double jump.tokyoがセガよりライセンス許諾を受けて開発中の『魁 三国志大戦 -Battle of Three Kingdoms-』。その歴史アドバイザーとして参加するヤンヤンこと楊睿之(ようえいし)さんにインタビューを実施。本作に参加した経緯や「三国志」の魅力について聞いてきました。
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楊睿之(ようえいし)氏:ヤンヤンの愛称で知られる「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」のパーソナリティ。四川省成都生まれの草食系中国人を自称。
“コテンラジオ”のリスナーである西山プロデューサーから誘われ、『魁 三国志大戦』に参加
――まずはヤンヤンさんの経歴について教えてください。
ヤンヤン:
生まれは中国の四川省成都市です。成都市は、みなさんご存じ「蜀」の都があったところで、小さい時はよく家族に「武候祠」に遊びに連れって貰っていました。諸葛亮を祀った祠で、劉備のお墓とされる「恵陵」も残っている成都ならではの観光スポットです。その後、親の仕事の都合で日本に行ったり来たりして、小学校高学年から今日までずっと福岡で過ごしてきました。
大学卒業後はイチゴとトマトの農家や環境系コンサル会社を経て、今は障がい者の就労に関する研究・調査会社に勤めています。それとは別に、個人の趣味として歴史上の偉人について講義する小さな講座を年に数回開催していました。
――どういった経緯で“コテンラジオ”に参加を?
大学卒業後はイチゴとトマトの農家や環境系コンサル会社を経て、今は障がい者の就労に関する研究・調査会社に勤めています。それとは別に、個人の趣味として歴史上の偉人について講義する小さな講座を年に数回開催していました。
――どういった経緯で“コテンラジオ”に参加を?
ヤンヤン:
深井龍之介(※)くんから声をかけられたのがきっかけです。出会いは共通の知人が主催する飲み会でした。
僕がやっていた偉人講座を彼も知っていたようで、歴史にアンテナを張っている人として認識されていたようです。
それから彼の株式会社COTENに参画し、紆余曲折を経ながら一緒に”コテンラジオ”の立ち上げていくことになります。
※深井龍之介:歴史を面白く学ぶ コテンラジオ(COTEN RADIO)の運営母体である株式会社COTEN代表取締役CEO。3500年分の人類の世界史情報を体系的に整理し、数百冊の本を読んで初めてわかるような社会や人間の傾向・パターンを、誰もが抽出可能にする世界史データベースを開発中。
――今はどんな活動をしていらっしゃるのでしょうか?
僕がやっていた偉人講座を彼も知っていたようで、歴史にアンテナを張っている人として認識されていたようです。
それから彼の株式会社COTENに参画し、紆余曲折を経ながら一緒に”コテンラジオ”の立ち上げていくことになります。
※深井龍之介:歴史を面白く学ぶ コテンラジオ(COTEN RADIO)の運営母体である株式会社COTEN代表取締役CEO。3500年分の人類の世界史情報を体系的に整理し、数百冊の本を読んで初めてわかるような社会や人間の傾向・パターンを、誰もが抽出可能にする世界史データベースを開発中。
――今はどんな活動をしていらっしゃるのでしょうか?
ヤンヤン:
株式会社COTENは「人文知と社会の架け橋になる」という理念のもと、歴史データベースの研究開発や経営コンサルなどいくつかの事業を展開していますが、僕が関わっているのはメディア事業であるコテンラジオです。
一言で言えば歴史教養ラジオで、主にポッドキャストで配信しています。株式会社COTENは世界史データベースの研究開発をコア事業としており、その実現のためのメディア事業がコテンラジオという位置づけです。ただ、その始まりは深井くんと僕の「歴史を勉強し合う、語り合う楽しさ」のための趣味活動の側面があったのも確かですね。
“コテンラジオ”は、深井くんと二人で始めた当初、コンセプトも内容も暗中模索で、配信してもリスナー数が伸びず全く手応えがなかったんですが、3人目のメンバーである樋口聖典(※)さんが加わったことで「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」という今の形に洗練されていって、だんだんと軌道に乗っていった感じです。
おかげさまでユニークリスナー数は約20万人(2024年5月時点)に達し、Japan Podcast Award 2019大賞&Spotify賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS総務大臣賞/ACCグランプリも受賞させて頂けるようになりました。
※樋口聖典:株式会社BOOK代表取締役。元よしもと芸人&元ミュージシャン&音楽プロデューサーという経歴を持つ。現在は地元福岡県田川市にある廃校を利活用した複合施設「いいかねPalette(旧猪位金小学校)」の運営を通じてクリエイターや起業家支援を行うとともに、多数のポッドキャスト番組のプロデュースに携わっている。
一言で言えば歴史教養ラジオで、主にポッドキャストで配信しています。株式会社COTENは世界史データベースの研究開発をコア事業としており、その実現のためのメディア事業がコテンラジオという位置づけです。ただ、その始まりは深井くんと僕の「歴史を勉強し合う、語り合う楽しさ」のための趣味活動の側面があったのも確かですね。
“コテンラジオ”は、深井くんと二人で始めた当初、コンセプトも内容も暗中模索で、配信してもリスナー数が伸びず全く手応えがなかったんですが、3人目のメンバーである樋口聖典(※)さんが加わったことで「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」という今の形に洗練されていって、だんだんと軌道に乗っていった感じです。
おかげさまでユニークリスナー数は約20万人(2024年5月時点)に達し、Japan Podcast Award 2019大賞&Spotify賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS総務大臣賞/ACCグランプリも受賞させて頂けるようになりました。
※樋口聖典:株式会社BOOK代表取締役。元よしもと芸人&元ミュージシャン&音楽プロデューサーという経歴を持つ。現在は地元福岡県田川市にある廃校を利活用した複合施設「いいかねPalette(旧猪位金小学校)」の運営を通じてクリエイターや起業家支援を行うとともに、多数のポッドキャスト番組のプロデュースに携わっている。
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――そんなヤンヤンさんが、本作に参加するようになった経緯は?
