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『Fate/strange Fake』10話感想。最初の脱落者がまさかの◯◯◯に!? 『バビロニア』の後に見ると、この2人の戦いはなんとも複雑な気持ちに…(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 放送中のアニメ『Fate/strange Fake』第10話“黄金と獅子”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『Fate/strange Fake』10話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

主人公属性ありすぎのジョン。オーランド陣営はデュマまで好感度が高すぎる【Fate/strange Fake】


 アルケイデスを追い詰めるも、その宝具を奪われてしまうという衝撃の展開が描かれていた9話。

 令呪の力でジャックを一時的に撤退させることには成功したものの、状況が最悪であることには変わっていません。

 そんなフラットに手を貸してくれたのがデュマで、初登場した時はヤバそうなサーヴァントにしか思えなかったんですが、マスターであるオーランドだけではなくサーヴァントのデュマの好感度もここにきて急上昇してきました。

 またこれまでも底知れない描写がされてきていたフラットのネジの外れっぷりも改めて描かれた形に。親しげに話しながら術式を仕込む抜け目のなさ、ジャックと混ざることで、デュマから何が起こるか分からないと指摘されても「(代償が)それだけですか?」と何でもないように反応していたのは、デュマですら困惑していた様子。

 ただフラットが面白いのは、どの行動も一見ぶっ飛んではいながらも、フラットの中ではしっかりと理屈が通っているという点です。

 自分の命を賭けるのに異常なほど躊躇いがない、という意味では衛宮士郎を思い出すのですが、フラットの場合は目的達成のため必要かどうかを冷静に計算した上で実行しているという、人の良さ以外は、士郎とは対照的にリアリスト的な思考に基づいて動いている印象も受けました。

 そしてその復活したジャックとのアルケイデス戦では、9話ラストで死んでしまったんじゃないかと思うレベルのダメージを受けていたジョンが、アルケイデスに一矢報いるというまさかの展開に。

 アニメだけだと何をしたのかは不明ですが、あの瀕死の状態から自力で立ち上がってあんな動きをするのは不可能ですし、「役者が勇気を出したんだ~」という台詞からしても、デュマがジョンを復活させたということかなと。デュマ自身が現場にまで出張ってきたのは、ジョンを復活させるためという理由として大きかったと推測できます。

 そのジョンがアルケイデスに突き刺したヒュドラの毒は、ヘラクレスの死因にもなっている曰く付きの毒で、アルケイデスにとっては最大の弱点とも言えるもの……だったはずですが、アルケイデスはその体内に入り込んだヒュドラの毒すらも自らの力として使いこなすようになる理不尽っぷり。

 とはいえその後もギルガメッシュと戦いながら血を流していたので、今までの戦いの中でもっともダメージを受けているのは間違いなく、ギルガメッシュvs士郎もそうですが、最強の存在に本来かなうはずもない人間が一矢報いるという展開はやっぱりアツかったです。

 ジョンの腕にヒュドラダガーが仕込まれているギミックも浪漫が詰まっていて最高でしたが、公式Xで公開されていた実はドリルが仕込まれていたパターンも某天元突破なアニメが好きすぎるので見てみたかったですね……。

衝撃のギルガメッシュの敗北。凛の影響はないものの純粋なイシュタル本人ではない?【Fate/strange Fake】


 そして10話といえば、やはりギルガメッシュに触れないわけにはいきません。

 ギルガメッシュの王の財宝は、エクスカリバーの元の武器を必要とするリチャードにとって相性がいいと予想していて、実際それは間違ってはいなかったようですが、その相性の良さを反映してもまったく歯が立たないほどの実力差がありました。


 思えば今まで『Fake』でギルガメッシュがまともに戦ったのってアルケイデスかエルキドゥくらいで、どちらも『Fate』シリーズに登場した全サーヴァントの中でも最上位クラスに位置するであろう、頂上決戦みたいなメンバー同士の戦いなんですよね。

 互角にやりあえているアルケイデス戦を見たあとだと、リチャードも普通に戦えそうに錯覚してしまいそうになりますが、ギルガメッシュがある程度本気になれば(しかもこれでもまだ全力ではない)、普通のサーヴァントでは太刀打ちできない絶対的な存在であることを改めて認識しました。そりゃあ『Zero』で召喚に成功したとき、時臣も勝利を確信するわけですよね……。

 しかし、そんな絶対的な存在であるはずのギルガメッシュがまさかの敗北を喫することに。今まで激しい戦いは描かれながらも、フランチェスカの暗躍もあって実際の脱落者は出てなかったんですよね(マスターになれずに死んだ人たちはいましたが)。

 その最初の一人が、優勝候補の筆頭ともいえるギルガメッシュになったのはさすがに予想外すぎました(『Heaven's_Feel』でも早期に退場していたとはいえ、あれはかなりの慢心した状態からの不意打ちで……という流れでしたし)。


 直接の死因を作ったのは、やはりイシュタルが正体だったフィリア。

 イシュタルといえば『FGO』での印象が強く、アニメ化もされた『絶対魔獣戦線 バビロニア』では、共にカルデアに協力してくれた心強い存在だったので、この2人が本気で殺し合うのを見るのは複雑な感情も湧きます(本来のイシュタルは、エルキドゥが神々に殺される要因を作ったギルガメッシュの天敵なので、協力関係になっていた『FGO』の方が例外ではあるのですが)。

