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夏アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』声優陣インタビュー。声優陣が「かっこいい!」と感じた咲太のセリフとは…?

文:ハチ

公開日時:

 2025年7月5日(土)に放送開始予定のアニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』。本作は大人気アニメ『青ブタ』シリーズの最新作で、原作の“大学生編”を描くタイトルとなっています。

 この記事では、梓川咲太役の石川界人さん、桜島麻衣役の瀬戸麻沙美さん、広川卯月役の雨宮 天さん、ミニスカサンタ役の上田麗奈さんへのインタビューをお届けします!

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▲上段左から石川界人さん、瀬戸麻沙美さん。下段左から雨宮 天さん、上田麗奈さん。

咲太と麻衣の愛情はより気楽になり――まるで家族のよう【青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない】

――大学生編がこれからスタートするということで、これまでのお芝居と変化した部分や変化していない部分はありますか? また、アフレコの手応えも教えてください。

石川さん
大学生編になるにあたり『青ブタ』の世界ではかなり時間が経過していますが、“その間のこと”は映像化されていないところですよね。

 この時間は誰もがそうであるように、自分の世界が広がる期間でもあります。なので、人とのコミュニケーションの取り方みたいなものが、これまでよりも距離感を意識した感じになっているのかなと考えて咲太を演じさせていただいております。

 それでも変わらないのは、麻衣さんへの愛ですね。より深まって、強固な絆になっているのかなと思っています。愛が深まるというのは、ただイチャイチャするとか甘さが増すということではなくて、どちらかというと関係性が深まるにあたって、よりやり取りが気楽なものになっていたり、タメ口がちょこちょこ出るようになっていたり、そういった“心の距離の近さ”というものは意識しています。

 高校生編のときから着実に距離を縮めていましたし、この数年でそういった距離の縮め方をしているのであれば、多くの時間を過ごしてお互いの認識をより深めていったのかなと想像してアフレコに臨みました!

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▲梓川咲太(CV:石川界人)。横浜にある大学の統計科学学部に通う1年生。高校の先輩で国民的女優の桜島麻衣とも“思春期症候群”をきっかけに出会い、現在は恋人同士。
思春期症候群とは:不安定な精神状態によって引き起こされると噂の不思議現象。多感ゆえに不安定な思春期の心が見せる思い込み・集団催眠の一種など様々な説が飛び交っている。
瀬戸さん
私はそんなに変化を感じていないですね。高校生から大学生になるのは、普通であれば世界がすごく変わると思うんですが、麻衣さんは幼い頃から学業ともう1つの世界をすでに持っていましたし、性格的にも超人的なところがある人なので、ちょっとのことでは動じたり変化したりしないのかなって思いました。

 私が印象的だったのは、高校生から大学生になるにあたって、みんなが制服を着ていたところから、私服になっていたこと。すごく新鮮でした! この時期って、パーソナルないろいろが何かと見えてくるタイミングですしね。1つステップが進んで新しい環境になったので、何か意識してる部分はあるのかな……とは思っています。麻衣さんは仕事が忙しくなっているので、みんなといる時間がちょっと少ないのが寂しいです。

 咲太との関係性は変わるとかではなく、一緒にいる時間が長くなったからこそ、“当たり前”のようなものになっていると感じました。愛情の在り方で言うとすれば、まるで家族に対するもののようになったのかなとは感じました。

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▲桜島麻衣(CV:瀬戸麻沙美)。完全復帰をはたした国民的人気女優。大学入学と同時に1年間休学をしていたため、現在は恋人の咲太と同じく1年生。仕事が忙しくなる中でも、咲太と過ごす時間を大切にしている。
雨宮さん
卯月は卯月らしさというか、“卯月が変わっていないこと”が大学生編では、すごく意味を持ってくるんですよね。その意味はぜひアニメや小説でご覧になって確かめてほしい部分です。私は“描かれていない時間”でどう成長したのかなどは特に意識せず、ひたすらこれまでの延長として卯月を演じているという感じですね。

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▲広川卯月(CV:雨宮 天)。アイドルグループ“スイートバレット”のリーダー。ファンからは“づっきー”という愛称で親しまれ、TV番組出演やモデルなど、順調に活動の幅を広げている。
上田さん
ミニスカサンタを演じるにあたって、「何も考えずにお芝居してください」とお話をいただいていたので、キャラ説明などは受けないままアフレコに臨みました。

 ですので、彼女の目的がどうとか、正体がどうとかも、私自身はあまり深く考えずに、その場その場の会話に重きを置きました。実際に、皆さんとの掛け合いができたことで助けられた部分も多かったなぁという印象です。その中でも「これが大事なんだな!」という部分は明確にあったので、その部分を大事にできたという点では、手応えはあったのかなと思います!

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▲ミニスカサンタ(CV:上田麗奈)。咲太の前に突然現れる謎のミニスカサンタ。世間で注目を集めている正体不明のネットシンガー“霧島透子”を名乗るが……?

アフレコ現場の雰囲気は?【青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない】

――アフレコ現場全体の雰囲気はいかがでしたか?

瀬戸さん
居心地がよすぎました! 関わっている期間が長くなったので、どんな人が入ってきても、みんな『青ブタ』のファミリーになっているなって勝手に思っています(笑)。みなさん役者としての経験値があるので、ディレクションが少なかったり、何か難しいことを言われても瞬時に方向修正をしたりするので、アフレコの時間があっという間だったなといういう印象はありますね。

雨宮さん
確かにスタジオには人がたくさんいましたよね。

瀬戸さん
うん、多かった!

雨宮さん
『青ブタ』の現場は本当に進行が早いので休憩時間はほとんどないのですが、ちょっとした時間にそれぞれおしゃべりするなど、和気あいあいとしていましたね。とても居心地いい現場だと思います。

上田さん
石川さんと瀬戸さんが長年一緒にお仕事をしてきて、咲太と麻衣さんと同じようなバディ感が出ているなぁ……というのが最初に思ったことですね。あとは様々な女の子たちが登場するんですけど、それぞれを深掘りするエピソードがありますし、各キャラクターを演じているキャストの皆さんがすごく華やかだったのも印象的です。

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石川さん
大学生編になるにあたって、もちろん女性キャストも増えているんですが、男性キャストも増えることもありまして、本当に救いになりました。

 決して女性陣が多くて気まずいわけではないんですが、同性が現場にいると気楽に話しかけられるというか。そこから話が広がることももちろんありますし、そういう意味では僕も咲太と一緒で、新しいキャストとお話ができる機会が増えて、ちょっとだけ社会が広がったのかなぁと思いますね。

 コロナ渦の時期は分散収録もあったんですが、今回からみんなで集合して収録できるようになったので、そういった意味でもこの作品の空気感みたいなものをつかみながらアフレコに臨めたのかなと思います。

 あとは、大学の友だちとして福山拓海というキャラが出てくるんですが、共演経験もある岩中睦樹さんが演じています。アフレコ現場で話ができて、非常に楽しかったです。

瀬戸さん
そうなんですよ。とっても楽しそうでした(笑)。

石川さん
とっても楽しかったです(笑)。

――上田さんは新キャラのミニスカサンタ役を演じるわけですが、作品にどういった印象を持たれましたか?

上田さん
キャラクターが等身大で、現代的な悩みを持っているところは、とても共感できたり親近感が湧いたりしますね。そこに真剣に向き合ってくれる作品だと思います。現実世界だとなかなかここまでしっかり向き合って、大人になっていくことも難しいケースが多いと思うので、見ていて救われるような気持ちになりますね。

 あくまで私が思うことと前置きしますが、なんだか自分も「そういうことあるなぁ……」という共感を、どのキャラクターにも感じられるんですよね。それぞれの根っこにあるものと似たものが自分の中にあったりして。そういう点も含めて、この先も見ていきたい作品だと思わされました。思春期ならではの悩みや問題、そして思いに寄り添ってくれる、優しい作品だと感じています。

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――先ほどにぎやかな現場というお話がありましたが、すんなりと入っていくことはできましたか?

上田さん
ドキドキしましたし、私は常に自分に自信がないタイプで……だから足を引っ張ってしまうのでは? という恐怖がありました。テストから全部見ていたんですが、会話が流れるようでとても気持ちよくて。咲太くんも淡々としているのに、各キャラクターとの関係性や距離感の違いが演技だけでしっかりと伝わってきました。

瀬戸さん
麗奈さんは「足を引っ張るんじゃないか」なんておっしゃっていますけど、私たちは麗奈さんがミニスカサンタに決まったと知ったときから、「おおーっ!」って盛り上がっていました。でも、長く続いている作品に途中から入るという不安もありますよね。それはとってもわかります!

上田さん
でも、少しずつ皆さんと仲良くなっていって、休憩中に一緒にしりとりをできるくらいコミュニケーションを取れるようになりました!

石川さん
(上田さんは)本当にミニスカサンタにピッタリだなぁと思いました。この作品に登場するヒロインたちは内面にすごく悩みを抱えていて、その悩みは彼女たちの個性に由来するものなんです。その中でもミニスカサンタの思春期症候群は“繊細な心”が作り出すもので、演技としても繊細なものが必要なのかなと思います。

――キービジュアルを見て感じた、ミニスカサンタというキャラの注目ポイントや気になる点を教えてください。

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瀬戸さん
初めて見た人は麻衣さんのファッションポスターか、宣伝ポスターかな? と思ってしまうくらい麻衣さんがグッと前に出ていて、麻衣さんのビジュアルに目が行ったり、イチョウの景色とか美しいって感じていただけたりすると思うんです。

 でもなぜかそこに、ミニスカサンタがいて……サンタクロースって、雪の中にいないと、ああも目立つんだと感じました。しかもサンタクロースが後ろを向いているだけではなく、ちょっと違和感を与えるビジュアルになっているので、直感的に「これはなんなんだろう?」と、誰もが不思議に思うようなイラストなんじゃないかと思います。

 構図に関しても、ミニスカサンタが麻衣さんと背中合わせになっている理由など、深読みしようと思えばいくらでもできてしまう、楽しみ要素満載なビジュアルです!

石川さん
考えてみると『青ブタ』って、タイトルを見た時点で皆さん、ちょっとびっくりされると思うんですよね。例えば『バニーガール先輩の夢を見ない』であったり。「コスプレ感の強い作品なのかな?」って印象を持つんじゃないかと思うんですけど、今作のこの服装には意味がありまして……。“夢は見ないんですけど意味がある”んですよね。

 ストーリーにもかなり深く関わる服装になっていますので、ビジュアル的に目を引くかわいらしさだけじゃない、とご覧になっていくうちにわかっていくと思うので、そこにも注目してほしいです! 最後までご覧いただくと、ある種のカタルシスみたいなものを味わっていただけるのではないかなと。

雨宮さん
タイトル通りなのかもしれないけれど、でもタイトル通りじゃない……というのが本編開始前に言えることでしょうか。こう言っておきながら、構えずに見てほしいなと思いますね。その結果、心に“食らってしまう”ものが大きいかもしれませんが、同時に受け取るものも大きいと思います。決して単なるサンタクロースのコスプレ話ではないというところを、ぜひご覧いただけたらなと思います。

上田さん
「なんでサンタクロースの姿をしているのか?」「誰なの?」などミステリアスなキャラです。最初に皆さんがご覧になったティザービジュアルでも、いまいち何を考えているかわからせないような、意味深な笑みを見せていたり。でも、彼女の表情ひとつとっても理由があったりするので……どんな理由があるのか考えながら見てもらえれば、より楽しめると思います。

――皆さんが大学生編で注目しているキャラや、気に入ってるキャラを教えてください。

石川さん
福山ですね。「現実にいそうだな」と思わせるキャラでありつつ、“優しい人”を咲太とは違う方向性で表現していると思っていて。

 というのも、咲太は大学に入るにあたって、“有名人と付き合っている男の子”という身元が明らかになっているんです。普通であれば気を使われる存在になりそうなところを、福山が話しかけてくれて、一緒の空間にいて一緒になにかをすることが多い関係になっていくのですが、そうしたところに彼の優しさや気遣いみたいなものがあると思います。

 咲太には“優しい人になりたい”という気持ちがありますが、そんな咲太にとって、福山のような人間に触れることはすごく素敵だなと感じていますね。

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 余談ですが、高校生編で仲がよかった国見は就職しちゃったんです。大人への一歩を踏み出しているので、大学生編で……と言うと少し違うのかもしれませんが、気になるキャラの1人です。

瀬戸さん
私は各キャラが気になるんですが、その中でもとりわけ赤城が気になっています。彼女が抱えているものが共感できるものだったので、彼女を見ているともどかしい気持ちになります。今の自分がそうというのではなく、過去に似たような思考になったことあるなって。

 どのキャラにも自分にもある“何か”を感じる部分があるんですけど、特に赤城はそこをくすぐられた気がしました。

 山根さんのお芝居もすごく繊細で、痛みやもどかしさをすごく丁寧に表現されていたんです。なので、台本を読んだときよりアフレコ現場で彼女がお芝居した赤城がすごく印象的でした。声色に経験が乗っている感じがして、今でもすごく印象に残っています。

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▲赤城郁実(CV:山根 綺)。咲太と同じ大学の医学部看護学科1年生。咲太の中学時代のクラスメイトで、大学で再会した。
雨宮さん
新しいキャラではありませんが、双葉がすごくいいなって! 咲太と違う大学に進学したんですが、それでも変わらず頼れる友だちでいられる、咲太と双葉の距離感が好きですね。高校生編のときからあの2人の関係性や距離感はいいなと思っていたんですけど、大学生編ではさらに好きです。

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 基本的には女性キャラが出てきたら、咲太がそのキャラを支えてあげたり、救ってあげたりする構図になりがちなんですけど、双葉に関しては咲太もすごく頼っている節もあって。そしてまた、双葉はすごくいいことを言うんですよね。

 双葉の言葉は、凝り固まってた考えを覆してくれたり、新しい視点を与えてくれたり、ときに視聴者側としてもドキッとするような核心を突くセリフが飛び出てきたりするので、双葉は気になる存在です。2人で塾の講師をやっているところもおもしろいですよね。コミカルでいながらも大事な話もできる、理想的な距離感かなと思います。

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▲双葉理央(CV:種﨑敦美)。咲太の高校時代の同級生で友人。現在は国立大学の理系学部に通い、咲太と同じ塾で講師のアルバイトをしている。
上田さん
私はづっきー(広川卯月)ですね。彼女の悩みにも共感できましたし、づっきーのことを見ている側の人たちの気持ちも理解できると思いました。

 いろんなことに悩んだ結果、づっきーはすこし様子が変わるんです。同じキャラなんですけど、ちょっと違う――雨宮さんのお芝居のさじ加減が気持ちよくて、本当に感動しました。(嬉しそうな雨宮さん)

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瀬戸さん
(雨宮さんが)めちゃめちゃ嬉しそうで、なんだかこっちまで嬉しくなってきますね(笑)。

――上田さんが少し触れたように、今回はついに卯月にスポットライトが当たります。瀬戸さんや石川さん、そして雨宮さんにも卯月についてコメントをいただけますでしょうか?

瀬戸さん
卯月も普通に生活しているんだなってことをとても強く感じました。アイドルとしては見えない部分にもかかわらず、卯月はそのままなんですよね。常にアイドルとしているように気を張り続けているわけではなく、元来そういう性質の持ち主で、すばらしい子だと思います。

石川さん
卯月って、自分自身のこともとてもよくわかっているし、いろんなことを受け入れる力が強い子だなと思います。でも、今回スポットが当たったときに、そんなに強く見える子でも悩むことがあり、変化していることがあり……。キャラとしての印象は決して変わらないんですが、彼女のエピソードを見ると、強い人でも決してそれだけではなく、ふと弱くなってしまうことがあるんだと感じました。

雨宮さん
大学生編では、今まで皆さんが見たことない卯月が登場しますが、その姿や在り方を通して彼女の本質が見えたような気がします。それをアニメを通して知っていただけるのが楽しみですね。

 これまでの卯月は、どこか遠い存在というか、宇宙人とまでは言いませんけれど、“不思議な子”といったイメージが強いのではないかと思います。でも、そんな彼女のことをより深く知ることができたと感じられたので、私としては「大学生編で彼女のことを書いてくださってありがとうございます!」という気持ちです。

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声優陣がピックアップする、咲太のかっこいいセリフとは……【青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない】

――咲太と麻衣の甘いシーンも本作の見どころだと思いますが、主人公である咲太のかっこいいセリフや、思わずニヤッとしてしまったシーンがあればお願いします。

石川さん
僕が咲太を素敵だと思うのは、ことあるごとに「大好きです」って伝えるところですね。高校生のころから変わらない部分ではありますが、大学生になって数年間付き合っていく中でも、添えるように「大好きです!」と伝えていて、彼なりにその言葉には大きな意味があると認識したうえで伝えているのが素晴らしいなと思います。

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 「大好きです!」の意味については『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』でも表現されていましたが、祥子さんからもらった3つの大好きな言葉たちの中にありますし、それを言われた側は嬉しい。「僕は言われたら嬉しいし、嬉しいから相手にも伝える」というように、“嬉しいこと”をやり取りしているのが、すごくいい男だなと。

瀬戸さん
咲太にはちゃんと言葉で伝えてくれるカッコよさもあるんですけど、日常の中に溶け込んでいる部分だと、花楓に対する言葉のかけ方も、しっかりと言葉を選んで接するときもあれば、兄妹らしく雑に扱うときもあって。当たり前のように花楓のことをサポートして、受験の日の朝にごはんを作るようなところが好きですね。

雨宮さん
私もとても好きだったやり取りがあるんですよ。それは咲太と卯月が2人で話しているシーンです。「月にうさぎはいないんだね」と話す卯月に対して、咲太は「エサも空気もないから、その方がいいんじゃないか」って言って、卯月は「浪漫がないなー」って返すんです。そのときの2人の、なんとも言えない空気感がすごくいいなと感じたシーンでしたね。

 咲太っていろんなタイプの性格と悩みを持った女の子たちがいる中で、誰とでも近い心の距離で話せるというか、2人きりの空間を作るのが上手だなと思うんです。このシーンはその咲太の良さが表現されていて、卯月の良さもすごく出ているシーンなので、アニメでも注目してほしいですね。

上田さん
咲太は“今一番ほしい言葉”をくれる、すごい人だなって思うんです。微笑ましいシーンで言うと、ほっぺをプニプニされたときの麻衣さんが、それはもうとびっきりかわいくて……この笑顔を作ることができるのは咲太だけなんだなぁと感じてニヤニヤしてしまいました。

――大学生編の見どころやおもしろさを教えてください。

石川さん
思春期症候群は思春期に生じるものという原理や原則は、大学生編でも変わっていません。ですが、もう少し大人になったからこそで生まれる挫折や理想とのギャップなど、自分たちが生きていく中で、実現しようとしてもどうしても届かないような状況で起こる、アイデンティティ・クライシスみたいな形として表れているように思います。

 思春期特有の承認欲求だったり、せまい社会でのコミュニケーションの悩みだったりしたものがより拡大して、なおかつその解決方法が劇的なものばかりではないというか、より大人の解決方法になっているのかなと感じました。「グレーなものをグレーなままにしておいたっていいんだ」という受け入れ方のようなものが、大学生編では結構強く出ているかなと思います。

瀬戸さん
確かに“悩みに対して悩む”というより、“悩みに気付いているのにどうにもできない焦り”みたいなものを感じますね。例えば、そこから意地になってしまう人と諦めてしまう人がいて、その分岐点のようなところに悩みが発生して……という印象で、より静かな、それでいて心に響く物語になったなぁと。これもまた『青ブタ』の魅力であると改めて認識しました。

雨宮さん
大学生ともなると、高校生よりもさらに大人の一歩手前くらいの時期で、ある程度人生の積み重ねがある状態ですよね。だからこそ、悩みにも“これまで積み重ねてきた何か”がより多くにじんでいるように思います。登場人物たちの悩みが複雑さを増していて、それが物語に深みを与える形になったように思います。

上田さん
決められた授業があり、制服があり――といった高校生までの生活から変わって、大学生になると考えることがいっぱい増えてくるので戸惑うことも多いですからね。重い決断が多くなってくる時期でもありますし、その判断がグレーで曖昧であっても、自分の意思で選んだものであることが大事だと思わせてくれるのが本作のいいところだなぁと感じています。

――思春期症候群をはじめ、『青ブタ』では思春期にスポットが当たりますが、皆さんは思春期を感じたエピソードはありますか?

雨宮さん
ついさっきありました(笑)。上田さんと一緒にツーショットを撮ったんですけど、なんだか照れてしまって……。みんなが見ている前で、「写真に撮りますので2人で目を合わせてください」と言われたのですが、もう本当に恥ずかしくて……!

 なので、今もまさに思春期だと思っています。相手の方に「めっちゃ目を合わせてくるな」って思われているかも……と考えるのも恥ずかしくて!!(笑) そろそろ直したいんですけど、全然できないですね。

瀬戸さん
めっちゃ共感できる!(笑)

石川さん
思い返すと、子どものころは万能感のようなものはあったなぁ……と思います。強気の態度を取ることができたり、「自分が引っ張っているんだ!」みたいな、リーダーシップを発揮しているつもりになったりといったことはありましたね。

瀬戸さん
地獄の底まで悩んじゃっていたことですね。当時は体力と時間があったから、とことんまで悩んでいられたのかもしれません。でも年月を重ねていくうちに、底まで潜ったら、いずれ戻ってこられなくなることに気づいて「潜るのやめよう」となりました(笑)。悩むにしても、自分でいいラインを見つけられたのかもしれません。思春期の頃は何もかも全力でした。

上田さん
テストの点数を人に見せられなかったことですね。周りから「頭がよさそう」、「テストの点数が高そう」みたいなイメージを持たれていて、でも全然そんなことがなかったんですよ。

 イメージと違ってがっかりされたり、大したことないんだなって思われたりしたときに、思い知らされるのがとてもつらくて。だから、テストの点を人に見せられませんでしたし、それ以外にも周囲のイメージと違うことをやってはいけない、みたいな。そんなふうに思いながら取り繕って生活をしていたことが、思春期だったのかなって思いますね。

瀬戸さん
これも共感できますね……。聞いていて涙が出そうになりました。

――7年ぶりのTVアニメシリーズとなりますが、そのことについてもお話を聞かせていただけますか?

石川さん
すごく嬉しかったです! 勝手な偏見ではあるんですが、劇場アニメ作品になったものが、もう一度TVシリーズになることってあまりないなと思っていて。原作を読んでいると、思春期症候群に関することだけでなく霧島透子という謎の人物を追うこともテーマのひとつなので、「どういうふうにやるんだろう?」と思っていたところにTVシリーズでやりますとお話しをいただいたので、この作品のよさが伝わりやすい形で、皆さんにお届けできるなと。

 長い期間の放送になりますが、その中で霧島透子という未知の存在を追いつつ、各ヒロインたちの悩みに向き合っていくことになります。表現ひとつひとつに注力して頑張りたいなと思います。

瀬戸さん
私はアニメを見るいち視聴者として、1週間に1回の放送を楽しみにするというのがすごく好きなんです。なので、その形になってくれたことも嬉しいですし、毎週1話1話にのめり込んでくれたら、次の放送までの1週間でいろいろと考えたりできるじゃないですか。その思考する時間を取ることができるTVシリーズは、大学生編にとってはぴったりなんじゃないかなって思っています。

 今はもうすでにYouTubeに
霧島透子さんの歌が出ていますが、こうしたギミックもTV放送だからこそできる何かだったりするのかなと思って、ワクワクしています。

雨宮さん
これまでのTVシリーズですと卯月は、のどかが所属する“スイートバレット”のメンバーとして、そしてリーダーとしてちょっとだけ登場する感じでした。その後の劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』で卯月というキャラクターを、アニメを見てくださっている方たちが認識してくれた感触がありました。

 新しいTVシリーズで卯月にもしっかりとスポットライトが当たるエピソードが描かれていくこと、卯月を演じさせていただいている身としては、すごく嬉しいです!

上田さん
最初にこのタイトルを見たときに「ラブコメなのかな?」と思っていたんですけど、内容を見てみると想像通りラブコメもあったのですが、SFっぽい感じの思春期症候群もあって、ミステリーっぽい要素も強いなという印象になりました。

 登場人物みんなが何かに悩んでいる中でミニスカサンタが登場して、「誰なんだろう?」と視聴者の皆さんも考えながら見ていくことになると思います。だからこそ、毎週考えられるTVシリーズという形態が向いている作品なのではないかと。

――放送を楽しみにしている『青ブタ』ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

石川さん
高校生編、劇場版3作品を経て、ついに大学生編に突入しますが、皆さんの悩みに寄り添い、ヒントを与えてくれるような作品になっていると思います。

 大学生編の咲太を演じてみて改めて思ったのが、この作品はあらゆる悩み、自己否定、ネガティブな思いを決して悪いものとして描くわけでもないし、逆に肯定するわけでもない。ありのままでいいという、自分の考えや生きていること自体を肯定してくれる作品になっていると思います。あらゆる世代の方に想いいを届けられる作品になっていると思いますので、ぜひとも楽しんでいただけたら嬉しいです。

瀬戸さん
『青ブタ』が大好きなファンの皆さんにまず伝えるとしたら「お待たせしました! じっくり楽しみ尽くしてください。私も一緒に楽しみます」に尽きます。アニメが放送されると「『青ブタ』ってアニメが始まったらしいね。アニメは1期もあったんだね。劇場アニメもあるんだ。全部見るの大変そうだな……」という方がいると思うんですけど、「ここから入れるから大丈夫です」と皆さんが布教するチャンスがやってきましたので、ぜひともこの作品の魅力を広げてほしいです!

 初めて見る方も絶対に目に留まる、目撃してしまったら絶対に引き止める力が映像にもセリフにも音にもある作品です。この記事をたまたま読んでくれた方も『青ブタ』を好きになってくれたら嬉しいなって思います。

雨宮さん
序盤は卯月がメインで、その後メインとなるキャラが変わっていく形なんですけど、ずっとおもしろいです!! 本当に期待していただきたいです。これまで登場したキャラクターたちは、いい意味で変わらないままそこにいてくれますし、加えて、新しく描かれているキャラクターも魅力たっぷりです。エンディングテーマが変わるなど新しい部分もあるので、変わらない部分と変わった部分を楽しんでいただけたら嬉しいですね。

上田さん
今作から『青ブタ』を深く知ったのですが、いろいろな要素があって、心にぐっと染み込んでくる作品です。今ではすごく好きだって言えるようになりました。自信を持って皆さんにお届けできる作品になっていると思うので、ぜひ楽しく見ていただきたいなと思います。

TVアニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』作品概要

放送情報

TOKYO MX・群馬テレビ・とちぎテレビ・BS11:7月5日より毎週土曜23:30~
ABCテレビ・メ~テレ:7月5日より毎週土曜26:30~
AT-X:7月6日より毎週日曜21:30~

※放送日時は都合により変更となる場合があります。

配信情報

ABEMA、U-NEXT、アニメ放題にて7月5日より毎週土曜23:30~地上波同時配信

その他配信プラットフォームにて7月8日より毎週火曜12:00~順次配信開始

スタッフ
原作:鴨志田 一 (電撃文庫刊「『青春ブタ野郎』シリーズ」)
原作イラスト:溝口ケージ
監督:増井壮一
シリーズ構成:横谷昌宏
キャラクターデザイン:田村里美
総作画監督:田村里美、野々下いおり、末田晃大、成瀬 藍
プロップデザイン:小川 茜
衣装デザイン:米澤彩織、成瀬 藍
美術設定:塩澤良憲
美術監修:加藤 浩
美術監督:坂上裕文
色彩設計:横田明日香
CGディレクター:織田健吾、田中葉月
撮影監督:楊 暁牧
2Dデザイン・モニターワークス・特殊効果:内海紗耶
編集:三嶋章紀
音響監督:岩浪美和
音楽:fox capture plan
制作:CloverWorks
製作:青ブタ Project

キャスト
梓川咲太:石川界人
桜島麻衣:瀬戸麻沙美
広川卯月:雨宮 天
赤城郁実:山根 綺
姫路紗良:小原好美
美東美織:石見舞菜香
ミニスカサンタ:上田麗奈

古賀朋絵:東山奈央
双葉理央:種﨑敦美
豊浜のどか:内田真礼
梓川花楓:久保ユリカ
牧之原翔子:水瀬いのり

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