『ポケモン』30周年記念コラム連載。『ポケモン』が刻んだ30年の歴史を、記憶を辿りながら私見を交えて綴っています。
これまで、緩やかな波から大波へと押し寄せた『ポケモン』元年の1996年と、一大ブームのはじまりとなる1997年の出来事を振り返って来ました。今回は、そのブームが加熱していく1998年を振り返ります。
これまで、緩やかな波から大波へと押し寄せた『ポケモン』元年の1996年と、一大ブームのはじまりとなる1997年の出来事を振り返って来ました。今回は、そのブームが加熱していく1998年を振り返ります。
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前回まで綴って来た、1996年前・後編と1997年前・後編を読んでない方は、まずはそちらを読んでいただけると、より一層今回のコラムを楽しんでもらえることと思います。
1996年、前・後編のコラムはこちら
1997年、前・後編のコラムはこちら
索引
閉じる1998年の時代背景と1月~2月
1998年。アムラーやシノラーといったコギャルブームが続くなか、この頃にはルーズソックスに加え、厚底靴を履いた女子学生を街で見かけるようになります。またネイルアートが流行りはじめたのもこの時期からです。
世間では、都市部を中心にポケベルからPHSや携帯電話への移行が進行し、同じく女子学生から広まった使い捨てカメラ『写ルンです』を持ち歩くことが日常になっていました。その影響もあり、この年の写真フィルムの出荷量は国内史上最多を記録。このことを考えれば、のちに携帯電話にカメラ機能が付くのは必然のことだったように思えます。
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当時、記録メディアのCDとビデオカセットも全盛期を迎えており、CDの生産枚数が国内史上最高を記録。“プレイステーション”や“セガサターン”のソフトがCD-ROMを採用していたのも、この記録に貢献しているのではないかと考えています。また、セルビデオソフト(当時はCDメディアなどでもセルビデオがあった)のうちビデオカセットの売上本数が国内史上最高を記録しています。
アナログとデジタルが世代交代をくり広げ、世界中がイノベーションとエボリューションに包まれていくなか、『ポケモン』もとどまることなく進化をつづけ、その人気はさらに過熱していきます。
1月。前年12月にアニメで起こった“ポケモンショック”に対するバッシングは、年末年始を挟んだこともあり少しトーンダウン……アニメ再開を願う声もあるなか、放送は休止中でまだまだ自粛ムードが漂っていました。
そんななか、ファンを賑わしたのが『ポケットピカチュウ』の3月27日に2,500円(税別)で発売されるという情報です。すでに人気となっている“ピカチュウ”を携帯ゲームとして連れ歩いて一緒に生活するという触れ込みでした。『たまごっち』が絶大な人気を誇っていた当時、私にとってもかなりインパクトのある商品だったので、すぐに近所にある行きつけの玩具屋で予約しました。
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2月。“ゲームボーイ ポケット”の価格が値下げされ5,800円となり、これまで手を出していない層にも訴求します。この価格改定は、このあと4月に発売される画面にバックライト機能が付いた“ゲームボーイ ライト”を6,800円で販売することへの布石と見ています。
また、このあと10月に発売される“ゲームボーイ カラー”の発売後には3,800円というビックリ価格に改定され、一家に一台から家族全員一台ずつ持てるような安さになります。この、『ポケモン』を遊べるハードが一般的に普及しやすい価格になるということは、これまでも売れている『ポケモン』をさらに売り伸ばす結果に繋がったに違いありません。
この時期、前年に引き続き『ポケモン』の玩具やグッズの商品展開は新作、既存シリーズも併せて凄まじい数が展開されており、すべてを追い切れないほどの人気ぶりでした。前回のコラムで紹介しきれなかったもののなかでは、トミーが出しているプラモデルの『ポケモンキット』や『プラモン』も人気シリーズとなっています。
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3月~4月 『金・銀』発売延期とアニメの再開
3月。“月刊コロコロコミック4月号(3月売り)”で、楽しみにしていた『金・銀』の発売延期が発表されます(1998年3月発売予定と発表されていた)。このときの情報で「かわりと言ってはなんですが『ピカチュウ(黄色?)バージョン』を出します、みんなに内緒で作っていたもので、ポケモン映画封切に合わせて発売する予定です」……とサラッと記載されており、「へ?そりゃなんだい?」となった人もいたのではないでしょうか。
3月20日。劇場版『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』同時上映『ピカチュウのなつやすみ』の特典付き前売り券が発売されました。このときは先着3万名に、当時、小学館の学年誌などの付録で人気があった『ポケモンスタンプ』の映画版特別シートが特典として付いていました。
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4月。大々的にゲーム『ピカチュウ』バージョンの発表がされるなか、4月16日よりついにアニメの放送が再開されます。再開にあたりこれまでの火曜18時30分~の放送枠から木曜19時~のゴールデンタイムへと移動(放送局は同じくテレビ東京系列)。
