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インタビュー:『プラグマタ』Switch2版の最適化やamiiboの連動特典は? Steam体験版先行配信の理由も聞いてきた

文:Ak

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 2026年4月24日に発売予定のPlayStation 5、Xbox Series X|S、PC(Steam)、Nintendo Switch 2用ソフト『プラグマタ』のインタビュー記事をお届けします。

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大山直人氏『プラグマタ』プロデューサー。

趙容煕(チョウ ヨンヒ)氏『プラグマタ』ディレクター。

体験版は周回する楽しさも味わえる! Steamでの先行配信はパフォーマンス確認のため【プラグマタインタビュー】


――本日配信された体験版の注目ポイントについてお聞かせください。

大山
まず、本日公開させていただいた体験版に関しては、本編とは切り離されたものになっています。本編の一部を遊んでいただく形ではなくて、本編のステージを使っているもののまた違う進め方、今までの出展ロムとも進行や敵の配置などが変わった体験版になっています。

 加えて体験版用として、周回しても2周目以降にも楽しさや驚きがあるような内容になっているので、ぜひ繰り返し遊んでいただきつつ、本作の最もユニークなところであるハッキングとシューティング、ここのゲームプレイをまずはPCで体験していただくことを目的として作っているものになります。

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――ハッキングが注目のポイントだと思いますが、やはり主人公の1人であるディアナの可愛さに惹かれてプレイする人も多そうですね。

大山
ありがたいご質問です(笑)。ディアナの可愛さという意味でも、みなさんにご満足いただけるような遊びの要素も入れておりますので、ぜひそういった意味でも体験版を満喫していただきたいなと思っています。

――このタイミングで体験版を配信された意図についてお聞かせください。どのようなフィードバックを期待されていて、4月の発売までの限られた時間で、どの部分を優先的に調整していく方針でしょうか?

大山
まず、今回Steam版だけを先行して配信させていただいています。というのも、PCの環境というのは、ユーザーのみなさんそれぞれでCPUやGPUといったスペックだけでなく、モニターとの組み合わせだったり、裏で配信アプリを起動していたりとか、本当に千差万別な環境があります。ですので、Steam版の個別の調整というのは非常に難易度が高い状態です。

 そういった面もあって、一種のアーリーアクセスではないですけど、Steamで先にみなさんにプレイしていただくことによって、より完全な形で製品版をリリースできるように、まずはSteamから重点的にやらせていただいている状態です。

 なので、そういう意味では、ユーザーのみなさんのフィードバックには大いに関心を寄せていますし、我々開発チームもみなさんのコメントなどを随時チェックしているような状況です。

――やはりパフォーマンス面を重点的に見ているということですね。

大山
はい。プラスで申し上げるなら、今回、マウス・キーボードへの対応というのも初めて世界のみなさんに触っていただく形になるので、そういったところの手触りも、PCならではのものとして先に触っていただけたらなと思ってます。

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――体験版をプレイしたのですが、かなり快適に動作している印象がありました。各ハードでの最適化を行っていく過程において、こだわった部分や難しかった部分はありますか?

大山
難しかった部分……逆に言うと、そのこだわりを捨ててでも、快適度を優先しようというのはまずあったかなと思います。ゲームのグラフィック面とか、こだわっていくらでも画質は綺麗になるんですが、そのぶんやはり処理がどんどん重くなってしまうので。チームのメンバーとしてはより良いものを見せたいっていう気持ち自体は強いんですが、その気持ちをいったん押し込めて、まずは幅広いPCで遊んでもらえるように最適化を十分に行う、と。

 なので、いったんそのクオリティラインを下げて、フレームレートを十分に担保できる状態にしてから、そこからグラフィックを仕上げていこう、という作り方にシフトしていったのが大きいですね。

開発の一番最後に、やはり最適化の期間が来るんですけど、その時に「これをやってしまうとフレームレートが下がってしまう」とか、「これをやるなら、あれは諦めるしかない」とか、そういう判断の期間になります。ディレクターとしてはすごく捨てにくいところもたくさんあって辛かったんたのですが、やはり一番大事なのは、ゲームのフレームレート、最適化の部分かなと思って、そこを最優先にしました。現状はすごく安定していると感じていますね。

――体験版をプレイすると、製品版で何か特典がもらえる、といった要素はありますか?

大山
特典の引き継ぎだったり、セーブデータの引き継ぎ仕様はないです。理由としては、今回Steam版だけ先行で配信させていただいているので、特典を条件にしてしまうと、コンソール版のみなさんがかなり不満に思われてしまうかなと。ですので、そういった連動システムははずしてフェアな状態にしています。

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――もう一点、体験版の2周目で手に入る“落書きスーツ”ですが、あれは製品版でも手に入ると思って大丈夫でしょうか?

