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インタビュー:『バイオ レクイエム』のレオンは『RE:4』ベースの強さ。グレースとの操作パートの配分はどうなる?

文:Ak

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 2026年2月27日に発売予定のPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)用ソフト『バイオハザード レクイエム』のインタビュー記事をお届けします。

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中西晃史氏『バイオハザード レクイエム』ディレクター。アクワイア出身で、初期の『天誅』シリーズではグラフィック全般を担当していた。カプコン移籍後は『バイオハザード5』でプランナー、『バイオハザード7』でディレクターを担当している。

熊澤雅登氏『バイオハザード レクイエム』プロデューサー。『バイオハザード RE:4』VRモードでプロデューサーを担当。

熟練のレオンが魅せる『RE:4』ベースの爽快アクション【バイオレクイエムインタビュー】


――最新トレーラーでレオンの登場が明かされ、大きな話題となりました。ユーザーとしてはほかのキャラクターの登場も気になるところですが、本作のプレイアブルキャラクターについて教えていただけますか。

中西
はい。『バイオハザード レクイエム』のプレイアブルキャラクターは、レオンとグレースの2人です。そこは明言しても大丈夫です。それ以外のキャラクターの登場に関しては、実際にプレイしてのお楽しみですね。

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――トレーラーではレオンがチェーンソーで敵を切り裂くようなシーンがありましたが、今回ならではのユニークなアクションはありますか。

中西
レオンのゲームパートは、多くの方が感じている通り、『バイオハザード RE:4』のスタイルをベースにしています。一方でグレースは『バイオハザード RE:2』のスタイルがベースです。

 なので、レオンは体術や近接攻撃といったアクションが当然あります。じつは、我々がレオンを新作の主人公として作るのは『バイオハザード6』以来なんですよね。彼もいい歳を重ね、その間も数々の戦いで経験を積んでいる。

 じゃあ、2026年のレオンはどうなっているんだろう、というのが本作を作るうえでの大きなテーマでした。心境的にも、彼は誰かを救いたいというモチベーションで行動するなかで、多くの悲劇を見てきています。バイオテロはいつまでたってもなくならない。それをずっと続けている人は、どういう心境に行き着くのか。

 そしてもちろん、戦闘のテクニックも『RE:2』の素人だった頃から、『4』、『6』とどんどん巧みになっている。現在、彼がどれだけ熟練した戦い方ができるのか。それを『RE:4』ベースのなかで新しく表現しています。

――トレーラーではトマホークのような武器を持っていましたが、あれは飛び道具なのでしょうか?

熊澤
近接アクションの選択肢の1つですね。詳細については今後の発表をお待ちください。

――グレースで“恐怖”を、レオンで"爽快アクション”を楽しめるということですが、ゲームの構成としては『バイオハザード4』のアシュリーのように2人で行動するのではなく、それぞれが単独で進む形が中心になるのでしょうか。

中西
はい。本作のストーリーはあくまで1本です。シリーズでは2人で遊ぶタイプのものもありましたが、『レクイエム』はそうではありません。1本の物語のなかで、進行に応じてレオンのパートとグレースのパートが切り替わっていきます。

 もちろん、そのなかで2人が出会い、絡むシーンもあります。バイオハザード史上最も怖がりで、バイオテロの経験もないグレース。片や、超ベテランでレジェンドのレオン。このまったく違う2人がどう絡んでいくかというのも、本作の面白さの1つだと思っています。

――レオンのバトルが『RE:4』ベースである一方、今作は一人称視点でもプレイ可能とのことですが、ダイナミックなアクションが一人称視点ではどのような手触りになるのでしょうか。

中西
はい、レオンのパートも一人称視点に切り替え可能です。そこも我々にとってはチャレンジでしたが、主観視点でも問題なく遊べるように、いろいろなところで工夫を入れています。おそらくプレイしていたらいつの間にか慣れている、というくらい自然に遊べるはずです。このあたりは、今後発表するショーケースなどで、レオンのプレイ動画をもっとお見せできると思いますので、そちらで説明できればと考えています。

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――レオンも年齢を重ね、内面やアクションだけでなく、ビジュアルにも変化があるかと思います。今作ではどのような方向性でレオンを描いたのでしょうか。

