電撃オンライン

『龍が如く3外伝』クリア後レビュー。峯の孤独はほろ苦く、絆との対比が沁みる…濃密なプレイ体験がドラマを深める【龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties】

文:キャナ☆メン

公開日時:

最終更新:

[IMAGE]
 セガから2月12日に発売される『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』を事前にプレイする機会を得たので、『龍が如く3外伝』をクリアまでプレイしたレビューをお届けします。

 なお、本作はPS5/PS4/Switch 2/Xbox Series X|S/PC(Steam)版がリリースされ、今回はSteam版をプレイしています。

[IMAGE]

 『龍が如く3外伝』は、『龍が如く 極3』で桐生一馬の対比となるキャラクターとして重要な役どころを持つ、峯義孝をプレイアブルな主人公に据えた完全新作タイトルです。と言っても単体売りされるわけではなく、1本のソフト内に『龍が如く 極3』とともに収録されています。

 ゲームを起動すると、『龍が如く 極3』と『龍が如く3外伝』のどちらをプレイするかタイトル画面から選択する形で、セーブデータはそれぞれに独立していますが、クリア後の特典は『龍が如く 極3』との連携があり、同作のサイドコンテンツ“ツッパリの龍”に『龍が如く3外伝』のキャラ4名が参戦します。

[IMAGE]
▲ゲーム起動時の画面。
 ボリュームはかなり大型のDLCくらいの感覚で、舞台は本編と違って神室町のみですが、街に点在する施設は服屋を除いておおむね共通しており、専用のコンテンツも用意されています。

 ストーリーでは、ITベンチャーを経営していた峯がどのようにして極道の世界に入り組織でのし上がっていったのか、本編では語られない背景が詳しく描かれ、そして『龍が如く3』のオリジナル版では想像するしかなかった東城会のトップ・堂島大吾との関係性にいたったドラマを体験できます。

[IMAGE][IMAGE]
▲自分の部下に裏切られた峯は、大吾に起きた真逆の出来事を目の当たりにして、極道の世界には“絶対的な絆”があるのか確かめようと動き出す。
[IMAGE]
▲峯の兄貴分となる神田強。果たして本作をプレイすることで、ネタではなくキャラとして愛せる人はどのくらい増えるのでしょうか……正真正銘のクズ描写は多いですが。
 本作は、物語のベースとして『龍が如く ONLINE』で語られたシナリオがあるものの、『龍が如く3外伝』では『龍が如く 極3』の物語とリンクする重要なエピソードが追加され、まさに峯の視点から『龍が如く 極3』の裏側を知ることができるゲームになっています。

 当然、アクションADVとして『龍が如く ONLINE』と異なるゲームデザイン、カットシーンによる深い描写で物語を体験できるので、『龍が如く ONLINE』をプレイした人もおそらく新鮮に感じられるのではないでしょうか。

 なお、おそらくと書いたように、筆者は『龍が如く ONLINE』未プレイですので、ストーリーに関してはまっさらな状態で体験した感想になります。

[IMAGE][IMAGE]
▲カットシーン1つとっても、大吾は光指す窓際で人間愛を語り、峯は薄暗い部屋のなかで正反対のことを口にする。光と闇、絆と孤独、2人の対照性や対比をセリフ以外でも暗示するような演出も異なる体験の1つかと。
 『龍が如く 極3』に関しては、リメイクとしてゲーム性がどう現代化され、それがどのようなゲーム体験に繋がるかのレビューを掲載していますので、そちらをご覧ください。なお、具体的なネタバレは避けているものの、クリア後の感想や両作の交差するドラマ性や体験については言及しているので、その点は留意していただければ幸いです。

共通パーツ画像

ソープで繰り広げられる神田との絆ドラマ


 メインストーリーについては真面目に感想を語りたいので、先にコイツを片付け……いや、峯とその兄貴分である神田強との絆(?)を描くコンテンツ“神田カリスマプロジェクト”についてプレイした感想を述べていきましょう。