 今回のイシュタルは、『FGO』と違って凛の身体を依代にしていないのでまったく繋がりはないんですが、どこか見た目も凛を彷彿とさせますし、フィリア役の牧野由依さんの演技も、凛を演じているときの植田佳奈さんの喋りに寄せているように感じられるんですよね。

 元々、凛とイシュタルは近しい存在だったからこそ凛が依代になっているはずなので、凛がまったく関与していない状態でもどこか凛っぽさを感じられるのがすごく良い塩梅だなと。個人的に凛は『Fate』シリーズでも1、2位を争うくらい好きなヒロインなので、この状態のイシュタルにはある種“凛オルタ”のような雰囲気もあって、この性格でもやっぱりゾクゾクするような魅力を感じてしまうんですよね。

 少し気になったのは、宝物庫を閉じるという判断をしたことについての見解の違いです。

 フィリア自身は依代の影響を受けてはおらず、純粋な自分(イシュタル)の意思で決めたと言っているのに対して、ギルガメッシュは「本人ではなく、劣化した残響だったか」と、眼の前にいるのが本来のイシュタルそのものではないと判断しているっぽいんですよね。

 ギルガメッシュは、本来のイシュタルなら、宝物庫の鍵を閉じることはせずに財宝を自分のものにしようとする、と考えているのではないかと思われ、凛からの影響はなくても、ギルガメッシュが知っているイシュタルとも別の存在になっているのが『Fake』のイシュタルなのかなとも感じました。

 しかし、その宝物庫を閉じる、という判断は実に効果的で、ギルガメッシュの圧倒的な強さは“王の財宝”のチート性能っぷりによるものが大半なので、そこを封じられてしまうともう成すすべがありません。相手に対する油断や格下相手に本気になれないプライドによるものだったこれまでの負け方とは、ちょっと毛色が違っていました。

 ただ面白いのは、イシュタルが“王の財宝”を封印するのに使った宝物庫の鍵は、0話にあたる『Whispers of Dawn』で、ギルガメッシュ召喚のための触媒として登場していたこと。ギルガメッシュが「必要ない」とそれを気軽に捨ててしまったのが、今回の敗北に繋がっていて、結局は“慢心”がまた敗因を作ったことになります。

 『Fake』では、ギルガメッシュは今までになく本気で聖杯戦争を勝ちに来ているものの、本気になったのってエルキドゥの存在を認識してからで、召喚されてからしばらくはいつもの慢心モードだったんですよね。本気を出す前の僅かな期間での慢心からのやらかしが致命傷になるのは、実にギルガメッシュらしい敗北理由になっているなと納得感もありました。

まさかの言峰の再登場に驚き。リチャードはアヤカの正体に気づいているのか?【Fate/strange Fake】


 あと『Fate』ファン的に見逃せなかったのがアヤカの回想で、言峰綺礼と子供モードのギルガメッシュが映っていたシーンがあったこと。

 『Fake』の世界でも第5次聖杯戦争は起きているはずなので、おそらくその時に言峰は死亡していると思われ、教会にギルガメッシュがいたということは、第4次聖杯戦争~第5次聖杯戦争の間の頃の出来事ではないかと推測できます(ギルガメッシュがアヤカを覚えていなかったのは、基本的には再召喚されたサーヴァントは以前の聖杯戦争時の記憶を保持していないからかなと)。


 やはり怪談で語られていた“赤ずきん”が何らかの形で、実在する本来の沙条綾香という存在を模倣した結果生まれたのが、『Fake』のアヤカということになるのでしょうか。

 リチャードがエクスカリバーを連発しているはずなのに、まったく魔力を消耗している様子がなかったり、とにかく規格外の存在であることには間違いがなさそう。

 普通ならマスターのことを気にかけて、あれだけ宝具を連発することは避けると思いますが、リチャード側に一切の躊躇がなかったあたり、リチャード自身はアヤカが自覚していないアヤカ自身の正体にすでに気づいている可能性もありそうだなと。

 これでギルガメッシュが本当に退場になってしまうのかという衝撃展開に加えて、アヤカ陣営のストーリーも俄然気になってきました。

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担当者プロフィール

  • 米澤崇史

    米澤崇史

    ロボットアニメを愛するライター。 フリーランスの専業ライターとして10年以上活動。複数のアニメ・ゲーム系のWebメディアでコラムやインタビュー記事を担当し、書籍では主に攻略本・ムック本のライティングに多数関わる。ゲーム会社在籍時は企画・プランナーとしてゲーム開発にも参加。 幼少期からゲームに触れ、主にRPG・SRPG・アドベンチャーゲームを中心にプレイし、とくに好きなのは『テイルズ オブ』シリーズや『Fate』シリーズ。ガンダム系のゲームも好み、『スーパーロボット大戦』や『ジージェネレーション』シリーズはほぼ全作プレイ済の大のファンで、人生のベストゲームは『スーパーロボット大戦α』と『ジージェネレーションF』。

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