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【進め 進め ものども】『ボコスカウォーズ』のボードゲーム『ボコスカチェス』プレイレポート。牢屋とか緊張感あるバトルとか、原作再現度が高い。圧勝目前でも王がやられるとアウトな一発逆転性もステキ

文:電撃オンライン

公開日時:

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 アナログゲームブランド“カドアナ”から2025年2月28日に発売される、2人対戦型ボードゲーム『ボコスカチェス』。
※1月18日(土)・19日(日)に大阪で開催される西日本最大級のボードゲームイベント
Board Game Business Expo Japan2025(BGBE2025)で先行発売予定。

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 『ボコスカウォーズ』が題材となった本作を発売に先駆けてプレイする機会を得られたので、概要を紹介しつつレビューや実際に対戦してみた模様をお届けします。

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最強キャラが最弱キャラに負けちゃう…こともよくある。そんな『ボコスカウォーズ』の特徴を『ボコスカチェス』でもしっかり再現!


 題材となっている『ボコスカウォーズ』は、アスキー(当時)から約40年前に発売されたX1(PC)向けのRPG……ですが、戦略性やパズルゲーム要素が強く、どちらかと言えばシミュレーションRPGに近いタイトルです。のちにファミコンなどに移植され、現在はプロジェクトEGGでPC-8801版が配信中。2016年には33年ぶりの続編『ボコスカウォーズII』も配信されました。
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 プレイヤーはスレン王国軍のスレン王と配下を操作して、バサム帝国のオゴレス王を倒すために進軍。横スクロールのフィールドを移動して最奥にいるボスを倒すとステージクリアで、全5ステージを攻略するとゲームクリアとなります。

 ちなみに筆者は『ボコスカウォーズ』をプレイしたことはないのですが、友だちがプレイしていた記憶があります。たしかファミコン版だったかなぁ。ゲーム開始時は1人で、牢屋に囚われている仲間を助けながら進んでいくので、1人に対して理不尽なほどの敵がいるイメージでした。ただ、ファミコン版以外は最初から仲間がいるようで……王国なのに1人なのはよく考えたらおかしいよね。

 『ボコスカウォーズ』の思い出をすこし振り返ったところで、『ボコスカチェス』をプレイ。中を見たところでまず驚いたのが、当時のグラフィックを再現した駒の数々。ゲームから飛び出してきたようなドットで再現されたスレン王やオゴレス王たちを見ると、当時プレイしていた方は懐かしさを感じるのではないでしょうか。

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 そんな駒が全15種類あるほか、岩や木、牢といったマップ上のオブジェクトも用意。壊して進める木や、駒が捕らえられている牢もあって、駒だけではなくフィールドごとゲームの雰囲気が味わえます。

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▲開始時の初期位置は写真の通り。ボードの外の駒はどこに置いてもいいのですが、分かりやすいようにまとめて置いてみました。
 駒を配置したらオレンジ色のアタックサイコロを交互に振り、先に剣のマークを出した方が先攻に。用意ができたところでゲームを始めてみます。

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▲左からアタックサイコロ、クラウン、アックス、メイス、ダガー。
バトルサイコロの種類と面
  • 名前/武器面の数/ドクロ面の数/空白面
  • アタックサイコロ/2面/0面/4面
  • クラウン/5面/0面/1面
  • アックス/4面/1面/1面
  • メイス/3面/2面/1面
  • ダガー/2面/3面/1面

 相手の王を狙うか、それとも駒を8つ倒して勝利するか。どちらの勝利条件を目指すか迷いますが、ボード上にある駒の数を増やせないので無駄遣いはできません。

 ボードに配置しなかった駒は特定の駒が条件を満たしたときに入れ替わりで使えます。いわゆるパワーアップなので、駒の総数自体は変わらないのを頭に入れておきたいですね。

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▲例えばポーンは、戦闘に勝利すると重兵卒に出世できます。
 駒の性能はボードの左右に記載されており、マスの中の“<”、“>”の数だけその方向に進めます。矢印がマスの外まで伸びている駒はその方向に無限に進めます。ただし、ほかの駒を飛び越えることはできません。

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▲戦闘で振れるサイコロの種類も記載されています。
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▲強さはボード左右で確認可能。上に書かれているものほど強い駒です。
 自分の手番で好きな駒を1つ動かしたら、相手の手番に移ります。これを繰り返していくのですが、同じマスに移動すると戦闘になります。