 『龍が如く3外伝』では、峯と神田がどのようにして兄弟分の間柄になったかが描かれており、メインストーリーはヤクザ映画のようにダークかつシリアスに物語が展開する一方、ゲーム全体のバランスを取る緩急の“緩”として神田カリスマプロジェクトがあります。

 
以前に掲載されたレビューでは、本コンテンツが試遊で一番楽しかったと書かれていますが、そう述べるのもうなずけるネタ満載、抱腹絶倒のやり取りが繰り広げられていきます。

 『龍が如く3外伝』はシリーズの中でもわりと異色の作品ですが、例えるならメインストーリーはコーヒーよりも苦く、神田カリスマプロジェクトはチャイよりも甘い。この振れ幅の大きさが『龍が如く』だなあと感じます。

[IMAGE]
▲峯のお陰で錦山組の若頭に出世した神田が、この先も上を目指すなら評判を気にする必要があると真っ当なことを言い出す。だが、汗を流すのは峯なのである。
[IMAGE]
▲当然、峯はなぜ自分でやらないのか尋ねるが……。
[IMAGE]
▲キレる神田。さすが神田強。神田カリスマプロジェクトには神田のカリスマランクが存在しますが、ランク1は“クズ人間”。
 ゲームシステム的な説明に絞れば、『龍が如く 極3』のサイドストーリーと、ゲーム内実績解除に育成要素が紐づいた鍛錬目録を融合させたような内容で、峯を育成するうえで柱となるコンテンツです。

 サイドストーリーに相当する善行クエストは、笑いも人情もある『龍が如く』らしいエピソードを楽しめ、『龍が如く』史上もっともダークなメインストーリーかもしれない本作の清涼剤となることは間違いなし。とはいえ、やはり一番笑えるのはランクを上げると順次解放される神田との“絆ドラマ”でしょうか。

[IMAGE]
▲神田カリスマプロジェクトは、善行クエスト、小目標を達成するカタギレスキュー、ゲーム内実績解除のカリスマチャレンジの3種類で構成されます。
[IMAGE][IMAGE]
▲ちなみに『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』の不具合に関する告知でSNSを沸かせた金玉(きんぎょく)の善行クエストもあります。
 絆ドラマは、お目当てのソープ嬢を指名するため“大欲情”という店に足繫く通う神田が、峯を労うという名目で、ソープにラチる……ではなく誘うという話の流れ。

 そこで繰り広げられるパワハラならぬ会話は、ネタ満載すぎる神田の無茶ぶり&勘違い&クズ言動や、峯の冷静なツッコミが、まるでコントを見るようで腹を抱えて笑えます。

[IMAGE][IMAGE]
▲神田の女好きは筋金入りで、性犯罪による服役を終えたところを峯に踏み台として目を付けられ、峯と出会った時も性加害中というクズっぷり。後者の場面は、峯のお陰で未遂で終わりますが。
[IMAGE]
▲絆は一般に清い関係性を指しますが、神田との絆ドラマの絆は、本来の束縛を意味する言葉として考えるとピッタリな感じに……(笑)。
[IMAGE]
▲絆ドラマの中では、プレイヤーが選択肢を選べる場面も。正直、何を選んでもおもしろい。
 はたしてオチるのは、神田の一途な恋心ならぬ下心に心打たれたソープ嬢か、コテコテの関西ノリとローションにまみれた神田vs目つきとツッコミが鋭い峯の寸劇か!? 神室町を超えて大銀河を巻き込む、愛と友情の超一大“絆ドラマ”スペクタクルにこうご期待!!

 ……もちろんウソです、ごめんなさい。でも勢いでこんなことを書きたくなるくらい愉快なコンテンツなので、皆さん、どうぞ頭を真っ白にして絆ドラマを楽しんでください。

 ちなみに『龍が如く3外伝』と『龍が如く 極3』は、後述するゲーム体験の対照性がおもしろい部分でもあるのですが、大型コンテンツに関しても、神田カリスマプロジェクトとアサガオライフでは対照性があって、2作で1本と捉えた時に全体のバランスが取れていると感じました。