ヤンヤン:
本作の開発プロデューサーである西山さんが“コテンラジオ”を愛聴してくださっていて、それで声をかけて頂いたという流れです。
『魁 三国志大戦』ではフレーバーテキストの発案や資料収集などに関わる
――本作では歴史アドバイザーを担当されているヤンヤンさんですが、具体的にはどんな仕事を行うのですか?
ヤンヤン:
主にフレーバーテキストなどテキスト関連の案出しをしたり、時代考証に必要な情報の整理などをしています。あとは中国での「三国志」関連のエンタメ情報についても調査していますね。
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――中国で得られる「三国志」の情報というのは、やはり日本とは違うものなのですか?
ヤンヤン:
「三国志」に関して日本でも学術研究の豊かな蓄積と、物語として親しまれてきた長い歴史があり、その熱量は「三国志」の本場である中国を超えるものであっても、決して中国に見劣りするものではありません。
ただ、「三国志」がゲームというエンタメとして消費される場合に、中国はじめ中華圏での受け止め方と日本のそれとは文化の違いが反映されて、差分があるように思います。ユーザーに刺さる要素であったり、「三国志」内の出来事や登場人物、切り口に対する関心や理解の濃淡であったり、「三国志」の世界を表現する文章のニュアンスであったり、感触の違いがあるんですね。
僕も全部を把握しているわけではないですが、関羽を例に挙げますと、日本でもゲームや漫画の人気キャラとし広く親しまれていますが、中華圏ではそこにプラスアルファ「関帝」という千年以上にわたる民間信仰に根付いた神属性も乗っかっているわけです。
中国はもとより、世界各地の華僑が住む街の多くには関帝廟や祭壇が設けられて心の拠り所となっており、また日本の神棚のように、自宅に関帝像を飾っている人も少なくありません。関羽は単にエンタメの域を超えていているということです。
そしてこうした関羽の受け止め方は、コンテンツで描かれる関羽像への受け止め方にも影響を与えています。このような情報はやはり中国語で調達するのがベターですね。参考になりそうなものがあれば西山プロデューサーにお渡しするのも僕の仕事です。
――今までどんな「三国志」関連の作品に触れてきましたか?
ただ、「三国志」がゲームというエンタメとして消費される場合に、中国はじめ中華圏での受け止め方と日本のそれとは文化の違いが反映されて、差分があるように思います。ユーザーに刺さる要素であったり、「三国志」内の出来事や登場人物、切り口に対する関心や理解の濃淡であったり、「三国志」の世界を表現する文章のニュアンスであったり、感触の違いがあるんですね。
僕も全部を把握しているわけではないですが、関羽を例に挙げますと、日本でもゲームや漫画の人気キャラとし広く親しまれていますが、中華圏ではそこにプラスアルファ「関帝」という千年以上にわたる民間信仰に根付いた神属性も乗っかっているわけです。
中国はもとより、世界各地の華僑が住む街の多くには関帝廟や祭壇が設けられて心の拠り所となっており、また日本の神棚のように、自宅に関帝像を飾っている人も少なくありません。関羽は単にエンタメの域を超えていているということです。
そしてこうした関羽の受け止め方は、コンテンツで描かれる関羽像への受け止め方にも影響を与えています。このような情報はやはり中国語で調達するのがベターですね。参考になりそうなものがあれば西山プロデューサーにお渡しするのも僕の仕事です。
――今までどんな「三国志」関連の作品に触れてきましたか?
ヤンヤン:
僕の場合は小学校のときに中国版の『三国志演義』を読んだのが初めてです。本格的な小説ではなく、子ども向けの絵本のようなものですね。その後は『三國無双』シリーズや中国の有名な歴史ドラマなどから、「三国志」に慣れ親しんできました。
実は、漫画作品にはそれほど触れてきていません。
――中国ではやっぱり「三国志」は広く知られている?
