タイトーから12月18日(木)に発売される、『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカード『アーケードコレクションPART1』のなかから、比較的マイナーなタイトルをピックアップしてレビューしています。
今回のタイトルは、『チェルノブ』です。
今回のタイトルは、『チェルノブ』です。
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シュールなタイトルに面食らうがゲーム本編は正統派のアクション! 40年弱ぶりにマジメに相対してクセ強タイトルを克服した話【イーグレットツー ミニ】
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年末恒例! イーグレットツー ミニの新作SDカード!
今年もこの季節がやって参りました。もはや年末の風物詩になりつつある、『イーグレットツー ミニ』の追加ゲーム登場のシーズンです。
今年は例年のタイトー(関連)作品ではなく、データイーストとテクノスジャパンという、いよいよ他社のゲームをライセンス申請して収録するという偉業を達成した記念すべき年でもあります。いや、これまでのラインナップでも十分ありがたいんですけど、他社タイトルにこぎ出したことで、これはもう立派なプラットフォームと呼んで差し支えないかと思います。
ご縁があって、毎年パッケージの同梱冊子『電撃TAITO STATION』の攻略記事を担当させていただいております。とはいえ、なんでも初見でクリアできるほどの腕前は持ち合わせておらず、当時クリアできなかったタイトルが担当になることも多々あります。
今回紹介する『チェルノブ』もその1つで、リリースされた1988年はアーケードゲームの発売本数も多く、大雑把に数えてもその数150。昨年のSteamにおけるゲームのリリース本数はなんと18571本(1日あたり50本!)だというから、現在の感覚では少ない、となってしまいますが、それでも150本ということは、週に1回ゲームセンターに行くと、毎週3本は新作が登場していたことになります。これもまた、なかなかの新作ラッシュ。当時、リアルタイムで体感していたであろう50代以上の読者さんなら共感していただけることでしょう。
当時のゲームセンターは、大型筐体の体感ゲームや画面の回転・拡大・縮小など、ゲームの内側や外側から趣向を凝らした工夫の塊でした。普通のビデオゲームを出していたら、あっという間の新作ラッシュに埋もれてしまうことでしょう。過去に『ロードブラスター』や『サンダーストーム』のようなLDゲームは確かにコックピット型の大型筐体でのリリースでしたが、ビデオゲームが主力となっていた我らがデータイーストには筐体で目立つという選択肢はなかったように思えます。
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タイトルで目立つも、「そのつもりはなかった」とは開発者の弁
そこでデータイーストが(結果的に)とった奇策が、“タイトルで悪目立ち”でした。タイトルの『チェルノブ』はもちろん現ウクライナにある“チェルノブイリ(現・チョルノービリ)原子力発電所”から着想を得たもの。世間一般にこの名前が知られるのは1986年4月に発生した事故だと思いますが、『チェルノブ』の開発スタッフは、この事故の半年前(証言どおりだとすると1985年後半)にはこの原発の名を話題にしていて、その響きが気に入ったことによりタイトルに採用したとのことでした。
本作の発売は事故から約2年後の1988年1月のこと。原発事故に関して、まだまだ問題は山積みという状況でありつつも、一応の応急処置を終えたころの登場となりました。そのネーミングから、話題性は十分でしたが、ゲームの内容はほぼ無関係のアクションゲームという仕上がり。しかし、タイトル画面に輝く“鎌と槌”や、プロローグの「ある日、原発の爆発が起き、その時、爆風下に炭鉱夫 チェルノブがいた。」という文章などなど、“匂わせ”は残しつつも、公式には「チェルノブはカルノフ(データイースト、1987年発売)の従兄弟であり、原発事故とは関係ない」との見解を示しました。
コンプライアンスという言葉が日本で使われるより遙か昔、ことの真偽はもはや40年弱が経過しているので、追求することに意味はないのかもしれません。当時のアーケードゲームの命題であった“他社のゲームより目立つ”という課題はクリアできたと言えるでしょう。
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ゲーム本編は多少クセが強いが、慣れてしまえば丁寧な作りのアクションシューティング!
