時は大正、舞台は閉ざされた洋館や豪華客船。ハイカラな世相を背景に、私立探偵・藤堂龍之介が次々と難事件に挑む……そんな、フィーチャーフォン時代に生まれた本格推理アドベンチャー『藤堂龍之介探偵日記』シリーズが、令和の今また遊べます!
※本記事はジー・モードの提供でお送りします。 本シリーズは1988年にパソコン向けソフトとして誕生し、のちにフィーチャーフォンへと活躍の場を移した歴史ある推理ADVです。その移植版が、フィーチャーフォンゲームの復刻プロジェクト・G-MODEアーカイブス+から続々と復活しています。
2023年5月のVol.1を皮切りに配信が続き、2026年6月4日にはついに最新作となるVol.8が登場しました。
本稿では、すでに配信中のVol.1~7をまとめて紹介! さらに、最新作Vol.8『菫青の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~』のプレイレビューをお届けします。
大正の薫り漂う名探偵の世界へ、どうぞお付き合いください。
2023年5月のVol.1を皮切りに配信が続き、2026年6月4日にはついに最新作となるVol.8が登場しました。
本稿では、すでに配信中のVol.1~7をまとめて紹介! さらに、最新作Vol.8『菫青の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~』のプレイレビューをお届けします。
大正の薫り漂う名探偵の世界へ、どうぞお付き合いください。
藤堂龍之介はイケメン名探偵(ただし顔は見えない)
まずは、シリーズそのものについて紹介します。遊び方は、表示されるコマンドを選んで調査や会話を行うクラシックなスタイル。行き先を選択して移動し、さまざまな場所を調べたり人と話したりします。

閉ざされた洋館や船の中を探偵となって動き回り、居合わせた人々と言葉を交わし、あやしい品を調べながら、事件の全体像を少しずつ手繰り寄せていくのです。大正という時代の空気が、隅々まで丁寧に描き込まれているのも見どころのひとつ。

主人公の藤堂龍之介は、16歳のころに英国へ渡って学んだ経験を持ち、幅広い教養と旺盛な探究心で謎に立ち向かう人物です。ピアノを弾きこなすほど音楽にも親しんでいて、整った顔立ちのおかげか、行く先々で女性に慕われることも少なくありません。つまり、品行方正かつ容姿端麗という恵まれたステータス。

……とはいえ本編で龍之介本人が画面に映ることはほとんどなく、見られるのはせいぜい後ろ姿どまり。プレイヤーがそのまま龍之介になりきる構造だからこその演出で、その容貌を想像する楽しみが残されているのもそそるところ。

それでは、ここから藤堂龍之介の活躍を一作ずつ紹介していきましょう。
『藤堂龍之介探偵日記』Vol.1~7を振り返り!
Vol.1 琥珀色の遺言~西洋骨牌連続殺人事件~
シリーズの原点となるのが、Vol.1『琥珀色の遺言~西洋骨牌連続殺人事件~』。薬の貿易で財を成した富豪・影谷恍太郎が、自宅の庭で不可解な死を遂げます。その傍らに残されていたのは、当時の日本ではまだ馴染みの薄かった西洋骨牌……いわゆるタロットカード。

おおやけには毒による自殺として片づけられますが、その死に疑問を抱いた執事と、龍之介の旧友・影谷芳明が真相の究明を依頼してきます。龍之介は小説家を装い、邸宅“琥珀館”へと潜入していくのです。

本作には、後日談にあたる番外編“虚妄の報い~琥珀色の遺言 追補篇~”も同時収録。事件が幕を下ろした、その先の物語まで楽しめる一本になっています。シリーズ最初の事件にして、本作の世界観をたっぷり堪能できる入り口です。
Vol.2 黄金の羅針盤~翔洋丸桑港航路殺人事件~
Vol.2『黄金の羅針盤~翔洋丸桑港航路殺人事件~』は、海の上が舞台。1923年、桑港(サンフランシスコ)を発ち横浜を目指す豪華客船・翔洋丸。一万三千トンの巨船に、半年の外遊を終えた龍之介も乗り合わせていました。龍之介は何かとオシャレな人生を送っていますね。

