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原作を尊重しつつ新しいチャレンジを。アニメ『幻想水滸伝』制作への意気込み~KONAMIが一緒になってアニメを作る意味

文:そみん

公開日時:

最終更新:

 TGS2025(東京ゲームショウ2025)コナミデジタルエンタテインメント(以下KONAMI)ブースメインステージにて、2026年放送決定のアニメ『幻想水滸伝』のメインキャストなどが発表されました。

 多くの発表が行われたステージを終えたばかりのキャスト・スタッフの皆さんに、アニメへの思いや見どころについてお話を伺いました。
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 お話をお聞きしたのは、ステージでメインキャストとして発表された声優となる、主人公・リリュウ役の熊谷俊輝さん、ジョウイ役の土屋神葉さん、ナナミ役の日原あゆみさん。さらにサトウユーゾーさん(アニメ『幻想水滸伝』監督)、内藤塁さん(『幻想水滸伝』シリーズIPプロデューサー)、崎山高博さん(『幻想水滸伝』シリーズIP監修)の6名にお話をお聞きしました。

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▲左から、内藤さん、崎山さん、土屋さん、熊谷さん、日原さん、サトウ監督。

 インタビュー前編では、主にキャストの方々にご自身が演じるキャラクターやオーディションの秘話をお聞きしました。この後編では、アニメならではの表現や制作の注目点などをお聞きします。

第3弾イメージビジュアルに込めた思いや、音楽に中村弘⼆さんを起用した理由


——音楽に中村弘⼆さんを起用した理由について教えてください。

サトウ監督
今回はゲームの音楽をそのまま使うということはしないという方針で、新しく挑戦していこうと思いました。ゲームの音楽は素晴らしいのですが、そのままの長さではアニメの演出に合わせづらい部分もあり、元の曲の良さを活かしつつ、アレンジしていきます。

 元の音楽の素材も活かせるアレンジ力や、東洋から西洋まで幅広い世界感に対応する音楽を得意とされている人物ということで、中村さんに是非やってもらいたいなという形でお願いしました。

 誤解がないようにあらためてですが、ゲーム中の楽曲を使わないというわけではなく、アレンジなどをして使う部分は多々あります。なので、なじみがある場所ではなじみのある音楽が聴けると思いますし、みなさんが聞き覚えがあるメロディは随所で感じられると思います。

――新たに公開された第3弾イメージビジュアルはいかがですか?

内藤
前回公開した第2弾イメージビジュアル(物語前夜の野営を描くもの)が非常に好評でしたので、今回もいろいろな意味も踏まえてデザインしてもらいました。

サトウ監督
最初の物語が始まる場所であるという意味だけでなく、この2人が見つめ合ってるところの先には何があるんだろうかとか、後ろの岩はなぜ大きいのかとか、いろいろな意味を感じ取ってもらえると面白いかもしれませんね。
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熊谷
ネタバレになるので言えませんが、あのシーンですよね?

日原
あの岩ですよね。ゲームをプレイした側の気持ちになると、やっぱリリュウの気持ちになっちゃうので、約束なんて言葉が浮かんできちゃいます。

 2人の目線を見ると、それぞれが向かっている先や背負っているものなど、いろいろなことを想像してしまいます。

土屋
これは自分なりの考察なんですけど、焚火の前にリリュウやジョウイがいる以前のイメージビジュアルは、物語前夜的なイメージがありつつ、焚火からはリリュウの暖色系の穏やかなイメージが感じられましうた。それに対して今回は月や夜の青さからジョウイらしさが感じられ、2人のイメージが対比されているように感じました。

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 あと、リリュウとジョウイが対峙していることで、いよいよ物語が始まるという期待感が膨らみました。この場面をアニメの絵として見ることができたのは、本当にうれしいです!

――コンテについてのこだわりを教えてください。サトウ監督は自らコンテも担当されていますよね?

サトウ監督
そうですね。第1話はちょっとドラマ性を重視したいと言いますか、ちょっと映画的な入り方にしたいなというこだわりがあって、完成を楽しみにしていただければと思います。

 もちろん、『幻想水滸伝』らしいアクションもきちんと見せていきたいです。ゲーム会社から派生したアニメスタジオであるKONAMI animationならではのCG・デジタル技術が活用されたものとなるので、そういった部分をどう組み込んでいくかもいろいろと考えています。

ゲームとアニメの文脈は全然違う。そのうえでのさまざまな挑戦について


――アニメと原作ゲームの違いや、アニメ化する上での挑戦についてお聞かせください。
内藤
実際に制作を進めてみて、あらためてゲームの文脈とアニメの文脈は全然違うというを実感します。当然ながらゲームの内容をすべてアニメで表現しようとすると、どんなに尺があっても足りないわけで。

 アニメの限られた尺の中で、原作をそのまま再現することはできません。アニメならではの体験として、どうやって物語のコアな部分を抽出してストーリーにしていくのが良いのか。原作であるゲームの物語を尊重しつつ、新しいチャレンジもしながら、アニメという表現の中で一番良いところを伝えられるように試行錯誤しています。

崎山
主人公であるリリュウ1つとっても、ゲームだとプレイヤーごとの選択肢によって反応が変わる部分を、アニメでは1つのストーリーとして完成させないといけないわけで。そもそもゲーム中に主人公が具体的なセリフをしゃべるシーンがないので、そういうところから考えていかないといけません。
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――キャラクターの表現について、特に主人公がしゃべるアニメならではの工夫はありますか?

