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『オクトラ0』バトル&アビリティ編:ボリュームは100時間以上&過度なレベル上げ必要なし。セレクトアビリティで自分好みの戦略が実現【オクトパストラベラー0:クリア感想&レビュー】

文:タダツグ

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 スクウェア・エニックスの人気RPGシリーズ最新作『オクトパストラベラー0』。その発売日である12月4日を目前に、先行プレイの機会をいただけました。ストーリーを感動のフィナーレまで堪能したゲーム内カウントは約100時間。超充実のプレイ内容に感動しています。

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 そこで今回は“物語&キャラクター編”と“バトル&アビリティ編”の2回に分けてのレポート記事をお届け。シリーズファン目線のプレイフィールを語っていきます。

 こちらの記事では“バトル&アビリティ編”として、手に汗握るバトルの手ごたえや面白さ、新要素である“セレクトアビリティ”によって変化する戦略性の奥深さについて紹介させてください。それではさっそくどうぞ!

バトル:ブースト&ブレイクが超重要。道中に出てくる敵を倒すだけでレベル上げは必要なし?


 『オクトラ0』のバトルには、シリーズおなじみの“ブレイク&ブースト”システムが採用されています。立ちはだかる敵には“弱点”が存在し、これを突くことで相手の“シールドポイント”が減少。見事シールドポイントを0にすれば“ブレイク”が発生し、相手が2ターンの間行動不能になるほか、大ダメージを与えるチャンスが到来します。

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▲相手の弱点を洗い出し、弱点をついて“ブレイク”する。これが本作のバトルの基本!

 仲間キャラは1ターンに1つずつブーストポイント(BP)が上昇。BPの最大値は5がMAXとなっており、これを使用することで“たたかう(通常攻撃)”の回数が増やせるほか、バトルアビリティの威力や効果ターンを増やすといった様々なメリットが生まれます。

 シンプルに手数を増やして相手のシールドポイントを削るのか。それとも相手をブレイクした後にバトルアビリティの威力を高めるために使うのか。戦局によってこのBPをどう使っていくかも、ブレイクと並んで本作のバトルの大きな要となってくる重要要素です。

 つまるところ、ブレイクとブーストを使いこなせるかどうかが勝利のカギを握るわけで。これさえうまく使いこなせればちょっとした戦力差を跳ね返すこともできる、本作のバトルのキモとなる要素!

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▲本作のバトルは8人パーティ制。4人バトルと比べて使えるアビリティの数が増えるので、それだけバトルの戦略に幅が出てきます。町のなかやダンジョンを8人でわさわさ移動するのを見ているだけで楽しいです(笑)。

 基本的なシステムについては“プレビュー記事”で簡単に解説しているので、そちらをご覧いただくとして。ここからはゲームをクリアまで遊んで抱いた難易度にかんする印象や手ごたえについて語っていきたいと思います。


 最初は気になる難易度について。自分としては、ベースとなった『大陸の覇者』と比べるとかなりシンプルになった印象を受けました。

 ……ここはどうしても『大陸の覇者』プレイヤー目線になるのですが、まずバフやデバフの種類が少ないのがとても印象深い。本作には武器を使用しての物理攻撃と、魔法などによる属性攻撃の概念が存在し、それぞれの攻撃力は物攻、属攻で表現され、同じくそれぞれの防御力は物防、属防と表現されます。

 味方に攻撃バフをかければ物攻や属攻がアップしますし、相手に防御デバフをかければは物防や属防がダウンする仕様。ブレイクのタイミングを見計らって味方のアタッカーに攻撃バフ&敵に防御デバフを入れ、BPを使って一気に大ダメージを狙うのがセオリーです。

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▲ストーリーを進めていけば、強力な“必殺技”も使用可能に!

 今の『大陸の覇者』は特定の武器種に関するバフ・デバフや(例:剣攻撃アップなど)や各種ダメージアップバフ・デバフ(例:弱点時ダメージアップなど)など、多彩な要素が存在するため、総合的にパズル要素が高め。これらをうまく連携させ、計算通りの大ダメージを奪った時の爽快感がクセになるわけですが、『オクトラ0』はそこらへんをあえてそぎ落としバトルシステムをシンプルにしてありました。

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▲なんせクリアまで100時間ほどかかるゲームですからね。システム自体はシンプルじゃないと途中で疲れてしまうと思いますし、個人的に英断だったと思います。

 こう書いてしまうと「なんだ、簡単なのか」と受け止める方もおられるかもしれません。発売前のインタビューで鈴木プロデューサーも「過度なレベル上げは必要がないバランス」とおっしゃっていましたし、実際に自分自身も道中でレベリングやお金稼ぎに費やした時間はほぼありませんでした。

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▲……まあ僕の場合は出会う敵をすべて殲滅していましたし、サブストーリーも軒並みクリアしながら進めていたので、あまり参考にならない可能性もありますが(苦笑)。

