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『FF14』“家”で武道館公演の熱狂を振り返る。THE PRIMALSとヒカセンたちがクルーザー級に挑み、最後は恒例の“時間停止”で見事なギミック処理をこなす【“THE PRIMALS Dark Decades Tour”ライブレポート】

文:江波戸るく

公開日時:

 スクウェア・エニックスが運営中のオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)のサウンドディレクター、祖堅正慶氏を中心とした“THE PRIMALS”。熱い楽曲の数々を届けてくれる、『FF14』には欠かせないオフィシャルバンドです。

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 2025年に日本全国をめぐったライブツアー“THE PRIMALS Dark Decades Tour”の締めくくりとして、武道館での公演が2日間にわたって開催。本記事では1日目となる9月29日の公演に関するレポートをお届けします。

※掲載している写真は9月30日の公演のものです。[IMAGE]
▲祖堅正慶氏(Gt/Vo)
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▲マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏(Vo)
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▲たちばなテツヤ氏(Dr)
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▲イワイエイキチ氏(Ba)
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▲GUNN氏(Gt)。家ー!
※本記事では『FF14』のメインクエスト及びノーマルレイドなどに関する話にも少し触れています。

“THE PRIMALS”の演奏であらゆる色を帯びた記憶がよみがえる


 何から始まるのだろう、とワクワクして待っていると、画面には“へスぺロス”の姿が。

 最初の曲『此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~』は、『暁月のフィナーレ』のレイド“万魔殿パンデモニウム”の最初の実装分である辺獄編の4層で使用されている曲です。零式で塔踏みに失敗してHPが吹き飛ばされた時の記憶が……。

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 『Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~』の次に演奏された『White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~』は、煉獄編4層の曲ではありますが、ゲーム中で使用されているのは零式の後半のみ。予習していない限り、ライブで初めて聴いた、という方もいらっしゃると思います。

 また、『黄金のレガシー』のレイドである“至天の座アルカディア”の曲もてんこ盛り。初手を担ったのは『Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~』。今回のツアーでは、この曲のサビ前にコールする言葉を会場ごとに決める"ご当地 Bee My Honey"が展開していましたが、今回の武道館ではそのコールが「祖堅!」に。

 直前の祖堅氏と吉田直樹氏のやり取りも必見です。話を振られ、以前の公演同様
「僕のマイクはありますかー!?」と叫ぶ吉田氏でしたが、今回ももらえず。

 しかし、会場中にいるほとんどのヒカセンが吉田氏のマイクなしでの発言を聞き取れているようなので、声量のすごさを認識しました。

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▲『Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~』ではヒカセンたちも元気にコール。B! B! ブリリアント☆(アラームフェロモンは勘弁してください……)
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▲『Ride the Rhythm ~至天の座アルカディア:クルーザー級~』の様子。ダンシング・グリーンこと、エヘーヤがかつて見た“すべてがキラキラと輝いていて、まるで夢の中にいるようだった”という時間は、こういうものだったのでしょうか。

 『Ride the Rhythm ~至天の座アルカディア:クルーザー級~』や『Back to the Drawing Board ~至天の座アルカディア:クルーザー級~』、『Not Afraid ~至天の座アルカディア:クルーザー級~』が次々と演奏されたあとは、ゲストの1人であるJason Charles Miller氏が登場。

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 この曲を楽しみにしていたであろうヒカセンも多そうな、クルーザー級4層の曲『Unleashed ~至天の座アルカディア:クルーザー級~』が始まります。

 “至天の座アルカディア”のストーリーはクルーザー級で重さを増してきましたが、その締めとなる4層の戦闘エリアは澄み渡った青空が印象的。ソリューション・ナインやヘリテージファウンドといったどこか閉鎖的な空間とは、真逆の雰囲気を持つ舞台です。ハウリングブレードとのスピーディーなバトルも相まって、爽やかさも秘めていると感じられます。

