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【ほぼ週刊電撃スタッフコラム:オッシー】鍵に始まり鍵に終わる(終わらない)エンドレス鍵わらしべ長者ホラーゲームとイヤミス女王の映像化が精神的に嫌すぎる(褒め言葉)

文:オッシー

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 みなさんこんにちは。徐々に梅雨めいて参りまして、インドアの趣味が捗りますね。晴れてても引きこもってゲームするのは変わらないけど。ということで、スタッフコラム第三回目もオッシーがお送りします。

 このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビューを形式でお送りしています。今回はゲーム編と映画・ドラマ編です。

■電撃インディー配信アーカイブ

これがオレと息子と知らない誰かの絆だぁぁぁ! 拠点攻略RTA感がたまらない楽しさ。多数決の論理で場を支配する

タイトル:『ELDEN RING NIGHTREIGN』
プレイ状況:PS5版 夜の王3体(三つ首・顎・兆し)討伐済み

 息子が日がな数えてついに発売された『ELDEN RING NIGHTREIGN』! 世界観は共有しつつも、三人協力プレイゲームとなり、まったく異なるゲーム体験が得られるようになった。
最初は正直、「シングルプレイRPG続編がやりたかったな~」と思っていたが、コツが掴めるとメチャクチャ楽しい!

 最初は各々が好き勝手立ち回るので、あっちこっちで屍を晒して阿鼻叫喚だったものの、「いかに拠点を早く多く攻略するか」ゲームだと気づいてからは別ゲーレベルで楽しくなった。リムベルドに降り立ってからのルート取りを考えて、ピン立てして他のメンバーを誘導、全員で素早く次々と拠点を蹂躙してく。

 たまに意見が分かれる時もあるが問題ない。なぜなら息子と二人でリビング横並び(モニタもPS5も2台並べて)でプレイしているので、野良でマッチングするどこかの誰かは常に一人。つまり三人中二人は意思統一がリアルで取れるので、絶対に多数決で負けない不正選挙が行われているわけである。

 何回プレイしても新たな発見があり、ボスもさすがのフロム難易度でやりがいがある。ただし、ボスにやられても『ELDEN RING』ならすぐに再戦できるが、『NIGHTREIGN』はまた一日目から三日目(ボス戦)までイチからやり直すので、ボス戦の習熟にかなりの時間がかかってしまう(大体、一回のランに3~40分かかる為)。ボスに再戦もしくは練習できるモードがあったら良かったな、DLCラダーンに100回以上チャレンジした筆者は思うのであった。

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▲鉄の目でプレイしているので弓以外のレジェンド武器出ても使えないの図。そして弓のレジェンドは見たことも無い。

どうだい見てくれオレの打ったそそり立つフランベルジュを!

タイトル:『Blades of Fire』
プレイ状況:PS5版 未クリア

 以前からプレイしたものの、途中で進行不能な不具合に引っかかり放置していたら、最近のアップデートで解消されたので再プレイ。かなり楽しくてハマっていたので、素早く対応してくれて感謝!

 死にゲーソウルライクの皮を被った武器愛鍛冶ゲー。自分の武器は自分で作る! 細かい素材選びから、力加減はもちろん角度まで調整する鍛冶パートを経て磨き上げられたマイサン(武器)の愛おしさよ。ただし、修理回数が決まっており、永遠に使うことはできない仕様。難易度「鋼」だと、割とすぐヘタるので、正直武器は使い捨てざるを得ない。ただ、使い込んだ武器は名声値が上がり、レアアイテムとの交換に使えるようになるので、完全に無駄にはならない。愛武器との出会いと別れ……それが本作の魅力である。

 戦闘も上記の武器愛システム(と勝手に呼んでいるが)に沿った形で、同じ武器でも突いたり切ったりと選べたり、上下左右に攻撃ボタンが割り振られていて、下段からの上段と見せかけて右からの中段、のように武器を振るうことができる。さらにその使い方によって武器の摩耗の仕方が変わってくるという偏執的な凝りよう。包丁でも何でもそうだが、強いからって同じ角度、同じ箇所だけ使っていては寿命が長く使えないのだ。車のタイヤをクロスしてシーズンごとに履き替えるやつを思い出した。

 と、武器鍛冶のシステムや戦闘は概ね完成度高くまとまっているので高評価。反面、マップは嫌がらせかというぐらい複雑で分かりにくい。高低差のあるマップに裏からしか開けられない扉のオンパレード。更にマップ機能が上からの見下ろしのみで、高低差がかなりあるにも関わらず二次元情報しか無いので、まったく役に立たない。結果、迷いに迷った挙げ句、敵が多いので虎の子の愛武器がすり減っていくのだ……。もうこの際リアリティとかどうでもいいから、目的地まで黄色いペンキぶち撒けて欲しい。

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▲赤い砦のこのヴァルキリー風乳母だけは許さない。マップが分かりにくいから一回攫われると探すの大変なんだよ!

