電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、1月15日に発売された、ワンダーランドカザキリが開発した独創的なパズルアクションRPG『CASSETTE BOY / カセットボーイ』の、ネタバレを含んだクリア後レビューをお届けします。
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なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
見えないモノは存在しない? 量子力学的な考え方を取り入れたRPG『カセットボーイ』
ゲーム制作会社・ワンダーランドカザキリがおくる『カセットボーイ』は“見えないものは存在しない”を世界の大原則とした2DドットアクションRPGです。
本作には、“観測できないオブジェクトは存在しない”というゲーム独自のシュレディンガーシステムを搭載しています。スイッチ、アイテム、壁、敵……など、あらゆる存在を観測者(プレイヤー)から見えないようにすることで、実際に世界から消し去ることができるのです。
主人公は、“見ていなかった”ために消えてしまった月を取り戻しに、冒険へと旅立ちます。
※この記事には『カセットボーイ』に関するネタバレが含まれますので、ご注意ください。くるりと回して見えなくすれば、それが世界の在り方になる【カセットボーイレビュー】
一見、普通の見下ろし型の2Dドットゲームに見えますが、それも“そういう風に見えているだけ”なのが本作の面白いところです。
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不思議な存在“???”から渡されたヘッドホンを装着すると、視点を回転させることができるようになり、世界の様子が一変します。
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しかし、これにより世界が3D化したというわけではありません。オブジェクトの存在の有無は、あくまで2D的に画面上からに見えるかどうか、が重要となります。
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“自分”という存在にも例外なく発動する原則
壁や仕掛け、アイテム、果ては強敵まで消すことができるので、まるで神のごとき力を手に入れた……と思ってしまいがちなのですが、実はここには大きな罠が存在します。
ゲームを進めていくと、そのうち“自分”を消す能力を獲得することになります。
“自分”を見えなくすることで道を塞いだオブジェクトをすり抜けたり、敵の攻撃を無効化したりとより冒険が快適になっていくのですが、一方で一定時間自分を観測できないと即ゲームオーバーとなってしまうのです。
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“見えないモノは存在しない”が大原則なので、自分も観測できなければ存在ごと抹消される、というのには納得です。
しかし、この神のごとき力を振り回した結果、己の存在すら消してしまうという力を手にしてしまうとは、なにか教訓めいたものを感じます。
しかし、この神のごとき力を振り回した結果、己の存在すら消してしまうという力を手にしてしまうとは、なにか教訓めいたものを感じます。
“カセット”を駆使して世界の隅々まで探ろう
本作には世界を回転させる以外にも、もう一つ大きなギミック“カセットテープ”が存在します。
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カセットテープにはさまざまな効果が備わっており、カセットテープを再生できる数秒間だけその効果が受けられるというシステムになっています。
カセットを使用後、再び使うには巻き戻さなければならず、肝心な時に「巻き戻してなかったー!」と嘆くことが多数ありました。でも、この世界は基本まったり進行なので、そこまで焦らず進んでいけます。
ところでこのカセットテープから流れる音楽、外界から切り離され夢見心地になれる音楽でめちゃくちゃいいです。あまりにもよすぎるので、プレイ中は無駄に巻き戻しと再生を繰り返していました。
もしこれが現実なら、カセットテープはとっくに伸びて擦り切れてしまっていることでしょう。
ゲテモノ食いに天才(?)博士。魅力的なキャラクターたち【カセットボーイレビュー】
主人公が暮らす町には、昔のゲームを彷彿とさせるようなすこしふしぎで魅力的なキャラクターが住んでいます。
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短い会話ばかりなのですが、ストーリーが進んでいくにつれてキャラクターのちょっとした成長を感じたり、家族愛を感じたりと心がじんわり温まるものが多いので、見逃さないように定期的に話しかけるのがおすすめです。
個人的に好きなキャラクターはゲテモノ食いのクマの子と、郊外に住む博士でした。ちょっと変わり者の博士と、献身的な助手ロボのコンビには思わずホロリとなるような、とてもよいエピソードが用意されています。頭のキレる変わり者が、いつもの調子のまま思いがけず見せてしまう弱い一面っていいですよね。
本当にこれでいいのか? 大切な人を失わせることへの葛藤
世界を元に戻すために月の欠片を集める! というヒーロー譚のようなストーリーなのですが、進めていくうちに「本当にこれでいいのか?」と葛藤するような場面には何度かぶち当たりました。
各ステージにおけるボスは、月の欠片を拾った影響で暴走し、モンスター化した生き物です。そして、そのボスの元となる生き物は、大抵が“誰かの大切な存在”ばかりなのです。
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月の欠片を取り戻すため、主人公は“誰かの大切な存在”を次々に手に掛けることとなります。
冒険をサポートしてくれる“???”を、本当に信じていいのか? 自分がやっていることは間違っていないのか? 月を戻したとても、大切な人がいない世界は本当に平和なのか?
葛藤の先に待っているのは一体何なのか。ぜひ、ゲームをプレイしてこの物語の行く末を見届けてほしいと思います。
ママの存在に心打たれる
だんだんと疑心暗鬼になっていく中、常に癒しをもたらしてくれるのは主人公のママの存在です。ママはBLTサンドやハンバーガーなど、主人公のためにお弁当を持たせてくれます。
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いつも何も言わず「いってらっしゃい」を言ってくれるママの存在は癒しです。昔のゲームって、こういう感じで家で出迎えてくれる温かい存在が必ずいたよな~と、少しばかりノスタルジーを感じました。
古のゲームを感じさせる難しさと斬新なパズルで最後まで楽しめる【カセットボーイレビュー】
画面を回す、オブジェクトを隠す。という一見簡単に見えるギミックなのですが、謎解きは意外と難しいと思います。
というのも、ギミックを応用した使い方のヒントがほとんどないため、自分で気づくしかないからです。どうしても解けないときはごり押しでもなんとかなった(?)ところもあったので、謎解きの自由度は高いと感じました。
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ギミック応用のヒント含め、次のステージへの誘導が少ない点も昔のゲームっぽさがあって、最後まで頭を悩ませながらも楽しんでプレイできるのが高評価ポイントです。
サイドコンテンツとしてパズルを解く祠や、地下に無限に広がるローグ洞窟、ゲーム内ゲームなどのやりこみ要素も多数あるので、頭を使うRPGに挑戦してみたい方はもちろん、RPGが好きだという方はぜひプレイしてみてください。
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