ところが、穏やかな船旅は長くは続きませんでした。甲板に置かれた樽の中から、白骨化した死体が見つかったのです。龍之介も、行く先々で事件に巻き込まれる探偵ならではの体質の持ち主なのでしょうか……。

陸からはるかに離れ、誰ひとり逃げ出すことのできない洋上という密室。その息詰まる舞台立てが、推理の緊張感をいっそう引き立てる一作です。
Vol.3 瑠璃色の睡蓮~伍彩龍伝説連続殺人事件~
Vol.3『瑠璃色の睡蓮~伍彩龍伝説連続殺人事件~』の舞台は、日本海に浮かぶ小さな島。大正15年、ある富豪あての奇妙な手紙の調査を頼まれた龍之介は、通称“龍ヶ島”へと渡ります。
手紙に記されていたのは、この島に古くから語り継がれる「伍彩龍(ごさいりゅう)伝説」を思わせる内容でした。
手紙に記されていたのは、この島に古くから語り継がれる「伍彩龍(ごさいりゅう)伝説」を思わせる内容でした。

龍之介の滞在中、伍彩龍伝説をなぞるかのような凄惨な連続殺人が起こります。しかし、今回は頼もしい助手が! 本作では龍之介の友人が助手として同行しています。探偵と助手がペアというだけで、ワクワクしますよね!

助手役をつとめる影谷芳明は、Vol.1『琥珀色の遺言』で登場した龍之介の古くからの友人です。真面目で礼儀正しく几帳面な好青年……なのですが、どうやら美人にはめっぽう弱いという可愛らしい弱点もある様子。
過去に登場した人物の再登場……筆者はこういう要素が大好物です。キャラクターに対する、制作者さんの愛情が汲み取れていいものですよね。
Vol.4 亜鉛の匣舟~相馬邸連続殺人事件~
Vol.4『亜鉛の匣舟~相馬邸連続殺人事件~』は、断崖に建つ、病院を併設した屋敷が舞台。普段は使われていない地下の一室から、血に濡れた軍医の遺体が見つかります。
警察は自殺と片づけてしまいますが、現場には腑に落ちない点がいくつも残されていました。
警察は自殺と片づけてしまいますが、現場には腑に落ちない点がいくつも残されていました。

龍之介を待ち受けるのは、閉ざされた現場の不可解さ。そして聞き込みを重ねるうちに、屋敷の奥でひそかに進められていた常軌を逸した研究の輪郭が、じわじわと浮かび上がってきます。

病院、殺人、研究……というキーワードが飛び交う本作は、ホラー好きさんにもおすすめです!
Vol.5 泪色の雫~亀蔵酒造殺人事件~
Vol.5『泪色の雫~亀蔵酒造殺人事件~』は、伝統ある蔵元が舞台。とある蔵元で殺人事件が起こり、酒造りを取り仕切る杜氏が犯人として捕らえられてしまいます。
彼の無実を信じて疑わない蔵人たちに請われ、龍之介は酒の香り立つ仕込みの現場へと乗り込みます。
彼の無実を信じて疑わない蔵人たちに請われ、龍之介は酒の香り立つ仕込みの現場へと乗り込みます。

古い伝統と職人たちの熱気が美酒を生み出す酒蔵という場所を舞台に、誰が、何のために手を下したのか。
事件の奥に隠された真意へと、龍之介の推理は静かに迫っていきます。人の情と意地について考えさせられる……そんな余韻を味わえるタイトルです。
Vol.6 柘榴の天鏡~吉祥仲秋祭連続殺人事件~
Vol.6『柘榴の天鏡~吉祥仲秋祭連続殺人事件~』は、以前の旅で知り合った天宮忠彦という人物からの便りで幕を開けます。

そこに綴られていたのは、我が子の身に危険が迫っている、どうか力を貸してほしいという切実な願い。龍之介は、忠彦が営む“ホテルグレナード”へと向かいます。しかしこの訪問こそが、事件の幕開けだったのです……。