レストラン経営ゲーは良作多し。基本的に忙しいから取捨選択が大事だよね

タイトル:『ドラゴンの歌:料理と冒険』
プレイ状況:Steam版(アーリーアクセス) 未クリア

 配信でプレイした『牧場物語』+レストラン経営ゲー。触りしかプレイしていないものの、食材を作ったり魚を釣ったりしつつ、レストランでお金を稼ぐお馴染みのサイクル。雰囲気はまったりしているものの、結構忙しい。ただ、レストランパートは自動調理システム完備なので、基本的には料理を運んだり片付けたりといったウェイター業務が主。食材探索が結構大変なので、料理パートは簡略化しているみたい。割り切りは大事よね。

 世界観的にも、お助けドラゴンがいたり、「世界食い」という名の大層なゴミ箱があったりして楽しい。最初はドラゴンを狩ってドラゴンステーキを作るのが目的かと思った。『ダンジョンマスター』ばりに。

 アーリーアクセス中なので、翻訳がこなれていなかったりするけれど、これからのアップデートで良くなってくるかな。以前にプレイしてドハマリした『キュイジニア』みもあるので、期待!

■電撃インディー配信アーカイブ
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▲耕して種を植えて水をやる。いろんなゲームで何回やらせんねんとも思うけど、無ければ無いで寂しいもんよ。

事務室を開けるための鍵のある部室を開けるための鍵のある用務室を開けるための鍵のある守衛室を開けるための……

タイトル:『SHADOW DETECTIVE』
プレイ状況:Steam版 未クリア

 学校を舞台にしたホラーゲーム。怪奇現象が起きている夜の学校にシャドウディテクティブとして調査に入ることとなる。シャドウディテクティブが何なのかは良く分からない。多分、怪異ハンター的な感じだと思われる。

 ホラーウォーキングシミュレーターの一種ではあるが、特徴は舞台となる高校がかなり広いのと、オープンワールドを謳っていること。各学年の教室は良いとして、とにかく特別室がありすぎる。事務室に守衛室に用務員室、会議室に視聴覚室、科学室にその準備室など、「これ用途被ってない?」的な部屋がめたんこある。部室も別棟とかじゃなく校舎内にいっぱいある。極めつけは職員室で、第三職員室まである。そんな学校なんて実在するの? っていうか普通に不便じゃない?

 そんな広大な学校をオープンワールドでシームレスにしたもんだから、これは探索も収拾つかんやろ……と思っていたが、その画期的な解決方法がこのゲームにはあった! それが「エンドレス鍵わらしべ長者システム(筆者が勝手に命名)」である。なんとこのゲームの学校は、セキュリティのためと称し、ありとあらゆる部屋に施錠して回ったのだ。さらにそれを開けるための鍵はマスターキーなどではなく個別に用意されており、その管理方法も複雑怪奇かつころころ運用方法が変わる始末。これ絶対に先生方も混乱して分からなくなっているだろ……。ともかく、多くの部屋に鍵をかけることにより、オープンワールドでも攻略導線をしっかり引くことができたのであった……めでたしめでたし、とは当然ならず、結果的に特定の部屋に入るための鍵を見つけるための部屋に入るための鍵を探す……というスーパー鍵探しゲームとなった。

 まあウォーキングシミュレーターは基本的にフラグ立て鍵探しゲームなので、それを煮詰めた形と言えばそう。でも調査を依頼した校長はせめてマスターキー渡しておけやとは思う。というか曲がりなりにも影の探偵なんて気取るなら、ピッキングくらいできても良くない?

 ということで、ホラー配信でプレイしたものの、大半が鍵探しに終始する配信となった。ただ、途中から鍵を探して回るのもわらしべ長者感が出てきて楽しくなってきたので、ゲームとしては結構面白かった。事務室の鍵が見つけられず、本格的なホラー演出まで辿り着けなかったのは不甲斐なかった。地図が昇降口のところにしか無く、手持ちの地図がなかったので、ワンボタンで見れる地図機能があれば良かったかなと。アプデに期待。


■電撃インディー配信アーカイブ
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▲「今使う必要はなさそうだ」って、なぜ初見なはずのお前に不要かどうかが判断できるのか。絶対に後で必要なやつやんけ。

 
次は映画&ドラマ(というかNetflix)編! ネタバレ注意!