[IMAGE][IMAGE]
▲アサガオライフには、桐生と子どもらが距離を縮めていく“お料理リクエスト”を通じたメインのお話や“絆ストーリー”があります。(※『龍が如く 極3』の画像)
 神田カリスマプロジェクトは、いい意味で細かいことは記憶に残らず、楽しかった思い出だけが残るような“ザ・娯楽”コンテンツです。

 一方、アサガオライフは桐生と子どもたちの絆を描くドラマ性のあるコンテンツで、プレイして子どもたちへの思い入れが深まるほど、やはりメインストーリー終盤のシーンでドラマの感じ方が変わると思います。

 こうした面もゲームプレイのメリハリとして結構いいスパイスになっていて、同じ街を舞台にしたゲームを2作続けてプレイしているにもかかわらず、“ストーリーが違うだけで同じことの繰り返し”という感覚は特にありません。もちろん、メインストーリーのゲーム体験に対照性がある点は大きいでしょうけれど。

 両作を並行して進めたり、連続してプレイしたりする人は多いと思われるだけに、きちんと味変的なプレイ感を得られることはすごく大事ですよね。文章にすると地味ながら、ゲームとしては光るポイントだと思っています。

[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
▲さすがにプレイスポットが共通するのは仕方ない、と思いつつも。カラオケに行くと、桐生、アッコさん(和田アキ子さん)、峯の“ばかみたい”では三者三様の味わいがあります。(※桐生、アッコさんは『龍が如く 極3』の画像)

使い分けがおもしろい闇覚醒と「あともう1回」なサバイバル・ヘル


 上で悪ノリが過ぎたので、ここはいったんバトルの話をしていきましょう。メインストーリーについては最後に感想を述べます。

 バトルに関しては、『龍が如く 極3』のレビューも参考にしていただきたいのですが、当然ながら『龍が如く3外伝』には峯の専用アクションが存在します。とはいえ、今作の桐生は割と動きが軽快であるため、弱攻撃と強攻撃を組み合わせた基本コンボを使っているぶんには、操作感は桐生の“堂島の龍・極スタイル”と近いです。ある程度の能力強化をして技が増えれば、手触りとしても『龍が如く』らしい攻めの爽快感があります。

[IMAGE]
▲峯は完全に素手で戦うしかない(敵の武器や周辺の物が拾えない)ので能力強化前はできることが少なく、特に『龍が如く 極3』クリア後に始めると、序盤はやや物足りないかもしれません。
 ただし、ひと癖あるのがガード崩し用のボタン(PS5だと○ボタン)の扱いでしょうか。

 峯の場合、普通に短い押し方だと(桐生のように掴む段階は経ない)投げ技になり、長押しはその後に押すボタン次第で技が派生する特殊アクションになります。

 派生技は、何も入力しなければその場で小回転蹴りによる追撃を出すだけなのですが、他のボタンだと別の敵に飛び掛かって攻撃するため、左スティックで敵のいる方向に調整しないと結構空振りするんですね。

 ボタン長押しで目の前の敵に飛び掛かって、左スティックを倒しながら任意のボタンを押してさらに別の敵に飛び掛かるという操作は、『龍が如く』というか、ほかのアクションゲームでもあまりしないので、意識して慣れる必要があると感じました。ゲーム自体がコンパクトなこともあり、筆者は慣れる前に終わってしまいましたが。

[IMAGE]
▲アクションが好きな人は、本作で峯を使いこなすことにやり甲斐を感じられるかもしれません。扱う楽しさや、癖と奥深さが表裏一体の感覚はあるので。
 逆に言うと特殊アクションを使いこなせなくても、クリアしたり、後述のやり込み要素を進めたりすることはできるので、バトル自体が難しくなったというわけではありません。

 例えば闘気(敵を強化するバフのようなもの)をまとった強敵やボス相手であれば、ジャストスウェイからのクリティカル攻撃、あるいはドラゴンブーストの代わりに存在する闇覚醒といったアプローチで戦うことができます。

 特に闇覚醒は、自身を強化し専用アクションが使えるようになるだけではなく、ゲージの消費量を増やすことで効果を上げられる点が、ドラゴンブースト以上に使っていておもしろいと感じました。ゲージ1つのシングル発動か、ゲージを複数消費するダブルorトリプル発動か――その辺り、状況に応じた使い分けができるので、スタイルの使い分けを行う桐生とは違った楽しさがあります。