放送が再開された最初の回は、このために特別に制作されたと言われている38話“ピカチュウのもり”(本来の38話“でんのうせんしポリゴン”が欠番のため、現在ではこの回が38話になります)。最初に放送されたときは本タイトルの上に黄色い文字で「やっとあえるね!」と記載されていました。
ピカチュウの群れが暮らしている森に、サトシたちが訪れる心温まるストーリーです。“ポケモンショック”という大きな困難を乗り越えて再開する想いが込められた特別な回として観ると、胸が熱くなります。機会があれば、ぜひご覧ください。
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“ポケモンショック”を経てアニメが再開することで、それまで『ポケモン』に興味がなかった人や知らなかった人も、「どんなものか一度見てみよう」と興味の目線で観た人が大勢いたのではないかと思います。そんななかで放送されたのがこの“ピカチュウのもり”で、マスコミの報道で知った多くの人が認識を改めることになった伝説回です。
アニメの“ポケモンショック”によって低迷するのではないかと懸念されていた人気は影響を受けず、むしろ“ポケモンショック”により日本中に知れ渡った『ポケモン』は、アニメの再開と、夏休みに映画が公開される追い風を受けてブームがさらに過熱していきます。
それを見据えるかのように、この4月25日には、日本橋に『ポケモンセンター』の記念すべき最初の店舗『ポケモンセンター トウキョー』がオープンしています。
6月~8月 夏休み商戦!飛行機と映画と『ポケモンスタジアム』
6月になると、夏休み商戦に向け、ANA(全日空)が『ポケモン』とタイアップした『ポケモンジェット』の就航を発表。ピカチュウやミュウなどの人気キャラでラッピングされた国内線大型旅客機が空を飛ぶことになります。
このときの、垂直尾翼に“そらとぶピカチュウ”が描かれていたのは、当時の歴史を感じます。このANA『ポケモンジェット』は夏季を中心に不定期に続いており、ポケモン30周年にも就航することが決定しています。
7月18日。ついに『ポケモン』初となる映画、劇場版『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が公開されます。この『ミュウツーの逆襲』は最終的に日本国内650万人を動員。国内興行収入72.4億円/配給収入41.5億円を記録し大ヒットを飛ばします。
この年の配給収入の邦画1位は『踊る大捜査線 THE MOVIE』で50億円。2位が『ミュウツーの逆襲』41.5億円。3位が『ドラえもん 南海の大冒険』の21億円で、3位との差が大きく開きますからそのヒットの度合いが分かります。
また、洋画と合わせると1位が『タイタニック』160億円(これはオバケです)。2位が『踊る大捜査線 THE MOVIE』50億円となり、3位が『ディープ・インパクト』47.2億円。そして4位に『ミュウツーの逆襲』となりますから、子供を対象にしている作品の目線で見ると快挙です。
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劇場版『ミュウツーの逆襲』は、ミュウツー自身の存在意義を問うような作品で奥が深く、「当時、内容が深すぎて理解できなかった」……と、大人になって観直し、改めて評価するファンも多く人気が高い作品です。1999年にはアメリカで公開され、日本映画ではじめて週間興行ランキングで初登場1位の偉業を果たした作品でもあります。
この『ミュウツーの逆襲』には続編として、2000年12月にテレビアニメの特番として放送された“ミュウツー!我ハココニ在リ”があります。現在、Amazonプライムなどのサブスク配信サービスでは181~183話の3話に分かれて配信されていますので、続きが気になる方はチェックしてみてください。また、2019年にはフル3DCGで描かれたリメイク作品『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』が公開されています。
『ポケモン』旋風が日本を席巻するなか、初の“ニンテンドウ64”タイトル『ポケモンスタジアム』が8月1日に発売されます。この『ポケモンスタジアム』は、64GBパックを使って『赤・緑』『青』(のちの『ピカチュウ』も)のカセットから自分の手持ちポケモンを呼び出し、ゲーム内のNPC(ノンプレイヤーキャラクター)や友だちとバトルできるという、当時では画期的なシステムでした。
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ポケモンは3Dで描画され、当時の大会ルールに準ずる40種類が登場。また、トーナメントにピカチュウを手持ちに加えて勝ち進み、最終戦でピカチュウをエントリーして勝つと“なみのり”を覚えさせることができたこともあり、日本国内で137万本の売上本数を記録しています。
9月 『ピカチュウ』バージョンの発売
9月。映画の好調と『ポケモンスタジアム』の話題で盛り上がるなか、初代ポケモンシリーズで『黄』と目される『ピカチュウ』バージョンが9月12日に発売されます。
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『ピカチュウ』バージョンは、基本的にストーリーはこれまでと同じですが、『青』と違いアニメに準じて大幅に改修されています。具体的には、最初に選ぶポケモンはピカチュウで、モンスターボールに収まらず後ろについて歩きます。鳴き声もアニメと同じく「ぴかちゅう」と鳴き、“かみなりのいし”を使ってもライチュウに進化させることができません。
また、御三家のフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメを途中で手に入れることができます。このほかにも、ロケット団関係のイベントで、アニメのキャラクターであるムサシとコジロー、ニャースが出てきて戦ったり、ポケモンセンターにはジョーイさん、警察官はジュンサーさんに似せたキャラに変更されていたりします。