熊谷
アニメのストーリーについて、ゲームと大枠では同じだとは思っていますが、アニメはアニメで独自のものになっていくと思っています。キャラクターデザインが異なりますし、世界観の表現方法も違ってくるのではないかなと思っています。
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 それは、ゲームとは違う新しいアニメの視点で物語を楽しめるわけで。そんな機会で、自分がリリュウを演じさせていただけることは、本当に光栄なことだと思っています。そして、ゲームでは語られなかった部分、わからなかった部分についてアニメで描かれる可能性があることは、ファンの方々もすごく期待している部分だと感じています。もう、本当に全力でアフレコに挑むしかないなと、覚悟を決めています。

土屋
『幻想水滸伝』がアニメになるということは、本当に長い間にわたってたくさんのファンの方々が応援してきて、愛してきて、大切にしてきた証だと思っています。だから、そういった方々の思いを背負って、しっかりと臨みます。

 あと、このアニメを通して、これまで『幻想水滸伝』を知らなかった方々にもたくさん知ってもらいたいなと。アニメを通して1つの世界を楽しみ、そこから「じゃあ、自分でゲームをプレイしてみよう」と思ってもらえると、アニメとは異なるさまざまな発見をできると思うんですよ。

 先ほど崎山さんもおっしゃられたように、ゲームは自分で選択していろんな未来が選び取れます。つまり、当事者として物語を体験できるわけで、それってすごく楽しいことですよね。なので、このアニメがより多くの方に対しての『幻想水滸伝』の入り口になったらいいなと願っています。

日原
今はまだ熊谷さんのリリュウと土屋さんのジョウイがどのような表現で演じられるのかわかっていない状態ですので、3人で行うアフレコが楽しみです。どんなバランスで、どんなかけあいで演じるのがよいのか。ナナミちゃんとリリュウ、そしてジョウイの3人のあたたかい関係性を、我々声優の3人でも作っていきたいなと思っています。
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 正直、プレッシャーは大きいのですが、そんなときは心にナナミちゃんを宿せば、きっとなんとかやり切れるんじゃないかなと。明るくポジティブなナナミちゃんならきっと、「私がついてるから大丈夫よ」みたいなことを言ってくれそうなので、ナナミちゃんに応援してもらいながらアフレコにのぞみたいと思っています!
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「原作を尊重しつつ新しいチャレンジを」。アニメ『幻想水滸伝』制作への意気込み

――最後に、アニメを楽しみにしているファンの方々へのメッセージをお願いします。

日原
この作品に携わることができて、本当に幸せだなと思います。実際にプレイして、深い感情を残さずにはいられないストーリーだとか、一人一人のキャラクターがすごく魅力的であることとか、そういったゲームで感じた魅力を、アニメを観た際にも感じ取っていただけるように、ナナミとしてしっかり向き合っていきたいなと思います。

 この3人のキャラクターがどんな道を歩んでいくのか、是非最後まで見届けていただけたら嬉しいです。

土屋
熊谷君とある打ち上げで初めてお会いし、その時にとても仲良くなり、別れ際に「いつかがっつり一緒に仕事したいね」と話したのですが、その次の日に役が決まったので、個人的に運命を感じています。

 とても愛されてきた作品なのでそういった思いも一生懸命背負って、アフレコに望みたいと思います。

熊谷
本当に数多くの方々に愛されてきた作品なので、その作品に参加できることを心から光栄に思っております。その分、やっぱり責任感だったり、緊張している気持ちはとても大きいのですが、その気持ちもパワーに変えて、皆さんの期待に応えられるよう精一杯努めて参りたいと思います。
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サトウ監督
今、何かを言おうとするとネタバレになっちゃうのですが、毎日一生懸命作っています。スタッフも発表になって、ここに出ていないスタッフもたくさん今参加されて、もう毎日一生懸命『幻想水滸伝』のことだけを考えながら働いて寝てという状態です。

 アニメが始まる2026年までまだ少し時間があるので、まだゲームを遊んだことがない方も、すでにクリアしたことがある方も、ぜひ主人公の名前をリリュウにして『幻想水滸伝II』をプレイして、楽しみにお待ちいただければと思います。

