コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)より9月25日に発売予定の『SILENT HILL f(サイレントヒル f)』の先行レビュー記事をお届け。この記事では、キャラクターやストーリーにスポットを当てたレビューを掲載します。別途アクションや育成にスポットをあてたレビュー記事も掲載中なので、併せてご覧ください。
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全エンディングクリアまでプレイしてのレビューにはなりますが、ストーリーの核心的なネタバレなどはありません。ただし中盤以降に解放される要素なども一部触れているのでご注意ください。
なお、電撃オンラインでは最新のプレイ動画を公開しています。雛子さんのさまざまなアクションをお楽しみください!
索引
閉じる世界観&キャラクター:主人公・雛子を始め登場人物たちの内面がていねいに掘り下げられる【サイレントヒルfレビュー】
サイコロジカルホラーゲーム『サイレントヒル』シリーズ最新作である『サイレントヒル f』。その舞台となるのは、1960年代の日本の田舎町・戎ヶ丘(えびすがおか)です。
一部過去作をオマージュしたような演出はあるものの、ストーリー上のつながりは一切ないので、本作からシリーズを始めても大丈夫!
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戎ヶ丘(えびすがおか)で暮らす主人公の深水 雛子(しみず ひなこ)は、思春期の女子高生。鉄パイプやハンマーを縦横無尽に振り回す腕力と、華麗なステップで敵の攻撃を避ける運動神経、バケモノにひるまない度胸などは持ち合わせているものの……それ以外は至って普通の等身大の女子高生です。普通ってなんだ?
そんな彼女の抱える悩みやトラウマが物語の主軸になっているという点は、従来の『サイレントヒル』シリーズと同様。雛子の精神の変化や内面については、非常にていねいに掘り下げられている印象です。
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雛子と気の置けない関係の男子である修、そんな修に恋心を寄せているらしい凜子、どこか抜けた性格で神社の娘である咲子と、雛子を取り巻く登場人物たちにも要注目。
外面だけしか分からない序盤こそ雛子にトラウマを与える舞台装置としか思えないものの、物語を進めるなかで内面が掘り下げられていくと、どんどん人間味を感じられるようになっていきます。
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とくに印象が変わるのは、修に想いを寄せるあまり、雛子に憎悪を向ける凛子。好きになれるかはともかく、その内面や行動原理を知ることで、より共感できるようになっていきます。
物語を進めていくと、登場人物たちの内面に深く迫る内容のファイルが多く入手できるので、隅々まで探索するのが推奨です。
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ちなみに公開された戦闘スタイルや台詞の力強さなどの事前情報から、主人公の雛子のことを“雛子さん”呼びしている方も多いですが……安心してください。実際にプレイしてみると、もう“雛子さん”呼び以外は考えられないくらい、彼女への畏敬の念が強くなること間違いなし!(この記事では敬称略)
というのも、本作のストーリーが雛子の成長物語でもあるからです。とくに特定のエンディング前の雛子のパワフルさは必見。エンディングごとに雛子の異なる魅力が発見できるので、ぜひ全エンディングを見てみてほしいですね。
友人の遺体を守るためにバケモノと対峙して鉄パイプを持って「もう閉店だよ」とか、敵を倒したときの「やったか?(やってる)」などなど、とにかくほれぼれするくらいに台詞がカッコいい!
