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『Fate/strange Fake』12話感想。邪悪すぎる椿の両親の所業に◯◯を思い出す。そしてまた規格外のサーヴァントが増えた…(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 放送中のアニメ『Fate/strange Fake』第12話“逃避の果て”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『Fate/strange Fake』12話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

椿の境遇で思い出す間桐桜【Fate/strange Fake】


 いよいよクライマックスに近づきつつあるアニメ版『Fate/strange Fake』。

 今回はついに椿自身に本格的な焦点があてられた回になっていました。

 まず何よりも衝撃だったのが、両親が椿に対してやっていたこと。

 間桐への対抗心から、人間の魔術回路を強制的に開く危険な細菌を移植して、脳死状態にまで追い込んでしまっても“誤算”の一言で片付ける。ロクな両親じゃないのは今までの描写からも察していたんですが、その想像を遥かに超える外道でした(ある意味では魔術師らしいと言えますが)。


 性質からして、『stay night』や『Zero』で間桐桜に植え付けられた刻印蟲にそっくりで、間桐臓硯も思い出しました。思えば、“椿”も“桜”と同じ春の花の名前という共通点があって、悲劇のヒロイン的なポジションといい、桜をオマージュしたキャラクターなんじゃないかなと。

 桜って間桐に養子になったあと、刻印蟲の影響で髪色が変わっていて、元々は黒髪だったのですが、その頃の容姿を想定すると、見た目も幼い頃の桜と結構似ている気がします。

 しかし椿の両親が間桐に対する対抗心をむき出しにしていたということは、第五次聖杯戦争は終わっているものの、臓硯はまだ健在なんでしょうね(臓硯亡き後なら、間桐はもはや魔術師の家系を保つことすら困難でしょうし)。

 そうなると、この世界線ではHeaven's Feelルートに類する出来事は起きていなさそうな気がするので、『Fake』の世界での桜がどうなっているのかと想像するとちょっと怖いものがあります。

 しかしそれはそれとして、今まで「まっくろさん」と呼ばれていたサーヴァントの正体がペイルライダーであることが判明してぶったまげました。


 今まで直接戦闘力が描かれていなかったのもあって、直接的な戦闘力よりは夢や幻に特化した、サポート寄りの能力のサーヴァントをイメージしていたんですが、そんな次元の存在ではなかったですね。

 ペイルライダーといえば、新約聖書の『ヨハネの黙示録』に登場する“死”を司る存在で、生物ですらなく概念みたいな存在です。

 登場する時、カラスやネズミが大量に出現していましたが、これは中世での人間の死である“疫病”を連想させる演出なんだろうなと。今まで実体をもっていない靄みたいな状態だったのも、概念に近い存在だったからだと考えるといろいろ納得できます。

 しかし、ギルガメッシュとかアルケイデスとかイシュタルとか規格外の存在だらけの聖杯戦争なんですが、これでさらに規格外のサーヴァントが追加された形に。いくらなんでも規格外が多すぎる。

 仕組んだファルデウスたちとしては、これくらい滅茶苦茶になるのをある程度想定していたのか、それともここまで制御不能になるとは思っていなかったのか。フランチェスカは心底楽しんでそうですが、ファルデウスについては後者のような気がしています。

アヤカが聖杯戦争に参加する決意を固める一方、まだ燻っているリチャード【Fate/strange Fake】


 そして、まったく予想外のところから新キャラクター“鮫(こう)”も登場しました。

 最初は一瞬、こっちが「まっくろさん」の正体だったのかと思ったのですが、そもそも椿がまったく存在を知らなかったこと、後にペイルライダー自身も出てきたことで、その線はなくなりました。

 どう見ても人間ではないですが、サーヴァントとして聖杯に召喚されたというわけでもなさそう。今回の聖杯戦争では、通常のサーヴァント枠とは別種の存在として介入しているイシュタルもいますし、似たような存在と考えればサーヴァント以外がいるというのは納得できます。


