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『きまぐれオレンジ★ロード』は今でも通用する青春ラブコメの金字塔。あなたは鮎川まどか派? それとも檜山ひかる派?【サブスクアニメ道】

文:タダツグ

公開日時:

 さまざまなサブスクリプション動画サービスにより、最新のアニメから往年のアニメまで多くの作品が定額制で見放題になっている昨今。なかにはあまりに数が多すぎて「どれを見たらいいのかわからんッ!」とお嘆きの方もいるのでは? そんな方に“サブスクで視聴できるオススメアニメ”をレコメンドしていくのが本コラムの趣旨となります。

 今回ピックアップするのは、U-NEXTなどで見放題配信されているTVアニメ『きまぐれオレンジ★ロード』。ひと肌恋しいこの季節にピッタリな、甘くてアツい青春ラブコメの見どころを語っていこうと思います

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▲U-NEXT配信ページより。

TVアニメ『きまぐれオレンジ★ロード』:あまりにも甘酸っぱい青春の味! 奇妙な三角関係と可愛いヒロインたちから目が離せない


 そもそも『きまぐれオレンジ★ロード』とはどういう作品なのか? 元を正せば1984年から週刊少年ジャンプで掲載された、まつもと泉先生によるコミック作品となります。そちらを原作に1987年から放送されたのが、今回ご紹介するTVアニメ版になるわけですね。

 物語の主人公は、家族全員が不思議な超能力(パワー)を持つ春日一家の長男・恭介。彼が引っ越し直後の散歩中、赤い麦わら帽子をかぶったヒロイン・鮎川まどかと出会うところから、この物語はスタートします。

 まどかが転入先のクラスメイトであることを知り、急速に心惹かれていく恭介。学校内では不良のレッテルを貼られ、距離を置かれているまどかに対し、彼は臆することなく距離を詰めていこうとします。

 そんな恭介にまどかも興味を抱いていくわけですが、彼が偶然からもう1人のヒロイン・檜山ひかるとキスしてしまい、さらにはひかるが恭介に一目ぼれしてしまったことで、複雑で微妙な三角関係が生まれてしまう……。これが本作の主なストーリーラインとなります。つまりは、アオハルなトライアングラーってこと!

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▲U-NEXT配信ページより。
 そしてここが本作のキモとなるのですが。ひかるはまどかにとって“小さな頃から可愛がっている幼なじみ”だったりするんですよ。ひかる自身もまどかを慕っており、2人の関係値は姉と妹といってもいいほどの距離感。つまり、そんなひかるが恭介にひと目ぼれしてしまうと、まどかは躊躇してしまう形になるんですよね。彼女自身も恭介にどんどん惹かれていくのですが、その想いを口に出せなくなってしまうわけで……。

 恭介は恭介で、まどかへの特別な感情は自覚していながら、自分を「ダーリン」と呼んで慕ってくるひかるを邪険にはできず、一人の女性としてしっかり向き合っていきます。

 端的に言って、恭介やまどかのこの優しさと、それでも止められないお互いへの気持ちの昂ぶりが、微妙な三角関係をどんどんイビツに歪ませていくわけで……そこにめちゃくちゃヤキモキしちゃうわけです。ある意味三角関係ではありながら、実際は両片想いに近い側面もあり、この微妙な関係を見守るのが『きまぐれオレンジ★ロード』の正しい楽しみ方だといえるでしょう。

TVアニメ『きまぐれオレンジ★ロード』:あなたはまどか派? それともひかる派? 個性あふれる2人のヒロイン

 ちなみに現在、コラム執筆にあたってアニメをイチから見直している真っ最中。僕自身が初めて本作に触れた小学生の時とは明らかに受け止め方が異なっていて、自分でもビックリしています。

 というのも、正直かつての僕は、まどかとひかるの真ん中で揺れ動く恭介が優柔不断に見えており“なんかハッキリしないヤツ”と思っていた節がありまして……。自分は幼いながらに“まどか派”だったこともあり、恭介はさっさとまどかを選べばいいのにってずっと思ってたんですよね。まどかもまどかで、恭介のことが好きならひかるにその想いを告げるべきだろう、とも……。幼いがゆえに微妙な恋心なんかまったく理解できず、世界がものすごくシンプルでした。

