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『Fate/strange Fake』11話感想。史実の知識を深めるほど味わいが出るリチャードのエピソード。やっぱりアヤカの正体は…?(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 放送中のアニメ『Fate/strange Fake』第11話“蒼ざめた騎士”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『Fate/strange Fake』11話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

実はヒッポリュテも戦いに参加していた?【Fate/strange Fake】


 フィリアの正体がイシュタルと判明したうえ、間違いなく最強格のサーヴァントであるギルガメッシュが敗北するという衝撃の展開が描かれた第10話。

 ジェスターの合図と共に黒い霧に皆が呑まれていくシーンも描かれましたが、未だ謎に包まれているツバキのサーヴァントの固有結界の中に取り込まれてしまっていたようです。

 驚いたのは、ファルデウスが結界から逃れたサーヴァントを確認する映像の中にヒッポリュテの姿も確認できたこと。

 どうやら原作小説だとヒッポリュテとアルケイデスの戦闘も描かれているようなのですが、あの場にヒッポリュテまで現れていたとするなら、前回の戦いの乱戦っぷりがさらに上がることになります。『Fate』シリーズを通しても、聖杯戦争の中でここまで多くのサーヴァントが一堂に会する規模の戦いというのは、めちゃくちゃレアなんじゃないかと。

 一方で今回印象的だったのが、リチャードの描かれ方です。

 ちょっと空気が読めなくてナチュラルな煽り気質があるのは幼い頃から変わってないんだな……と思いつつ、アヤカに過去を見られたときの本気で狼狽するリアクションは、これまでの泰然自若とした態度からは想像しにくい新鮮な反応で面白かったですね。


 リチャードとしてはあの言葉は黒歴史的な過去のようでしたが、エルキドゥが驚くくらい吸収能力の速さは強調されていましたし、子供の頃ならそれくらい自惚れてしまうのは無理はないかという納得感もあります。

 ツバキを殺さざるを得なくなった時の汚れ役を、ジョンたちに代わって買って出るシーンも印象的。リチャードは史実では十字軍遠征の際に捕虜を大勢虐殺したエピソードを持っている人物でもあり、『Fake』でのリチャードは殺しを好まないものの、このあたりの背景を踏まえると、「一度やると、歯止めが壊れる」という台詞の重みを感じられます。

 また“ジョン”という名前にちょっと反応するような仕草も一瞬見せていましたが、これは現在は“失地王”という不名誉なあだ名で知られる、リチャードと王の座を争った弟の“ジョン”を連想したからだろうなと。

 余談ですが、チラッと出てきたリチャードの母は、アリエノール・ダキテーヌという女性で、フランスとイングランドの王妃をどちらも務めたという異色の経歴をもつ人物。夫であるヘンリー2世と熾烈な権力争いを繰り広げたり、リチャードを始めとした息子たちの即位を後押しした、イングランドの歴史に多大な影響を与えた傑物で、今回の短いシーンからもその片鱗が垣間見えていました。かなりの大物なので、いつかサーヴァントとして召喚されるようなこともありえるのかもしれません。

 このあたり、元になった人物について掘れば掘るほど作品を楽しめるようになるのも、『Fate』シリーズの面白いところだなと改めて実感しました。

さらっと登場したグレイに歓喜。一度は見てみたいイシュタルと凛の共演【Fate/strange Fake】


 一方、10話で致命傷を受けていたギルガメッシュでしたが、令呪をティーネが使いギリギリのところで撤退していたのが功を奏したようで、まだ完全な敗退となったわけではなさそうでした。

 視聴者の立場としては、エルキドゥとの再戦を見たかった想いがありますが、当のエルキドゥ本人としては、ギルガメッシュとの別れについては悔いはないみたいなんですよね。

 その上でエルキドゥがティーネの元にやってきたのは、ティーネ自身への興味で、確かにギルガメッシュがここまでマスターに協力的になるのが珍しいのは、今まで様々な作品でギルガメッシュを見てきたからこそ分かります。

 ただ、ギルガメッシュとティーネの関係って、マスターとサーヴァントというよりは王と臣下という関係だったので、皮肉にもギルガメッシュが致命傷を受けたところで初めてマスターとしての働きをしたような形になっています。ある意味ここからがティーネが本当の意味でのマスターとしての戦いに臨むことになるのかもしれません。

 また個人的にテンションが上がったのが、『ロード・エルメロイII世の事件簿』シリーズのヒロインであるグレイが登場したこと。ほんの僅かなシーンでしたがやはりグレイはかわいい(あの一言の台詞のためだけに上田麗奈さんを呼んだとするとすごい)。

 エルメロイ二世は『FGO』でのイシュタルを知らないので完全に偶然ですが、このタイミングで凛の話が出てきたのも面白かったところで、エルメロイ二世からも凛が“悪魔”呼ばわりされているのは笑いました。いつかイシュタルとのダブル“赤い悪魔”の共演を見てみたい気持ちがありますが、似た者同士意気投合するか、大喧嘩になるかどちらかになりそうですね……。

 あと思い返すと、意外と直接対面していたシーンが少なかった、デュマとオーランドのやりとりも印象に残ったシーンです。デュマとオーランドって正反対の性格なので、一見相性が悪いように見えて、根っこが善人気質な共通点もありつつ、互いに足りない部分を補っているいいコンビだなとも感じられるようになってきました。

 ジョンたちのために危険を冒したデュマを問い詰めつつ、理由を聞くと納得して素直に引き下がったり、オーランドが意外と物わかりが良いのも面白かったポイントです。

 そしてこれまでの描写でもほのめかされていた、『Fake』のサジョウアヤカと、『Fate/Prototype』の主人公である沙条綾香が別の存在だということが濃厚になった形に。

 綾香とは髪色がまったく違うので、これは最初から怪しんでいた部分でしたが、アヤカの正体がこれまで怪談として語られてきた赤ずきんだとして、そこに沙条綾香本人がどう絡んでいるのかがまだ見えていないポイントです。

 シグマたちのツバキ本人との接触も始まる中、クライマックスに向け、結界の中に閉じ込められた面々がどのように動くのか。

 ギリギリで踏みとどまっているギルガメッシュが復活するのかどうかにも注目したいです。

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担当者プロフィール

  • 米澤崇史

    米澤崇史

    ロボットアニメを愛するライター。 フリーランスの専業ライターとして10年以上活動。複数のアニメ・ゲーム系のWebメディアでコラムやインタビュー記事を担当し、書籍では主に攻略本・ムック本のライティングに多数関わる。ゲーム会社在籍時は企画・プランナーとしてゲーム開発にも参加。 幼少期からゲームに触れ、主にRPG・SRPG・アドベンチャーゲームを中心にプレイし、とくに好きなのは『テイルズ オブ』シリーズや『Fate』シリーズ。ガンダム系のゲームも好み、『スーパーロボット大戦』や『ジージェネレーション』シリーズはほぼ全作プレイ済の大のファンで、人生のベストゲームは『スーパーロボット大戦α』と『ジージェネレーションF』。

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