タイトーから12月18日(木)に発売される、『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカード『アーケードコレクションPART1』のなかから、比較的マイナーなタイトルをピックアップしてレビューしています。
今回のタイトルは、『エドワード・ランディ』です。
今回のタイトルは、『エドワード・ランディ』です。
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アクション映画の“イイトコロ”をギュッと凝縮させた挑戦作!【イーグレットツー ミニ】
記録ではなく記憶に残った一作。それが『エドワード・ランディ』!
冒頭から結論風のお話で始めますが、熱心なデータイーストファンの間で語り継がれる「ヘンなゲームならまかせとけ!」という言葉があります。これはもともとデータイーストのあるゲームのキャッチコピーだったのですが、いつしか、同社のゲーム作品傾向を表すフレーズに転じた言葉。聞いたことがある人も多いと思います。
これから紹介する『エドワード・ランディ』は、まさにその言葉を代表する一作。データイーストだからこそ世に出すことができた奇跡の一作なのでは? と筆者は勝手に思っています。
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本作は1990年にアーケードゲームとしてデビュー。しかしながら(以下でお話する本作の“クセ強”の仕様もあってか)一部のコアゲーマーやスコアラーを除いて、残念ながら支持を集めることはできず、いつしかひっそりとゲームセンターから消えてしまい、決してヒット作とはいえませんでした。
しかし、そんなマイナーなゲームだったからか、稼働開始から時を経ると「冒険百連発!」「いきなりクライマックス?」といったゲーム内フレーズや、なんだかムダにカッコいいアクションシーン、そして必要以上に“熱い”ゲームらしい……などなどの評価やウワサが独り歩きを始め、未プレイの人たちをも取り込んで、ゲームの知名度“だけ”はやたらに高まっていたのです。いわば、「記録には残らないが、記憶に残るゲーム」……一言で表すとそんなところでしょうか。
このように、名前が知られているわりにはゲームとしての評価が分かれていたこともあって、残念ながらこれまで移植の機会には恵まれませんでした。当時のデータイーストは、万人向けの家庭用ゲームとして売ることには若干のリスクも感じていたのかもしれません。しかし、このたび、そんな幻の一作が『アーケードコレクションPART1』にて登場! ついに家庭で遊べるようになるのです!
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冒険アクション映画の“いいシーン”をゲーム化!
ゲームの概要について説明しましょう。
以上が本作のストーリーです。
まるで、某考古学の教授兼冒険家が活躍する、あの冒険映画風の世界ですね。その言葉を受けて本作のゲームの特徴を言い表すなら、そんなハリウッド的冒険活劇映画の“いいシーン”だけを抽出したゲームなのです。
少女のために、損得勘定抜きで、ひと肌脱ぐという男気がまず“熱い”です。追う者は強大な軍事国家の兵どもです。この先の展開は危険しかないことを承知しながら、あえて受け入れる……冒険家ならではの気性が彼をそうさせたのでしょうか?
彼の武器は愛用のムチ“クリフハンガー”と、自身の肉体のみ! 銃器や、飛行機などの兵器、そして巨大な特殊兵器に、文字通り体当たりで挑むのです。
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かなり“クセ強”の操作を覚えるのが冒険の第一歩
このゲームがゲームセンターで人気がイマイチ出なかった理由の1つに、設定されたランディの多彩なアクションに対して、操作方法が非常にわかりにくかったことが挙げられます。なにせ、インストラクションカードにも一部の説明しかないのです!
ただし、わかりにくかったの一言で片付けてしまうのは、当時の開発陣に失礼でしょう。本作の操作体系は、8方向レバー+2ボタンという最小の入力デバイスで、いかに多彩なアクションを実現させるか試行錯誤した末に決められたものであることは、想像に難くないからです。
でも、でもです。やっぱりちょっと不親切だったかも……、と、ここではあえて苦言を申しましょう。アクション操作に言及しないで、本作の本当のおもしろさを語ることはできないからです!