実は、漫画作品にはそれほど触れてきていません。
――中国ではやっぱり「三国志」は広く知られている?
ヤンヤン:
子どもの時からドラマや読み物などを通してなんとなく「三国志」の世界に触れてきています。もちろん学校でも学びますし、「三国志」の人気キャラにあやかった商品もたくさんあります。
「張飛牛肉」とかね。僕のように地元がそもそも「三国志」の舞台で史跡があるところだと、なおさら「三国志」の空気感がいまの暮らしの中に馴染んだりしています。そこにさらに、日本から生まれた数多の「三国志」の関連ゲームやキャラ造形が、中国の若者が「三国志」の世界にどっぷり浸かって楽しむきっかけになったように思います。
「張飛牛肉」とかね。僕のように地元がそもそも「三国志」の舞台で史跡があるところだと、なおさら「三国志」の空気感がいまの暮らしの中に馴染んだりしています。そこにさらに、日本から生まれた数多の「三国志」の関連ゲームやキャラ造形が、中国の若者が「三国志」の世界にどっぷり浸かって楽しむきっかけになったように思います。
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――好きな「三国志」の武将は誰ですか?
ヤンヤン:
曹操ですね。『三国志演義』では悪役としてのイメージが根強いですが、史実ベースで「三国志」を読み解いたときは、武将としても政治家としても、他の登場人物と比較してやはり別格なので。
――中国では曹操は嫌われているイメージがあったので、意外です。
――中国では曹操は嫌われているイメージがあったので、意外です。
ヤンヤン:
個人的な感覚ですが、曹操は人気No1なんじゃないでしょうか。もちろん、歴史的には嫌われていましたよ。中華王朝で正統派エリートとされる士大夫からすれば、宦官の家の出で、天子を傀儡扱いにして、偉大な漢帝国の息の根を実質止めた曹操は憎むべき逆臣に映ったはずです。
ただ今日の中国人のメンタリティからすると、曹操の梟雄ぶりがかっこいいんですよね。天下を呑み込んでやろうとする野望のデカさ、唯我独尊の帝王感、しかも漢詩を書かせたら超一流。最高のヒールキャラです。
――ヤンヤンさんの考える「三国志」の魅力とは?
ただ今日の中国人のメンタリティからすると、曹操の梟雄ぶりがかっこいいんですよね。天下を呑み込んでやろうとする野望のデカさ、唯我独尊の帝王感、しかも漢詩を書かせたら超一流。最高のヒールキャラです。
――ヤンヤンさんの考える「三国志」の魅力とは?
ヤンヤン:
個性が尖っている登場人物たちが多数いて、そこから“推し”を見つけられることだと思います。
それと、演出が入った『三国志演義』をベースに創作された物語からだけでなく、「三国志」といった史実からも掘り尽くせないほどの面白さを掘り出せることですね。物語と史実をぶつけあって火花を散らす、そういった刺激が味わえるのも「三国志」ならではの魅力かなと思います。
――ヤンヤンさんは「三国志」についての知識をどうやって学んだのでしょうか?
それと、演出が入った『三国志演義』をベースに創作された物語からだけでなく、「三国志」といった史実からも掘り尽くせないほどの面白さを掘り出せることですね。物語と史実をぶつけあって火花を散らす、そういった刺激が味わえるのも「三国志」ならではの魅力かなと思います。
――ヤンヤンさんは「三国志」についての知識をどうやって学んだのでしょうか?
ヤンヤン:
大きな割合を占めるのは、歴史学者の先生が書いた本や論文ですね。まだまだ勉強中です。
――“コテンラジオ”では日本史から世界史、現代情勢まで幅広い題材を扱っていますが、ヤンヤンさん自身がとくに関心のある分野はどこですか?
――“コテンラジオ”では日本史から世界史、現代情勢まで幅広い題材を扱っていますが、ヤンヤンさん自身がとくに関心のある分野はどこですか?
ヤンヤン:
とくに限定した年代・分野はないです。どんな年代・分野にも知られざる物語と系譜があって、それを深く知ることは、面白くて、素晴らしい学びになると思います。
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――ヤンヤンさんが本作で取り組みたいことについて教えてください。
ヤンヤン:
歴史のある名タイトルで、多くのプレイヤーの皆さんに愛されてきた作品です。シリーズが本来持っている雰囲気を大事にしながら、フレーバーテキストの提案や武将エピソードの調査などを通じて、ゲームのアップデートに少しでも貢献できれば嬉しいです。
『魁 三国志大戦 -Battle of Three Kingdoms-』とは
本作は『三国志大戦』の世界感や魅力を残しつつ、これまでの『三国志大戦』シリーズで実装してこなかった新しいゲームシステムを搭載した軍勢カードバトルゲームです。
アーケード版『三国志大戦』に登場した武将はもちろん、『魁 三国志大戦』のために描きおこされた新しい武将たちも登場します。