[IMAGE]
▲ゲージを3つまで溜められる闇覚醒は、出し惜しみせずにガンガン使っていけるシステムです。むしろ積極的に使わないと、桐生と比べて攻撃手段の不足を感じるはず。
[IMAGE]
▲闇覚醒時は、相手の顔面を地面に押し付け、そのまま引きずるようなえげつない攻撃も。決めると爽快!
[IMAGE]
▲トリプル発動は、能力強化ツリーの最後に習得できます。
 特にこのシステムと相性がいいと感じたのが、“サバイバル・ヘル”というダンジョン攻略のようなコンテンツです。

 これは、昨今流行りの脱出系(エクストラクション)と、変則的なWAVE制を掛け合わせたようなデザインのバトルコンテンツと書けば伝わるでしょうか。

 小規模なダンジョン構造のステージを舞台に、フェーズが進行すると敵が徐々に強化されるなか、敵を倒しつつお金やアイテムを集め、自身を強化しながら制限時間内に最終フェーズのボスを倒してステージクリアを目指す内容になっています。

[IMAGE]
▲WAVE制と異なり、中ボスにあたるフェーズキーパーを倒した後、鐘を鳴らし自分でフェーズを進めます。
[IMAGE]
▲ステージの地形と敵や宝箱の出現位置は固定ですが、入手できるアイテムはランダム。フェーズを進めると敵や宝箱がリセットされ再出現します。
 集めたお金やアイテムは途中で倒されるとすべて失い、残り時間や体力が減ってきた際、退くか進むかの判断が問われます。そこのゲーム性はやはり中毒性を孕んでいて、脱出系を引き合いに出した理由です。

 ただ、いわゆる脱出系と比べるとマイルドな作りになっていて、持ち帰ったアイテムはすべて恒久的な強化に繋がり、その後に失う心配はありません。なお、アイテムはサバイバル・ヘル専用ですが、お金に関しては峯の能力強化に使えます。

[IMAGE]
▲福音書というアイテムは、サバイバル・ヘル専用ですが峯をさまざまな形で強化できます。
[IMAGE]
▲福音書のほか、サバイバル・ヘル専用の武器や傭兵を入手することも。積極的に活用したい!
[IMAGE]
▲ステージに挑む際、武器と傭兵を選べます。傭兵はお金を払いますが、武器を含め途中で倒れても失いません。
[IMAGE]
▲ステージからの脱出自体は容易です。必要なのは進むか退くかの判断のみ。
 つまり、制限時間をオーバーしたり途中で倒されたりして失敗さえしなければ、プレイするほど峯を強化して完全クリアに近づけるわけです。1度持ち帰ったアイテムを失うリスクのない点が大きいですね。

 脱出系は、PvPの要素がしんどいとか、持ち込んだアイテムを失うのはショックが大きいとか、終わりが見えないとか、ハードコアなゲームデザインが理由で避けている人もいると思います。サバイバル・ヘルは、おそらくそうした人のほうがハマりやすいコンテンツかなと。

 かくいう筆者も、脱出系は某アヒルのゲームを少しプレイした程度なのですが、今回は「あと1回」「あと1回」とレビュー作成に必要と思われる以上にプレイしてしまい、気が付くと『龍が如く3外伝』のプレイ時間の半分近くはこのコンテンツに費やしています。

[IMAGE]
▲この画面を見ると「あと1回!」に(笑)。
[IMAGE]
▲最後のステージをプレイする前に、我に返って原稿の作業に入りました……。
 話が遠回りしていますが、闇覚醒とサバイバル・ヘルの相性がなぜいいかというと、サバイバル・ヘルは制限時間があるうえに、失敗すると得たものを失うので、終盤のステージになると闇覚醒の発動段階を問われる状況が多いんですよ。

