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【スパロボY参戦作品紹介】機動戦士Zガンダム:あの名物敵キャラは登場するのか? 初めてウェイブライダー突撃が実装された『α外伝』も印象的【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

公開日時:

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 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第5回は『機動戦士Zガンダム』について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、
ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『機動戦士Zガンダム』とは?【スパロボY参戦作品紹介】


 『機動戦士Zガンダム』は、1985~86年にかけて放送されていたTVアニメ。

 2005~2006年にかけては、新規作画を交えた新たな解釈での総集編となる劇場版三部作『機動戦士Zガンダム A New Translation』も公開されています。

 大ヒットして社会現象を巻き起こした『機動戦士ガンダム』の続編にあたり、『ガンダム』から7年後のU.C.0087年が舞台になっています。

 放送中のTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』では、本作のキャラクターであるバスク・オム、ゲーツ・キャパが登場し、話題を呼んでいたことも記憶に新しいです。


 主人公を務めるのは、スペースコロニー“グリーン・ノア1”に住むカミーユ・ビダン。

 カミーユは、地球連邦軍内の地球至上主義者の集団であるティターンズの軍人に名前を馬鹿にされたことをきっかけに、ティターンズの新型モビルスーツであるガンダムMK-IIを盗み出し、反ティターンズの集団であるエゥーゴに参加。

 クワトロ・バジーナという偽名を名乗っていたシャア・アズナブルらと共に、ティターンズとの戦いに身を投じていきます。

 当初はエゥーゴに成り行きで参加したカミーユでしたが、ティターンズの非道な作戦の数々を目の当たりにしたことや、強化人間の少女であるフォウ・ムラサメとの出会いを通じて、非凡なニュータイプとしての才能を開花させていくことになります。

 『Zガンダム』の特徴は、『ガンダム』シリーズの中でも組織間の対立構造が複雑なこと。

 主な敵となるティターンズは地球連邦の組織なのですが、それと対立するエゥーゴも同じ連邦内の組織になっていて、国と国の戦争ではなく、同じ地球連邦に属する勢力同士の派閥争いが描かれています。

 しかも中盤になると、初代『ガンダム』のジオン公国の流れを組んだアクシズも第三勢力として加わり、互いに協力関係を結んだり敵対したりするので、複数の勢力が入り混じった複雑な物語が展開されていきます。

 主人公のカミーユ・ビダンのキャラクターの個性が強いのも特徴で、名前を馬鹿にされたからといきなりティターンズの軍人を殴ろうとしたり、モビルスーツを盗み出した上、自分を尋問した軍警をバルカンで脅して高笑いしたりと、とにかく行動がエキセントリック。

 歴代『ガンダム』シリーズの主人公の中でも、カミーユほどの問題行動の多いキャラクターはほとんどいないのではないかと思えるほどです。

 ただ、そのカミーユのエキセントリックさは、優れたニュータイプとしての感受性が高すぎるからでもあり、戦いを通して精神的に成長しつつも、大事な人を次々と失い、その心を疲弊させていくという、重厚かつシリアスなストーリーも見どころになっています。

■『機動戦士Zガンダム』を見る

『スパロボα外伝』で初めて“ウェイブライダー突撃”が追加され、終盤まで活躍させられるように【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボ』においては、『機動戦士Zガンダム』は1991年にゲームボーイ向けに発売されたシリーズ第1作『スーパーロボット大戦』から参戦しています。

 主人公のカミーユに加えて、『機動戦士ガンダム』の主人公であるアムロ・レイ、ライバルのシャアがクワトロとして味方にいるという設定の美味しさもあってか、ほとんどの版権『スパロボ』に参戦しているという、常連中の常連と言える作品です。

 中でも個人的に印象深いのは、主人公機であるZガンダムの扱いが大きく変わった『スーパーロボット大戦α外伝』でしょうか。

 それまでのシリーズでのZガンダムは、「序盤で加入して中盤くらいまでは自軍のエース機体として活躍するけど、終盤には息切れする」くらいの位置づけになることが多めでした。

 一方で、パイロットのカミーユ自身は自軍最強クラスのパイロットの一人だったので、終盤に加入する別のモビルスーツに乗り換えて、Zはスタメン落ちしてしまう……みたいなことも珍しくなかったんですね。