それは鋭い質問ですね(笑)。

大山
2周目の落書きスーツに関しては、チームの遊び心として、現状は体験版用に作っているものです。まあ、もしそれを気に入ってくださった方がいる場合は、ぜひ積極的にSNSなどでコメントしていただけると、もしかしたら何か動けるかもしれません。

Switch 2 版ではamiiboでサポート系のアイテムを入手可能! 最適化にも期待してほしい【プラグマタインタビュー】


――今回発表されたNintendo Switch 2 への対応は、どのくらい前から進められていたのでしょうか。

正確な時期は言えないのですが、基本的にはSwitch 2 の発表などに合わせて、我々も対応を進めていったという感じです。開発の基準にしたのはPlayStation 5で、そこから各ハードに合わせて調整していく、というような作り方をしています。

大山
現在ターゲットとしているフレームレートなどに関しては、絶賛開発中です。今日のPVでも発表させていただいたんですが、Switch 2 を含む形で、後日コンソール版の体験版の配信も予定しておりますので、今後の続報をお待ちいただければと思います。

――Switch 2 版では、マウス操作やタッチ操作には対応しているのでしょうか?

大山
いえ、対応していないです。

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――Switch 2 版ではディアナのamiiboも発表されましたが、こちらをゲーム内で使うとどのような連動特典があるのでしょうか?

大山
ステージの中で読み込むことによって、武器や回復のアイテムだったり、ハッキングでユニークな効果が出る“ハッキングノード”がドロップするというものになってます。

 これはステージから一度シェルターの方に戻って、もう一回出撃するとまた読み込めるという形になるので、ステージの中で入手できるアイテムがドロップできて、ちょっと進めやすくなるというような、おまけ要素として入れている感じですね。

――amiiboは可愛いポーズも印象的でした。これはなんのポーズなんでしょうか?

イメージとしては、花畑があるところで、1人でなんかルンルンしてる感じのディアナをちょっと表現したかったんです。で、それを見ているヒュー、というシチュエーションをイメージをしました。

大山
今回のPVでホログラムの海が出るシーンを公開させていただいてるんですけど、そういった海での波打ち際で遊んでるようなディアナだったり、時には花畑みたいなところなど、そういった下に何か良いものがある場面で、ディアナがバランスを取りながら戯れているっていうようなイメージですね。

実物のamiiboを見たんですけど、写真で見るよりディティールが細かくて、自分でもちょっとびっくりしました。

――Switch 2版 のクオリティについてですが、どのようなイメージでいたら良いでしょうか。"東京ゲームショウ 2025”で触った『バイオハザード レクイエム』のSwitch 2 版のクオリティの高さには驚かされました。

大山
現時点の開発中のバージョンにおいても、その『バイオ レクイエム』と比べて遜色がないレベルにまでは仕上がってきているかな、という手応えは感じています。Switch 2 を含むコンソール版の体験版も、遠くない後日に配信されますので、そちらでメディアのみなさん、もちろん一般のユーザーさんにも、発売するすべてのハードでお試しいただけるかと思います。

大山
ご不安に思われての質問なのかなと思いますが、十分に楽しんでいただけるものとして仕上がってきております。もう少しだけお待ちいただきたいなと思ってます。

少なくとも、開発チームのみんなも、初めてSwitch 2 で動かした時には、「このクオリティで動くんだ」という驚きがちょっとありましたね。

大山
REエンジンとSwitch 2 との親和性が非常に高くて、我々が思っていたよりも順調に開発が進んでいます。余裕を持って間に合いそうだということで、今回の予約開始のタイミングでSwitch 2 への対応を発表し、発売日もそこに合わせているという状態です。ですので、Switch 2 があるから開発が遅れているということもないですし、Switch 2 に合わせてほかのハードが……ということもまったくないです。かなり順調に、スムーズに開発は進んでいると思っていただいて大丈夫かなと考えてます。

製品版ではパズル部分の手応えにも期待してほしい【プラグマタインタビュー】


――本作は何度か発売の延期がありましたが、その決断に至った背景には、どういった苦悩があったのでしょうか。

大山
延期の一番の理由としては、やはりゲームがみなさんにお届けできる十分なクオリティに達していなかった、というのが決断の背景になってます。中途半端な状態で出しても、新しい作品なので受け入れてもらえないだろうなというところがありまして。それだったら、しっかり時間をかけて面白いものを作ってからお届けしようということで、延期させていただいています。