操作の基本は、8方向レバー+ムチボタン、ジャンプボタン。ムチは左右(水平)、斜め上、真上方向のレバー入力とあわせてその向きに繰り出せます。ジャンプは斜め上、上レバー+ジャンプ入力でその方向に飛んで、1段上の足場に移動できます(ムチと微妙に操作が違う理由は後述)。レバーを下に入れるとランディはしゃがみます。この間にムチボタンでランディが向いている方向にムチを水平に打てます。
みなさん、ここまではOKですね。ムチ攻撃は上方向に強いことがわかり、特に操作も難しいことはありません。ジャンプ移動もごく普通のものです。
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まず、最初の壁となるのは、ジャンプボタンを絡めた下方向への操作です。下入力でしゃがむことは前述しましたが、この最中にジャンプボタンを押すと、これまで足を着いていた足場にぶら下がる姿勢を取ります(これを便宜上、ぶら下がり状態とします)。この状態から、さらに下+ジャンプを入力して、初めて1段下の足場に降りられます。上がるのは簡単でも下がるのは2つの段階が必要なんですね。
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そして、操作のうえで最大の混乱ポイントになるのが、これから述べるところなのですが、“斜め”下+ジャンプ入力をすると、“スライティング”というまったく異なるアクションを始めます。
これはランディが足場を滑り、敵をまとめて蹴散らす強力な技(この間無敵!)なのですが、このことを知らないと、1段下に下がるつもりでも、レバーが斜め下方向に入っていたのでスライディングが暴発という事態が多々起こります。下入力と斜め下入力は明確に区別する必要があるのです(※)。
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真骨頂はムチを使ったド派手アクション!
本作のウリでもあるムチ=クリフハンガーを絡めたアクションについてもここで説明しましょう。
ムチは敵の兵だけでなく、兵器やメカをも倒せる万能の武器です。ムチを振ったときに、特定のポイントでムチが引っかかることがありますが、この最中にもう一度ムチボタンを押すと、“ムチ移動”状態に移行します。
この状態ではムチにぶら下がりながら振り子のように動くことができ、このときにジャンプを押すと、キックしながら別のところに移動できます。いかにも“映え”る、ダイナミックなアクションですね。例えば、複葉機から別の複葉機に移動するとき、この移動をキメるとナイスです。
そして、“ムチ移動”状態の最中にレバーを左右いずれかに入れっぱなしにすると、グルンと360度回る“大回転攻撃”が始まります。最大4回転し、体当たりで敵をどんどん蹴散らせます。この間は無敵! この大回転攻撃がランディ最大の武器なんです。思い通りに出せるようにするのが、本作を味わううえでの最重要ポイントになります。
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ムチ移動、大回転攻撃を使ううえで、“ムチが引っかかるポイント”について理解する必要があります。
ムチの“先端”が、特定ポイントに触れることが最初の条件です。特定ポイントの基本的な目安としては、①今いる足場から2段上相当の高さにある足場や棒(ジャンプ2回でたどり着ける高さ)、②複葉機ならプロペラ軸付近(水平打ちで引っ掛かかる。ただし、しゃがみ打ちでは特定ポイントに重なっても引っかからない!)です。
基本的な目安と言ったのは、複葉機なら、傾き中は別のところにも引っ掛けられるなどの例もあるからです。何度もプレイして引っかかるポイントを見つけるのがよいでしょう。もっとも終盤のボス戦では、地面が揺れてムチが引っかかりにくくなる場所もあったりと、文字通り一筋縄じゃいかなくなるのですが……。
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以上、このように基本操作からして少々手強いのです。本作への厳しい評価も、おおむねこの操作に起因していると思われます。
しかし、各アクションを使いこなせるようになれば、視点が大きく変わるはずです。多彩なアクションを活用したヒロイックな戦いに、本作ならではの楽しさを感じられるようになることでしょう。
空間をフルに活用したステージ演出にも注目!
