TBS系列にて毎週日曜日21時より放送中のドラマ『アンチヒーロー』の感想を紹介します。
“アンチ”な弁護士は正義か悪か――!?
有罪率99.9%と言われる日本の刑事裁判において、たとえ犯罪者である証拠が100%揃っていても、無罪を勝ち取る“アンチ”な弁護士の活躍を描いた『アンチヒーロー』。
長谷川博己が演じる本作の主人公は、まさにヒーローとは言い難い、“殺人犯をも無罪にしてしまう”限りなくダークで危険な人物。
そんな彼を通し、“正義とは何か?” “世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける本作。
スピーディーに展開する逆転リーガルエンターテインメントがいよいよ放送開始。事前情報のほとんどない状態で始まった物語の感想を、今後の考察も含めで紹介していきます。
『アンチヒーロー』最終回 感想
逮捕された明墨、ここからの逆転は?
前回は、クライマックスで大きな展開がありました。ラスト、明墨が緋山の事件に関する証拠隠滅罪で逮捕。
さらに、その逮捕の決め手となった証拠を検察に提出したのは、なんと同じ事務所の白木でした。ここにきての裏切り者の発覚! まさに急転直下だった前回からの続き。今回いよいよ最終回です。
最終回は25分拡大。ドラマの○○分拡大は、基本的に編集で伸ばしてるだけだけど、やはり25分も長いというのは特別感あっていいですね!
ともかく、最終回は捕まった明墨と伊達原の会話から。ここでも伊達原の胸糞悪い態度とセリフが続きます。最後の逆転に向けて、もうひと押し嫌わせておこうというものでしょうか。
明墨の裁判開始
そして明墨の裁判が開始されます。証拠を検察に渡した白木が証言台に立ち、緋山が殺人犯であると証言。
明墨は糸井一家殺人事件の冤罪を晴らすため、緋山が殺人犯だったということを知ったうえで証拠を隠滅し、無罪にしたと証言。緋山も、自分が殺人犯だったことを認めます。
裁判の場面を利用して、ここまでの明墨の目的と行動を分かりやすく整理した感じですね。ただ、結局糸井一家殺人事件の冤罪を晴らす証拠は見つかっていません(正確には検事たちに先回りされ潰された)。
裁判では伊達原の追及が始まります。それにしても正論をここまで嫌みったらしく話せるのは素晴らしい役者さんだ。
そして明墨は、余裕の表情で間もなく再審請求をすると発言。新しい証拠が見つかったと言いますが、そのことは伊達原は知らなかったようです。
そんな達原は、裁判後、明墨を裏切った白木と話し、新証拠が何かを突き止めようとします。白木は知っている様子で、毒物鑑定書の改ざんについて話すのでした。
第二回公判
さらに第二回公判。展開早い! 目まぐるしいですね!
明墨はもちろん、毒物検査について突いてきます。新証拠は、毒物鑑定を行った平塚先生が残した鑑定書。そこで検出されたのはボツリヌストキシンですが、報告書にはタリウムのみでした。明墨は、これを書き換えたのが伊達原だと主張します。
その理由が、志水を再逮捕するためであることを、わかりやすく整理してくれます。これも、ここまでのお話のおさらいですね。それ以上の情報は出てこないので、長~いあらすじのようなもの。いきなり最終回を見ても分かるようになっています。25分拡大はこのためかなと思ったり(笑)。
その後、明墨側が提出した鑑定書が偽造であると断言する伊達原。しかし、存在するはずがないその偽物を、伊達原が探し回っていた証拠があると明墨。これで、伊達原にようやく動揺が走ります。
その映像とは、資料室から伊達原が鑑定書を持ち出す様子が写っていた隠し撮りでした。伊達原が白木から聞いた鑑定書、確かに存在していたのです。伊達原はそれを処分していたのでした。
やはりすべて明墨の計略だった!
と、ここで伏線回収。白木が伊達原に教えた毒物の鑑定書のお話。あれは、伊達原を誘い出すための罠だったのです。伊達原はその罠にハマり、資料室から鑑定書を持ち出していたのでした。ここで伊達原が傍聴席を見ると、さっきまでいた白木がいなくなっていたという演出。ここ、気持ち良かったですね!
罠を仕掛けたのは白木で、白木は明墨を裏切っていなかったことがわかる瞬間です。その演出も含め、まさに溜飲の下がる思いでした。これで一気に形勢逆転です。
そしてさらに、そんな資料室の隠し撮りに協力したのは、緑川検事でした。これも多くの人が予想したように、緑川検事は、最初から明墨側の協力者だったのです。畳みかけるように謎が明かされていくのやはり気持ちいい!
ここで3日前の回想。白木と緑川は、事務所で赤嶺たちと会って真実を話していました。白木が裏切ったのも、明墨の逮捕も、すべて明墨の計算通りだったのです。
その後、瀬古判事が自分の判決が間違っていたことを認めたり、伊達原の裁判で倉木が証言したりと、その後の展開がダイジェストのように続きます。
そして糸井一家殺人事件の真犯人は?
最終的に伊達原も罪を認めて、世間的にも糸井一家殺人事件は冤罪という流れになるのですが、このあたり長めのエピローグみたいな演出で、だんだん嫌な予感がしてきます。
冤罪ってことは真犯人がいるわけで、もしやそこまで明かされないのかと疑っていたら、本当に明かされなかった(笑)!
確かに冤罪証明の物語なので、真犯人は焦点じゃないのはわかりますが、そこは何とかしてほしかったなぁ。絶対伊達原の身内だと思ってたのですが。あれだけ伊達原が志水が犯人とこだわっていた理由にもなりますし。その辺は、想像するしかないのかな。
個人的にはその点だけが残念だったですが、総合的にとても楽しめたドラマでした。ラストシーン、赤嶺が1話の明墨と同じセリフをいうところも良かった。気持ちよく観終われたので、細かいところはまぁいいかと思うようにしました。ただ続編は望みません。さすがに蛇足っぽくなりそうなので。でも、明墨主人公にした普通の1話完結ドラマなら見たいかも!