 ザコ敵が固くなるうえに、宝箱やフェーズ進行の鐘を守るキーパーは闘気をまとった強敵なので、ここは闇覚醒の回数重視で行こうとか、この場面はダブルで畳みかけようとか、そういうことを考えるわけで。

[IMAGE]

 逆にメインストーリーは、バトル自体がそれほど多くないうえに、敵の強さがほどほどなので、「極限の歯応えと、死と隣り合わせの緊張感を味わえる」というプロフェッショナルの難易度を選ばない限り、闇覚醒の発動段階を深く考える状況は少ないでしょう。『龍が如く3外伝』は大金を稼げて回復アイテムを買い込むのにも困らないので、メインストーリーはかなり進めやすいはずです。

 このように書くとメインストーリーのプレイ感が軽い印象を与えてしまいそうですが、そこはむしろ逆で、孤独を描くドラマ性やダークな物語が相まって重い――というより、ほろ苦い感じが胸にわだかまります。

 あるいは、絶妙なタイミングで挟まる峯のモノローグが、彼の哀愁や寂寥感を胸の片隅に残していくのか。胸に小さな棘が刺さって、寄り道をしていても本筋の話が頭から離れない感覚があります。そうした感覚が触媒になって意識をゲーム画面へと強く引き込み、メインストーリーを再開するとすぐ物語に入り込んでしまう。そのためプレイがとても濃密に感じられました。

[IMAGE]

 さて……話がメインストーリーと重なってきたので、次はその感想に移りましょう。

絆と孤独、絆と忠義の対比――再構築でより味わい深いドラマの体験


「身内から裏切られることもある。それでも俺はみんなを家族だと思ってる」

「私には綺麗ごとにしか聞こえませんね」

[IMAGE][IMAGE]

 上は大吾と峯のとあるカットシーンにおける会話です。前者は組員をどう思っているかの大吾のセリフ、後者がそれを受けての峯のセリフですね。

 『龍が如く3外伝』のメインストーリーにおける見どころの1つは、こうした考えを持つ峯が、なぜ『龍が如く 極3』では大吾に忠義を誓うようになるのか? その心変わりのきっかけだけではなく、前後を描くストーリーの中のドラマこそが心に刻まれる部分だと思います。

 ある意味において『龍が如く3外伝』は、『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』のように、ゴールが先に見えていて、その過程を楽しむシナリオ構成です。ここに挙げた2作が主人公と犯人の駆け引きを楽しむ作品であるのに対し、『龍が如く3外伝』は人間ドラマに最大のウエイトがある点は異なりますが。

[IMAGE]

 一方で、峯がヤクザとしてのし上がっていくストーリーラインにおいては、その駆け引きも見応えあるものに感じるでしょう。

 『龍が如く3外伝』は、その出自と裏切られた経験ゆえ孤独に呑まれ偽善を憎む峯を操作して、余人には理解しがたい道筋で彼のエゴを追い求めていきます。そのために人をだまし、裏切り、踏み台にして悪事を重ねていく。

 クライムアクションと書くとゲーム体験的なニュアンスは異なりますが、ヤクザとヤクザがまさにしのぎを削るストーリーを『龍が如く』で体験するのは新鮮です。

[IMAGE][IMAGE]

 『龍が如く 極3』に限ったことではなく、『龍が如く』の本編は、大切な人や道理を守るために巨悪をぶっ潰すストーリーラインであり、ゲーム的にもシナリオ的にもその爽快さを楽しむよう作られてきました。戦争映画の手法のように、本質的に描く人間愛を際立たせるため悪事を生々しく描くことはあっても、主人公が悪に染まって悪事をなすことはありませんよね。

 だから悪人が悪事をなして成り上がるヤクザ映画のような展開はシリーズ初であり、この対照性は『龍が如く 極3』と『龍が如く3外伝』の両方をプレイすると、かなりおもしろいです。先ほども触れましたが、こうしたプレイ感の違いのお陰で、2作続けてプレイしても“同じことを繰り返している”感覚に陥らず、それぞれに新鮮な体験を楽しめます。