ストーリー:竜騎士07味の濃い意外性&読後感に優れたストーリー【サイレントヒル fレビュー】
『ひぐらしのなく頃に』などで知られる竜騎士07先生が手掛けるストーリーは本作の目玉とも言える要素。
友人同士で他愛のない会話を続けるなかで、突然発生した霧とそこから発生したバケモノに追われて逃げていく、というのが序盤のストーリーの流れです。
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序盤は目的も何も分からず、過去作と比べても謎の多い導入になっています。主人公である雛子も含めて、登場人物の誰も彼も信用できないなかで進んでいくストーリーは、まさに霧のなかを進むかのよう。
それが1周目の終盤~ラストあたりまで進めると“ある事実”が明らかになり、それによって咲子の「裏切り者」という言葉も、修のよそよそしい態度も、凛子から感じる怒りも、すべてが1本の線につながります。
1周目のクリアだけでも多くの謎が明らかになりますが、各エンディングを見ていくとさらに別の真実が明らかになっていくので、「これはこういうことだったのか!」という感覚が味わえるのが楽しいですね。
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裏世界の立ち位置も、過去作とは一味違ったものになっています。過去作ではあくまで“迷い込む”ようなものでしたが、本作では裏世界がどんなものかも、そもそも裏世界にあたるものなのかも不明。
そこで出会う狐面の男も、かなりうさんくさいです。表向きは味方っぽいですが、彼に従うことで酷い目にあったりするので、とても信用はできないと思います。
どこまでが現実でどこまでが精神的な描写なのか、境界があいまいなのは『サイレントヒル』らしいですね。
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高圧的な親との関係、社会における女性の立ち位置、同級生のいじめなど、さまざまなテーマを内包しているストーリーですが、そのすべてが雛子の内面を描くことにつながっています。
トンデモ展開もあってぶっ飛んでいるように見えて、実は描いているテーマ性やメッセージ性は極めてストレートで普遍性があるというのは、ほかの竜騎士07先生の作品にも通ずるところがありますね。
強引さを感じる部分もあれど、力技ですべてをねじ伏せてくれるのが最高に気持ちいい! エグい表現も暗い展開も多いですが、それでもすべてのエンディングを見ての読後感はかなりいいです。
考察要素:周回を重ねてファイルを集めると理解度が深まっていく【サイレントヒル fレビュー】
過去作と比べても、物語のおおまかな縦軸はハッキリと描かれている印象の本作。とはいえもちろん、考察の余地を残している部分も多々あります。
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とくに道中で発見できる文書に関しては、不穏な内容のものも数多くあり、それがどんな事実につながるのか考察していくのが楽しいです。
プレイを進めると文書も追加されていくので、探索によってより物語への理解度が深まっていきますね。
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日本固有の宗教観や伝承も物語の根幹に深く関わってきますが、それらの知識がなくてもメモでフォローしてくれているので安心。
“美しいがゆえに、おぞましい。”という本作のメインテーマは、雛子がする“ある選択”に関わるものではありますが、同時に日本ならではの宗教観や家族観にもつながっているように思えますね。
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おどろおどろしいデザインのバケモノたちが単なる敵ではなく、何かしらのトラウマを表すものになっているというのも『サイレントヒル』シリーズらしさ。
バケモノについては一度戦うと手帳に情報が追加されるので、ぜひ一度確認してみることをオススメします。どんなトラウマから生まれた存在なのか、何となく想像できるような気がしますね。
表世界と裏世界で出現するバケモノの傾向が異なる(一部は重なる)のも、何か理由がある気がします。
シリーズらしい演出も健在! ストーリーを進めると“f”に込められた意味の候補も増える【サイレントヒル fレビュー】
シリーズでお馴染みの霧とラジオの要素も健在です。霧の演出は従来通りですが、ラジオは持ち歩くことで敵の出現を知らせるものではなく、道中に置いてあります。
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PS5版でプレイすると、ラジオの近くを通るとコントローラーから「ザザザ…」という異音が聞こえてきて、調べると音声を聞くことが可能。過去作とは異なる形で、恐怖演出として残っていますね。
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そして本作のタイトルに付けられた“f”の意味。発売前の事前情報の時点では“Flower(花)”や“female(女性)”、“fighting(格闘)”などが候補に挙がっていましたが、実際にプレイを進めるともちろん別の有力候補も挙がってきます。
メディア試遊会でのインタビューによると“f”には複数の意味を込めたとのことで、考察がはかどりそうな要素です。
舞台を大きく変えながらも、『サイレントヒル』らしい深い人物描写と恐怖演出がしっかり味わえる『サイレントヒル f』。考察の余地も多い作品なので、発売後のユーザーによる意見交換や実況プレイなども楽しみですね!