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インタビュー:『エレメンタルナイツオンラインR』は17年間あえて変わらないからこそファンに愛され続けるMMORPG

文:電撃オンライン

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 ウインライトが開発・運営を手掛ける『エレメンタルナイツオンラインR(エレナイ)』(iOS/Android/Nintendo Switch/PlayStation 4)は、今年で運営17年目となる老舗MMORPGです。

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 今回は、そんな老舗MMORPGの運営を行っている山下氏のインタビューをお届けします。

『エレメンタルナイツオンラインR』は昔ながらの雰囲気でファンに愛され続けるMMO


――『エレメンタルナイツオンラインR』がどのようなゲームなのか、改めて教えてください。

 いくつか特徴がありますが、なかでもスマートフォン、Nintendo Switch、PlayStation4のマルチプラットフォームで遊べ、さらに言語を日本語と英語から選択できて、全世界162カ国に向けて展開しているというのが大きな要素だと思っています。

 実は、ガラケーとNintendo Switchでクロスプレイが出来るようにした作品なんです(笑)。最後は携帯キャリア側のサービス終了に合わせて、幕を閉じたという裏話があります。

――ガラケーのエピソードは、17年の歴史を感じます。

 今年で17年目という長期運営をしているタイトルですので、最新ゲームのようなハイクオリティのグラフィックや斬新なシステムなどは、正直にお話するとありません。

 システム面でこだわっているのが、昨今オートで遊べる作品も増えるなかで、出来るだけオート機能を入れていないところです。めんどくさいという意見もある一方、「これぞRPGだ」という好意的な意見も多いです。

 ホッとするグラフィックや、オーソドックスでシンプルなシステムは、いい意味で昔ながらの温かなRPGとしてユーザーの皆さんから好評をいただいています。

 また歴史の長い作品だけに、プレイ歴が10年を超えるプレイヤーの方たちもいます。そんなベテランの皆さんが、初心者に優しく教える土壌が出来ています。そんなほっこりした世界になっているのも、魅力ですね。

――オンラインRPGならではの、ステキなエピソードです。

 はい。また長年運営してきたことによって、プレイヤーのアバターが着せ替えられるおしゃれ装備が、2万5千点を越えているというのも大きな特徴です。アイテムの組み合わせは無限大に近くなっていて、ユーザーの皆さんそれぞれで楽しんでいただいているなと感じています。
 
 装備に関しては、他社様が実施しないようなIPとのコラボレーションにも、かなり力を入れてます。過去にはビックカメラ店舗擬人化プロジェクト「ビッカメ娘」さん、世界的に有名な「いたずらぐまのグル~ミ~」とコラボいたしました。

 その際にはコラボ先のIP様の特徴を生かしたおしゃれ装備を、コラボごとに作成しています。いろいろな姿になれるというのも、ユーザーの皆さんに喜んでいただいている点かなと思います。


――ファンタジー世界だけに、異色に思えますが、しっかり馴染んでますよね。

 ファンタジー世界をベースにしつつも、いい意味でカオスな世界観も、ユーザーの皆さんに楽しんでいただいている部分になると思います。

――運営するなかで大事だと思うこと、心がけていることはありますか?

 大きく、2点あります。

 1つ目は、時代の流れに乗りすぎないこと。最初のシステム面の話と重なるのですが、プレイのオート化や、グラフィックを刷新するゲームが増えてきていますが、あえてそれはやりませんというのが基本方針です。ユーザーが強く求めている要素ではありませんし、変えないことで他作品と差別化出来ている部分もあるかなと思っています。その時間を、エレナイならではの良さが活きるコラボやアップデートの方に使っています。

 2点目が他社様がやっていないIPとのコラボなど、ゲームの枠を越えた発想で運営をしていくことです。斬新なコラボをすることで話題性を生み、これまでゲームユーザーではなかった層のプレイヤーを増やすことが出来ました。これまで開拓されてこなかった、ゲームというメディアを通じた新しい価値を作ることが出来ていると考えています。

異色の「ビッカメ娘」コラボはどのように決まったのか


――コラボの話題と言えば、ビックカメラとのコラボはインパクトがありました。お話いただける範囲で、経緯を教えていただけますか?