崎山
アニメは、ゲームプレーするよりも手軽にストーリーを楽しむことができ、声優さんたちによる声の演技や動きの演出が楽しめるものなので、より多くの方が『幻想水滸伝』の物語・世界に触れていただけるきっかけになるものとして、非常に重要なものだと考えています。

 そもそも『幻想水滸伝』のゲームは30年近くまえに発売されたもので、今の時代では遊ぶこと自体が大変でした。だからこそ『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』という形でお届けしたわけですが、それでもゲームを遊ぶことって、それなりにハードルが高いんですよね。ゲームソフトを買わないといけないし、人によっては遊ぶためのゲーム機から買わないといけなかったり。

 アニメ化をきっかけにして、『幻想水滸伝』というタイトルを聞いたこともない、ゲーム機に興味のない方たち、中高生や若い人たちにも、『幻想水滸伝』の世界観やキャラクター達が織りなす魅力的な群像劇を楽しんでいただけたらなと思っています。
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内藤
あらためてしっかりと伝えておきたいのですが、今回、アニメはKONAMIが一緒になって作ってます。多くの場合のゲームのアニメ化や映画化って、外部に許諾を出して、「監修はしますけど、おまかせします」というスタイルですよね。

 このアニメ『幻想水滸伝』については、社内スタジオであるKONAMI animationと、さまざまな部分で連携しています。もちろん、ゲームのスタッフがアニメを作るというわけではなく、アニメのプロによる本格的なアニメ制作をしています。

 逆にいうと崎山や自分はアニメを単に監修しているわけではなく、原作をそのまま再現できないアニメというメディアでどうしたらゲームの良さを表現できるかということを考えて制作に携わっています。『幻想水滸伝』の一番の強みである”物語”を描くために『II』をベースに、わかりやすく伝わりやすいものを目指しています。『幻想水滸伝』として作品を知らない方にも見ていただきたいです。

 キャストについても、20年以上前のドラマCDに出演した声優の方々も候補に入れながら、さまざまな議論を行い、一部は続投、一部は思い切ったキャスト変更を行い、新しいことへの挑戦も行いました。同じことの再現だけではなく、より先へ進みたい、より多くの方々へと広がってほしいと願い、本気で新しい人の入口になって欲しいと思ってアニメを作っていますので、その意気込みを結果につなげられるよう頑張ります。

まとめ:ゲームの枠を超え、新たな世界を見せるアニメ『幻想水滸伝』


 長く愛され続けてきた『幻想水滸伝』シリーズのアニメ化ということで、キャスト・スタッフの皆さんのお話からは、原作への敬意を忘れず、しかしアニメという表現方法でしか描けない新たな物語を創り上げようとする熱意が伝わってきました。

 ゲームではプレイヤーが名前を決め、選択肢を選ぶことで物語が進行していた主人公。アニメでは1人のキャラクターとして確立された存在として描かれることになります。この変化にファンはどう反応するのか、そして新たなファンはどのようにこの作品を受け入れるのか——アニメ『幻想水滸伝』の今後の展開に注目です。

 あなたは『幻想水滸伝』を既にプレイしていますか? それとも、このアニメがあなたと『幻想水滸伝』の出会いになるでしょうか? サトウ監督もおっしゃっていますが、この機会に主人公の名前をリリュウにして、ゲームのクリアを目指してみてはいかがでしょうか。

アニメ『幻想水滸伝』作品概要

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 「その強さがあれば、すべてを守れると思った。」

 デュナン地方北東部に存在し、強力な軍事力を保有するハイランド王国。

 その少年兵部隊に所属する少年──主人公・リリュウと親友のジョウイ。2人は同じ星空を⾒上げ、同じテントで眠り、同じ未来を信じていた。

 この戦いが終われば、夜が明ければ、またあの日常が戻ってくる。その思いも虚しく、2人は戦火に導かれた宿命の渦へと飲み込まれていく。

 無力な少年たちが手に入れた強⼤な力。108の星が⼀際輝く夜空の下で、答えの無き問いを胸の内に抱えながら、少年達は、自らの信念のもとに歩み始める──

■放送時期
2026年

■CAST
リリュウ:熊谷俊輝
ジョウイ:土屋神葉
ナナミ:日原あゆみ
ビクトール:小西克幸
フリック:中村悠⼀

■STAFF
原作:コナミデジタルエンタテインメント
監督:サトウユーゾー
シリーズ構成:土屋理敬
ゲームキャラクターデザイン:石川 史(コナミデジタルエンタテインメント)
アニメーションキャラクター原案:鈴木 新(コナミデジタルエンタテインメント)
アニメーションキャラクターデザイン:山内 遼
音響監督:岩浪美和
音楽:中村弘⼆
企画:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
制作・プロデュース:KONAMI animation
製作:アニメ「幻想⽔滸伝」製作委員会

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