中西
彼が背負ってきたものを表現する、というのが1つのテーマでした。そしてもう一つは、“イケオジ”であるべき、というところですね。その絶妙なバランスにはものすごく時間をかけて調整しました。今回、最新トレーラーを発表して、まさにそういったコメントが返ってきたので、僕らはもう、今日はいい酒が飲めるなと思っています(笑)。

 社内、とくに開発チームにも女性のレオンファンがものすごく多くて、鋭いツッコミが来るので、みんな頑張って作ってくれました。

 それからもう1つ。今回、彼がラクーンシティを訪れるというのは、すごく意義のあることなんです。彼にとってそこは原点であり、警官になろうとした場所で"バイオハザード”に巻き込まれ、そこから彼の戦いが始まっている。年齢を重ねたレオンが、その地で自分を振り返って何を感じ、どういう行動を取るのか、というのも見どころの1つになっています。

レオンとグレースの緩急で今までにない感覚が味わえる! 2人の操作パートの配分は半々くらい【バイオレクイエムインタビュー】


――本作はグレースとレオンのダブル主人公という理解でよろしいでしょうか。トレーラーでレオンが出てきた時、「この人に任せておけば安心だ」という絶大な安心感があった一方で、グレースの存在感が食われてしまわないか少し心配にもなりました。

中西
はい、ダブル主人公です。ゲームでの操作パートも、ほぼ半分半分ぐらいになっています。その2人が絡んでいくのが『レクイエム』の展開ですね。ですので、グレースが好きでプレイしてくださる方も彼女の物語を堪能できますし、もちろん昔からのレオンファンの方々も彼のお話を堪能できるようになっています。

 お話だけでなく、ゲーム体験もそうです。以前、私が「レオンはホラーに向いてない」と言ったことがありましたが、まさにその通りで、“東京ゲームショウ”などでお見せしたような、グレースが大きな化け物から逃げ回るような、静かでビビりまくるようなシーンはレオンには合いません。

 なのでレオンには、血飛沫を浴びながら踊るような激しいアクションシーンを用意しています。一方でグレースは、より怖さを感じられるように。そうした明確な体験の違いを今回は出しています。

 まったくテンションの違うゲームが2つ入っている、というのは我々にとってもチャレンジでした。当初は「これ、うまく合うのかな」「予算は大丈夫か」といった不安もあったのですが、いざやってみたら、この高低差がすごく独特の体験を生み出してくれました。プレイヤーをとにかく振り回すような、トータルでの体験になっています。

 伝わるかわかりませんが、熱いサウナに入ったあとに水風呂へ入る、あの感覚です。アドレナリンが出て、脳がリラックスして……いわゆる“ととのう”状態ですね。これは今までの『バイオハザード』シリーズではやってこなかった部分だと思っていますので、ぜひ早く遊んでみてほしいです。

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――物語としては、レオンの話とグレースの話がはっきり分かれているのでしょうか。

中西
ストーリーは1つで、そのなかで操作キャラクターがグレースとレオンで切り替わっていく、という構成です。『バイオハザード』シリーズで言うと、『リベレーションズ』に近い構成だと思ってもらえればわかりやすいかと思います。『6』のように2つのストーリーがあってどちらかを選ぶわけでもなく、『RE:2』のような表裏の形でもありません。

 この緩急の差をうまく組み合わせないと、激しいシーンばかりでもしんどいですし、怖いシーンばかりでも疲れてしまう。レオンとグレースのパートは、そのバランスがベストになるように構成しています。

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――トレーラーに“エルピス”という言葉が出てきましたが、これはどういったものなのでしょうか。

中西
“エルピス”は、ご存知かもしれませんが、パンドラの箱の最後に残っていたものですよね。“希望”という解釈が多いですが、一部では"もっと悪いことの予兆”だとか、いろんな捉え方があるものです。

 これは『レクイエム』のストーリーにおける重要な要素になっています。殺された母親がなぜ殺されたのかを追うグレースにとっても関わってきますし、まだ言えないのですが、じつはレオンも1つ秘密を抱えていて、そこと絡んで重要な意味を持つようになります。ぜひプレイのなかで、一緒にその秘密を解き明かしていってもらえればなと思っています。

――本日公開された情報で、レオンが乗っている車がポルシェだということがわかりました。こちらはコラボレーション企画なのでしょうか?