本稿の見出しで「シュールなタイトルに面食らうがゲーム本編は正統派のアクション!」と結論を書いてしまっていますが、タイトルの『チェルノブ』はゲーム内容にはほとんど影響がありません。ただ1つ、横スクロールのアクションゲームとしては異例となる強制スクロールを採用していることがクセ強ポイントでしょう。
この強制スクロールのせい(?)で、チェルノブは常に前に進み続けるため、チェルノブより後ろに落下したアイテムを取ることができないのです。アイテムキャリアとなる“かがり火”は、必ず前を向いているときに撃つようにする。これがこのゲームの最初に覚えるべきことです。
操作は8方向の1レバーに3ボタン。それぞれのボタンは攻撃、ジャンプ、方向転換が割り当てられています。攻撃ボタンは押せばショットが発射され、初期装備はレーザーのような“光子力光線”。ショット全般に言えることですが、レバーを上方向に入力すると、上方に撃つことができます。
道中に出現する“かがり火”を撃つと、そこから武器パネルやパワーアップといったアイテムが出現。武器パネルを取得すると武器が変更できます。この武器は6種類あり、クセが強めなものが多いので、道中で計画的に切り替えて戦いたいところです。
6種類の武器が設定されているということは、それぞれに得手不得手があるということ。ミスマッチな武器を持ち込んでしまうと、このゲームは強制スクロールですから、それ以上先に進めなくなるなんて事態も発生します……! この時代のアクションゲームですから、死んで覚えろということですが、我らがイーグレットツー ミニにはセーブ&ロードがあります。うまくいったらセーブして、ミスしたらロードを繰り返せば問題ないでしょう! これでミスしやすいポイントを覚えるのです!
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次にクセ強ポイントとしてあげたいのはジャンプです。チェルノブはレバー入れジャンプとレバーニュートラルのジャンプで異なるジャンプをします。ニュートラルのジャンプはチェルノブの姿勢が垂直のままジャンプして、ジャンプ中に撃ったショットの方向は一定ですが、左右にレバーを入れてジャンプをすると回転ジャンプとなり、チェルノブは空中で回転します。このとき、ショットはチェルノブが向いている方向に向けて発射されるので、通常では撃てない方向に撃つことができるのですが、狙った方向に撃つのは難しく、敵に触れると即死のこのゲームでは使いこなしたいが、リスクも高い諸刃の剣です。
このジャンプに関連して、覚えておきたいテクニックが“踏みつけ”です。空中にいるときで、チェルノブの足が下を向いているとき(=レバーニュートラルのジャンプの姿勢)は、敵を踏みつけてダメージを与えることができます。踏みつけで積極的に敵を倒すことは求められないゲームですが、踏みつけを使って足場のないエリアをジャンプで越えていくシーンは何度か登場するので、シーン1の中盤などで練習しておきましょう。
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クセ強ポイントを押さえて、丁寧に処理すると覚えるごとに先に進める良ゲーの姿が見えた
『チェルノブ』は、キャッチーなタイトルで興味を引いておきながら、ちょっとプレイしてみるとクセの強いアクションで「おれには無理だ……!」というのが当時の自分の評価でした。みなさんも、序盤のシーンで離脱してしまった人が多いのではないでしょうか?
しかし今回、お仕事で向き合わざるを得なくなり、改めてプレイするにあたって、この40年弱で冷静にシステムを分析し、対応できる分別が付きました。するとどうでしょう、40年前は“not for me”かな、と思っていた『チェルノブ』が、独特のクセを乗り越えれば、実は丁寧に作られたアクションゲームであったことに気付きます。
1エリア1エリア、やっちゃいけないことをやらないプレイを積み重ねるあの感覚。もし毎日ゲームセンターに通って少しずつプレイしていたならば、1カ月ぐらいかかってクリアしていたかも――今回の『イーグレットツー ミニ』の『チェルノブ』は、そんな疑似体験を味わわせてくれました。
最新の知識とテクノロジーから生まれた“方向連”
この『イーグレットツー ミニ』の仕事では、およそ30~40年ほど前のゲームを攻略する、つまり、ふたたび向き合う機会が多いです。この間に、いろいろなものが進化していますが、ゲーム攻略も進化しています。まずは情報量。偉大なる先人たちの研究の成果で、たいていのゲームの攻略ネタは明らかにされています。
それに付随して、その手順を記録したプレイビデオの存在。当時はゲーム基板の出力するRGBをビデオ信号に変換して、筐体にコンバーターをつないで録画という手順を採らないかぎり、ゲームのビデオというものは存在しませんでしたが、現在はアーケードゲームにおいても録画環境が充実し、気軽にプレイビデオを記録できるようになりました。
それから、連射装置。『チェルノブ』が登場した1988年では、連射装置はまだまだ珍しいもので、設置してあるゲームセンターも少ないうえに、連射装置そのものの数も少なく、シューティングゲームに装備されるのが普通でした。
