KADOKAWAが主催した小説コンテスト“カクヨムコンテスト10”。そのホラー部門大賞を『三重県津市西区平山町3-15-7』で受賞し、本日1月26日に書籍版が発売となった大舟先生のインタビューをお届けします。
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『三重県津市西区平山町3-15-7』それは非実在にして最恐の住所だった
「ていうか、そもそも三重に西区も平山町もないやん。釣り確定」
「その通りです。けれどこの住所は、検索履歴、ネットの書き込み、テレビの速報テロップ……。あらゆるところに紛れ込んでいるのです。本当に、存在しない、のでしょうか?」
『三重県津市西区平山3‐15‐7』
それは、存在するはずのない住所。
けれどネットで、書籍で、新聞で、雑誌で。
あらゆるところでその住所の情報を目にし、作家の小林は、まるで見入られたように、その住所について調べ始める。
すると一見関連性のない出来事が、一つの真実を指し示し……。
カクヨムコン10 ホラー部門大賞、コミカライズ賞受賞のモキュメンタリ―ホラー、書籍化!
カクヨムコンテスト10大賞受賞者インタビュー:大舟先生【ホラー部門】
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──小説を書き始めた時期、きっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。
最初に書いてみたのは、コロナ禍の時だったかと思います。あの時は巣ごもり需要もあり、手軽に読めるインターネット小説への注目が高まっていて、私もその流れの中で掲載作品を見てみたり、自分で話を考えてみたりし始めました。
その時は誰かに読んでもらうというよりも、完全に自分が好きで書いていただけだったように思います。
その後に、インターネット上におけるホラー界隈にとてつもない旋風を巻き起こしたのが、雨穴先生が作られた『変な家』と、背筋先生が作られた『近畿地方のある場所について』でした。
どちらもモキュメンタリーという手法を駆使して作り上げられた新時代のホラー作品であり、最初に見た時の衝撃は今でも忘れられません。
その恐ろしくも奥深い内容のために、私はモキュメンタリーやホラージャンルに強く興味を持ち、色々な作品を見るようになりましたし、同じように多くの人が影響を受け、新たなホラー作品が次々に誕生しているのではないかと思います。
もしもこれらの作品が無ければ、今回受賞した私の作品もなかったことと思います。
──今回受賞した作品の最大の特徴をお教えください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?
色々な事を考えて書いておりましたが、一番意識していた部分は“読みやすさ”でした。
インターネット上の弁護士相談サイトですとか、迷惑電話まとめサイトですとか、Wikiですとか、インターネットに触れる方なら誰もが一度は見たことのあるサイトや記事を使ってストーリーを作り上げていきました。
読者の方、および編集部の方からは、「怖かったけど読みやすくて、最後まで一気に読んでしまった」というご感想を多くいただくことができましたので、そこを意識して書いてよかったなと思いました。
──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。
一番気に入っているのは、ストーリーにおける最後の展開である、語り手たちが例の住所が示す場所にたどり着いた後、二度とそこにはいけなくなってしまうという部分です。
この展開にはホラー的な怖さというものはないかもしれませんが、どこか妙に切なく、それでいて不気味な雰囲気というものを表現することができたかなと思っております。
またストーリー展開については、謎の答えに当たる情報を少しずつ提示することを心掛けました。
最後に一気に答えを提示するストーリーも決して悪くはないと思うのですが、現実のドキュメンタリーに準じ、情報が断片的に少しずつ明らかになっていき、最後にすべてがつながるという形式の方が、読者の方も実際に謎を追っているという感覚になり、より作品を楽しんでいただけるのではないかと思ったからです。
こちらに関しても読者の方、編集部の方から好評を頂くことができ、意識してよかったと思いました。
──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんな中で、ご自身の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行ったか教えてください。
他の方もおっしゃっておられることと思うのですが、インターネット上の小説が多くの方に読まれるかどうかは、やはり“タイトル”と“毎日更新”の二つにかかっていると思います。
毎日更新の方はコツコツと書き上げる事で比較的誰でも実現することはできるのですが、タイトルに関してはなかなか難しく、私自身も答えなど全く分からないでおります。
ただ、『三重県津市西区平山町3-15-7』のタイトルが頭の中に浮かび上がった時は、「これだ、これに違いない」という強い自信が沸き上がり、その勢いのままに作品を完結まで持っていくことができたように思います。
ですので、自分が思う「これだ」というタイトルを作品に付けられるかどうかが、なにより重要なのではないかと思っております。
──受賞作の書籍化作業で印象に残っていることを教えてください。
書籍化作業は完全に初めてでしたので、編集者さんからいろいろと厳しいお言葉をいただくものなのだろうとばかり思っていたのですが、実際には全くそんなことはなく、作品内における修正箇所や問題点などを、非常にわかりやすく丁寧に教えていただき、作業を進めて行くことができました。
オンライン会議を通じて直接にやり取りをさせていただき、互いにアイディアや意見を出し合って作品の完成度をより高めてことができましたので、編集者さんと二人で一緒に作品を作り上げたような感覚になり、非常にうれしかったです。
──書籍版の見どころや、Web版との違いについて教えてください。
読みにくかった個所や分かりにくかった個所、問題のあった個所等が修正され、より完成度の高いものになっていると自負しております。
新規エピソードや差し替えとなったエピソードもございますので、すでにWeb版をご覧になっておられる読者の方におかれましても、問題なくお楽しみいただくことが可能であると思っております。
──これからカクヨムコンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスやメッセージがあれば、ぜひお願いします。
私自身偉そうなことを言える立場などでは全くないのですが、優先順位を決める事が一番大事なのかなとは思っております。
自分の作品をより多くの方に読んでいただくことを一番の優先とするなら、自分がやりたい展開をある程度曲げないといけないかもしれませんし、タイトルや導入も読者の方をひきつけやすいものにしなければならないことでしょう。
反対に、自分が楽しく書くことがなにより優先なのなら、そんなものは気にせず好きに書き上げるのが一番であると思います。
当たり前の事ではあるのですが、この優先順位を忘れてしまうと、いったい自分は何を書きたくて、書いた作品にどうなってほしいのかというのを、見失ってしまいます。
ですので、作品を書くにあたっては、ご自身が最も優先されるものはなにであるのか、ぜひ意識をされてみてほしいと思います。
『カクヨム』とは
『カクヨム』は物語を愛する全ての人たちへ、誰でも自由なスタイルで物語を書ける、読める、お気に入りの物語を他の人に伝えられる、Web小説サイトです。
大賞受賞者が書籍化の権利を手にできる“カクヨムWeb小説コンテスト(第10回より“カクヨムコンテスト”と改称)”をはじめとした数々のコンテストの実施や、KADOKAWA内外の人気作品について二次創作の投稿を認めるなど、様々な形での創作活動を支援しています。
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