スクウェア・エニックスが運営するオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)』。本企画では、ヒカセン兼ライターが膨大なプレイ時間をかけて旅する中で出会った、『FF14』の“好きなクエスト”や“好きな台詞”を振り返りつつ紹介していきます。

第9回の『FF14』振り返り記事では、『新生エオルゼア』メインクエスト“灯りの消えた日”と、その関連クエストを紹介します。

筆者が『FF14』を遊び始めたのは3年ほど前ですが、このクエストの衝撃は今も色あせません。『新生エオルゼア』リリース当時まで遡ると13年前にもなる話なのに、「忘れられない」と語るプレイヤーが多いように感じられます。
それは“灯りの消えた日”が、新生した『FF14』で初めて味わう明確な挫折だからではないか……と、こうして記事を書きながら感じます。

“灯りの消えた日”は、主人公が“暁の血盟”の一員として蛮神“タイタン”を討伐した直後のメインクエストです。「エオルゼア救済」を掲げて蛮神問題に果敢に切り込む“暁”、ひいては主人公の活躍が目立ち始めた頃ですね。
“暁”の盟主であるミンフィリアもタイタン討伐を喜んでくれ、一度拠点の“砂の家”に戻ってくるように言われます。
「ミンフィリアや他のメンバーからお祝いしてもらえるのかな?」そんな軽い気持ちで西ザナラーンにテレポしたのをよく覚えています。

そんな浮かれ気分は、砂の家を取り巻く異様な雰囲気の前に消し飛びます。
砂の家の周りには人だかりができていて、何か騒ぎが起きた様子。嫌な予感を覚えながら中に入ってみると……。


そこには、灯りが消えて真っ暗になった砂の家と、無言で横たわる死体の山がありました。
彼らはNPCですが、“暁”のメンバーであり、生きていれば主人公を「よくやったな!」と祝福してくれたであろう人たちです。
こんなことになって初めて、筆者は彼らの名前すら覚えていなかった事実に気づきました。

わけも分からないまま砂の家を探索していると、奥の部屋でシルフ族のノラクシアが倒れているのを発見します。

“シルフの仮宿”から“暁”を手伝いに来た彼(彼女?)は小さい体でちょっと偉そうな性格のギャップがなんだか面白く、「頼もしいわたぴを頼るがいいのでふっち!」という自己紹介がすごく印象的です。
正直に言えば、主人公をこき使ってばかりの“暁”の賢人より、裏表なく接してくれるノラクシアのほうが身近に感じられる存在だったように思います。
個人的には、この時点の『FF14』で一番愛着を持っていました。

ノラクシアの記憶を“超える力”で垣間見ると、砂の家は“ガレマール帝国”に襲撃されたようです。帝国兵を率いるリウィアは「蛮神を沈めた冒険者を出せ」と要求し、ミンフィリアを捕虜にします。
ほかの者は皆殺しにされ、ノラクシアもミンフィリアを庇おうとして致命傷を負わされたのです。

「ごめんでふっち……。ミンフィを……みんなを……」
「……守れなかったのでふっち……。せっかく……みんなと……仲間に……」
「みんなを……助け……て……」
そう言い残して、ノラクシアも息を引き取ります。
帝国の目的が主人公だったとすれば、砂の家が襲われたのは自分が原因なのか? さっきまで崖から落ちたり先輩ヒカセンに助けられたりしながら楽しくタイタンと戦っていたのに、なぜこんなことに……。
あまりの急転直下に、クエストをクリアした後も茫然とさせられました。しかし、“灯りの消えた日”の本番はこれからです。
キャストタイムの長さ=遺体の重さ? “死”を実感させられた後片付け
クエストとしての“灯りの消えた日”は、ノラクシアの遺言を受け取って聖アダマ・ランダマ教会を尋ねればクリアなのですが、これだけの事件は簡単には終わりません。

2つ後のメインクエスト“静かなる葬送”では、砂の家の遺体を片づけるイベントが発生します。
引き取り手もなく、身元不明の遺体となった彼らを業者の元へ運ぶだけでも気が滅入りますが、作業中にあることに気づきます。

遺体によって、作業にかかる時間が違うのです。
『FF14』では詠唱や作業の待ち時間を“キャストタイム”と呼びますが、このクエストでは大きい遺体ならキャストタイムが長く、小さい遺体は短く設定されています。最初は小さな疑問でしたが、3人目か4人目で意味に気づきました。
「もしかして、遺体の重さによってキャストタイムが変わっている?」と。

体が重ければ運ぶのも大変ですから、当然時間がかかります。小さくて軽いなら逆に短時間で済むでしょう。重さの違いによる作業時間の差が、キャストタイムに反映されているわけです。
遺体にも重さがあり、一人ひとりそれは違うのだと知った瞬間「今自分が運んでいる遺体は、一人ひとり違う人間だったんだ」と実感し、胸が締めつけられました。
そして、彼らの名前をまともに覚えていなかった自分を思い知らされます。砂の家を出入りするたびに顔を合わせて、自分から話しかけたこともあったはずなのに。

唯一名前を覚えていたノラクシアは、誰よりもキャストタイムが短かったです。
「こんなに軽い子だったんだな」と思ったあの瞬間は、初見から3年経った今も忘れられそうもありません。
順風満帆だった冒険に影が落ちたクエスト。だからこそ『FF14』にハマった
個人的な感想ですが、タイタン討伐までの『FF14』はとても順風満帆な冒険譚だった気がします。
身一つで冒険者になった主人公が実は特別な力を持っていて、エオルゼアの命運を分ける戦いの第一線で活躍するまでになりました。少なくとも、タイタンを倒すまでは悲しい出来事はほとんどなかったように記憶しています。
輝かしい光に満ち溢れていた主人公の冒険に、挫折という名の影を落としたのが“灯りの消えた日”だったのではないでしょうか。
ただ楽しいことが続くだけのゲームだったら、筆者はその楽しさにさっさと飽きていたかもしれません。
今思えば、『FF14』の世界に深くのめりこむ最初のきっかけが“灯りの消えた日”でした。こうして思い出すだけで心が辛くなる話ですが、そういう意味では感謝したいクエストです。
電撃オンラインでは、好きなクエストや名言などにフォーカスした『FF14』に関する企画記事をこれからも不定期で展開していく予定です。次回もお楽しみに!

