものですね。
そんな主人公と仲間たちは、王の座をかけて行われる選挙戦に勝利するべく世界をめぐっていくわけですが、この旅の雰囲気がたまらないんですよね。移動は鎧戦車(がいせんしゃ)という乗り物を使いますが、道中は仲間との時間を過ごしたり、襲い来る敵と戦ったり、ときには壮大な風景を楽しめたりすることもあります。
未踏のダンジョンに入れば強敵とのバトルや謎解き、お宝探しを楽しめますし、新しい地域に入ればその土地の食材を使った料理に舌鼓を打ち、仲間との距離もより縮まっていきます。ヒュルケンベルグの悪食にドン引きすることもありますけど(笑)。ほかにも野営で露天風呂を楽しむなど、旅の楽しみをひと通り味わうことができるわけです。
ただ、もちろん選挙戦に勝つという大きな目的がある以上、自由な旅を満喫するだけではいられません。各地に残されている難題、たとえば選挙をめぐる謀略や種族間の差別といった、人によってはあまり見たくないものを目にすることもあります。謎の怪物“ニンゲン”をはじめ、世界に隠された秘密も気になるところですし。
ですが、よいものも悪いものも見聞きし、そこから得られる何かを糧にしていくことも旅の醍醐味。むしろ乗り越えるべき壁が高いほど、その先で得られるものは大きくなるものです。主人公たちが最終的にどうなるかはネタバレなので言いませんが、旅の苦労に見合うものであったのは間違いありません。このあたりはぜひプレイして見届けてほしいですね。
旅の仲間、頼れるフォロワー、選挙の競争相手たち。個性的なキャラクターたちの生き様が心に刻まれる【メタファー:リファンタジオ レビュー】
本作を語るうえで、魅力的なキャラクターたちの存在も欠かせません。主人公の仲間やフォロワー、選挙戦でしのぎを削る候補者たちといった多くのキャラクターが登場し、それぞれにドラマが用意されています。
とくに仲間とフォロワーたちは、直接交流ができるので思い入れも深くなりますね。たとえばストロールなら、貴族としてかつて治めていた土地と民衆のために思い悩む姿を見せたりと、キャラクター性の掘り下げもしっかりされています。
個人的には、故郷関連でかなりきつい過去が描かれるハイザメ、冷静沈着な商売人に見えて情に篤いベルギッタ、人のために尽くそうとしているのにうまく行かないバードンなどのエピソードがお気に入り。彼らとの交流はアーキタイプ(ジョブのようなもの)の解放などのメリットにつながるものですが、もしメリットがなくても続きが見たくなる話ばかりでした。このクオリティの高さはさすが『ペルソナ』チーム。
こういった交流は『ペルソナ』シリーズでもあり、エピソードを進めるのに信頼度を深める必要がありましたが、本作では信頼度条件はなし。“王の資質”という主人公専用のパラメータが条件になっているケースはあるものの、格段に進めやすくなっていて非常に助かりました。
よりスムーズに、遊びやすく。『ペルソナ』シリーズをベースに進化したシステムの数々【メタファー:リファンタジオ レビュー】
システム面は、その多くが『ペルソナ』シリーズをベースに、より遊びやすく進化。たとえばゲーム進行はカレンダー方式で、仲間との交流やダンジョン探索、鎧戦車での移動で時間が経過していき、一定期間内に目標をクリアすることでストーリーを進めていきます。
こう書くとスケジュール管理が難しそうに思えますが、前述のとおり交流イベントの進行は進めやすくなっていますし、ダンジョン探索も慣れれば日数もそれほどかからず、余裕を持ってプレイできます。
ダンジョン探索については、スキルを使用するためのSPの消費量が問題になりがちですが、そんなときはマジシャン系のアーキタイプの出番。フィールドで敵を気絶、または撃破した際にMPを回復するパッシブスキルが頼りになりました。なのでマジシャン系は終盤までレギュラーで使ってましたね。
アーキタイプはほかにも、物理攻撃に優れるファイターや回復役のヒーラーなど多数。条件を満たすことで解放される上位アーキタイプも存在しているうえ、アーキタイプで覚えたスキルをほかのアーキタイプに継承することもできます。
このスキルのカスタマイズが存外におもしろいんですよね。ヒーラー以外に回復魔法を覚えさせて汎用性を持たせるなど、セオリーはあるものの組み合わせは自由。自分好みのセッティングを模索できるのも、本作の大きな魅力だと思います。
バトルについては、伝統のプレスターンバトルにフィールド上の敵シンボルと直接戦う要素を追加した“ファスト&スクワッド”を採用。ザコはフィールドで直接攻撃することで倒せますし、同格以上はフィールドで気絶させてからプレスターンバトルに移行することで有利な状況で戦えるように。全体的にスムーズで、広大なダンジョン探索でもテンポよく進められました。
コマンドをじっくり選ぶバトルもいいものですが、スピーディに敵を倒していける“ファスト&スクワッド”の快適さもなかなかのもの。ほかにも、バトルの途中で最初からやり直せるリトライや、フィールド上でのパーティの回復をボタン1つで行えるオートリカバーなど、プレイを快適にする機能が満載です。本作の続編があるかはまだわかりませんが、もしあるなら、これらのシステムはぜひ継承&進化させていってほしいですね。
さて、本作の魅力についていろいろ語ってきましたが、率直な感想を述べさせてもらいますと、ともかく完成度が高いんですよね。『ペルソナ』シリーズをブラッシュアップしたシステムはもとより、ファンタジーの世界観設定やキャラクターの個性など、どれをとっても一級品のクオリティ。RPGファンなら一度は触れておかないといけない、そんなふうに感じるタイトルだと思います。
やることがたっぷりあって、長く楽しめるのはやっぱりうれしいです。寝る間も惜しんでプレイしてしまうのですが、年末年始だったらそれもあり! ある程度の時間が取れる今こそプレイする絶好のチャンスなんです!
ちなみにゲームは6月からスタートし、基本的には温暖な気候のもとでの冒険が楽しめます(ゲーム内の毎日の気温もちゃんと表示されます)。この寒い時期に、暖かい季節の旅を存分に楽しめるという意味でも、本作をプレイする価値はありますよ!