 その次は『To the Edge』へ。『漆黒のヴィランズ』パッチ5.3のメインクエスト内でも最も盛り上がる戦い“ウォーリア・オブ・ライト討滅戦”で用いられている曲ですが、私が前回参加した2024年9月の横浜アリーナでの公演“THE PRIMALS Live in Japan - Darkest Before Dawn”では『To the Edge』は参加していなかったほうの日で演奏されたため、ようやく生で聴くことができました。

 互いの護りたいもののために戦う、ということを特に強く感じ取ることができる印象のある『漆黒のヴィランズ』の物語。Jason氏の歌唱を聴いていると、エリディブスの台詞の数々、ウォーリア・オブ・ライトとの激闘が頭をよぎります。

※その代わり、今回の武道館の公演では2日目に『To the Edge』と入れ替える形で『Close in the Distance』が演奏されたとのこと。この曲も、聴くとウルティマ・トゥーレでのもろもろを思い返して泣きそうに……。Jason氏の歌声が横浜アリーナに響き、風に揺られるエルピスの花のごとく数多のペンライトが振られていた光景は、今でも昨日のことのように思い出せます。[IMAGE][IMAGE]

 続いたのは『漆黒のヴィランズ』のメインテーマである『Shadowbringers』。会場内のモニターにはPVが映し出されており、ここで“暗黒騎士”を見てメインクエストをそれで進めたくなったな、とか、重くて心を抉られるストーリーだったけどそれで受けたメンタルへの痛みもひっくるめて好きだなあ、と改めて思います。

 途中に挟まれている『悠久の風』の部分の、2人目のゲストである伊藤友馬氏によるバイオリンの伸びやかな旋律も必聴です。

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 伊藤氏が登場したということで、同じくバイオリンの音色が印象的な『月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~』に移ります。『暁月のフィナーレ』のアライアンスレイド“喜びの神域 エウプロシュネ”の最後に待ち受ける月神・メネフィナとの戦闘時の曲ですが、あまりにも美しい旋律に聴き惚れてしまい、ダラガブと協力して繰り出される攻撃を危うく踏みそうになった記憶がよみがえりました。

 曲の格好よさゆえにルーレットで当たるとちょっと嬉しい、最終ボスの部屋を戦闘前につい見回したくなる“異界遺構 シルクス・ツイニング”の曲『ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~』、戦闘後のゲーム内の演出を反映したのか、本当に爆破の演出が入りかなりビックリした『メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編~』、『FF14』に先駆けてコラボコンテンツが実装された『モンスターハンターワイルズ』でも多くのハンターが聴いているであろう『エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~』が演奏。

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 ラストの曲は『過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~』でした。ステージ前からは炎がガンガン吹き上がり、タイタンの曲ではありますがイフリートが援護しているかのよう。

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▲そういえば、外のフォトパネルにかわいいイフリートがいたような。

 筆者はステージからは少し離れた席にいましたが、それでもかなりの熱さだったので、目の前の祖堅氏たちやアリーナ席前列の方々には灼熱デバフが付くのでは……!? と思えるほどでした(ですが、それを吹き飛ばすほどのアツい演奏!)。

恒例の“アレ”で会場も大盛り上がりのアンコールへ


 アンコールでは『忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~』(ペンライトを振りつつも、青の綺麗なエフェクトを見てイゼルのことを思いしんみり……)、『ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~』などが演奏。『ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~』では、恒例となりつつある“時間停止”も。

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 少し前の祖堅氏のトーク内で振られた話の反応を見る限り、この武道館公演が“初見”だというヒカセンの方もそれなりにいらっしゃったはずですが、会場内は見事に時が止まっていました。

 同時に、聞こえないはずのアレキサンダーの攻撃時の効果音が脳裏に……。

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 時間が動き出したのち、近くにいらっしゃった方が「すごい!」と感動されていたのも印象的でした。