地味な基本操作の話でずいぶん引っ張ってしまいました。でも、いの一番にして本作に取り巻く誤解(=遊びにくいことや操作性が良くないことなどの認識)を解かないと、重要なポイントの半分すら伝わらないのでどうかご容赦のほどを……。というわけで、続いてランディの身に起こる危険な事態=ステージについてです。
ネタバレになってしまうので、必要以上のことは申しませんが、ステージ構成は飛行機、水上ボート、機関車、車……あらゆる状況下での戦いになっており、映画みたいなカッコいいシーンが満載です。つまり、理不尽なまでに危険なシーンが多く、一部を除くステージの最後にはボス戦が待っています。
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特筆すべきは、画面構成へのこだわり。横スクロールのステージかと思いきや、ある時点から奥行きのある3D視点のステージに変化するなど、映画を意識した映像演出でゲームを盛り上げます。同じ構成で使い回すステージがほぼないのは、とても贅沢な作り。視覚的にもプレイヤーを決して飽きさせません。
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ステージ4の“激走100マイル”ステージでは、ランディは車を操作して追手の兵と戦います(このステージは3D視点レースゲームと逆の視点=画面奥は通過した道なのがおもしろい!)。
ムチはもちろん、車そのものを使って押し出す、上から潰すなどで兵をどんどん倒していくのですが、8方向レバー+2つのボタンの組み合わせで、さまざまなクルマのアクション(ドリフト、片輪走行など)が割り当てられているのは、いい意味でやり過ぎという気がします! 片輪走行は銃弾を防いだり、敵が投げるナイフを弾き飛ばせるので、地味に有用なテクですよ。
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「えっ、ストーリー? 詳しい説明は後だ、後!」の潔さ!?
そして、ステージに関しては、ゲームを何度かプレイすると“ステージ順”とストーリーの“話順”がズレているという重大な事実に気付くことでしょう。
プレイヤーにはそういった状況が伝えられないまま、ゲーム開始後、いきなり水面際の複葉機の上で戦いが始まります(しかもステージタイトルが「いきなりクライマックス?」)。そして2ステージこなしてこの一連の戦いが落ち着くと、時間が変わって、ようやく始まりの出来事の説明とともに(話順的には)最初のステージが始まります。
薄々お気づきのことでしょうが、本作ではステージ1に物語のクライマックスシーンを持ってくるという大胆な試みをしているのです(物語の始まりはステージ3から)。
この仕掛けには、最初にこそゲームで最も熱いシーンを体験してほしいという開発者の意図が感じられます。アーケードゲームは「もっと遊びたい」という意欲を促すために、“もっとも見せ場となるシーン”こそ冒頭に用意するのが鉄則……と聞きますが、まさにそれなんでしょうね。
ゲームの流れを一応ざっとすべて説明すると、①クライマックスシーン→②物語の始まり、展開部→③本当のクライマックス(=①の続き)、となります。つまり、本当の見せ場はちゃんと終盤に用意されているのでご安心を!
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(お腹一杯でしょうが)ヘンなところはまだ尽きません!
