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『Fate/strange Fake』8話感想。キャスターの偽物・本物論でテンションが上がる『Fate』ファン。シグマがどんどん主人公らしくなっていく(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

最終更新:

 放送中のアニメ『Fate/strange Fake』第8話“三流喜劇の舞台裏”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『Fate/strange Fake』8話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

フラットの行動原理が見えてきた安心感。そしてエルメロイⅡ世の参戦はアツい【Fate/strange Fake】


 8話では、初めてフラット陣営を軸にした展開が描かれ、フラットに対する印象が変わり、どんどん好感度が上がっていたオーランド陣営に再びスポットが当たった回でもありました。

 今までは戦闘を避け、目立たないように立ち回っていたことが多いフラットでしたが、今回は警察署への潜入という思い切った行動に。あとから振り返ると、明らかに潜入に不向きなカウボーイ衣装を選んだのも、オーランドを欺くためだったのかもとも思えますが、フラットの場合ただ天然でやっただけという可能性も十分ありえそう。


 驚いたのがバーサーカー(ジャック)の能力で、どんな存在にも成り代われるということは分かっていたものの、一人ではなく膨大な数の人間に同時に成り代わることができるとは……。

 最初にオーランドが部下が非番であることを見抜いたとき(そこまで部下のスケジュールを把握できているのがとんでもないですが)、ジャックが警官に化けて自作自演で潜入しようとしているんだと素直に思ったので、すでに側近であるヴェラ・レヴィットにもなっていたのは完全に意表を突かれました。

 警察署内の4割の人間がすでにジャックになっているというのは、あまりに怖すぎる……。


 オーランドの結界を至極当然のように乗っ取ったり、フラットがいかに魔術師としてズバ抜けているかが改めて判明した一方で、フラットは何を考えて行動しているかが非常に読みにくいキャラでもあったんですよね。

 フラットが魔術師らしからぬ良識を持っていることは分かっていたものの、一歩間違えるとダークサイドに堕ちそうな危うさみたいなものも感じていました。ただその良識の部分がエルメロイ教室での仲間や師との出会いに即したものであると分かって、ちょっとホッとしたところがありました。

 純粋な魔術の才能では、やはり先代(ケイネス・エルメロイ・アーチボルト)に軍配が上がるにしても、生徒の人間教育までできているのがエルメロイⅡ世のすごいところ(本人はそんな意識は微塵もなさそうですが)。

 そのエルメロイⅡ世が作戦立案という形でオーランドに協力したのも驚いた点で、あくまでも聖杯戦争の外側から起こっている出来事を分析するようなポジションだと思っていたので、間接的な形とはいえ、あのウェイバーが自分の意思で再び聖杯戦争に関わっているというのはアツい展開でした。

偽物が本物に敵わない道理はない、と心から同意したくなる【Fate/strange Fake】


 加えて、8話で印象的だったのが偽のキャスター……もといアレクサンドル・デュマです(今まで真名は明かされていなかったと記憶しているんですが、今回ウォッチャーがさらっと口にしていました)。

 日本では主に『三銃士』で知られるデュマですが、『Fate』ファンには『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』の著者……という方が通りが良さそう。『FGO』と『Fake』は同じ世界観ではないので、こっちでは人理焼却は起こっていないのですが、『FGO』での巌窟王の活躍を知ったとき、デュマ本人はどんなリアクションをするのかちょっと気になるところです。

 個人的に今回とくに刺さったのがジェスターに右腕を持っていかれてしまったジョン・ウィンガードとのやりとりで、「偽物だろうと何だろうと、そこには本物の熱意が詰まっていた」という台詞はグッと来ましたね。


 「偽物が本物に敵わない道理はない」というのは『stay night』でも描かれていたテーマでもあり、『UBW』終盤の衛宮士郎vsギルガメッシュの激アツなシーンが脳裏をよぎります。『Fate』の中でもあのシーンが1、2を争うくらい好きなのもあって、デュマの台詞に「その通りだ!」と内心で同意していました。

 また、自分が好きだった『ハムレット』がオリジナル版ではなかったというのも、オタク的に共感しやすいと感じた部分。アニメやコミカライズを読んで面白いと思った作品が実は原作ファンからは評判が悪いことを後から知った……みたいな経験がある人って少なくないんじゃないかと思うんですよね。

 自分自身も、原作ファンが怒るのは理解できつつも、自分がその作品に興味をもつきっかけをくれたのはアニメ版だったりするので、それを否定はしたくない……という感情を抱いたことが実際にあります。

 『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』のように、デュマ自身の作品も後の人々に様々な翻案が行われていることも踏まえて考えると、さらに深みが増します。

 あと、そこまで仲よさげには見えなかったオーランドのことを、デュマが想像以上に深く信頼していたのはちょっと意外だった点。部下からも慕われまくっていますし、オーランドの株がまた更に上がった回でした。

どんどん主人公らしくなるシグマ。フランチェスカとの関係性はどうなる?【Fate/strange Fake】


 8話ではシグマの視点も多めに描かれていました。

 なかなかとんでもないなと思ったのがウォッチャーの情報収集能力。7話ではファルデウス陣営の情報を得ているシーンがありましたが、今回はあらゆる陣営の詳細な戦力や話しているやりとりの内容までリアルタイムで把握しています。

 実体がないので、直接的な戦闘力がないという大問題はあるものの、聖杯戦争においてこの情報収集能力はかなり重宝しそうだなと。黒幕であるファルデウスたち以上に、この聖杯戦争の全容を把握できるのがシグマというのがなかなか新鮮で面白いです。

 加えて今回感じたのが、実はシグマって主人公属性が強いキャラクターなんだなということ。

 『Fake』は群像劇の側面が非常に強いので、誰に感情移入しながら見るのが少し難しかったポイント(アヤカはまだ明かされていないアヤカ自身の謎が多すぎますし)だったんですが、自分のやりたいことは何か、椿を助けるかどうかで悩みつつも行動を始めるのは主人公みがありました。

 唯一シグマを疑っていた偽のアサシンすらも、結構あっさりと陥落させる人たらしっぷりも主人公らしさがあります。


 それを考えると、現状『Fake』で一番悪役っぽい立ち位置にいるのはフランチェスカだと思うのですが、シグマの視点から見るとフランチェスカは恩人になるのが面白いところ。

 聖杯戦争が始まった後も、ファルデウスの命令通り動くのではなく、シグマが自分の意思で動くように促していて、シグマにとって悪いことをまったくといっていいほどしていないんですよね。

 フランチェスカのキャラクターを考えると、単に「そっちの方が面白そうだから」が理由だとは思っているんですが、それなりの時間を一緒に過ごしているはずなので、シグマに多少は情が移っているという可能性もありえなくはないのかなと想像が広がったりもしました。

 まだお互いをどういう風に思っているのかがあまり見えていないので、この2人の関係性の変化は個人的に注目しているポイントです。

 作戦は順調に進むかに思われた一方、ラストにはアルケイデスの登場もあり、9話は複数の勢力が入り乱れる、かなり激しいバトルシーンが描かれるのではないかと期待が高まります。

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