舐めてた相手がヤベーやつだった系リベンジ映画の少女版。殺しまくり『ホーム・アローン』でもある

タイトル:『ベッキー、キレる』

 続編なのを知らずにNetflixの新着枠で見つけて視聴。(前作で両親が殺されたらしいが)、孤児の少女が流れ着いた先の恩人(老婦人)が殺され、その復讐を行う話。

 前作はネオナチ相手に大暴れだったらしいが、今回は危険思想の半グレ的なやつがターゲット。特に何か目的があって恩人を殺害したわけではなく、主人公(ベッキー)が働いているダイナーで絡んできた半グレが逆恨みして主人公宅を襲撃→巻き込まれて老婦人が死亡という流れ。被害者がおばあちゃんだし、『ビーキーパー』思い出した。あと愛犬も絡むので『ジョン・ウィック』も。

 ターゲットグループが割と小物で、仲間割れで勝手に自滅したりもするので、『ジョン・ウィック』ばりのKILL数は望めない。ただ落とし穴トラップや『SAW』ばりの処刑マスクでフェイタリティしまくるので楽しい。というかベッキー本人も楽しそうに殺しまくるので、恩人の復讐忘れてるまである。

 ラストの展開はシリーズ化を強く意識したもので、個人的にはワクワクした。というか、元々あったスパイ映画の前日譚だったのかな? と思ったけど違うみたい。ただ理由もなく殺し回る系の映画はあまり好きではないので、類まれなる殺人能力・衝動は持ちつつも、大義の為に戦う、みたいな展開で続いていくなら楽しみ。

一体何を食べたらこんなに嫌な気持ちになる話を書けるのか。イヤミス女王の短編実写化

タイトル:ドラマ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』

 イヤミスの女王として名高い、湊かなえ氏の同名小説を原作とした実写化ドラマ。原作未見なものの、『告白』や『母性』など、映像化作品は過去に見ており、非常にイヤーな感じを手軽に(?)味わえる作家さんだと認識していたので視聴。後味悪い系の話は結構好き。『ブラックミラー』シリーズとか大好物。

 原作小説が短編集ということもあり、基本的には一話完結で見やすい。「母娘」をテーマにしたのは『母性』の流れだとは思いつつ、こちらはより「毒親とその娘」に焦点を当てている。ただ、単純に「毒親ひどい」という話でも無く、視点を変えることで違う側面が見えてくる、ミステリ的な構成の作品群だった。

 いやー、どれもこれもが嫌な気分になる話で、短編なのに観終わった後はどっと疲れて気分が落ち込むのなんのって。「毒親とその娘」というテーマは一貫しているのに、よくこれだけバリエーションを出せるな(そして不快にさせるな)と感心するレベル。大体が悲劇的な結末にはなるのだけれども、原因はすれ違いというかディスコミュニケーションに起因している話が多く、コミュ力って大事だなと。血を分けた親子だろうが話さないと分かんないよ、ってメッセージだと勝手に受け取った。

 どの話も面白いが、特にお気に入りは(憂鬱になる度で)、第三話「罪深き女」。この話は毒親というか、お節介焼き勘違い女子が暴走する話(超意訳)なんだけど、さんざんお節介を焼いていた隣の男の子(親に虐待されているっぽい)が大人になって通り魔犯罪を犯す。それを犯行前にばったり会った主人公が「私があの時、もっとお節介を焼いていれば…私は罪深い女!」と嘆くのだが、実際はそんなことはまったく無くて、なんなら男の子は久しぶりにあった主人公を認識しておらず、「誰? あの頭おかしい女」としか認識していなかったというオチ。そもそも男の子は虐待もされていなかった。思い込みが激しすぎる主人公が痛々しさを越えてホラーの域にまで達しており、背中がゾクッとした。主人公を清原果耶が演じており、清純派ヒロインを演じることが多い彼女の、狂気的なまでに思い込みが激しい女性の演技が妙にマッチしていて素晴らしかった。

 その他も、毒親の思想や教育が子どもに歪んで受け継がれていく様子がまざまざと描き出される話のオンパレードで、面白いとともに、子どものいる親としては身につまされる点も多かった。どれも大変に面白かったので未見の方はぜひ観て頂きたい。

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