 ここまでに紹介したルールはオーソドックスですが、『ボコスカウォーズ』らしさが出てくるのはここから。

 『ボコスカウォーズ』といえば、最強のキャラクターが最弱のキャラクターに負けることもあるランダム要素のある戦闘。本作では駒の強さに応じたサイコロの種類と数でも、ランダム要素のある戦闘を再現しています。

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▲どちらが攻撃したかわかりやすくするために、攻撃をした駒が上になるように重ねています。ルールで決まっているわけではないので、実際に遊ぶ際はお好みの形でどうぞ。
 駒ごとに振れるサイコロの種類と数が決まっており、攻撃した側はアタックサイコロを追加。さらに戦闘する駒が自分より強い駒の移動範囲内にいるときはサポートシステムが発動し、サイコロが追加されます。

 もし、サポートシステムの効果で追加されるサイコロの種類が同じ場合はランクの低いサイコロに変更し、同じサイコロは触れないようになっています。つまり、最大で5個のサイコロで戦闘に挑めます。

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▲今回はサポートシステムの効果を含めて4つのサイコロで勝負。
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▲相手のサイコロは2個なので一見有利そう?
 ふれるサイコロを確認したら、サイコロを振ってマークが出た数が多い駒の勝利となり、同数の場合は勝敗が付くまでお互いに振り直します。サイコロの数が多いほど有利になると思いがちですが、ランクの低いサイコロにはマイナス効果のあるドクロの面があるので、必ずしもサイコロの数が勝敗に直結しないのがおもしろいところ。

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▲この場合は剣のマークが出たので+1、ドクロが出たので-1。合計で0となります。
 このように駒の強さだけではなく、サポートシステムの効果を受けられる範囲も考える必要があるので、戦略をしっかり考えて動かす必要がありますね。

 ちょっと複雑に思いましたが、これだけのサイコロの数と種類があることでランダム性のある戦闘が再現されています。また、戦闘時のサイコロを自動計算してくれるアプリも配信予定なので、使用すればスムーズなプレイに一役買ってくれるでしょう。

 何度も戦闘しているとサポートシステムの効果がとくに重要だと実感します。なかでもキングに次ぐ強さを持つヒーローは全方位に無限に移動できる=全方位に無限にサポートできるということなので、中央付近にいるとかなり強力。これは相手にも言えることなのですが……。

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 ただ、いかにいい位置を確保してもランダム要素のある戦闘なので、最弱の駒に負けてしまうこともあります。なので、ただ突出させるわけにはいきません。この塩梅によっていい緊張感が生まれますね。

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▲サイコロを5個振って、結果が0だったときの絶望感よ。
 これだけ『ボコスカウォーズ』らしさを楽しめる一番の要因は、原作者・ラショウ氏が『ボコスカチェス』のルールを手掛けているから。デジタルゲームの要素をアナログゲームでも再現するときにそのまま再現することはできませんが、原作者が自ら携わってルールを作ったので、ゲーム体験としては『ボコスカウォーズ』と同じように楽しめます。

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 サイコロの自動計算をしてくれるアプリでは新ステージ(スタート時の駒の配置)も配信されるので遊び方の幅が広がりそう。どんなステージが配信されるか楽しみです。

『ボコスカチェス』対戦レポート。サポートを意識して陣形を考える理論性と、サイコロ運のゆらぎによるアナログ性が楽しい!


 『ボコスカウォーズ』の要素をボードゲームに落とし込んだ『ボコスカチェス』。ルールを把握したところで実際に対戦してみることに。対戦相手の編集者・そみんは『ボコスカウォーズ』をプレイしていたとのことですが、あくまで勝負は『ボコスカチェス』。原作のプレイ経験はそこまで有利に働かないはず?

