スクウェア・エニックスから2024年10月24日に発売されたNintendo Switch/PS5/PS4/PC(Steamは10月25日発売)用RPG『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン(ロマサガ2R)』のレビューをお届けします。
電撃オンラインでは、この冬に遊びたい発売済みの名作や発売前の新作を対象とした特別企画“電撃冬のレビュー祭”を展開中です。
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索引
2Dから「これでいいんだよ」という方向に進化した3D映像表現【ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン】
“刺さる人には刺さるRPG”としてファンを魅了し続けてきたスクウェア・エニックスのRPG『サガ』シリーズ。なかでも『ロマンシング サ・ガ2』は“七英雄”というRPG史に残る強ボスたちが登場し、“皇帝継承”で主人公がどんどん変わるシステムの採用など、コアファンに支持されてきた作品です。そんな名作が31年の時を経て『ロマサガ2R』として完全フル3Dリメイクされました。
もちろん、自分は原作のスーパーファミコン版、そしてHD化されたバージョンもプレイ済みで、そんなコアファンである自分にまず刺さったのは、3Dで構築された世界観の完成度が素晴らしい点。2Dもしっかり作り込まれていましたが、奥行や高さなどある程度はプレイヤーの脳内補完に任せていた部分があります。
ですが、フィールドが3D化されたことで、なじみ深い場所もすべて新鮮な気持ちで遊べました。たとえば「ルドン高原ってこんな高低差があったんだ」とか、「ボクオーンの地上戦艦、広くてデケー!」とか、2Dの記憶とすり合わせて探索するのが楽しかったです。3D化の質感もフォトリアルに寄せるのではなく、2Dの延長線上にあるグラフックテイストだった点も、「これでいいんだよ」と好感触でした。
また、キャラクターたちも3Dモデリングがいいんですよね。ちゃんと見せる部分は見せるデザインというか、「わかっているな~♪」と大満足。そしてそんなキャラクターたちが紡ぐドラマも、仕草やボイスの演出もあいまってすごく厚みが出ているんです。とくにプロローグのレオンからジェラールへの皇帝継承は、作中でも屈指の盛り上がりシーンかなと。
理不尽な部分が調整されたがコアファンにしっかり刺さる調整がされたシステム【ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン】
全体的に尖った難易度で、RPG好き全員に進めるのはややハードルがある『サガ』シリーズ。ですが、本作はかなり大胆にシフトチェンジして、まさに“万人におすすめしたいRPG”となっています。
いつでも自由に変更できる戦闘の難易度(3段階)、戦闘回数で敵が強くなるが逃走の場合はカウントされなくなった、皇帝継承を任意で実行可能、技をひらめく確率の視覚化など、原作をプレイしていると「そこまで親切になったんだ!?」と驚かされるものばかりです。
しかも、それら調整はコアファンが挑戦するようなやり込みプレイを阻害するわけではなく、ちゃんと有益なシステムとして調整されている点はGOOD。「これがあったらいいのに」というかゆい所に手が届く仕様ばかりになっています。
もちろん、『ロマサガ』シリーズ伝統のフリーシナリオ制のため、ストーリーには明確なルートがなく、ルートが固定されているタイプのRPGと比べてとっつきにくさはあります。でも、選んだルートが正解、不正解というわけでもありません。
だからこれから初めて触れる方は、気の赴くままに進めてみてください。どちらにせよ、1周のプレイではすべての要素をカバーできませんし、“強くてニューゲーム”もありますので。
制作スタッフからあふれんばかりの“愛”を感じた新要素【ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン】
ここまでベタ褒めな『ロマサガ2R』ですが、さらなる推しポイントはサブタイトルの“リベンジオブザセブン”にもかかっている七英雄の深堀です。原作は正直そこまで彼らがなぜ敵となったのか、そのあたりのバックボーンが明確に描かれておらず、プレイヤーの考察にゆだねている部分がありました。
ですが、本作は“七英雄の記憶”を回収することで、彼らが“本当の英雄だった時代”のエピソードを知ることができます。こういった付け足しはリメイク作品ではよくありますが、本作はむしろこれがあってしかるべきと感じたくらい、制作スタッフの“愛”が込められていました。
ただ、ちょっともったいないと感じたのは、“七英雄の記憶”が配置されている場所が固定のため、シナリオの進行順番によっては飛び飛びになってしまう点。これは回収したら順番にエピソードが再生される形だとよかったなと思いましたね。また、“七英雄の記憶”を回収すると倒した敵のシンボルが復活する点も、少しストレスに感じたのは事実です。
そんな七英雄以外にも、個人的に“愛”を感じたポイントを挙げるとするならば、やはり自動人形のコッペリアですね。原作からかわいさ×100になっていて、皇帝継承のムービーが用意されているし、この点だけでも『ロマサガ2R』を買ってよかったと思ったくらいです(笑)。
せんせい探し、帝国大学での帝国試験などコンプリート要素も充実【ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン】
最後はコンプリート要素周りについて。大きなものとしては『サガ』シリーズのマスコットであるせんせいを発見する“せんせい探し”、帝国大学での“帝国試験(クイズ)”のふたつがあります。“せんせい探し”では特定の数を発見すると戦闘に有利になる要素が解放されたり、“帝国試験”の場合はクリア時に報酬がもらえたりなど、やってみたいと思わせるご褒美が用意されているんです。
“せんせい探し”はエリア内を隅々まで歩く目的にもなり、“帝国試験”はこの世界に対する知識を深めてくれるため、自分はいい追加要素だと感じました。まあ、“せんせい探し”はある意味必須なご褒美ばかりで、半ば強制的に感じる方もいるかもしれませんが。
というわけで、ここまで紹介した以外にも連携を軸としたバトルの爽快感、アレンジ版とオリジナル版を選択できる伊藤賢治氏が手掛けたサウンドなど、語るべき推しポイントはまだまだありますが、とりあえずは自分がいかにこの作品に惚れたのか、その熱量を感じていただけたのではないでしょうか。年末年始の休暇中になにかRPGを遊びたいと考えている人はぜひ“名作を超えた超名作”を手に取ってみてください。