今回『チェルノブ』を攻略するにあたって、まずは通しでプレイ。次に先人のプレイビデオを参考に、難所の処理の仕方を研究するのですが、いくつかのビデオをチェックしているうちに、様子がおかしいビデオを発見します。
■チェルノブ実演プレイ & おまけ データイーストレトロゲームミュージックコレクション発売記念イベント 2010.08.08
このビデオの3:36の部分を見ていただくとわかるのですが、ボスに近付くと、電撃むちを装備したチェルノブがプルプル震えたのち、瞬殺してしまいます。このビデオをアップロードしたゲーセンミカドに問い合わせてみたところ、方向転換ボタンに連射を付けることによって、この現象が発生するとのこと。
この要素は発売当初は発見されていなかったネタでしょうから、ぜひブックレット(電撃TAITO STATION VOL.5)にも掲載したい、ということで、『イーグレットツー ミニ』プロデューサーのFJT氏に相談して、“方向連”ボタンを付けてもらいました。
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ぜひ、最新の知識とテクノロジーをもって、昔のゲームと再び触れあってみてください。当時見落としていた視点が発見できるかもしれませんよ……!
『ダブルドラゴン』や『ザ・グレイト・ラグタイムショー』をはじめ、全10タイトル収録。 『アーケードコレクションPART1』12月18日(木)発売!
『アーケードコレクションPART1』は、ゲーム10タイトルを収録した『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカードです。本体のSDカード用スロットに差し込むことで収録タイトルを遊ぶことができます。
追加ソフト第4弾にして初めてタイトーブランド以外のタイトルをラインナップした今作では、レトロゲームファン向けに独自に行ったアンケートにて要望の高かった『ダブルドラゴン』や『ザ・グレイト・ラグタイムショー』をはじめ、『テクノスジャパン』および『データイースト』によって1984年から1992年までに展開された全10タイトルを収録しています。
『アーケードコレクションPART1』収録タイトル一覧
●動画:アーケードコレクションPART1収録タイトル紹介動画
ミステリアスストーンズDr.キックの大冒険/1984年/テクノスジャパン
ブギーマナー/1985年/テクノスジャパン
熱血硬派くにおくん/1986年/テクノスジャパン
ザインド・スリーナ/1986年/テクノスジャパン
ダブルドラゴン/1987年/テクノスジャパン
チェルノブ/1988年/データイースト
ダークシール/1990年/データイースト
エドワード・ランディ/1990年/データイースト
ウルフファング 空牙2001/1991年/データイースト
ザ・グレイト・ラグタイムショー/1992年/データイースト
『アーケードコレクションPART1』製品情報
●動画:アーケードコレクションPART1製品紹介PV
『アーケードコレクションPART1』には、全10タイトルを収録した『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカードのほか、全32ページの特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”と全10タイトルの“インストラクションカード ミニ”が同梱されます。
特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”の表紙デザインは、『熱血硬派くにおくん』シリーズや『ダブルドラゴン』シリーズのキャラクターデザインを手がけたグラフィックデザイナーのKon(緒方コウジ)氏による描きおろしデザインです。
【製品情報】
・商品名:イーグレットツー ミニ アーケードコレクションPART1
・ジャンル:バラエティー
・対応機種:イーグレットツー ミニ
・プレイ人数:1~2名
・希望小売価格:9,878円(税込)
・販売開始日:2025年12月18日(木)発売予定
・同梱物:特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”(全32ページ)、インストラクションカード ミニ(10タイトル)、本体アップデート手順書
イーグレットツー ミニ バイオレットカラー本体+アーケードコレクションPART1
セット希望小売価格:31,856円(税込)
<同梱物>
・電源用USBケーブル(1.5m)
・HDMIケーブル(2.0m)
・インストラクションパネル
・特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”(全32ページ)
・インストラクションカード ミニ(アーケードコレクションPART1収録10タイトル)
・【セット特典】インストラクションカード ミニ(本体収録40タイトル)