 ちなみに対戦が始まると、おもむろにバトルBGMを流し始めるそみん。『ボコスカウォーズ』のメインテーマともいわれる『すすめボコスカ』とのことで、「進めー進めーものどーもー」と歌い始めました。大丈夫か? でも、当時の『ボコスカウォーズ』ファンには通じるらしいので、大丈夫らしいです。自分はうっすらとして覚えていませんでしたが、今聞いても耳に残る不思議な曲ですね。

 さておき、筆者が先攻でゲームが始まります。本作のキモはいかに有利な状況で戦闘に持ち込むかということ。つまり、サポートシステムの恩恵を受けられる範囲を意識して駒を進めなければいけません。

 そのせいで牛歩……もとい慎重に駒を進めていきますが、岩は壊すことができず、木も特定の駒でしか壊せないのでもどかしいです。『ボコスカウォーズ』をプレイした人からすれば、これも“らしい”のだとか。
(そみんいわく、「王様で木や岩に突撃して仲間にかけられた呪いを解くのだオゴレス倒すのだー」と呪文のようにつぶやいていましたが、残念ながら(?)今回のゲームではそのルールは用意されていませんでした。でも、牢をから味方を救い出すギミックはきちんと原作再現されています)

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 しかし、いずれは戦闘を避けられません。どうせ避けられないのならアタックサイコロのぶん有利になるので、自分から積極的に攻撃を仕掛けていきます。

 神は筆者の味方のようで戦闘で勝利を重ねます。というか相手がドクロの面を出しすぎて……。ランダム戦闘の妙とでも言うのでしょうか。

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 もちろん自分の駒が減れば不利になっていきます。ただ、牢から仲間を助け出せば動かせる駒が増えるので狙ってみるのも選択肢のひとつ。

 筆者は運よく戦闘に勝利できているので、牢から仲間を救い出さなくても問題はありませんが、相手はそうとは限りません。牢を壊せるナイト系の駒を前進させて、仲間を助けに向かっていました。

 それを阻止してもいいですが、あえて泳がせて牢から仲間を解放したところで道をふさぐように自分の駒を配置。ほかの駒を飛び越えて移動はできないというルールを利用して、牢のかわりに駒で蓋をします。戦闘に負ければ蓋をしている駒がいなくなるのであくまで一時的な足止めですね。

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 それでも一定の効果はあった模様。相手の動きを制限しながら王やヒーローも前に出していき、勝利を目指します。当然、サポートシステムの効果を受けられるようにですよ。

 そうしてゲームも終盤に。7つの駒をとって勝利まであと一歩(8つの駒をとれば勝利)というところで相手も一発逆転の手を打ちます。王を狙っての進軍です。

 どれだけ駒をとっていても王が取られた時点で敗北が決定してしまいます。先攻時のアタックサイコロを除けば王は4つのサイコロを振ることがき、すべてのサイコロで武器面が出れば+4、クラウンにはドクロ面がないのでそれ以外のサイコロでドクロ面が出れば-3。つまり、振れ幅がかなり大きいのです。

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▲王が狙われている……。
 ちなみに最弱の駒であるポーンの武器サイコロはドクロ面が3つもありますが、振れ幅は+1~-1なので、運次第では最強の王相手でも勝つ可能性が用意されているわけです。ある意味で非常に緊張感が高いバトルバランスとなっており、これは原作ゲームに通じる部分がありますね……。

 てなわけで、筆者のサイコロが上回れば8つの駒をとって勝利、相手のサイコロが上回れば王を討ちとって大逆転勝利となる、まさに一大決戦!

 だったのですが、序盤からサイコロ運が良かった筆者が+2を出して、相手のサイコロの結果を待たずにあっさりと決着がついてしまいました。

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▲一応、サイコロを振ってみましたが、勝負がついているときのいい結果ほど悲しいものはないですね。
 ここまでサイコロの運がいいのならば、いっそ王やヒーローなどの強力な駒を突撃させて敵を蹴散らしていくといったプレイもおもしろかったかもしれません。そういったプレイもしてみたいですね。

 スレン王で突撃して1人で始まるファミコン版を再現するのもいいかも。ただそれで弱い駒に負けたときには……。

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 とにもかくにも、『ボコスカチェス』は『ボコスカウォーズ』らしい要素をうまく落とし込んでいて、プレイ中にBGMを流せばより楽しめます。ファンなら再現度も含めて楽しめますし、知らない人でもボードゲームとして楽しいので一度プレイしてみてほしいです。

『ボコスカチェス』製品概要

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タイトル:ボコスカチェス
ジャンル:対戦型ボードゲーム
価格:2,420円(税込)(2,200円+税)
発売日:2025年2月28日(金)
対象年齢:12歳以上
プレイ人数:2人
プレイ時間:約20分
企画:KADOKAWA
ゲームデザイン:RASHO/夢工場長
アートワーク:RASHO/PYGMY STUDIO

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