 ただ、歳を重ねて僕なりにいくつかの恋愛も経験した今となっては、それがいかに難しいことかよくわかります。結果的に、恭介に対する感情移入の度合いも変化しているわけです。ひたむきに恭介を慕い、しかもその想いを隠そうともしないひかるはすごくキュートで。そんな彼女を恭介が無碍にできないのは男としてというより、人間として仕方ない気がしちゃう……。

 ホント、ひかるの己の感情に対してド直球なところ、今の僕には眩しくて、眩しいんですよ。こういう女の子に好かれたらたいへんだろうけど、きっとそれ以上に楽しいだろうなあってホッコリします。ひかるの可愛さにこの歳で気づいたがゆえ恭介への感情移入が進むというのも、なかなか新鮮な感覚ではありますね。

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▲U-NEXT配信ページより。
 ……などと知ったようなことを書いておきながら、25年以上の時を経てなお、鮎川まどかへの想いが不変であることも自覚しているわけで。やっぱりこのヒロインへの想いは、僕にとって特別なのかもしれない……。

 天真爛漫で感情がストレートなひかるが“陽”側のヒロインだとすると。対するまどかはちょっと“陰”とでもいうか、ミステリアスでなかなか自分の本音を見せないところがあります。より正確に書くなら“なかなか見せはしない”ものの、恭介に惹かれていることを隠しきれないシチュエーションは多々あって、その揺れ動く乙女心に強烈に惹かれる自分がいるわけです。まどかは本当に健気でかわいすぎる! しっかりしろよ恭介、このにぶちんッ!

 まどかのボイスを担当されていた声優の鶴ひろみさんが、迫真の演技でまどかの心の揺らぎをしっかりと伝えてくれているのも素晴らしい。鶴さんの演技でなければ、まどかの解像度はここまで上がってない気すらしますね。それくらいにピッタリ。最高です。

 ぶっちゃけたところ。たくさんのアニメやコミック、ゲームなどに触れてきた方からすれば、恋心に近い想いを抱いたキャラって何人かいると思うんですよ。少なくとも僕は“俺の嫁”と表現したくなる推しヒロインが数人いますし、そのキャラのことは今でも変わらず大好きです。きっと未来永劫好き。

 そして、そんなヒロインたちのなかでもこの鮎川まどかの立ち位置は、ちょっと別格かもしれないと、アニメを観直していて痛感しています。“初恋”とか、そんな微笑ましくて生易しいものではない。おそらく僕の“ヘキ”を形づくった原点……そう言っても過言ではない気がしていて。

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▲U-NEXT配信ページより。
 というのも、わたくし。一見強気でしなやかに見えるけど、その実、心の中には複雑な感情を渦巻かせているキャラに弱いんですよ。それをなかなか周りに見せない健気さや、一方で関係値を変える勇気を出せないナイーブさに、グッと心をつかまれてしまうタイプだったりします。

 ひかるの前だと恭介に対してつっけんどんになったり、自分の気持ちがバレそうになったりするとつい強がってしまうまどかが可愛い。そのくせ、恭介に構ってもらえると嬉しくて感情があふれそうになったり、2人きりになるとつい甘えたりボディタッチが増えてしまったりするところが愛おしい。ひかると恭介、どちらも大切だからと身を引こうとする優しさと臆病さが切ない。恭介には、そんなまどかの一番近くで彼女を守ってあげてほしい……そう願ってしまいます。

 この感情、ガチ恋とかではたぶんなくて。実際のところ僕自身は傍観者で構わないし、むしろそうありたいですよ。推しであるヒロインが想い人と正しく結ばれる……そこに幸せを感じるだけの傍観者。そういうのがいいし、そう思えるようになったのは、たぶんまどかのおかげって気がします。