本作ついて、ほかのゲームにはない“熱い”部分はまだまだあります。
この手のアクションゲームのほぼすべてのタイトルは、「自分の能力をどんどん上げて、強い敵に挑もう!」という、プレイヤーの強化が前提の仕様を伴っていますが、本作には“ムチが強化される”、“ライフが回復する”などのパワーアップアイテムの類はいっさい出てきません!(ライフはステージクリアで少々回復しますが) 「あらゆる危険に立ち向かう冒険家に、手助けは不要! 自分の力だけで状況を打破しろ!」なのです。
実際のところ、開発陣の本意がどうだったか定かではありませんが、パワーアップでモリモリ強くなる冒険家は、確かに本作で見せたかっただろう姿からは大きくブレてしまいます。(ゲームとして望まれる)強化仕様を放り投げてまで、ストイックにムチ一本と身体で戦う仕様を貫いたことに男気を感じますね。
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そして、もう1つはプレイヤーのライフ。このゲームではスコアそのものがライフになっています。つまり、敵を倒すとスコア=ライフが上がり、ダメージを食らうとスコア=ライフが下がるという、アーケードゲーム史上、ほかに例がない前代未聞の仕様! この仕様で製品化を決めたことも“熱い”ですね。
もちろんスコアがゼロになったらゲームオーバーです。
コンティニュー時は一定のスコアから始まりますし(後半ステージから始めるほど高くなる)、ハイスコアはプレイ時の最大値が記録されるというかなり特殊な仕様です。だからこのことを知らないと、プレイ中は混乱してしまいます。一応ハート型のライフゲージはあるにはあるのですが、ライフの残量がわかりにくいので、正直言ってアテになりません!(苦笑)
現代のゲームにはない要素が満載の本作に触れてみると、まったく初めてという人はもちろん、稼働開始当時にゲームセンターの場で遊んだ人もあたらめて、1つの発見があることでしょう。アーケードゲームでこんな“ムチャ”なゲームが出せた時代があったんだ……という発見が。
もしかしたら「冒険百連発!」というフレーズは、『エドワード・ランディ』というゲームではなく、異例尽くしのゲームを作った開発陣を表したキャッチコピーだったのかもしれません。
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『ダブルドラゴン』や『ザ・グレイト・ラグタイムショー』をはじめ、全10タイトル収録。 『アーケードコレクションPART1』12月18日(木)発売!
『アーケードコレクションPART1』は、ゲーム10タイトルを収録した『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカードです。本体のSDカード用スロットに差し込むことで収録タイトルを遊ぶことができます。
追加ソフト第4弾にして初めてタイトーブランド以外のタイトルをラインナップした今作では、レトロゲームファン向けに独自に行ったアンケートにて要望の高かった『ダブルドラゴン』や『ザ・グレイト・ラグタイムショー』をはじめ、『テクノスジャパン』および『データイースト』によって1984年から1992年までに展開された全10タイトルを収録しています。
『アーケードコレクションPART1』収録タイトル一覧
●動画:アーケードコレクションPART1収録タイトル紹介動画
ミステリアスストーンズDr.キックの大冒険/1984年/テクノスジャパン
ブギーマナー/1985年/テクノスジャパン
熱血硬派くにおくん/1986年/テクノスジャパン
ザインド・スリーナ/1986年/テクノスジャパン
ダブルドラゴン/1987年/テクノスジャパン
チェルノブ/1988年/データイースト
ダークシール/1990年/データイースト
エドワード・ランディ/1990年/データイースト
ウルフファング 空牙2001/1991年/データイースト
ザ・グレイト・ラグタイムショー/1992年/データイースト
『アーケードコレクションPART1』製品情報
●動画:アーケードコレクションPART1製品紹介PV
『アーケードコレクションPART1』には、全10タイトルを収録した『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカードのほか、全32ページの特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”と全10タイトルの“インストラクションカード ミニ”が同梱されます。
特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”の表紙デザインは、『熱血硬派くにおくん』シリーズや『ダブルドラゴン』シリーズのキャラクターデザインを手がけたグラフィックデザイナーのKon(緒方コウジ)氏による描きおろしデザインです。
【製品情報】
・商品名:イーグレットツー ミニ アーケードコレクションPART1
・ジャンル:バラエティー
・対応機種:イーグレットツー ミニ
・プレイ人数:1~2名
・希望小売価格:9,878円(税込)
・販売開始日:2025年12月18日(木)発売予定
・同梱物:特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”(全32ページ)、インストラクションカード ミニ(10タイトル)、本体アップデート手順書
イーグレットツー ミニ バイオレットカラー本体+アーケードコレクションPART1
セット希望小売価格:31,856円(税込)
<同梱物>
・電源用USBケーブル(1.5m)
・HDMIケーブル(2.0m)
・インストラクションパネル
・特典DX攻略本“電撃TAITO STATION VOLUME 5”(全32ページ)
・インストラクションカード ミニ(アーケードコレクションPART1収録10タイトル)
・【セット特典】インストラクションカード ミニ(本体収録40タイトル)