 それが大きく変わったのが『スパロボα外伝』で、条件を満たすと必殺武装として“ウェイブライダー突撃”が追加され、νガンダムやV2アサルトバスターといったグリプス戦役以降の時代の主人公用機体と比べても見劣りしない性能になりました。

 それまでの『スパロボ』では、とくにモビルスーツについてはスペック通りの武装だけが搭載されているパターンがほとんどで、主人公機であろうと終盤まで使うのは結構大変な機体が珍しくなかったので、「こういうのもアリなんだ」と衝撃を受けたのを覚えています。

 これ以降、ほとんどの作品でウェイブライダー突撃はZガンダムの標準装備に近い形になりましたし、いろんなユニットに原作のワンシーンを再現した必殺武装が追加されるのも珍しくなくなっていったので、『スパロボ』シリーズにとっても変換点になったのではないかという印象です。

 あとは初めて劇場版として参戦した『スーパーロボット大戦Z』も印象深い作品。

 『スパロボα外伝』以降Zガンダムは強くなっていたものの、前半の主人公機であるガンダムMK-IIはゲーム性能的に不遇なことが多かったのですが、改めて『Zガンダム』のストーリーが再現された『スパロボZ』では、“フライングアーマー突撃”という必殺武装が追加され、ガンダムMK-IIも主力として使えたのが新鮮でした。


 改造もZガンダムに引き継がれ、MK-II自身はスーパーガンダムへのパワーアップもあるので惜しみなく資金を投入できますし、劇場版の大きな見どころだった、ガンダムMK-IIのキックの演出を戦闘アニメに組み込んでくれていたのも嬉しかったところです。

 また、『ガンダム』シリーズにおいて何かと共通点の多い主人公である『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のシン・アスカと仲良くなっていたのもポイント。

 劇場版のカミーユは、TV版よりも少し余裕のあるキャラクターとして描かれていた違いもあって、シンに対する良き友人ポジションとして、これまでの『スパロボ』にはあまりなかったタイプの描かれ方をしていたのも面白かったです。

 とくに『スパロボZ』シリーズでは、以降のタイトルでも、この二人はだいたい一緒に行動していた印象があるくらい、名コンビとして定着していたような印象があります。

グリプス戦役の頃にカミーユは誰と共闘していたのか?【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボY』ではどうなのかというと、公式サイトの作品紹介のあらすじを見るに、ベースはTV版での参戦になっているようで、TVシリーズのラストにまで言及があります。

 ただ、『スパロボY』では、その先の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の展開も終わっていると思われるので、グリプス戦役の終結からは結構時間が空いている可能性があります。カミーユも、ラストに陥っていた状態から既に復帰しているかもしれません。

 『スパロボY』にも『SEED DESTINY』が参戦しているので、またカミーユとシンが絡むのかどうかというも気になったりするんですけど、もし『SEED DESTINY』が『逆襲のシャア』と同じくらいの時間軸だと仮定すると、グリプス戦役は『SEED DESTINY』の前の『機動戦士ガンダムSEED』(今回は参戦していませんが)くらいの時代に相当するようなことも考えられるなと。

 その場合、ブルーコスモスとティターンズが結びついていたり、エゥーゴはアークエンジェルやエターナルに協力していたとか、結構違和感なく宇宙世紀とコズミック・イラの世界が混ざるような気がしています。

 どちらかというと、カミーユはシンと絡んでいる印象が強いキャラなので、キラと過去に知り合いになっていたりしたら新鮮で面白そうです。

 あとは『Zガンダム』って、バスク・オムもそうですが、ヤザン・ゲーブルとかジェリド・メサとか、敵キャラクターの個性がかなり強くて印象的なので、そのあたりが登場するのかも気になるところ。

 とくにヤザン・ゲーブルは、元々グリプス戦役後も生き残っている設定ですし、PVでカミーユの乗るZガンダムがヤザンの愛機でもあるハンブラビと戦っているので、今回も出てくる可能性は十分にありそうです。

 敵として使いやすいポジションなのもあってか、『スパロボ』にもかなりの頻度で登場しており、とくに『スパロボF』の頃は、ヤザンの乗ったハンブラビはHPが数万あり、やたらしぶとかった印象が強いですね。

 もし今回もヤザンが登場するとするなら、『スパロボV』では仲間になったりもしましたが、果たして今回はどうなるのか……?

 常連作品だからこそ、久しぶりに発売される『スパロボY』ではどんな風に扱われるのか気になるところです。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー(第2回~第4回)


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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