スクウェア・エニックスの人気RPGシリーズ最新作『オクトパストラベラー0』。その発売日である12月4日を目前に、先行プレイの機会をいただけました。ストーリーを感動のフィナーレまで堪能したゲーム内カウントは約100時間。超充実のプレイ内容に感動しています。
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そこで今回は“物語&キャラクター編”と“バトル&アビリティ編”の2回に分けてのレポート記事をお届け。シリーズファン目線のプレイフィールを語っていきます。
こちらの記事では“物語&キャラ編”として、心を突き動かされる衝撃の展開だらけの物語や、魅力的なキャラクターたちについて語らせていただきます。発売前ということでネタバレには出来るだけ配慮したいと思いますが、少しの情報もほしくないという方はご注意ください。
索引
閉じるストーリー:ゲームボリュームは約100時間ほど! ダークファンタジーの傑作がここに
つい今しがたエンディングを見終えてこの記事をしたためております。年の瀬のこの時期にものすごいゲームをプレイしてしまった……これが率直な感想。早く決着を見届けたいという想いと、終わらせてしまうのがもったいないという想いが交錯する、心から楽しめたRPGでした。
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本作は『オクトパストラベラー 大陸の覇者(以下、大陸の覇者)』のオルステラ大陸で展開する物語をベースにした……いうなれば“復讐の物語”と、故郷の町ウィッシュベールを滅ぼされた主人公や仲間たちによる“復興の物語”、2軸の物語が展開していきます。
実際のところこの2つの物語は双方が密接に絡み合う形。動き出した物語の流れはいつしか壮大なうねりとなり、驚きの展開を経てエンディングまで辿り着くことになります。
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読者のなかにはもしかすると“『大陸の覇者』を遊んでるから『オクトラ0』はプレイしなくてもいいや”って考えている方もいるかもしれません。大まかな流れは『大陸の覇者』をベースにしているので、その考えはもっともです。ただ“それはかなりもったいないですよ”というのが自分の個人的な見解。要所で『オクトラ0』ならではの設定が絡んでくることで、物語の受け取り方は少し……いや、だいぶ変わってくると思います。
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とくに終盤まで来ると「えっ?」という驚きの展開が満載。とある重要人物の背景が浮き彫りになり、その人物や関係者たち、ひいては物語の解像度が一気に上がっていくんです。僕は心底ビックリしました。こ、これはすごいことになってるな……。
あまり書きすぎるとネタバレになるというか。できるだけ初見での驚きを大切にしていただきたいので、みなまで言いませんが。僕は本当に度肝を抜かれましたし、物語を追いかけていくうちにその人物に深く感情移入してしまいました。
いやもう具体的なことなんて何も書けないことをお許しください。ただ、本作は『大陸の覇者』の既存プレイヤーでもかなり新鮮に遊べるということはどうにかしてお伝えしておきたくて。それどころか『大陸の覇者』の物語との違いにワクワクできるのではないでしょうか。他ならぬ自分がそういう楽しみ方をしておりました。とくに物語の終盤がマジで怒涛です。
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なお、『大陸の覇者』を遊んでいないと『オクトラ0』が楽しめないのかというと、そんなことは全然ないので心配はご無用! イチからでもバッチリ楽しめますし、なんならこの物語を純粋な初見プレイで味わえるのは、ある意味で羨ましいという気持ちです(笑)。色々な意味で衝撃を受けると思いますよ。
シナリオライターの普津澤画乃新氏が、事前インタビューで“本作の物語はシリーズ作品のなかでも1番ヤバい”とおっしゃっていましたが、これは僕も完全同意。“ヤバい”という単語は色々な意味を内包できる、とてもファジーな言葉な気もしますが。でも、この言葉が最適だとも思っちゃいますね、ラストまで体験した今となっては。
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基本的に物語はものすごくダーク。もんのすんごくダークで、これがヤバい。僕なんかはこのレポートを書くために超短期間での詰め込みプレイを断行したのですが、ずっと物語を追いかけているとじわじわメンタルがやられました。人間の心の闇がえげつなく描かれているので、プレイしていてしんどい局面は多々訪れましたよ。なんという容赦のなさ!