 つまるところ、本作のバトルは簡単なのかと言われたら……そこは少し悩ましいですね。しっかり『オクトラ』してるというか、少なくともボスバトルはゴリ押しで勝てるほど甘くはありませんので、少なくとも“簡単”とはいいがたいところです。

 結局のところ『オクトラ』のバトルってレベルは目安のようなものであり、アビリティや装備の質が重要ですよね。いかに相手の弱点を突くか。そしてバフ&デバフをかけて殴れるのか。これが大切だと思っています。そういう意味でいうと本作は、後述する“セレクトアビリティ”のおかげでとれる戦術がめちゃくちゃ増えており、ジャイアントキルも不可能ではない印象。一方で、アビリティの組み合わせが悪いとザコにも思わぬ苦戦を強いられたりもして……ホントよく考えられたナイスなバランスだと感じました。

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▲仲間になるキャラクターも多いので本当に戦術は多彩なんです。

 個人的にちょっと気になったのは、仲間やセレクトアビリティの種類が揃ってくるのは中盤以降になるって部分。そこまでしばらくオーソドックスな戦い方になりがちで、あれこれとっかえひっかえして戦略を練る感じにはなりませんでした。これはシステム的に仕方がないとはいえ、ちょっと勿体ない気もしましたね。

 まあ、シリーズ初心者の方はいきなり選択肢が多くなっちゃうと混乱すると思いますし。そういう意味で序盤はあえて選択肢を絞り気味にし、そこでゲームシステムにしっかり慣れてねって配慮かなと察する部分もあるんですけど。

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▲本作で『オクトラ』デビューする方も少なくないと思うし、プレイヤー全員がこのブレイク&ブーストになじみがあるわけではないですもんね。

 ボス戦の緊張感は『オクトラ』シリーズの醍醐味。なかには初見殺しなボスもいたりして、手に汗を握りました。正面からガッチガチに殴り合ってボッコボコにされたりとか、かるいトラウマですよ(笑)。

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 ちなみに僕が一番最初にゲームオーバーになったのは、とあるボスとのバトル。相手の回避力が高くてこちらの攻撃が当たらず、そのときのパーティでは属性で弱点もつけないという絶望的な状況の戦いでした。

 なまじすごく大事なバトルというか「絶対に負けられない!」という中盤のヤマ場だったこともあり、初見とはいえ負けたのがもうめちゃくちゃ悔しくて。おかげでメンタルをバッキバキに折られました。……初見ということはつまり、いわゆる新シナリオの“聖火を灯す者編”の、とある局面なのですが。

 あえてどのボスとは言いませんが、皆さんもぜひボッコボコにされて「ああ、コイツのことを言っていたのかな」と察してもらえたらうれしいです(笑)。

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▲とある雪原でのバトルでした。このスクショはザコ戦のものですが、背景はこんな感じなのねという参考にぜひ。マジで忘れられない敗北です。

 終盤まで進んだ日には、立ちはだかるボスのなかにかなり強い連中もおりまして。負けないまでも決着がつくまで30分以上かかるバトルも結構あります。味方のリカバリ性能も上がっているから仮にパーティが半壊してもなんとか立て直せるぶん、ちょっと相性が悪い相手ともじっくり渡り合えたりするんですよね。それが時間がかかる要因ではあったかも。

 今にして思えば、効率を考えれば手の内がわかった時点で諦め、弱点をつけるメンバーに交代させて挑むほうがいい気もしちゃいます。まあ、猪突猛進こそが僕のプレイスタイルということで(笑)。

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 なお、30人以上も仲間が加わるとなると、序盤でパーティインしたキャラより終盤で加わるキャラの方が強いのでは……と考える方もいるかもしれません。その考えはゲームバランス的にごもっとなのですが。個人的には、あまりそこに格差は感じませんでしたね。

 たとえばアタッカーとして強くても、シールドポイント削りには向いてなかったり。単体攻撃に特化してボスとの戦いで活躍できるぶん、多数の敵を相手取るザコ戦には向いていなかったりと、キャラの性能は千差万別。全員なんらかの強みと弱みが設定されている感じです。

 ちなみにかくいう僕はウィッシュベール組(スティア、フェン、ローラナ)は最後までパーティに入れて戦っていました。苦楽を共にしてウィッシュベールを復興させていくうちに、強い愛着が生まれてしまったもので、外そうにも外せなかったんですよ(笑)。

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▲スティアちゃんがバトルアビリティの“薪割り”を使うときの「ぱっかーん!」の掛け声が超好き。

 何より、初期メンである彼らと一緒でもとくにストレスを感じることなく戦い抜けたのは、色々な戦い方も許容されている証左な気がします。ちなみにサブメンバーも、ウィッシュベールに建築できる“訓練所”でしっかり育成しておくことをオススメしておきますね。

セレクトアビリティ:パーティの戦略を無限に広げるバトルの新要素!


