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アニメ『幻想水滸伝』は2026年放送に向けて制作順調。イメージビジュアルの仕掛け、あえて公開した2つのテスト映像についてインタビュー

文:長雨

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 『幻想水滸伝』シリーズの最新情報を紹介するKONAMIの公式番組“幻想水滸伝Live”が、2025年8月5日に配信されました。

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 その配信内で、アニメ『幻想水滸伝』イメージビジュアルがお披露目! 『幻想水滸伝II』の物語を1クールにはおさまらないボリュームで描くとのことで、大きな反響があったアニメ『幻想水滸伝』ですが、より期待が膨らむビジュアルとなっています。

 本記事では、アニメの監督を務めるサトウユーゾー氏、製作プロデューサー・日野 亮氏、『幻想水滸伝』シリーズIPプロデューサー・内藤 塁氏へのインタビューをお届け。イメージビジュアルの見どころや、3Dを活用したアニメーションづくりについてうかがいました。

内藤 塁『幻想水滸伝』シリーズIPプロデューサー(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)

サトウユーゾーアニメ『幻想水滸伝』監督

日野 亮アニメ『幻想水滸伝』製作プロデューサー

物語の始まりを予感させる、メッセージ性の強い第2弾イメージビジュアル【アニメ『幻想水滸伝』インタビュー】


――アニメ発表時、ファンの皆さんから大きな反響がありましたが、どのように受け止められましたか?

日野
3月4日の“幻想水滸伝Live”内でアニメプロジェクトの情報を初解禁させていただいたのですが、X(旧Twitter)でしばらくのあいだ日本のトレンド1位になり、最終的には5万ポスト以上の反響がありました。

 原作ゲームのファンの方々が、発売から約30年経っても熱量高く作品を愛してくださっていることを再認識できました。

サトウ
Xでアニメーション監督を務めることをポストした際に多くの方からの反響があり、期待を感じました。

 アニメーションの制作現場で一緒に仕事をしている方からも、「『幻想水滸伝II』がアニメになるんだ!」という驚きや、「どうなるのか楽しみだ」といった声を聞くことがあって、影響力といいますか、関心の高い作品なのだと実感しています。

内藤
先日、2回目の“幻想水滸伝Live”を配信した際に、僕がオープニングで「1クールじゃありません。主人公とジョウイの物語を描き切ります」と一言だけ話したんです。それが、ファミ通.comさんの記事ランキングの8位に入っていて。

 わずか10秒ほどしか話していないのに、ランキング入りしていて反響の大きさにとても驚きました。

―― 公開された第2弾イメージビジュアルには、どのような想いが込められているのでしょうか?

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サトウ
今回のイメージビジュアルは、プロローグとして作品の方向性を感じられるものにしました。

 本編が始まる少し前、主人公とジョウイがハイランド王国の少年兵部隊ユニコーン隊で過ごす日常。ゲームの物語が始まる前夜を表現しています。

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▲ゲーム冒頭では、主人公やジョウイたちユニコーン隊を大きな事件が襲うことに……。(『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』より)
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――イメージビジュアルといえばキャラクターがカメラ目線だったり、全員集合したりするものもありますが、今回のものは想像が膨らむような構図になっていますね。

サトウ
本編の前、ゲームにはなかったシーンを描いています。このアニメも、そしてキャラクターたちも、これから始まるんだというコンセプトです。

 実は空の星は108つあります。主人公たちが見上げた空の先に、108の星があるという運命的な部分。『幻想水滸伝』の宿星と掛けさせていただいた形です。

 前回の第1弾イメージビジュアルでは、『幻想水滸伝』の水を現したのですが、そこでも108の星を描いています。小ネタもイメージとして、こだわっています。

――内藤さんは、ご覧になっていかがでしたか?

内藤
主人公たちだけじゃなく、奥にちゃんと少年兵たちも描かれているんですよね。停戦協定が結ばれて、近いうちに故郷に帰れるという晴れやかな明るさや平和を感じますし、彼らの未来に想いを馳せたくなりますが、この後にユニコーン隊の少年たちを襲う事件を考えると……ゲームを遊んだ方にとっては、いろいろと感じる部分が多いビジュアルだと思います。

 ちなみに108つの星は、スタッフが細かく番号を振って数えました。ファンの方やメディアの方も、ぜひ数えてみてください。ちゃんと数えているので、間違っていないはずです!

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ゲームで培ったデジタル技術と作画アニメの温かみが融合した作品に!【アニメ『幻想水滸伝』インタビュー】


――放送時期が2026年だと発表されました。現時点で、制作状況はいかがでしょうか?