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個人的に『オクトラ0』の物語の根底にあるのは“人間の欲”であると受け止めております。……これは『大陸の覇者』にも共通するテーマですよね。そりゃあ突き詰めていくと、かなり闇深い部分を描くことにもなるのは頷けます。
一方で、本作がただそれだけの仄暗い物語なのであれば、僕はこんなに感動はしないとも思っていて。根底に描かれているのは人間賛歌なんですよね。どんなに苦しくても諦めない人々がいて、彼らの心の強さが未来を切り開く……ある意味とてもベタで、だからこそ惹かれてやまない珠玉のストーリー。プレイヤーが主人公ともども追い詰められ、沈んだ先の闇が深ければ深いほど、そこに差し込む光の眩しさに気づくとでもいうか……。
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ストーリー展開はもちろん、キャラクターのセリフや演出にも細部までとことんこだわりが感じられるので、物語の奥の奥まで深く潜り込んでしまいました。俯瞰視している僕でさえメンタルがやられそうになるなか、その逆境に負けない主人公たちの命の灯火に、こんなにもアツくなれるわけです。本当に感動しました。
とある戦闘シーンなんて、僕は泣きながら戦っていましたよ。セリフ、音楽、演出。すべてが神がかっている。どこのシーンかを言ってしまうとヤボな気もしますが、とあるキャラクターの葛藤を描いたバトルとでもいうか……。ここは本当にツラいし、だからこそエモい。このバトル自体は『大陸の覇者』のときからかなりしんどかったのですが、その結末はやはり尊いなって思います。
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西木康智さんが手掛けるサウンドも、これまた格別。僕は西木さんの曲のなかでは初代『オクトラ』の“旅路の果てに立ちはだかる者”がとくに大好きなんですけど。本作の要所で流れる“ボスバトル0”という曲にも、見事に涙腺をやられましたよ。エ、エモすぎる……。
こんなにも勇気をくれる楽曲を背景に戦っておいて、負けることは許されねえ! そんなテンションで戦ってましたからね。なお勝敗は……。
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ちなみに本作のストーリーですが、エンディングを迎えるまでの時間はおよそ100時間弱でした。“全てを極めし者編”とウィッシュベールを再興する“聖火を灯す者編”の終了までで40時間ほど。そこからの展開が50時間強って感じですかね。一応、ほとんどのサブストーリーも網羅しているはずなので(一部見落としもあるかもしれませんが)、これを無視してメインストーリーだけを追えばもっと短縮できた可能性はあります。プレイボリュームはたっぷりと言えますね。
じつはまだ気になる要素も多々残っておりまして。ストーリーのクリア=ゲームクリアではないのは、いつもの『オクトラ』らしい部分かなーと。僕の旅路はまだ終わってはいないんですよ。やり込み要素となりそうな魔物闘技場とかにもまだ手を出してもいませんし、このへんを遊び始めたら余裕で100時間を超えてきそう。これはもう紛れもなく超大作!
キャラクター:さまざまなサブストーリーやパーティーチャットでキャラの個性が表現される
今回、主人公とともに旅をする仲間たちは総勢30人以上となっています。『0』で初登場するメンバーのほか、初代『オクトラ』や『大陸の覇者』に登場したキャラクターたちのなかにも、仲間に加わってくれるメンバーがいるので、ちょっと懐かしく感じる部分もありました。
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仲間はいずれも個性的で、それは加入時のイベントや所持しているアビリティなどで表現されているわけですが。本作ではメインストーリーには直接関連しないサブストーリーも充実しており、仲間たちの人となりはおもにこのサブストーリーを見ることで補完されていく仕様でした。
なかには人物像のみならず、オルステラという大陸に残された伝承や歴史など、世界観に踏み込んだサブストーリーも! これらを読んでいるだけでも楽しいです。
パーティーチャットもめちゃくちゃ充実してました。仲間になるキャラの数が段違いですからね(笑)。こちらも笑えるものからホロリとくるもの、はたまた世界観を掘り下げるものまでじつに多種多様でした。
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なお、ほとんどのパーティーチャットで、主人公への問いかけ(選択肢)が発生するのも印象深いです。そこでどう答えるかで、自分の分身たる主人公の人となりも見えてくる気がするんですよね。ちょっとおちゃらけたキャラなのか、はたまた生真面目なタイプなのか。選んだ答えでパーティーチャットの展開も微妙に変化しますので、気になる選択肢はあとから“旅の記録”で見返してみるのもオススメです。
タウンビルド:物語が進むことで活気づいていくウィッシュベール。街並みにどこまでもこだわれる
今回の新要素である“タウンビルド”も、この『オクトラ0』の明確なお楽しみ部分。物語的に切っても切れない部分というか、お話が進むたびに少しずつ町が復興していく姿は、見ていてとてもポジティブになれました。
ちなみにこのタウンビルド、細部までしっかりこだわれるので、プレイヤーの個性が色濃く反映されそうです。おそらく自分の作り上げた町とまったく同じ形の町は世界に1つとして存在しないんじゃないですかね。それくらい細かくこだわれます。人によっては最高のヌマりポイントになるかも……。
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もちろん、何も考えず同じような民家を適当に建てていくだけでも町はちゃんと復興していくのですが……。メインストーリーの要所でウィッシュベールの町を眺めるシーンも登場するため、ちょっとはこだわっておくのがオススメ(笑)。