 やれやれそれにしても、まさかこのコラムで己の核心的な“ヘキ”をさらけ出すことになるとは思いもよりませんでした。まあ、今更恥ずかしがって隠しても仕方ないし、別に構わないか……。いざ真正面から文章にするのはなかなか勇気がいりましたけどね(笑)。

 でも、鮎川まどかというキャラの魅力を語るうえでこんなわかりやすい例もなかなかないような……? つまりは一人のオタクの人生、その方向性を定めてしまうほどの魅力にあふれている。彼女はそれほど偉大なヒロインであると言いたかったわけです。おじさんの一人語りはちょっとキツかったかもしれませんが、ホントにそうなんですッ!

主人公の恭介に感情移入して、しっかり彼のことが好きになれるのも『きまぐれオレンジ★ロード』の魅力!

 未見の人はもちろん、少年時代に僕と同じく本作に触れたことがある方にもあらためて本作を見直してほしいので、最後にあえてもう一度だけ書いておきます。

 ひかるちゃんは初見時よりもすごく眩しくキュートで、魅力的に僕の目には映りました。これは心からの本音。そしてそんなひかるちゃんが居てなお、まどかにどんどん心惹かれていく自分がいたのもまた隠しようのない事実。これ、あなたならどうですかね?

 きっとまどか派の同志もいればひかる派の方も出てくることかと思います。そしてどちらの女の子に感情移入しても、きっともう片方のことを嫌いにはなれない気が僕にはしていて。それくらい本作のヒロイン2人は可愛い。やっぱり最高に可愛い。マジですげえや、『オレンジ★ロード』は……。

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▲U-NEXT配信ページより。
 あともう少しだけ書いておくと。じつは今回、恭介のことも昔以上に好きになれたことはかなり新鮮でしたね。昔の自分が「優柔不断だなあ」と思っていた部分は、実際のところ、彼が持つ心の優しさのあらわれ。人間としてかなりピュアで真っすぐなんですよね、恭介という少年は。

 たとえば、彼はかなり強力な超能力者なわけですが、その力を己が利を得るために使うことはほとんどありません。“パワーを使えばまどかにカッコいいところを見せられる”ってシチュエーションでも、それでは意味がないとしっかり踏みとどまれる強さを持っています。これって、じつはかなりカッコいい。

 もちろん自分が超能力者だと周囲に気づかれたくないって側面もあるとは思いますが。実際はまどかやひかる、自分の家族や友人にピンチが迫っているときなんかは、バレることもいとわずにパワーを使用する男気を持っていますからね……。本当にいいやつです、この主人公。

 教師からまどかやひかるのような不良とは距離を置くように言われたとき、それはただの決めつけであり偏見であると持論を譲らない強さや。タバコを吸っているまどかに「今からこんなものを吸っていると丈夫な赤ちゃんを産めなくなる」と注意できるまっすぐさも素敵。「校則で決まっているから」とか、「大人に怒られるから」みたいな説教くささとはちょっと違ったアプローチなので、当時からすごく印象に残っったセリフでした。それ以降、まどかがタバコを吸わなくなるところも含めて大好き!

 ……まあ、恭介やまどかの設定年齢は中学生ということで、そもそもタバコは絶対ダメなんですけどね(笑)。

 さておき、そんな恭介だからこそ、まどかやひかるは心を寄せていくのは納得感しかありません。最初はクールで冷たい印象だったまどかも、恭介の前では少しずつ笑顔を見せる頻度が増えていくところにキュンときてしまう……。

 “主人公のことをしっかり好きになれるラブコメ作品にハズレはない”というのが僕の持論。その点、本作の主人公である恭介にはしっかり感情移入できました。記事を読んで少しでも興味を抱いてくれた方は、恭介、まどか、ひかるの三角関係がどう展開していくのかをぜひご覧いただきたいです。年末年始に少し長めのお休みがとれるなら、まとめて鑑賞するのもオススメですよ。

 まだまだ語り足りない部分もありますが……それでは、今回はこのへんで!

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