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こうした変更は、当時映画を観て『ポケモン』熱が再燃している私にとってもタイミングがドンピシャで、発売日に購入……マサラタウンから3度目となる冒険のはじまりとなりました。このバージョンはアニメから入ってまだゲームをプレイしていない層も取り込み、確実に新しいポケモントレーナーを増やしたに違いありません。
さらに、この9月には北米で『赤・青』が発売。アニメも111局で放送が始まり、『ポケモン』が世界へと歩みはじめた月でもあります。
この北米版『赤・青』は、日本の『青』をベースに、出現率などは日本の『赤・緑』にしてあると聞きます。
なぜ『緑』でなく『青』にしたのかは諸説あり、アメリカの国旗カラーを意識したのではないかという説がありますが、実際のところ定かではありません。
10月~12月 派生ゲームタイトルの登場
10月、11月と順調にブームが続いていきます。10月には前述の“ゲームボーイ カラー”が発売。11月には”ゲームボーイ ポケット”が3,800円に値下げされることで、年末商戦に向けてさらに人気獲得の追い風となります。
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この11月には、劇場版『ポケットモンスター(X)爆誕』の初報が流れます。この(X)とはのちに発売される『金・銀』の伝説ポケモン“ルギア”のことなのですが、この時点では完全に伏せられていました。当時『ミュウツーの逆襲』を観て、映画はアニメとはまた違う面白さと味わいがあることを知った私は、期待に胸を膨らませたのをよく覚えています
また、この11月14日に『ポケモンセンター』の2店目である『ポケモンセンター オーサカ』が梅田センタービルにオープンしています。
この年の終わりの12月には、これまでにないタイプの『ポケモン』ゲームが2本発売されます。1本は12月12日に発売された“ニンテンドウ64”タイトル『ピカチュウげんきでちゅう』。もう1本は12月18日に発売された“ゲームボーイ カラー”対応タイトル『ポケモンカードGB』です。
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これまでのゲームは『赤・緑』、『青』、『ピカチュウ』とバリエーションを増やした初代『ポケモン』と、それらと連動させて遊べる『ポケモンスタジアム』がリリースされて来ましたが、この2本はいわゆる『ポケモン』を題材にして派生したゲームで、本シリーズのカセットとの通信や連動はせず、それだけで遊べるタイプのタイトルです。
『ピカチュウげんきでちゅう』は画期的で、専用マイクを使ってピカチュウとコミュニケーションを取りながらゲームを進めるといったスタイルを取っており、このゲームを遊びたいから本体を買ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。アニメのピカチュウが絶大な人気でしたから、音声認識システムを使ってピカチュウとコミュニケーションが取れるのは、とてもインパクトがありました。
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『ポケモンカードGB』は、当時すでに人気の『ポケモンカードゲーム』をそのままゲームに持って来たようなタイトルです。通信ケーブルを使っての対戦も可能。また、ケーブルを使わなくてもカートリッジに内蔵されるGBリンクを使ってカードやデッキの交換ができるのは画期的でした。『ポケモン』関連のタイトルでは初の“ゲームボーイ カラー”タイトルになります。
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これら2本のタイトルを皮切りに、これ以降はさまざまな派生タイトルが出てきて『ポケモン』ゲームのバリエーションを賑わすことになります。
そんな1998年……本シリーズのゲーム、派生ゲーム、アニメ、映画、漫画、音楽、玩具、文具、食玩、食品、交通、店舗、海外進出などなど……ポケモン30年の歴史を刻むほぼすべてのピースが全方位で出揃った年。万全の体制のなか1999年、ついに『金・銀』が登場するのですが……そのお話しは、また次回。よろしくお願いいたします。
今後の更新情報や、こちらのコラムで紹介しきれなかった『ポケモン』商品のことなど、SNS“X”アカウントにポストしています。『ポケモン』以外のお仕事や趣味のことなども雑多に呟いていますが、よろしければお気軽にフォローください。
※記事中の写真にあるグッズ類、本体、ゲームソフト類は私物撮影です。市野ルギア プロフィール
“ファミ通”で雑誌やムック、音楽やWeb番組を作っていました。現在はフリーのミュージシャンで編集ライター。ポケモン歴は1996年2月『ポケットモンスター 赤・緑』の発売日から。“週刊ファミ通”、“ファミ通 ゲームキューブ+アドバンス”で『ポケットモンスター ファイヤーレッド・リーフグリーン』と『エメラルド』のライティングを担当。
“ファミ通Wave DVD”や“ファミ通コネクト!オン”など多くの雑誌に企画・編集・ライティングで携わってきました。
電撃オンラインでは、『ポケットモンスター ソード・シールド』より『ポケモン』シリーズのプレイレポートを不定期で連載しています。
また、ゲーム曲やそのアレンジ、ラジオやテレビの主題歌など手掛けています。歌から物語を創る自身の音楽ユニット「終末のバンギア。」をプロデュース中。
これまでの経歴などは“ポートフォリオ”ページをご用意しておりますので、そちらをご参照ください。
・“市野ルギア”ポートフォリオページ