サトウ
順調です(笑)。現場も稼働し始めていて、作画も順調に進んでいます。

 限られた時間のなかではあるんですが、いかに質を高めていくかという点にこだわりながら、スタッフ一丸となって取り組んでいるところです。

――番組中にはテスト映像が公開されました。アニメ放送前にこういったテスト映像を公開するのは珍しいケースかと思いますが、その理由や見どころについて教えてください。

日野
サトウ監督にお願いして、本来は公開しないテスト映像を特別に公開しました。アニメの制作は、1つのシーンについても何段階もテストを行って完成度を高めていきます。あくまで調整中のテスト映像で、これがそのまま完成版になるわけではありませんが、制作工程の一部としてご覧いただければと思います。

サトウ
1つはCGを利用した森のシーンの映像で、ゲーム会社から派生したアニメスタジオであるKONAMI animationならではのCG・デジタル技術が活用されたものとなります。今回公開したものはいかにも3DCG「らしい」ものですが、最終的には、このCGでテストしたカメラワークなどをもとに、いわゆる手書きのアニメとして表現していきます。CGでテストすることで、自由なカメラワークや、登場人物と一体になったかのような没入感がある視点の見せ方などを探りやすくなっています。



 もう1つはモーションキャプチャーを利用したプリビズ(※)で、こういったテスト映像をもとにコンテ演出や作画の構図、芝居の指示などを行うことになります。今回のモーションアクターは非常に実力が高く、多くの特撮作品のスタントマンとしても実績を残している杉口秀樹さんに担当いただいております。迫力のあるアクションを再現できると考えています。

※プリビズ:プリビジュアライゼーションの略。最終イメージの共有や制作手法の検討を行う為に、CGでテスト映像を制作する。

――モーションアクターさんが参加されている映像を拝見しました。『幻想水滸伝』シリーズは中国拳法や西洋剣術など、多様なバックボーンを持つ戦闘アクションも魅力です。そのぶん動きの表現は、かなり大変なのではないでしょうか?

サトウ
その点をどう表現したらよいかを考えて、モーションアクターの方の知見や経験をお借りしようということになりました。

 武術の流派を加味するのか一般的な型にするのか、それをアニメにどう落とし込むのか、といったことをアクターさんとディスカッションしてモーションに落とし込んでいます。

 それを絵コンテや作画にどう反映させるか、模索しながら進めています。


――森の3DCGのテスト映像も公開されましたが、アニメーション制作では、モーションキャプチャーや3Dのカメラワークなどを活用することが多いのでしょうか?

日野
アニメ『幻想水滸伝』に限らず、現代のアニメーション制作では、3Dの技術を応用しないということはありません。

 そのなかで本作は2Dと3Dのハイブリットになります。3Dで制作を円滑に進めつつ、手書きの温かさがしっかり出る作品になっていくと思います。

 監督を含め、スタッフの皆さんが、ファンに向けて1つ1つていねいに、真摯に作っています。

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――3D技術の活用において、KONAMI animationならではの強みを感じる部分はありますか?

内藤
KONAMI animationの売りの一つとして、ゲーム技術の活用があります。今回使用したモーションキャプチャールームも、もともとゲーム開発のために社内にある施設です。当社がゲーム開発で培ってきた技術蓄積があり、それをアニメにどのように生かすか、というのがチャレンジングな部分かなと思います。

 サトウ監督は、デジタル技術を活用した作品を数多く手がけている実績があります。当社の技術とどう合わせていくか、手描きアニメをよりよく見せるにはどうすればいいか、非常に考えて作っていただいています。

――ゲーム側からアニメ側のスタッフに対して、アドバイスをされることもあるのでしょうか?

内藤
プロットなどを見て、どう表現していくか、細かく確認しています。

 ただ、アニメは初めて『幻想水滸伝』シリーズに触れられる方も含めて多くの方に楽しんでいただきたいという想いが強いです。ゲーム体験をそのままではなく、どう伝えたら物語の良さが、遊んだことのない皆さまにも伝わるのだろうというのを念頭において作っています。

――最後に長年応援してくださっているファンの皆さん、また初めて作品に触れるアニメファンの皆さんに、メッセージをお願いします。

日野
真摯に制作に取り組んでいます。これからたくさん情報が公開されていきますので、1つ1つを楽しみにしていただきたいです。

サトウ
デジタル技術の活用が、KONAMI animationらしさの1つとなります。

 デジタル技術をアニメーションの質を高めるために活用して、『幻想水滸伝』の世界観をより魅力的に伝えていきたいです。
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内藤
ファンの皆さまは、とにかく楽しみにしていてください。今は後ろ姿の2人ですが、キャラクターデザインの全貌など、これから情報が公開されていきますので期待してください。

 またこのアニメは、これからも『幻想水滸伝』シリーズファンを増やしていくために、重要な役割を担っていると思っています。新しく作品を知ってくださっている皆さんにも楽しんでいただけるようなことを、まだ何も言えませんがいろいろと考えていますので、続報をお待ちいただけたらなと思います。

――ありがとうございました。

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