 新たなIPとのコラボは、私が担当になってから強化した部分なんです。

 さらに作品を魅力的にするにはどうすればいいか考えたとき、最新グラフィックで大型アニメIPとコラボしているようなタイトルと、真正面から勝負するのは厳しいだろうと思ったんです。そこで、他社サービスがやっていないようなことで話題性があるものはないかと模索していました。

 そんななか、ビックカメラさんの「ビッカメ娘」さんを知ったんです。公式サイトを見たら面白くて、泥臭く問い合わせフォーラムからコラボのお願いをして、快いお返事をいただけたのがきっかけです。

 私も公式サイトを見て初めて知ったのですが、「ビッカメ娘」さんはビックカメラさんのキャラクターではなく、アイティオール株式会社さんが運営しているんです。アイティオール株式会社さんは内線をクラウド化するサービスをしていて、自社を広めるためにSNSで活動するなか、偶然ビックカメラさんのSNSと繋がって、キャラクター化が決まったそうなんです。


――そんな誕生エピソードがあったんですね。

 誕生の仕方も今の時代らしくて、面白いですし、話題性もありますよね。

 また全国各地に根付いたビックカメラさんの店舗が擬人化されているので、全国のユーザーの皆さんに『エレナイ』を知っていただくのにぴったりだなと思いました。

――意外性が大きいぶん、ユーザーからの反響も大きかったのではないでしょうか?

 ゲームユーザーの皆さんはもちろん、それ以外の皆さんからも反響をいただきました。

 アイティオール株式会社さんはナイセンというXのアカウントを運営していて、そこに「ビッカメ娘」さんを応援するナイセン団というコミュニティーがあるんです。そのメンバーも遊んでくださって、あまりゲームを遊ばない方が作品を知るきっかけを作れたこともよかったです。

チャレンジ企画やUGCコンテストなど、ファン参加型のイベントも!


――これまで運営されてきたなかで、印象に残っているエピソードはありますか?

 17年の歴史のなか、私はまだ5年ほどしか運営に関わっていないので、ほかのスタッフやユーザーの皆さんの方がステキな思い出があると思います。

 私の記憶に残っているのは、2020年におこなったバーチャルメイドアイドル・羽原ゆとりさんとのコラボです。配信プラットフォーム・SHOWROOMで、チャレンジ企画「羽原ゆとりのエレナイチャレンジ」をやりました。羽原ゆとりさんの頑張りでたくさんのユーザーに注目され、ユーザーも協力して、チャレンジ企画を後押ししてくださいました。数回行ったのですが、回を重ねるごとに熱くなっていく様子に、いい意味でMMOらしい配信の盛り上がりを見られたなと感じました。


――プレイヤーごとに違う物語があって、配信ではそれを見守れるというのもMMORPGの楽しさですよね。

 そうなんです。無茶苦茶なチャレンジもあったので、全部は達成できませんでしたし、いろいろなトラブルもありました。そんな予定通りにいかないことがあっても、ユーザーとの交流も含めて思い出になりますし、配信の面白さだなと感じました。

 残念ながら羽原ゆとりさんは引退されてしまったんですが、ステキな思い出になっています。先日ガチャで、コラボ衣装を復刻したのですが、ユーザーさんにも好評で、今でも着せ替えを楽しんでくださっている方が多いです。

――2024年4月に、『元素騎士オンライン』が提供するUGC(ユーザー生成コンテンツ)ツールと連携して、UGC装備が実装されました。ユーザーの皆さんの反響はいかがでしたか

 『元素騎士オンライン』のユーザーからの反響が、特に大きかったです。自分がデザインしたものが、『エレナイ』で実装されるなんて、思ってもいなかったようです。今後も採用される機会があるかもしれないので、期待したいというクリエイター視点での意見もありました。