本作は番外編“逃避の終章~柘榴の天鏡 事端篇~”も同時収録しており、本編とあわせて事件をより深く味わえる構成になっています。
Vol.7 鈍色の天秤~鬼塚邸連続殺人事件~
Vol.7『鈍色の天秤~鬼塚邸連続殺人事件~』の時系列は、大正十年の晩秋。炭坑王が暮らす立派な屋敷で、女中の首吊り死体が発見されます。
警察は早々に自殺と片づけてしまいますが、この屋敷ではここ数年、不審な死を遂げた者が後を絶たないという事実が、人々のあいだで囁かれていました。
警察は早々に自殺と片づけてしまいますが、この屋敷ではここ数年、不審な死を遂げた者が後を絶たないという事実が、人々のあいだで囁かれていました。

いつしか世間は、ここを“魔物の住む家”と呼んで恐れるように。そんな曰くつきの屋敷へ、龍之介はある人物の依頼を受け、素性を隠して足を踏み入れます。

本作も番外編“虚談の迷宮~鈍色の天秤 事端篇~”を同時収録。揺れ動く真実の天秤が、最後にどちらへ傾くのか。ぜひ見届けてください。
全タイトルセール中!
以上が、Switchで好評配信中のVol.1~7です。ひとつずつでもしっかり捜査や推理を楽しめます……が、シリーズを順に追っていくと、大正という時代と藤堂龍之介という人物の生き方がより鮮明に見えてきます。

現在、最新作の配信を記念して、このVol.1~7が一挙40%オフになるセールが7月14日23時59分まで開催中。シリーズをまとめてそろえる、またとないチャンスです。
最新作Vol.8『菫青の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~』レビュー
そして6月4日、待望の最新作Vol.8『菫青(きんせい)の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~』が配信されました。この最新作Vol.8は、配信を記念して8月2日23時59分まで、20%オフの960円(税込)で購入できるセールも実施中。気になった方は、この機会をお見逃しなく。

ここからは、筆者が実際に『菫青の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~』をプレイした序盤の様子をレポートします。物語は、ある寒い夜の場面から幕を開けます。防寒具もろくに身につけないまま、ひとりの男がある屋敷の窓を見上げて佇んでいました。その窓の向こうには、彼が想いを寄せる少女がいるはずでした。

しかし、少女が眠っているはずの深夜だというのに、部屋にはまだ明かりが灯り、窓には慌ただしく動く人影が。ただならぬ気配を感じ取った男は、目の前の塀をよじ登り、勝手口から屋敷へと忍び込みます。

……って、いきなり犯罪の現場を目撃しているような気がしますが、それはさておき。少女の部屋の扉を開けた男は……突然、衝撃を受けます。そして、彼の意識はぷっつりと途切れてしまうのです。

ここまでがプロローグ。これ、本当にフィーチャーフォンのゲームだったんですか……と突っ込みたくなるほどのグラフィック完成度の高さ。この掴みだけで、一気に物語へ引き込まれてしまいました。
人形に奪われた婚約者
舞台は変わり、私立探偵・藤堂龍之介のもとを、柳沢ツグミという少女が訪ねてきます。彼女の依頼は、なんと「元婚約者を探してほしい」というもの。元、婚約者。この引っかかる言い回しには、切なすぎる事情がありました。

ツグミと元婚約者の和泉泰明は、婚約の報告をするため親戚の屋敷へ出かけた際、窓辺に美しい少女の姿を見つけます。すると泰明は、あろうことかその少女に一目惚れし、ツグミとの婚約を破棄してしまったというのです。

ところが泰明が恋に落ちた相手は、生身の人間ではなく、屋敷の主・大村雅が生み出した精巧な人形でした。ツグミがそのことを伝えても泰明は聞く耳を持たず、やがて屋敷へ通い詰めた末、ぷつりと消息を絶ってしまったのだとか。

婚約者の目の前で別の女性(しかも人形)に一目惚れ……という状況に、筆者としては「結婚する前でよかったのでは?」とツッコみたくなるところですが、それでもツグミは彼の行方を知りたいと願います。その健気さに、龍之介も心を動かされるのでした。

依頼を聞いた龍之介は、留学時代にオペラ座で観たという舞踊劇を思い出し、「人形に恋をして婚約を破棄するとは、まるで“コッペリア”のようだ」とつぶやきます。こういうさりげなくキザな台詞がぽろりと出るのが龍之介という人。それでいて嫌みにならないのだから、やっぱり素敵なキャラですよね。