 とくに、ディレクターからも話があったとおり、ゲームシステムの部分ですね。2020年に公開させていただいたトレーラーの段階で、ディアナとヒューという2人の主人公を同時に操作して、ハッキングとアクションで戦っていく、というコンセプト自体は決まっていたんですが、それをどうゲームシステムとして落とし込むのかの部分で、いろいろと試行錯誤を繰り返していました。その結果、今のパズルとシューティングのスタイルになったという背景がありまして、そこのシステムの実現と、システムが決まってからのバランス調整というところに、延期の理由のほとんどが占められているという状態です。

ディレクターの立場から言いますと、過去作に倣うのではなく、ユーザーに対して新しいゲームをお届けしようという気持ちが、開発チームも会社全体としても、すごく強いんですよ。新しいもの、新しい体験というのをすごく大事にしています。

 単純なアクションゲームだったり、どこかで見た要素があるゲームだったりすると、やはり新規IPとして作る意味があまりありませんから。そこを何回も何回も悩んで、社内のみんなが納得できるようなゲームにするまで、ある程度時間がかかってしまったという感じですかね。その理由が一番大きかったのかなと思います。

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――体験版ではパフォーマンス面を重視されているとのことですが、改めて『プラグマタ』という作品の一番の売り、そして、どのような人に向けたゲームなのかを教えてください。

大山
まずは新しいゲーム性なので、“新しいもの好き”な方にいち早く触っていただきたいなと思っています。とくに、ハッキングとアクションの組み合わせっていうところが、触ってみないとなかなかイメージがつきづらいかなと思うので、興味は持っていたんだけど、ちょっと様子を見ていたという方にも、ぜひインストールして触ってみて欲しいです。

それ以外にも、SFの世界観が大好きな人だったり、あとはバディものがすごく好きで、2人の掛け合いを見てみたいという方にも刺さるような内容だと思います。ディアナが可愛い、というところから入っていただいても、もちろん良いですし!

大山
今回の体験版は、ディアナが何かを書いている背中の姿のタイトル画面から始まるので、キャラクターに興味があるという方は、十分に楽しんでいただけるものになっているかなと思います。

ディレクターとして最初にディアナを作ったんですけど、僕自身はそんなに女の子のキャラクターに興味がある方ではなくて、どちらかというと男のキャラクターに興味があるので……。自分が作ったにも関わらず、そこまで思い入れはなかったんですが、意外と自分より周りのスタッフがすごく好きになってくれて、逆にびっくりしました。

大山
チームとしてはもちろん、ディアナの方が好きだというメンバーも多いですし、双方に愛が注がれた結果、今の形にはなってきていますね。

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――ハッキングシーンのパズル要素が非常に面白そうだと感じました。パズル的な手応えという部分も期待して良いのでしょうか?

そうですね。今公開されている体験版だと、シューターをしながらパズルを同時にやる、というところが初めての方には少し難しいという印象を受けるかもしれません。そのため、「私でもできるんだ」という達成感を大事にしてもらうために、難易度はかなり下げています。ですが、ステージ後半になっていくにつれてパズルの難易度も上がっていくので、そこは変化を楽しみにしていてください。

大山
ユーザー目線での手応え、難易度感という意味では、体験版なので抑えめにはしています。ただ、開発チーム側のこのパズルというものに対する出来栄えとしての手応えという意味では、もうここに一番時間をかけていると言っても過言ではないので、十分にみなさんに満足していただけるものができていると思います。

あと、個人的にはパズルは好き嫌いがすごくわかれるジャンルだと思っています。難易度が上がったとしても、それが楽しいのではなくて、単純にダルいとか、やりたくないのにやらされている、みたいなところがあると思うんです。そう感じさせないように、何回も何回も繰り返しテストをして、ちょうどいいバランスを取っています。

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――何年も前に公開されたアナウンストレーラーに出てきた、ニューヨークのタイムズスクエアのような場所や、猫のキャラクターといった要素について、もう少し詳しく教えていただけますか?

基本、『プラグマタ』の舞台は月面なので、最初から最後まで月面なんですけども、やはり月というのは色のない世界です。最初から最後までずっと色のない世界でプレイするというのは、ビジュアル的にすぐ飽きちゃうだろうなと。

 そこで初期に考えたのが、プリンターを使って月の上に地球と似たような場所を作ろう、というアイデアでした。そこから、猫だったり、ニューヨークだったり、いろんな地球の要素をそこに配置して、ちょっとカラフルな世界、人間が見て楽しく「ここで遊びたい」と思えるような空間を作り出した、という感じですね。

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