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マックスとクロエの歩く線路の先には。選択と結果、そして「正解」とは何だったのか。『ライフ イズ ストレンジ』最終章『リユニオン』クリア済みネタバレ感想【ほぼ週刊電撃スタッフコラム:オッシー】

文:電撃オンライン

公開日時:

※この記事には『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』の重大なネタバレがありますので、ご注意ください。

 みなさんこんにちは。超能力っていいよね。空を自由に飛んだり、手をかざして悪人の頭を吹き飛ばしたりしたい。でもあんまり強力な能力だと、悪目立ちしちゃうし、そうすると命を狙われたりするから、控えめだけど使い方によっては強い、ぐらいがちょうどいい。

 なので、近距離転移能力が欲しい。フォークとかターゲットの身体の中に転移して暗殺するの。『ジョジョ』5部のスティッキー・フィンガーズで同じようなことしてたよね。あんな感じ。不惑を迎えても中二心は忘れないオッシーがコラム40回目をお送りします。


 このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビュー形式でお送りしています。超ネタバレ注意。

シュレディンガーのクロエ【ライフ イズ ストレンジ リユニオン】


タイトル:『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』
プレイ状況:PS5版 クリア済み

 『ライフイズストレンジ』シリーズは大好き。もちろん全作プレイしている。


 どこが好きかと言われると、やはり"選択”の重さが随一だと思う。

 いわゆるテキストアドベンチャーの文脈、"選択肢を選んで分岐する”タイプのゲームではある。それを3Dモデルを使ってやっているので没入感はあるけど、それがテキストと静止画で構成されていても、さほどゲームから受ける印象は変わらないはずだ。

 じゃあ何が『ライフイズストレンジ』のエポックメイキング的なところなのかというと、"ゲームオーバーがなく、すべての選択がゲームに承認される”ことだと思う。


 いわゆる普通のテキストアドベンチャーだと、間違った選択肢を選ぶと、好感度が下がったり、バッドエンドになったりする。選択肢に"正解”と"不正解”があるのだ。だから、ゲームクリアの為には"正解”を選ぶし、エンディング回収やコンプリートの為にあえて"不正解”を選んだりするけど、それはあくまでも"攻略”であって、プレイヤーの、本当の意味での"選択”ではなかったりする。

 なので、当時『ライフイズストレンジ』が発売されてプレイした時は、戸惑うこともあった。明らかにバッドエンドになりそうな選択肢を選んでも、物語は普通に進む。選択肢で重要人物が死んでも、それはそれとして世界は進むのだ。

 試しに選んでみて、バッドエンドを回収してからロードして正解を選ぶ、というある意味アドベンチャーの正攻法が使えないのは、画期的だけど何かモヤモヤしたのを覚えている。正解を選びたい、取り逃しをしたくない、というユーザーの根源的な欲求が満たされないモヤモヤ。

 今でこそ、そういったタイプのアドベンチャーも増えてきたけど、当時は珍しかったと思う。だからこそ、衝撃を受けた。


 そして、そんな中で最後に選ばされる究極の選択。なぜどちらも救えないのか。これだけ苦しんで選択してきて、時を戻してすべての可能性を試した上で、なぜ完璧なハッピーエンドがないのか。当時はきっとどちらも救える"真のエンディング”があると思って何度もやり直した。

 でもなかった。自分の中では、親友のクロエを救う一択だったので、何度やり直しても生まれ育った街が嵐に蹂躙されるのを受け入れるしかなかった。

 続編の『ライフイズストレンジ2』が出るときいて、きっとあの続きが、"正解”が分かると思ったのに、全然別の主人公でマックスもクロエも関係ない話だった(ちょっと出てくるけど、シリーズファンサービス程度)。

 『トゥルーカラーズ』はシリーズでもかなり好きな作品だけど、こちらも新主人公でほぼマックスたちの絡みはない。

 そして遂に出た前作『ダブルエクスポージャー』。待ちに待ったマックスが主人公復帰! ⋯⋯と思ったら、クロエとはあの事件の後に気まずくなって疎遠になっている設定。クロエの代わりのサフィとのストーリーも面白かったけど、やっぱり心のなかでは、「なんでクロエ出てこないんだ!」というのが引っかかっていて、不完全燃焼。


 まあそれもそのはず、『ライフイズストレンジ』の選択によってはクロエは死んでいるので、出したくても出せないんだよね。無印でアルカディアベイを選んだ人もこのゲームは受け入れているわけ。

 筆者からするとクロエ犠牲に街を救うとか、『ドラクエ5』でビアンカ以外を選ぶくらいあり得ないと思うけど、ゲーム的にはどちらも受容している。"正解”がないゲームだからこそ、クロエをメインで出すことはもう出来ないというジレンマ。

 『2』以降で新主人公にしたのもやむなしだったんだな~と、『ダブルエクスポージャー』をクリアした時に思った。だってクロエは"半分死んでいて半分生きている”、観測者(プレイヤー)によって存在が変わる"シュレディンガーの猫”状態だからね。マックスは出せてもクロエは出せず。

まさかのマックス&クロエのW主人公!【ライフ イズ ストレンジ リユニオン】


 とか言ってたら、『リユニオン』発表。しかもマックス&クロエのW主人公で、マックスサーガ最終章だとか。クロエ出せないんじゃなかったんかい!