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タウンビルドが面白いのは、民家以外にもさまざまな施設を建築できるところ。“農場”や“牧場”を建てれば一定時間で野菜や果物、家畜の肉や卵などが入手可能で、それらを使えば“拠点”で料理を作ることが可能。これを食べれば、しばらくのあいだ食べた料理に応じた恩恵を得られるので、積極的に活用していくとよさそうです。
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ちなみにこれらのレシピや畑に植えるタネ、飼育する家畜などは大陸中のさまざまな場所に住まう人々からフィールドコマンドで入手する形でした。僕なんかは、なかなかレモンのタネが見つけられず、おかげでかなり長いことレモンを使った料理を作れなくてモヤったりしてましたね。
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復興が進むと博物館や闘技場なんかも作れるのですが、こういった“デカモノ”をどこに配置するかで悩んだりするのも、タウンビルドの醍醐味。僕なんかはこの手のエンタメ施設は町の奥の方に建築したいタイプです。
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なお、タウンビルドの実行中はやや俯瞰視点になりまして、いざ実際に建ててみると「思ってたのと違うな!」ってなることも少なくないです。手前に配置した建物が大きすぎて、奥に建てた民家の入り口がわかりづらくなったりとかね……。そういう景観や導線にもこだわり始めると、マジで止まらなくなる可能性はあります。
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いざ、自分でタウンビルドして町を作り上げていくと、ゲーム内のさまざまな町のデザインの秀逸さや細かいこだわりにも気が付くはず。プロのデザイナーさんって本当にすごいなあとため息が出ますね。
ちなみに、民家に住ませるキャラによって内装なども微妙に変化する点も気に入っています。とある人物を民家に住まわせたところ、その人物に関わりの深いあるキャラの肖像画が飾られていたりして、僕はビックリするとともにちょっとホロリと来たんですよね。キャラの個性がこういうところでも描かれている……マジで細かすぎるよこのこだわり、だがそれがいい!
僕は大雑把な性格だけに気が付いたのはその変化くらいなのですが、もしかすると同じような変化がいくつか用意されている可能性があります。気になる方はぜひ色々なシチュエーションを試してみてほしいところ!
畑や牧場などの施設には“グレードアップ”の概念も存在。こちらはシンボルエネミーを撃破すると手に入る“輝きの礎”という特殊素材を使用して拡張していくことになります。どの施設からグレードアップさせていくかも個性が出そうですね。個人的には実利重視で“訓練所”と“教会”は優先度が高めでした。
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各施設に住まわせる住民も大事。というのも、ウィッシュベールに移住してくるキャラクターたちはいずれも“住民アビリティ”を所持しており、これによって得られる恩恵が変化しますからね。“商店”を例にすると、定期的に入荷する交易品の希少なアイテムが出現しやすくなる住民アビリティを持っている人物と、交易品の入荷間隔が早まる人物を同時に住まわせれば、シナジーが出てきたりします。
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さらに、とある特定の条件を満たせば、動物をウィッシュベールに招くこともできるようになります。これがめっちゃかわいくて素敵。なお、動物も住民アビリティを持っているほか、民家や施設に住まわせることも可能です。
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タウンビルドに関しては本当にできることが多いので、つい要素の羅列になってしまいましたが……。マジで自由度が高いので、この手のビルド系が好きな方にはたまらない要素だと思います。ぜひこだわりにこだわり抜いて、自分だけのウィッシュベールを復興させてください。きっと愛着が深まると思いますよ!
そして最後に、僕からちょっとしたアドバイスを。主人公のキャラクターメイキングなのですが、名前はもちろん好きな料理もちゃんと考えてつけたほうがいいと思います。メインストーリーの何かが分岐するとかそういう話ではありませんが、色々とエモい演出に関わってくるので、ふざけて適当な感じにしているとちょっと後悔するかも、しないかも。まあ、そこも含めての“味わい”ではあるのですが、一応ね(笑)。
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……ということで本記事ではおもに本作のストーリー、物語を彩るキャラクター、そして彼らが住まうことになるウィッシュベールの町のタウンビルドについて紹介しましたが、いかがでしたか?
じつはこの『オクトラ0』のプレイレポート、もう1本書きしたためさせていただいておりまして。そちらではバトルの手ごたえやセレクトアビリティによる戦略性の奥深さについて執筆しております。よろしければぜひご覧くださいませ。
なにはともあれ、本当に充実した100時間を過ごせたこの『オクトラ0』。個人的には年末年始にじっくりプレイしたい超良質なRPGだと思っています。こちらは各プラットフォームごとに体験版も配信されているので、記事を読んで少しでも気になった方はぜひ触ってみていただければうれしいです。ガチでオススメですので、騙されたと思ってぜひぜひに。
それでは、今回はこのへんで。オルステラに旅立つ皆さんに聖火の加護があらんことを!