熊澤
はい、ポルシェさんとコラボレーションをしています。レオンに車に合うコラボ先を探しているなかで、ポルシェさんにご快諾いただけました。

 ポルシェさんの“カイエン ターボGT”とコラボレーションさせていただいているのですが、じつは少しカスタムしてあって、実際の市販車ではなく、本作の世界観に合わせた、本当にたった1台の車を実際に作っています。

――『バイオハザード』シリーズでは乗り物がよく壊れるイメージがありますが、このポルシェはどうなるのでしょう……?

中西
そこは、どうなることか期待していてください(笑)。

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――本作で初めて『バイオハザード』シリーズに触れる方もいるかと思います。そういった方に向けて、レオンという人物の魅力を改めてアピールしていただけますか。

熊澤
まずお伝えしておきたいのは、レオンの過去を全部知っていなければいけない、ということは本作ではありません。唯一知っておいてほしいのは、彼が“ラクーン事件”に関わっているということくらいで、それを踏まえたうえで、年齢を重ねた彼が今回の事件にどう立ち向かっていくのか、という部分は過去作を知らなくても十分楽しめる内容になっています。

中西
単純に、1つ言えるのは彼はイケメンなんですよね。見た目だけじゃなく、性格的にも。誰かを助けるためであれば自分の犠牲はいとわない、みたいなことをあの顔で言うんです。かといって、それをひけらかすわけでもなく、軽口を叩いたり、飄々とした佇まいを見せつつも、内には熱いものを持っている。

 もちろん、戦闘技術もすごく高いです。スキがないキャラなので、リアルにいたら友だちにはなれないタイプかもしれませんね(笑)。

熊澤
今日のトレーラーは英語ボイスですが、冗談で“セカンドオピニオン”というワードを言っているんです。ああいう皮肉やウィットに富んだ部分は海外の方にもすごく人気で、今回も年齢を重ねた彼ならではのセリフを用意しています。

――企画の初期段階から、レオンとグレースのダブル主人公構想だったのでしょうか。

中西
企画を固める前の模索段階ではいろいろとありましたが、プロジェクトがスタートする時には、もう2人の主人公で、2つの異なるゲーム体験を入れよう、というのが決まっていました。「ホラーをやるなら、ホラーに合うキャラクターの方がいいよね」という考えからですね。

――『バイオハザード7』で「怖すぎた」というフィードバックがあったと伺っています。今回、グレースを主人公に採用して恐怖感を高めようとした狙いは、その反動のようなものがあったのでしょうか。

中西
それは少し逆ですね。仮にグレースのゲームだけでずっと作っていたら、めちゃめちゃ怖いゲームになったと思います。ですが、そこにレオンのパートを、ある意味で緊張と弛緩の“弛緩”の部分として使うことによって、プレイヤーも「よし、レオンのパートだ。これで何とかなる」という安心感が得られる。

 そしてまたグレースのパートに戻ると、「うわ、またどうしよう……」となる。このホラーの構成を意図的に使っています。結果として、怖いんだけれども、トータルではすごい解放感や爽快感もあって、今までの『バイオハザード』にはなかったような満足感が得られるようにしています。

熊澤
だから今回は、レオン編とグレース編に分かれているわけではなく、1つの物語にしているんです。怖いものを体験したあとにすごく気持ちいいアクションをしたら、その気持ちよさが突き抜けるんじゃないか、とか。逆にそのあとにホラーパートが来たら、かなり怖く感じられるんじゃないか、とか。その差を、まったく違う2つのゲームを組み合わせることで生み出しています。

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――最後にファンの方へメッセージをお願いします。

中西
あれだけ強いレオンですが、今回、彼は過去一番に追い詰められることになると思います。ある意味、彼の限界に挑む戦いになる。そこはけっこう、重要なところかなと思います。

 より詳しいゲームプレイなどについては、来年1月に予定しているショーケースでお話しできると思いますので、そちらも楽しみにお待ちいただければと思います。みなさん、レオンの登場で非常に盛り上がってくれて、僕らも本当に彼を登場させて良かったなと。これがもしウケなかったらどうしようか、という温度感でいましたので(笑)。本当にありがとうございます。

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