 プレイしてびっくり。いやさ、最初は普通にクロエ視点でもプレイしてたわけ。だって筆者はシリーズでも常にクロエ生存ルートが正史ということで信じ切っていたからね。

 でも途中で気づくのよ。あれ? これアル派(アルカディアベイ救う派)はどうなってんの? クロエ死んでね? アルカディアベイを救ったプレイヤーからすれば驚愕の展開だよね。

 今回、クロエはちょいちょい謎の空間に飛ばされる。そこではサフィとマックスがいて、"必ずマックスに殺される”夢みたいな空間。そこでスマホのメッセージアプリが見られるんだけど、そこで"生きているクロエ”と"死んでいるクロエ”がどっちも書き込んでいるんだよね。それはサフィも同じ。


 つまり、今作のクロエは"生きているクロエ”と"死んでいるクロエ”が重なり合った、シュレディンガーの箱の中にいるクロエなわけ。だから、アル派はいきなりクロエが生きていてさぞ驚いたことだろう。むしろそれに中盤まで気づかずプレイしていた筆者が残念まである。

 前作『ダブルエクスポージャー』のラストで、マックスが世界を統合したことで、2つの世界線がごっちゃになったと作中でも説明がある。なので、なんと本作では"クロエ生存”でありながら、アルカディアベイも嵐に襲われていないのだ。望んでいたハッピーエンドが気づいたら実現しちゃってた!

最終作なのに、手の届く範囲の世界。だがそれがいい【ライフ イズ ストレンジ リユニオン】


 とはいえ、そうは問屋が卸さない。そんな都合の良い世界で終わるはずもなく、世界統合のひずみがマックスとクロエを逃さない。

 本作は、『ダブルエクスポージャー』でも舞台だった、カレドン大学が再度メインの舞台になる。そのカレドン大学が炎上する。SNSじゃなくてリアル炎上。


 炎上して大勢の学生や教員が死ぬ惨劇を目の当たりにして、マックスは使用を控えていた能力を最大解放して、過去に戻る。大学の火事の原因を見つけて、惨劇を防ぐために。

 いやさ、正直ちょっと地味だと思ったのよ。だって登場人物はほぼ前作と一緒だし、火事は悲惨ではあるけど、街全体を滅ぼすほどの災厄、って感じではないしね。マックスの能力も、進化したり覚醒したりするわけでもなく、むしろ写真で過去に戻る能力はオミットされて、単純にちょっとだけ時間を巻き戻すだけになってる。

 最終作だから、もっと世界を巻き込む超能力バトルみたいなものを想像してたので、ちょっと拍子抜けだった。


 でもさ、『ライフイズストレンジ』はこれでいいのよ。

 だって一気に世界が広がって、能力もかなり強力な『2』は、登場人物に感情移入がしにくかった。一方、かなり舞台が限定的で、主人公の能力が過去イチしょぼい『トゥルーカラーズ』は最高の出来だった。

 やっぱり、『ライフイズストレンジ』の魅力は、"手が届きそうな超能力”と"想像できる身近な舞台”で、"局地的な事件を解決する”ところなんだよね。スーパー超能力バトルはアベンジャーズに任せておけばいいのよ。(『2』も、体験版の『キャプテンスピリット』はめちゃくちゃ良かった)

 ということで、今作は最終作でありつつも、原点回帰とも言える内容になっていて、クリアした今ではとても良かったと思う。

自由な大学、秘密結社、謎の死体⋯⋯アメリカの青春(?)が詰まってる【ライフ イズ ストレンジ リユニオン】


 『ライフイズストレンジ』の魅力の一つに、"アメリカの片田舎の原風景”があると思うのよ。いや、日本から出たことないから実際は知らんけど。


 でもアメリカ映画とかで見る昔のアメリカの風景は分かるじゃん。『スタンド・バイ・ミー』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とかさ。最近でも『ストレンジャー・シングス』は超能力モチーフというところもあり、かなり雰囲気が近いよね。

 そんなイメージと『ライフイズストレンジ』の描く世界観は、かなり近しいんだよね。アメリカの大学生とか、ホラー映画でやんちゃして殺人鬼に殺されるやつしか知らないけど、大体合ってる。自由な校風で、学生たちが秘密結社(クラブ)で何か色々とやってるのも映画で見たことあるわ。

 そして地下室の謎の白骨死体。『スタンド・バイ・ミー』もそうだし、やっぱ死体探し=青春みたいなとこあるよね。


 というほぼ映画で観たアメリカの片田舎が詰まってるのがいいのよ。そもそも無印『ライフイズストレンジ』からそんな感じだったしね。殺人鬼に女学生が監禁されて~ってめっちゃよく見る設定だった。

