電撃オンライン

『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』レビュー。30年ぶりにプレイしたら…あの日に味わった親子の愛や友情の熱さを描くドラマに涙が止まらない!!!!!!

文:編集O

公開日時:

 3月6日にPS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam、Microsoft Store(Windows)、Epic)で発売された『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』(以下、『幻想水滸伝 I&II HDR』)。

[IMAGE]

 今回はオリジナル版を発売当時にプレイしたオールドファン目線で、お気に入りポイントを中心にした発売記念レビューをお届けします。

[IMAGE][IMAGE]※なお、内容には一部ネタバレも含まれますのでご注意ください。

解像度の上がった背景と視認性の上がったテキストで情報が把握しやすい


 「ここから語るのはちょっと地味じゃない?」と思われるかもしれませんが、個人的に今回のリマスター版を長時間プレイして感じたのは、HD化で表現力が増した背景と、視認性の上がったテキストの採用です。

 まずは背景の解像度が上がった恩恵ですが、これにより建物の形や地形の解像度が大幅にアップ。冒険中の没入感にも(良い意味で)影響を与えています。

[IMAGE]
▲グレッグミンスター城の床に思わず注目。ここがいかに格式高い場所であることが強調されています。
[IMAGE]
▲リマスター版は環境音にも力を入れているそうで、雨の降る音や噴水や滝など、水が流れる音が心地いいです。
[IMAGE]
▲ダッシュ専用ボタンが追加され、いつでも高速移動ができるように調整。フィールドやマップの視認性が上がって迷いにくくなっているので、自分は常にダッシュを使い続けていました。

 また、個人的にグッときたポイントが時刻の演出。『幻想水滸伝I』ならばテオとの対決やネクロードの城での夕日、『幻想水滸伝II』ならば主人公とジョウイが滝に飛び込む序盤の月夜が印象的でした。

 テキストやキャラクターの動きでは表現できない部分をこの環境表現で補うことで、ものすごく“イベントのエモさ”がアップしているなと感じます。

[IMAGE][IMAGE][IMAGE]

 テキスト表示のHD化については、単純に漢字変換が必要な部分は対応し、文字もよりはっきりしたことで会話がとても読みやすくなっています。UI周りの情報表示も含め、長時間プレイするほどその恩恵に気づかされました。

 とくに『幻想水滸伝II』のルカ・ブライトのセリフ周りは、顔グラフィックが鮮明に表示される&テキストの迫力が相乗効果を生み、オリジナル版での非道さを知っているはずなのに、新たに嫌悪感を植え付けられるほどでした(写真は序盤での暴れっぷりで、今後もどんどんヤバくなる……)。

[IMAGE][IMAGE][IMAGE][IMAGE]
▲リマスター版は両作品ともにセリフ周りに一切手を加えていない点もよかったです。数あるRPGの中でもヤバすぎるキャラクターのルカがマイルドになったらどうしよう……と思っていましたが、杞憂でした。

神過ぎる戦闘。倍速モードのありがたさ&紋章や協力攻撃の演出がパワーアップ


 もともとテンポ感がよく、おまかせでの一斉攻撃などが使いやすかったオリジナル版。ですが、本作では倍速モードが追加され、さらに“おまかせ”がボタン対応になり、繰り返し行う戦闘のスピードが格段に上昇しています。

 それにより、レベル上げやクエストアイテム集めがグッと楽になっています。ありがたい!

[IMAGE]
▲仲間を増やすために必要なアイテムは、敵から入手する必要があります。なかなかドロップしないだけに、戦闘時間の短縮は本当にありがたいところ。
[IMAGE]
▲倍速は2倍まで最初から選択可能です。なんと、俊足を誇るエルフのスタリオンを仲間にすると4倍が解禁! 対応ボタンを押すことで、いつでも自由にスピード段階を変えられるのも◎!

 協力攻撃や紋章攻撃のエフェクトが強化されている点も見逃せません。

 なかでも上級の紋章術はカメラワークも変わり、強化された効果音と合わせてド迫力で見ごたえがありました。ぜひすべての協力攻撃や紋章術を試してほしいですね。

 どれくらい変わったか、という点を気にかけつつ、あの日の思い出と照らし合わせるのも楽しいです。時代、進んだなあ……。

[IMAGE]
▲紋章術。攻撃対象が多いタイプはよりド派手に!
[IMAGE]
▲主人公とジョウイの協力攻撃も、発動前と発動中は美しいエフェクトで彩られます。

難易度を変更すれば、勝てない戦いも勝ちやすくなる!


 こちらも両作品に対応した新機能ですが、難易度の調整が可能になっています。

 オリジナル版では、少々手応えのあるボスになかなか勝てないという状況もありました。それが難易度調整が入ることで倒しやすくなり、最後までぼっちゃんたちの冒険を見届けられるようになっています。

[IMAGE]
▲なお、難易度はEasyとNormalならばゲーム中にいつでも自由に変更可能。Hardは一度決めたらゲーム中での変更は不可能です。シビアなだけに動画配信などに向いているかも?

『幻想水滸伝I』の“またたきの手鏡”(ワープ用のアイテム)がパーティーアイテム化


 ここからはプレイして「おっ!」と思ったポイントを紹介していきます。

 まずは『幻想水滸伝I』の“またたきの手鏡”が、一般アイテムではなくパーティーアイテム化したこと。『幻想水滸伝II』ではだいじなもの扱いになりましたが、オリジナル版の『幻想水滸伝I』は通常アイテムと同じ扱いでした。

 そのため、うっかり離脱するキャラクターに所持させてしまい(とはいえ、初見だと分からない部分もありますが……)、しばらくまたたきの手鏡が使えず大変な事態に……。同じような経験をされた方、いませんかね?

 今回のリマスター版では、それが防げるようになっていたのもありがたかったです。

[IMAGE]
▲またたきの手鏡は、ビッキーのテレポートとセットで使うのが基本。パーティーアイテム枠なのでアイテム選択しやすいです。

思い出を守りつつ、プレイしやすくなった『幻想水滸伝I&II』


 プレイしていて思い出がよみがえる『幻想水滸伝 I&II HDR』。色々と便利になりつつも、『幻想水滸伝I』のシステムが『幻想水滸伝II』に合わせられていたら……と、ふと感じてしまうことも。

 たとえばもちものに袋(倉庫的に使える)を用意、装備品の対象者確認、倉庫からのアイテム売却といった『幻想水滸伝II』に実装されている要素が『幻想水滸伝I』にはないので、アイテムのやりくりに頭を悩ませることもしばしば。昔のRPGはこれが当たり前だったのですが……(笑)。

 ゲームの進化を味わうという意味では当時のままが正解だと思うので、開発陣の想いが伝わる部分でもありました。あえて便利にしない、という選択肢ももちろん、間違ってはいないはずです。

 ドラマ、キャラクター、音楽などは秀逸で、本当に「いま遊んでも色あせない」という言葉がピッタリな名作であることを、30年ぶりにプレイして再確認しました。

[IMAGE]

 オリジナル版のファンの方々はマストで遊んでほしいですが、ゲーム好きでオリジナル版の『幻想水滸伝I&II』が未体験の人ならば、“RPGを語るうえでのひとつの物差し”となりうる作品なので、ぜひ手に取ってみてください!

◆関連記事

    本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります