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『ポートピア連続殺人事件』スマホもSNSもない時代の小学生が、捜査情報の共有に使っていたのは、昭和の学校ならではの連絡システム!【メモリの無駄づかい】

文:うま

公開日時:

 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、ファミリーコンピュータで1985年11月29日に発売されたアドベンチャーゲーム『ポートピア連続殺人事件』について語ります。

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FC版『ポートピア連続殺人事件』とは?


 本作は、1983年に発売されたPC版を移植した作品で、のちに『ドラゴンクエスト』を制作した堀井雄二さんと中村光一さんが手がけた、ファミコン初の本格推理アドベンチャーです。

 プレイヤーは捜査一課のベテラン刑事の“ボス”となり、部下の真野康彦(ヤス)とともに、密室殺人を捜査します。

 本作と言えば、終盤の驚きの展開が非常に有名で、プレイしたことがなくても誰が真犯人なのかを知っている人が多いのではないでしょうか。

スマホも携帯もない時代に、友だちと情報を共有する手段と言えば、あれしかない!【ポートピア連続殺人事件】


 遡ること40年前の1985年(昭和60年)。子どもながらに親の影響でミステリードラマや推理小説が好きだったので、推理アドベンチャーゲームと聞いて即飛びついたのを覚えています。

 が、いざプレイしてみると、難しいのなんの。初めての推理アドベンチャーで、フラグだなんだという概念もまだ知らない小学生ですよ! 3Dダンジョンもよくわかってなくて、マッピングしないで、“↑↑↑←↑↑↑↑↑↑↑↑”のようにメモしていたレベルなので、そりゃ1人でクリアするのは難しいですよね。

 攻略サイトもない時代、どうやって小学生がクリアしたか。それはもう、同級生の家に集まって、力を合わせての謎解きですよ!

 バッテリーバックアップも“ふっかつのじゅもん”のようなパスワードもなかったので、どのコマンドを選んだのかをメモったルーズリーフを持ち寄って、毎回最初からプレイを再開。みんなで力を合わせて、少しずつゲームを進めていきました。

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▲取扱説明書にも、自分で書き込める捜査メモなんてものがありました。

 もちろん家に帰ってからも1人でプレイして、操作が進んだら即情報共有をしてがんばりました。

 情報共有とはいっても、ちょうどこの年は電電公社が民営化してNTTになり、ある意味携帯電話の始祖とも言える持ち運び可能な自動車電話のショルダーホンが9月に発売されたころ。当然、スマホはもちろんガラケーなども一般に普及していないので、メッセージアプリやSNSなんてものもありません。

 ではどうやって情報を共有したのでしょう。正解は、昔の学校ならではの情報伝達システム、“電話連絡網”! どこのご家庭にも電話機の横に置いてありましたよね。この連絡網の順番で電話をかけて、情報を共有していたのです。

 こうしてみんなの力を合わせた結果、無事に犯人を逮捕することができました、とさ。今思い返してみると、アドベンチャーゲームを友だちと一緒に遊ぶなんて、昭和ならではって感じですよね。と思いましたが、今は配信プレイをしながら視聴者と一緒にプレイすることができたりもします。いろいろな遊び方があるなとあらためて感じましたね。

 そういえば、大人になってから兵庫に出かけたときに、“新開地って本当にあったんだ!?”って興奮したのもいい思い出です。

 ちなみに『ドラゴンクエストウォーク』で本作とのコラボイベントが開催中で、ゲームの舞台となった神戸・京都・淡路島に実際に行ってご当地クエストが受けられるんですよね。いつか実際に『ポートピア連続殺人事件』の舞台を回ってみたいものです。





うま:かつては、とあるメーカーでゲームを作っていたり、デパートの屋上で特撮ヒーローの中の人だったりしたライター。


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ポートピア連続殺人事件

  • メーカー:エニックス
  • 対応機種:FC
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 発売日:1985年11月29日
  • 希望小売価格:5,500 円+税