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【スパロボY参戦作品紹介】機動戦士ガンダムSEED DESTINY:SEEDシリーズ熱が高まった最高のタイミングでの参戦。『Z』や『L』で見せた『スパロボ』ならではのIF展開が思い出深い【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

公開日時:

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 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第4回は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、
ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』とは【スパロボY参戦作品紹介】


 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』は、2004~2005年に放送されていたTVアニメ。

 普通の人間である“ナチュラル”と、遺伝子を操作されて生まれた“コーディネイター”の種族間での戦争を描いた『機動戦士ガンダムSEED』の続編にあたります。


 『SEED』といえば爆発的な人気を誇ったヒット作で、いわゆるオルタナティブシリーズ(当時は『アナザーガンダム』と呼ばれるのが一般的でしたが)の『ガンダム』の続編が、TVシリーズとして作られることは後にも先にもかなり珍しいです。

 『機動戦士ガンダム』のザクをモチーフにしたモビルスーツが登場することも明かされたり(後でグフ、ドムがモチーフの機体も登場)、放送前からの話題性がとにかく高かった作品でした。

 2024年には、20年ぶりの続編となる映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が、『ガンダム』シリーズの映画の歴代興行収入を大きく上回る大ヒットを記録したことも記憶に新しいです。


 主人公のシン・アスカは、オーブ連合首長国で家族と平和に過ごしていた最中、地球連合軍との戦闘で家族を失い、コーディネイターの国家であるプラントに移住した少年。

 シンは家族を奪った“戦争”に対して強い怒りを覚えており、戦争を失くすためにザフトに志願し、新型のモビルスーツ“インパルス”のパイロットに選ばれ、新造艦“ミネルバ”へと配属されます。

 ザフトが開発した新型のガンダムを狙った地球連合軍の特殊部隊“ファントムペイン”によるプラントを襲撃を機に、シンはインパルスのパイロットとして戦いに身を投じていくことになります。


 一方、そんなシンと深く関わることになるのが、『SEED』でキラ・ヤマトと並ぶもう一人の主人公と言えるアスラン・ザラです。

 アスランは前大戦終結後、自分の素性を偽ってオーブ連合首長国首長のカガリ・ユラ・アスハの護衛としてプラントを訪れており、偶然ファントムペインによる襲撃に巻き込まれたことで、成り行きでミネルバに乗艦します。

 アスランは当初は迷いを抱えていたものの、プラントの最高評議会議長ギルバート・デュランダルの言葉に従ってザフトに復隊を決め、ミネルバの一員としてシンたちと共に戦うようになります。


 しかし、シンたちの奮闘もむなしく、コーディネイターの廃絶を訴える“ブルーコスモス”の暗躍によって、再び地球とプラント間での戦争が始まり、シンの祖国であるオーブは地球側についてしまいます。

 そんな時、一度は戦いから離れて静かに暮らしていたキラ・ヤマトは、オーブを戦争に巻き込まないようにするべくもう一度戦う決意を固め、地球にもザフトにも属さない第三勢力として戦闘に介入。以降、シン、アスラン、キラの三人の主人公の視点が複雑に入り混じりながら、『SEED DESTINY』の物語は展開されていきます。

■『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』を見る

本編とは異なる展開が描かれた『スパロボZ』や『スパロボL』でのIFストーリーの思い出【スパロボY参戦作品紹介】


 『SEED DESTINY』は非常に人気が高い作品ということもあり、初参戦の『スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd』以降、かなりの頻度で『スパロボ』に参戦を果たしている常連作品の一つです。

 中でも個人的に印象深いのは、初めて本格的なストーリー再現が行われた『スーパーロボット大戦Z』でしょうか。

 『スパロボZ』は『SEED DESTINY』が作品の中心になっており、とくに女性主人公であるセツコ・オハラのルートを選ぶと第2話からシンが加入して、序盤から自軍の主力として活躍してくれます。

 シンとキラという二人の主人公が激しく対立するという『SEED DESTINY』の特徴も再現されており、自軍がザフトとアークエンジェル側にそれぞれ別れて仲間割れするという、歴代『スパロボ』シリーズでもかなり珍しい展開も描かれていました。