 運営側としても、我々にはなかった発想のデザインがたくさんありまして、クリエイターとして刺激を受けた部分もあります。


――今後のUGC関連の取り組みがあれば、お話いただける範囲で教えてください。

 UGCに近いところで、「第1回エレコン(エレナイ・クリエイター・コンテスト)」という形で、新キャラクターの募集をしたんです。ありがたいことに、ビジュアルや設定など、とても熱がこもった作品が計591点も集まりました。大変想いがこもっていて、選考にも時間がかかっています。

 今後も運営が提供するだけでなく、ユーザーの皆さんが参加いただけるサービスを目指していきたいと思っています。UGCも含めて、発展させていきたいですね。



――自分が参加することで、世界への愛着も増しますよね。『エレナイ』は10年以上続いており、多くのユーザーに親しまれていますが、一方で新規プレイするのは敷居が高く感じる方もいると思います。新規プレイヤーに向けたアドバイスがあれば、教えてください。

 最初の特徴でもお話しましたが、本当に優しく、面倒見のいいベテランユーザーさんが多いです。

 ゲーム内の機能にクエストで、パーティを募集して一緒に冒険する機能があります。そこで募集したり、参加したり、ベテランと初心者ユーザーさんが組む機会がたくさんあります。

 自分もそうだったのですが、パーティを組んだベテランユーザーさんが優しく導いてくれたり、たまに強い装備をくれたり、温かな世界が広がっているので安心してほしいです。

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――ほかのユーザーさんと、積極的に関わっていくのがいいんですね。

 いきなりチャットで話しかけたりするのは敷居が高いと思うので、パーティの自動募集から交流を進めるのがオススメです。

 冒険するなかで伝えたいことが出てくれば自然にチャットに繋がっていくと思うので、そこから深い交流も楽しんでほしいです。

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――お話いただける範囲で、今後の展望を教えてください。

 『エレナイ』の長所である懐かしくて、温かみのある世界という軸を大切にします。そこから新たな価値を創り出すため、新たなコラボなどゲームの枠を越えたチャレンジをし続けていきます。

 直近としては、「いたずらぐまのグル~ミ~」さんとコラボのオリジナルグッズを販売しています。ゲーム内で好評だったアイテムを、リアルグッズにしていますので、どちらのファンにも喜んでいただけるかなと思っています。

 また17年の運営のなかで、『エレナイ』の世界観や人気のアバター衣装が蓄積されています。その世界観や衣装を使用した、ハイブリットカジュアルゲームの事業を開始しました。第1弾は和風の世界観を活かした侍が主人公の剣劇アクションゲームで、タイトル名は『SAMURAI ELEMENTS』として
GooglePlayストアで配信中です。

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 まだテストマーケ段階ですが、よかったら手にとってもらえたらと思います。派生作品と『エレナイ』が総合総客を行って、全体として作品を楽しむ方を増やしていきたいなと思っています。

 長期的には、世界的に人気も注目度も高い日本文化を、『エレナイ』のなかで感じられるコラボレーションに取り組んでいきたいと思っています。今は地方自治体さんや観光地さん、ご当地VTubeさんにお声がけをしていて、ご当地密着型のコラボでゲーム内に日本文化のファンコミュニティを形成し、それをグローバルに発信することで、国内外のユーザー拡大をしていきたいです。具体的にはまだお話出来ませんが、ご期待いただきたいです。

――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

 運営サービスが17年目を迎え、いつも遊んでくださり、本当にありがとうございます。これからも良いところは変えず、新しいチャレンジを続けていこうと思っています。

 アンケートを定期的に開催しておりますし、SNSで『エレナイ』と入れて発信していただければ、ほぼすべて目を通しておりますので、気軽にご意見をいただけると嬉しいです。

 まだ遊んだことがないという未来のユーザーの皆さんは、勇気を出して『エレナイ』の世界に一歩足を踏み出してほしいなと思います。その先には、ほっこりとした優しい出会いがあります。新たな世界や自分の発見があると思いますので、ぜひ遊んでみてください。

――ありがとうございました。

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