 今作は最終作だけあって、そんな要素が詰まりまくってる。そんな擦りまくった設定でも、やっぱりハラハラドキドキするのよ。夢中になって『グーニーズ』とか観てた頃を思い出す。

 あと、前作と同じ顔触れではあるけど、そこにクロエという異物が混ざることによって、新鮮な反応が得られるのも良かった。ルーカスとか鼻持ちならないヤツを、クロエがズバズバ切り捨てていくのめっちゃ気持ち良い。クロエはあんなバンギャ風だけど、実はオタクなのでモーゼスと意気投合するのもお約束だけどめっちゃ好き。

クロエとマックス。友情のその先に【ライフ イズ ストレンジ リユニオン】


 疎遠になったマックスとクロエ。その再会シーンはやっぱりグッときたね。


 ふたりとも、お互いに「会ったらなんて言おう」って逡巡しまくってるのが良かった。もう付き合っちゃえよ、のやつ。

 そして一旦その気まずさを乗り越えると、まるで時間を取り戻すように語り合って、すぐに元の二人に戻る描写もエモい。まあ今作はW主人公だから、どっちの選択肢もプレイヤーが選ぶから当たり前っちゃ当たり前だけど!


 そして二人はバディに戻って、火事の謎に立ち向かう。行動派で弁も立つけど、実は人見知りなクロエと、普段は慎重だけど、たまに大胆な行動に出るマックスのバディはやっぱ最高!

 でもそこに、トリックスター的に関与してくるサフィ。今作は最初から変身能力者なのが分かっているので、誰も彼もサフィじゃないかと怪しく思えるのもスパイスとしていい仕事してた。

 個人的には、成りすまし対策として合言葉決めてたのに、そんなの使わなくてもクロエがサフィのマックス成りすましを瞬時に見破ってたのがとても良かった。「付き合い長いからな」って言い放つクロエに痺れた。

 しばらく会ってなかったけど、マックスの時戻しも含めたらかなりの長い時間を一緒に過ごしていたもんね。まあクロエ側はそれは認識してないからノーカンだけど。

最後のマックスの選択こそがすべての答え【ライフ イズ ストレンジ リユニオン】


 そして明かされる犯人と動機、クロエの運命や如何に⋯⋯。


 というところは、実際にプレイして確かめて欲しい。というか、普通に犯人間違えたしね! 厳密には、半分当たって半分外した。初対面最悪は実はいい奴だと思ったのに⋯⋯おまえ!

 まあそれも含めてすべての選択を許容するのが『ライフイズストレンジ』だからね。でもロレッタを助けられなかったのだけは正直納得できなかった。だってさ、回り込んで助けに行こうとしたら、外に出ちゃって話が進んじゃったんだもん。

 マックス「そこで待ってて! 必ず助けに行くから!」→見殺し、みたいになっちゃった。正直スマン。ロレッタは結構好きなキャラだったんだけどな⋯⋯。

 そして、死すべき運命のクロエとサフィ。まあサフィはあんまり前作から好きになれなかったので、残当だけど、クロエだけはどうしても生かしたかったので、最後の展開は本当に手に汗握った。


 火事なのに、あんな葉っぱ一杯積んだコンテナ出てきた時は、「おまえやってんな?」って感じだったけど、ちゃんと理由があったのね。

 そしてラストのラスト、まさか最後の最後で今作の究極の選択が出てくるとは。すべて終わってエピローグ気分だったからビビった。

 そんで、選んだ答えは「写真を見せる」。上に書いた通りにさ、ロレッタの死はミスったなと思ってたから、自分がマックスだったらやり直す(やり直したい)と思ったのよ。メタ的だけど、プレイヤーはそうじゃない? 間違ったと思ったら、セーブ・ロードでやり直すじゃん。

 マックスもプレイヤーも変わらないよ。自分の都合で世界を書き換えてるんだ。


 それはやり直しの効かない、ゲームオーバーのない『ライフイズストレンジ』でも同じ。だってクリアしたらチャプターセレクト出てくるから、いくらでもやり直せる。

 でもね、マックスはそうしなかった。プレイヤーはチャプターセレクトでやり直して、全員生存エンドを選ぶかもしれないけど、でもマックスは受け入れた。自身の選択と、それによってもたらされた結果を。

 それがこのシリーズ自体のメッセージな気がして、なんかとても考えさせられた。クロエを生かして街を滅茶苦茶にしたことも、『2』で弟が暴走して国境を越えられなかったことも、『トゥルーカラーズ』で兄の仇を許せなくて罰したことも、すべての選択で「もっとうまくやれた」と思わないこともなかったけど、でも自分で選択した結果だ。


 ⋯⋯なので、今作はやり直しません! トロコンもしない! めんどくさいからじゃないよ。自分の選択を大事にしたいからだよ(言い訳)。

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