ちなみに大村雅の屋敷は、以前から“人形屋敷”と呼ばれていました。日が暮れなずむころにこの屋敷の前を通りかかった者は、連れ去られて人形に変えられてしまう――そんな薄気味悪い言い伝えまであるのだとか。とはいえ、人間と見紛うほどの人形が並ぶ屋敷なのですから、そんな噂が立つのも無理はない……いえ、職人にとってはむしろ最高の褒め言葉かもしれませんね。
広さも登場人物も桁違いの屋敷!
龍之介は人形を愛好する華族になりすまし、助手の天宮冬馬を伴って屋敷へと乗り込みます。この冬馬がまた、金髪碧眼の実に見目麗しい青年。かつては彼を主人公にしたスピンオフ作品も配信されていたそうで、筆者としては再配信を強く願うばかりです。……ジー・モードさんに、どうかこの想いが届きますように。

さて、潜入した屋敷は3階建て。個室に工房、サロンに客間、遊戯室に図書室と、とにかく広い! しかも親族に加え、複数の女中や住み込みの弟子たちも暮らしており、登場人物はなんと13人。誰にどこまで話を聞いたか、どこを調べ終えたか、頭の中で追いきれなくなったら、メモを取りながら進めるのがおすすめです。

紳士な龍之介は、まず相手に警戒されないよう丁寧な挨拶から。巧みな話術で、さりげなく個人情報を引き出していきます。これはもう、立派な人たらしですね。

ほとんどの滞在者と言葉を交わせたものの、肝心の家主・雅は体調不良とのことで会えません。屋敷に一泊して翌日、少し体調が安定しているということでようやく面会が叶います。

そこにいたのは黒いマントを羽織り、鴉のような仮面で顔を覆った、まるで怪人のような人物でした。話しかけても返答はちぐはぐ。聞けば、雅は妻を亡くして以来、心を病んでしまっているのだといいます。
聞き込みから少しずつ真相へ
ここからが本格的な捜査の始まり。13人の登場人物に丁寧に話を聞き、誰もいない場所は隅々まで調べる。この地道な積み重ねで、少しずつ手がかりを探していきます。

ときには、いかにも重要そうな“証拠品”を拾うこともあります。証拠品を手にした状態で誰かと話すと、それについて尋ねるコマンドが現れる仕組み。

手がかりを握る人物にぶつけることで、話が大きく動くこともあります。また、同じ相手に何度も話を聞いたり、同じ話題を繰り返し掘り下げたりすると、新たなヒントが顔を出すのもポイント。この情報を持っていれば会話が変わるかな……と、じっくり謎に向き合う楽しさが詰まっています。

調べる範囲が広く、話を聞く相手も多いぶん、途中で手詰まりを感じることもあるかもしれません。そんなときは、公式サイトにヒント集が用意されているので、どうしてもという場面では頼ってみてください。制作側がヒントを準備しているということは……裏を返せば、それだけ歯応えのある謎解きが待っているという証拠でもあります。
【タイトル】G-MODEアーカイブス+ 藤堂龍之介探偵日記 Vol.8「菫青の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~」
【価格】1,200円(税込)
【ジャンル】推理アドベンチャー
【ゲームプレイ人数】1人
【対応機種】Nintendo Switch
【対応言語】日本語
事件を待つ探偵のみなさんへ
紳士的で会話上手、紅茶や料理にも通じている……そんないいところ全部乗せの藤堂龍之介は、やはり本作の大きな魅力です。イケメンという設定でありながら、その姿がほとんど描かれないというのも、かえって想像をかき立てられる憎い演出ですね。

助手の冬馬も、天使のような容姿を買われて人形のモデルに抜擢され、そこから情報を集める活躍を見せてくれます。とにかく、かわいい。

家主の雅をはじめ、それぞれに事情を抱えつつ、どこか怪しさもただよう登場人物たちも実に人間味たっぷり。同情したり、共感したり、ときには疑ったり……感情を揺さぶられながら読み進めることになります。元婚約者を捜すだけのはずだった依頼は、やがて思いもよらない方向へと転がっていきます。その先は、ぜひご自身の目で確かめてください。
謎解きに飢えている探偵のみなさん、腕が鳴るいい事件が待っていますよ。