 個人的に『オクトラ0』のゲームシステムで一番面白いと感じたのは“セレクトアビリティ”でした。言葉どおり、仲間キャラに自由にアビリティをセレクトしてセットできるこのシステム。キャラの長所を伸ばすことも弱点を補うことも可能なので、戦略は無限に広がります。

 なお、アビリティであればどれもこれも付け替えることができるわけではなく、セレクトするにはそのアビリティを“極意化”する必要があります。これはタウンビルドで訓練所を建築後、ジョブポイントを振り分けることでできるようになる形。

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▲なかにはキャラ固有というか“極意化”が不可能なアビリティも存在。これにより、戦い方にバリエーションを増やしつつキャラの個性もしっかり守られている印象です。このバランス感覚が素晴らしい!

 また、フィールドアビリティでNPCから入手したり、宝箱からゲットしたり、なかにはボス敵を撃破後に入手できるレアな極意なんかも存在したりします。

 バトルアビリティひとつとっても“とにかく威力が高いもの”“威力は低いが多段ヒットするもの”“効果が全体に及ぶもの”“攻撃命中時に状態異常を引き起こすもの”など、種類は多彩。セットできるセレクトアビリティのスロットは各キャラごとにバトルアビリティが3、サポートアビリティが2となっているので、そのキャラの何を強みとするのかで取捨選択が重要になりますね。

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 このセレクトアビリティ、どう使いこなすかはプレイヤーの色が強く出そうなカスタマイズ要素。「これが強い!」とか「この組み合わせは面白いよ」みたいなやり取りが、SNSなどでたくさん流れることになるだろうなあと、僕は今から楽しみにしています。たとえば僕のお気に入りをいくつか例として紹介しますと……。

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▲敵全体に弓で攻撃し、その後、前衛全体に与えたダメージの2%ぶんのSP回復を施す“神秘の弓”。これ、主人公が商人にジョブチェンジすることで覚えられるんですけど、ひたすら便利でした。すぐに極意化して序盤からラスボス戦まで狩人のフェンにセットし続けています。ザコ戦でもボス戦でも大活躍ですよ。
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▲たぶん宝箱とか、ボスからのドロップかなんかで手に入れたと思われる“氷睡のノクターン”。氷属性で2回ダメージを与えつつ、一定確率で敵に睡眠を2ターン付与します。相手がオーラ攻撃を狙ってきたときとか、なんならブレイク中のタイミングにこのスキルで敵を眠らせることができれば、それだけでリスクを軽減できるという……マジで頼りになるバトルアビリティ。
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▲サポートアビリティは組み合わせでシナジーが生まれるものも。たとえば属性攻撃の威力を上げる“属性熟練化”と、バトルアビリティの消費SPを半減させる“消費SPダウン”の組み合わせ。これでSPの消費量を気にせずに、強力な属性攻撃をガンガン使っていける寸法です。減ったSPは前述の“神秘の弓”で簡単に回復できるので、マジでSP回復アイテムいらずに!

 他にも、装備者が後衛にいることで効果が発動するサポートアビリティなんかをうまく絡めることで戦闘を有利にする組み合わせもあったり……。こういうスキル構成をニヤニヤしながら考えているだけで、すでに楽しくないですか? これまでの『オクトラ』にはなかったこのカスタマイズ要素、RPGとしての懐がまた深くなった気がします。

 なお、気になっている方もいると思うので補足的に書きますと、本作では『大陸の覇者』に存在した武器をカスタムできる“ソウル武器”はありません。今まで使用していた武器は、いわゆる“あっち側の敵”にもちゃんと通用しますよ(笑)。武器にまでカスタマイズ要素をつけたらどえらいことになった気がするので、これはこれでいいバランスだと思いました。

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▲ウィッシュベールの“商店”で時々入荷される“交易品”のなかには、かなり強力な武器がラインナップされることもあるので要チェック!

 ということで本記事ではおもにバトルの手ごたえや新要素であるセレクトアビリティの使い勝手について紹介しましたが、いかがでしたか? 

 じつはこの『オクトラ0』のプレイレポート、もう1本書きしたためさせていただいておりまして。そちらではストーリーの魅力やキャラクターへの感情移入度、そして自分自身が移り住みたくなるウィッシュベールのタウンビルド要素について執筆しております。よろしければご覧くださいませ。


 なにはともあれ、本当に充実した100時間を過ごせたこの『オクトラ0』。個人的には年末年始にじっくりプレイしたい超良質なRPGだと思っています。こちらは各プラットフォームごとに体験版も配信されているので、記事を読んで少しでも気になった方はぜひ触ってみていただければうれしいです。ガチでオススメですので、騙されたと思ってぜひぜひに。

 それでは、今回はこのへんで。オルステラに旅立つ皆さんに聖火の加護があらんことを!

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