[IMAGE][IMAGE]
▲筆者は北野武監督の『アウトレイジ』とその続編が好きな映画の1つ(2つ?)なのですが、『龍が如く3外伝』をプレイしていたら、同作のコピーである“全員悪人”を思い出しました。
 ちなみに、ヤクザ映画を引き合いに出したものの、本作はやはり『龍が如く』であり、凄惨な暴力シーンを淡々と映して人間性や哀愁を浮き彫りにするようなドラマの見せ方とはやや異なります。

 『龍が如く3外伝』でも本質的に描いているドラマは普遍的な人間愛、本作は特に絆であり、それを際立たせるために暴力、裏切り、陰謀が話の中で展開していく作りは変わりません。上で大吾と峯のセリフを引用して見せたように、絆と孤独の対比がドラマとしての見どころなので、そこは『龍が如く』ファンがいつものように安心して楽しめるところです。

 人に裏切られて孤独に打ちのめされた峯が、大吾に見出したわずかな光――。

 ともに孤独に生まれ、大吾に強い忠義を抱く峯と、家族との絆のため命を懸ける桐生――。

 『龍が如く3外伝』と『龍が如く 極3』で、それぞれに描かれる峯の心情と絆との対比は、より強く心動かす体験となってプレイヤーを襲ってきます。コントローラを握っている間に覚える絆のドラマが沁みわたる熱さも、コントローラを置いた後に残る哀愁の余韻も、2つのゲームをプレイすることでより味わい深くなっていることは、再構築された本作のドラマ的な魅力だと感じました。

[IMAGE]

 それに加え、開発陣がこれまで示唆してきたように『龍が如く 極3』の結末が変わるところまで手が入り、原作プレイヤーでも驚きがあり、そして「この続きはどう描かれるのか」という気持ちが膨らむ。そうした部分にも『龍が如く3外伝』でフォローが入っているので、ぜひ最後までプレイしてほしいところです。

 リメイクでドラマが補強されるのは、標準的なリメイクの定義の範疇でしょう。けれど、本作の場合はリメイクと新作の2段構えで再構築するという試み、そこへ結末に手を加えるという驚きをプラスして、シリーズが地続きの物語を展開しているからこそ「続きがどうなるのか」という期待感に繋げています。

 『龍が如く3』は移植版が現行機でプレイできる環境にあるからこそ、従来の概念を超えたリメイクになっている点は、今プレイする意味のあるゲームだという風に感じました。

[IMAGE]

 ちなみに、『龍が如く3外伝』を始めようとすると下の画像のような注意メッセージが表示されるのですが、よく読むとわかるようにネタバレが含まれるのは『龍が如く3外伝』の“エンディング”であるため、個人的には、同時並行でプレイして、『龍が如く3外伝』が「最後の自由時間です」と表示されるところまで進んだらプレイを止めて、『龍が如く 極3』を先にクリアするのがオススメです。

[IMAGE]

 というのも、『龍が如く 極3』だと峯の心中や背景を描くーンは限られています。作品単体としては想像で補えるだけの描写はあるものの、せっかく『龍が如く3外伝』で詳しく描かれているのだから、そこまでは進めておいたほうが本編の物語をより深く楽しめるはずです。

 それに『龍が如く 極3』を終えてなるべく時間を空けずに『龍が如く3外伝』のエンディングを見たほうが、没入感や気持ちのノリがよくなるので、そうした面もメリットでしょう。

 はず、と言葉を濁しているのは、筆者が『龍が如く 極3』のクリア後に『龍が如く3外伝』をプレイし始めたので、実体験ではなく想像だからですが。けれど、『龍が如く3外伝』を最後の自由時間までプレイしてから『龍が如く 極3』の終盤をプレイすればよかったと今は感じているので、余計な一言だと思いながらも一応書き添えておきました。

 明確にやりたい順番などあれば、それが一番楽しめるプレイスタイルだと思います。筆者としては、本作を予約しているし、事前プレイも十分に楽しめました。リマスターよりリメイク派という方であれば、ぜひ『龍が如く 極3』と『龍が如く3外伝』をクリアまでプレイして、さらに深くなったドラマとストーリーの驚きを体験してみてください。

[IMAGE]

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この記事を共有

公式SNS