 なかなかほかのライブでは見ることのない『FF14』ならではの演出なので、ライブという場で一体となってコンテンツを体験した感覚は、心に焼きついて離れなくなると思います。

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 3曲が演奏された後は、会場が明るくなります。

 もう終わりの時間か……と思っていると、『黄金のレガシー』の主題歌である『Open Sky – The Theme from Dawntrail』の演奏がスタート。毎日のように見ているタイトル画面の明るさを彷彿とさせます。

▲ライブとは直接は関係ありませんが、“Dawntrail”を見ると思い出すのがこちらの祖堅氏。ぜひXを“#むごたらしい”で検索してみましょう。

 おそらく締めとなるであろうその曲を聴きながら、今回の公演で演奏された曲に寄り添う記憶がまたひとつ増えたな、と思いました。

 作中で流れる曲にはさまざまな思い出が伴いますが、ゲームの世界の外でもそれを実感できるのは、至福としか言いようがありません。

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 同じ『FF14』を遊ぶヒカセンたちと一緒に盛り上がり、親しんだ楽曲たちの生演奏を聴いていると、MPが全快になったのではないかと感じられます。

 THE PRIMALSの力強い演奏から受け取ったものを糧(バフ)として、明日からも頑張ろうと思えた公演でした。


■セットリスト(9/29公演)
1.此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~
2.Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
3.White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
4.Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~
5.Ride the Rhythm ~至天の座アルカディア:クルーザー級~
6.Back to the Drawing Board ~至天の座アルカディア:クルーザー級~
7.Not Afraid ~至天の座アルカディア:クルーザー級~
8.Unleashed ~至天の座アルカディア:クルーザー級~
9.To the Edge
10.Shadowbringers
11.月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~
12.ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~
13.メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編~
14.エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~
15.過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~

※アンコール
16.忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
17.ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~
18.ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~
19.Open Sky – The Theme from Dawntrail


 なお、10月14日まで有料のアーカイブ視聴が可能。10月6日からはチャットリプレイも開放されているので、この機会にぜひ視聴を!

武道館での公演から数日後、新たな“コンテンツ開放”が!?


 機工城アレキサンダー関連でやや余談にはなりますが、筆者がこちらのレイドで一番好きな曲は天動編で聴くことができる『メビウス ~機工城アレキサンダー:天動編~』です。時間停止がある『ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~』が4層の後半で流れる曲なので、こちらは前半の曲になります。

 時間に干渉するほどの力を持つ蛮神・アレキサンダー。その曲にはとある願いによって顕現したアレキサンダーをめぐるストーリーの壮大さが内包されていると個人的には感じられ、後半の『ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~』とは曲調が大きく異なる部分も含めて好きです。

 ただ、『メビウス ~機工城アレキサンダー:天動編~』はオーケストラ寄りの楽曲。大幅なアレンジがされない限りは、バンドライブで演奏されるタイプの曲ではありません。

 ここ数年開催されていないようですが、オーケストラがそのうち開催されないかな? などと思いつつ、武道館でのTHE PRIMALSの勇姿とヒカセンたちの姿を振り返っていたところ……。


 なんと
“FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2025 -Eorzean Symphony-”の開催が発表。しかも『メビウス ~機工城アレキサンダー:天動編~』が、演奏予定曲の中に含まれているではありませんか!

 ほかにも『天より降りし力』に『究極幻想』や『鬨の声』、『Flow』や『Give It All~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~』など、オーケストラの生演奏で聴いてみたい曲ばかり。これは何としてでも聴きにいかねば、と、使命感に近いものが沸き上がります。

 “家”で余韻に浸っていましたが、『FF14』の音楽を追う旅はまだまだ“つづく”……! と、再認識するのでした。



江波戸るく:永遠に新米のライター兼編集者。業が深いと判断したキャラクターを“海溝”と定めて沈むことに生きがいを見いだす。『FF14』は昨年から始め、最新パッチまでは完走。エクソダスのエモートの活用方法を模索中。

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