 “鮫”という名前と、見た目のデザインが『FGO』に登場していた始皇帝ともちょっと似ていて、中国との関わりも連想させる存在ですが、なぜかウォッチャーのことも知っている様子。

 「存在を隠しきれない」「かくれんぼするだけ」と言っていることから、何かに見つかってしまうことを避けて行動しているようですが、その目的は不明です。シグマに“神堕としの弩”を託して、心から椿のことを案じているように思えたので、少なくとも悪い存在ではなさそうですが、ウォッチャーの見解も気になるところです。

 また、今回大きく話が動いたのが、リチャードとアヤカの関係性です。

 複数のサーヴァントと契約したり、状況的には完全に聖杯戦争にがっつりと入りこんでいるアヤカですが、あくまでも魔力を提供しているだけで、自分がマスターであると認めてないままここまで来てるんですよね。


 アヤカは今回でついにリチャードのマスターとして戦う決意を固めた……のですが、聖杯への願いがなく、聖杯戦争に召喚された理由がわからないままだという、リチャード側の問題が解消されないままであることが浮き彫りになった形でした。

 正直、聖杯への願いに乏しいサーヴァントはこれまでにもたくさん見てきたので、「願いなんてなんでもいい」というアヤカと感覚は完全に同じなのですが、リチャードにとって引っかかっているのは、願いを叶える前の「他人の願いを踏みつけてまで」という部分なんだろうなと。

 生前に戦いに明け暮れたリチャードには、自分の願いのために他人の願いを蔑ろにし続けてきたという自覚があって、一種のトラウマのようになっているのかなと感じました。これまでもそういう言動がありますし、今回の「俺は天国にはいないよ」という台詞からも、リチャードは自分を悪人として定義している節を感じます。

 あとアヤカの前に“赤ずきん”が現れましたが、赤ずきんだった頃とアヤカになった後は記憶を共有しておらず、別の人格として生まれ変わったと考えると、「あなた」呼びするのは矛盾していないので、いわば過去の自分と対峙するシーンだったと解釈しています。

 内容は伏せられていましたが、最後にアヤカに何かを伝えていたのは、今後また意味をもってきそうですね。

 他にも、久しぶりに偽のアサシンに再会してテンション爆上がりになるジェスターとか、Wi-fi代わりにされているギルガメッシュとか面白いシーンが多数ありましたが、『ロード・エルメロイII世の事件簿』ぶりに、エルメロイⅡ世の“ホワイダニット”がまた見れたのはテンション上がりました。


 フラット自身も相当に優秀な魔術師なのに加えて、エルメロイⅡ世が相談役としてサポートについているのはなかなかのチートだよなと。ジャックが宝具を失っているのでかなり厳しい状況に置かれているにも関わらず、不思議な安心感があります。

 今のところ明確な脱落者も出ていないので、聖杯戦争はまだまだ続きそうですが、TVアニメは残すは1話に。明らかにヤバそうな存在であるペイルライダーも姿を現し、アニメの最終話ではどんなクライマックスが描かれることになるか楽しみです。

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担当者プロフィール

  • 米澤崇史

    米澤崇史

    ロボットアニメを愛するライター。 フリーランスの専業ライターとして10年以上活動。複数のアニメ・ゲーム系のWebメディアでコラムやインタビュー記事を担当し、書籍では主に攻略本・ムック本のライティングに多数関わる。ゲーム会社在籍時は企画・プランナーとしてゲーム開発にも参加。 幼少期からゲームに触れ、主にRPG・SRPG・アドベンチャーゲームを中心にプレイし、とくに好きなのは『テイルズ オブ』シリーズや『Fate』シリーズ。ガンダム系のゲームも好み、『スーパーロボット大戦』や『ジージェネレーション』シリーズはほぼ全作プレイ済の大のファンで、人生のベストゲームは『スーパーロボット大戦α』と『ジージェネレーションF』。

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