 また普通にプレイすると、最終的にザフトと自軍は敵対し、シンたちミネルバ隊も離脱してしまうのですが、特定の条件を満たすことでシンたちが自軍に残留するIFルートも用意されており、これが非常に熱かったです。

 原作のシンは、内心でデュランダルの唱えるデスティニープランに疑問を感じていながらも、戦争を無くしたいという想いや親友であるレイ・ザ・バレルの存在などもあって、デュランダルの元で戦い続けていました。

 一方IFルートでは、主人公のセツコ・オハラや『機動戦士Zガンダム』のカミーユ・ビダンといったレイ以外の理解者たちとも交流を重ねていたことで、自らの意思でデュランダルと袂を分かつ決断を下す展開が描かれます。

 原作では叶わなかった、シンとキラの共闘という夢の展開を実現してくれたんですね。


 原作の物語に沿いながらも、途中で異なる展開を迎えることがあるのも『スパロボ』シリーズの魅力ですが、『スパロボZ』でのIFルートはまさに『スパロボ』だからこそ描けた『SEED DESTINY』の可能性を見せてくれたという感動がありました(筆者はシンとデスティニーガンダムが好きだったので尚更でした)。

 あとはもう1作、『スーパーロボット大戦L』でのシナリオも印象深いです。

 こちらも『SEED DESTINY』のストーリーの大筋をミネルバ隊寄りで再現しているのですが、キラたちアークエンジェルの行動が細かく変わっています。

 一例としてシンがフリーダムに対する怒りを爆発させるきっかけになる、ステラ・ルーシェの乗るデストロイとの戦闘回では、キラがシンに協力して一緒にステラを救出し、シンがフリーダムに恩義を感じるという展開に。

 その後プラント本国から命じられるエンジェルダウン作戦についても、シンは「フリーダムとは戦いたくない」という原作とは正反対の精神状態で迎えることになります。


 同じIFでも『スパロボZ』とはまったく異なるものを見せてくれたのが非常に面白く、こういうのもアリなんだと、新しい『スパロボ』の可能性を感じさせてくれた作品でした。

設定の相性が良さそうな『マジェプリ』とのクロスオーバーはあるのか?【スパロボY参戦作品紹介】


 そんな『SEED DESTINY』ですが、コンシューマ用の『スパロボ』としては、最後に参戦したのは2017年発売の『スーパーロボット大戦V』まで遡るので、結構久しぶりの参戦になっています。

 最近の『スパロボ』では『スパロボDD』を除いて原作終了後での参戦だったので、久しぶりにストーリーが見たかった気持ちはあったんですが、5月20日に放送された『スパロボY』情報局にて、番組の12:50あたりから『スパロボY』の世界は戦争を乗り越えた後だという発言がありました。

 人間同士の戦争をメインに描いている『SEED DESTINY』に関しては、おそらく今回も原作終了後での時系列での参戦になるのではないかと予想しています。


 その上でクロスオーバーで楽しみなのが、『スーパーロボット大戦30』に続いての参戦となる『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』(マジェプリ)との絡みです。

 『マジェプリ』のメインキャラクターであるチームラビッツの面々は、戦いのために遺伝子操作によって生み出された存在なので、『SEED』シリーズにおけるコーディネイターやデスティニープランの設定との親和性が高めです。

 遺伝子工学の権威でもあるデュランダルがMJP計画に何らかの形で関わっていた、みたいな展開もありえるのかなと想像したりもしています。


 加えて、どちらもキャラクターデザインを平井久司さんが担当しているという共通点もあります。

 平井久司さんがキャラクターデザインを担当した『蒼穹のファフナー』も『スパロボ』に参戦しており、『スーパーロボット大戦UX』での『SEED DESTINY』との濃いクロスオーバーは、今も『スパロボ』ファンの間で語り継がれているほど。同じ平井さん繋がりというのもあって、『マジェプリ』との絡みもあるんじゃないかと期待を寄せています。

 『SEED FREEDOM』の存在もあって、プレイヤー側としても『SEED』シリーズ熱がこれ以上なく高いタイミングでの参戦でもあると思うので、『スパロボY』での活躍がとくに楽しみな作品です。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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